チームは進歩していないのか リーグ最多失点と問題点
名実ともに現在のJリーグにおけるトップ3と、3連戦となる日程の妙もあり、1試合未消化ながら、20節終了時点でリーグ最多失点となってしまった。
この理由について、試合ごとのディティールに注力し、小難しい解説図を展開する方法は戦術クラスタに任せるとして、より文脈と、分かりやすい数字、データで語りたい。
特に、数年間マリノスを見続けていることをベースにした、文脈を重視する思考は、戦術的に一試合を切り取る見方では出せない部分かと思うし、チームの進歩を考える上で重要と考える。
2017年から見る予兆
ポステコグルー監督のやり方になったから、失点が多い、これは正解であって、正解じゃないと考える。
先ず、当ブログでも、これまで繰り返し触れている様に、攻撃の志向が、その割合がロング&ショートのカウンターからボール保持に傾倒していったのは、今年ではなく2017年からである。
この点、昨年は、プレス回避、ビルドアップなどの自陣ポゼッションによるボール保持がまるで上手く行かず、そもそもボールを持ちたくても持てすらしなかった、という見解も従来より主張してきた通りである。
その結果、今年は大きな発展があるし、その発展を生み出しているのが新監督のアイデアなのは間違いがなく、やりたい事がやれている、という点でチームは進歩していると考える。
その一方で、冒頭でも触れたように、現在の所、リーグ最多失点となってしまい、マリノスを何らかの形で応援する多くの人にとって、進歩を感じない結果となってしまっている。
だが、こうなることは2017年の時点で予兆となるゲームがあった。
2017年9月23日 甲府戦
マリノスにとって、ACL出場を逃すことになった手痛い敗戦は3つ有ると考えている。
その内の1つにして、最大の要因となったのが、3-2で敗れた、このゲームであり、2018年の現状を予言するゲームと言える。
早い秋の訪れと共に、後半戦を迎えたJリーグ、残留争いで後がなくなっていた甲府は、前線の強力2トップ頼みのロングカウンターに腹をくくっていた。
よって、ゲームを通じたデータとして、彼らのパス本数と成功率は266本、69.5%、ボール支配率は35%と、一切ボールを保持せずに、持ったら裏(スペース)、縦、と徹底していた。
その結果、マリノスは、ボール支配率64.9%と、2017シーズン最高のボール支配率を記録、殆どの時間をハーフライン付近より上、甲府陣内で過ごす事となった。
去年の試合ダイジェスト
失点シーン、今年、よく見る光景じゃないですか。
ロングカウンター能力が高い(選手を配してる)チームに対する相性の悪さは、2017年から変わってないと私は思う。
この点について、ポステコグルー監督になったから弱体化したのではない、ということ。
ただ、監督であるならば、弱点があまり露呈しないような(意図的にボールを保持しない)やり方を選択する事も可能ではある。
これが正解であって、正解じゃない理由。
怪我の功名ではないが、モンバエルツの時は、やりたくても出来なかったから弱点が露呈しなかった、だけであって、いざ、出来たら出来たで、今年と同じ問題が発露していたと言える。
この点、やりたい事が出来るようになって、次の問題を認識出来るようになった、という点で、チームは進歩していると考える。
去年の0-3と今年の0-2
川崎には昨秋に続いて、今年も二週目は完敗となった。
ただし、その中身は大きく異なる。
2017年、一周目は2-0で快勝したのに、二週目は0-3で完敗した理由を認識している人はいるだろうか。
マリノスが変わりつつあった、更にそれが川崎に対して最悪の相性だった、単純に述べると、こうなる。
① 2-0で快勝した一周目
ボール保持率 39.6%
パス本数 378本
シュート数 13本(枠内5)
② 0-3で完敗した二週目
ボール保持率 48.3%
パス本数 500本
シュート数 7本(枠内1)
一週目は、ボールを持たない事で、2017川崎における最大の武器であったショートカウンターを全く被弾せずに快勝、一方、二週目ではボールを持つ意志があったものの、プレス回避、ビルドアップのボール保持、自陣ポゼッションすら上手くいかないで、更にショートカウンターで次々ハメられた。
嫌な記憶がいっぱい詰まった映像ですね
失点シーンは全て、ショートカウンターを被弾した物。
それに対して、今年の二週目は、今季最悪のスタッツを記録したように、
by DAZN
ボールを持てず、延々と自陣内でポゼッションされ、撤退していた守備を崩された失点。
では、これも、ポステコグルー監督に変わって守れなくなった、のだろうか。
2017年11月18日 C大阪戦
ゲームスタッツ
ボール支配率 45.5%
パス数 453本 (成功率78.4%)
シュート数 7 (枠内1)
2018年第20節川崎戦スタッツ(上記画像から抽出)
ボール支配率 46%
パス本数 436本 (成功率79%)
シュート本数 5 (枠内1)
延々と自陣内でセレッソにボールを保持されて、ゴール前に撤退した守備が、彼らの巧みなパスワークで崩され2失点した事で、勝敗が決定的になったゲーム。
セレッソのボールキープが延々と続いた結果、アクチュアルプレータイム(実際に90分の内プレーが行われていた時間)は、Jリーグ平均の55分を大きく超える、62分になっている。
サイドバックが釣り出されたスペース、中の選手が釣り出されていったスペース、ラストパスはどちらも見事として、今回の川崎戦と同じ様な失点シーン。
柿谷や清武、中村憲剛や家長、延々と攻撃を継続できたら、そのうちに穴が空いて、クオリティを持った選手に仕事をされるのは2017年と変わりません。
よってこれも、ポステコグルー監督に変わったから守れなくなった、のではないと言える。
一方で、ポステコグルー監督になったのに、ボールすら持てないという、2017年を彷彿とするゲームをしてしまった事は、
ロングカウンターにやられるという、次の課題で上手くいかないことよりも後退であり、大きな問題と言えます。
気になる2018年データ ハイライン
今年のマリノスはハイラインか
YES、2位以下をぶっちぎる驚異のハイラインである。
今年のマリノスはハイプレスか
YESであり、NO、効果的だが、意図が異なり、更に限定的である。
ハイラインについて議論の余地はないが、ハイプレスについては多々ある。
先ず、マリノスのハイプレス(ここでは敵陣でのボール奪取を図った行為)についてリーグ1位の成功率を誇っているが、指数(偏差値)では44と、中より下、といった数値である。
この指数は純粋な試行回数ではなく、ハイプレスが可能な敵攻撃に対する実行率をベースにしており、出来るのにしなかったら数値は低くなる。
リーグ1位のFC東京は68を記録しており、いわゆる最後の15分まで緩むことがない。
一方でマリノスは、15分刻みの発生率において、後半開始直後が激減し、偏差値を大きく押し下げている。
0-15 15-30 30-45 45-60 60-75 75-90(分)
39.2% 41.7% 42.3% 29.8% 42.0% 39.5%
更に言うと、C大阪や浦和の様に、意図的に低いチームもあるのだけど、開始15分が30%台に落ち込むチームもマリノスくらいである。
また、川崎が昨年に引き続いて、ハイプレス成功からの攻撃で高いシュート率(敵陣でボールを奪ってシュートまで行った)を維持しているのに対して、マリノスはとても低く、
計測方法として、敵陣内で始まったカウンターを防いだ様なケースも含まれ、奪った地点よりも前方に敵選手が多く残っている状況が推測できる。
ハイプレス成功率1位 マリノス 47.7%
ハイプレス成功率2位 川崎 47.3%
成功率は、その一連の攻撃で敵がシュートを打てなかった率なので、必ずしも良い状態でボールを奪った事を意味しない。
誰が奪ったのか、は含まれておらず、マリノスでよく見るように、ハーフライン付近で、ディフェンスラインの選手がカット、またはスルーパスを飯倉がクリアなど、敵FWにパスが通らない様なシーンも成功に含まれる。
敵陣でボールを奪い、一定時間以内にシュートまでに達した率を表すショートカウンターシュート率で、明確な差が見える。
川崎 23.6%
マリノス 14.3%
川崎がシュートの為のハイプレスだとすると、マリノスはボールロストの補填としてのハイプレス(敵陣内でボール奪取を仕掛ける行為)と言える。
2018年の気になるデータ コンパクトネス
また、コンパクトネス、敵にプレスが開始する前の段階でどれだけ守備組織がコンパクトなのか、という指数においてもリーグ最下位の38となっている。
下から二番目の鹿島でも44とその差は大きい。
特に、縦幅は31.2mと、湘南や長崎に比べると4m以上広く、守備組織の内側にスペースがある状態。
事情として、ラインが突出して高いので、後ろの危険を潰す為、ボールホルダーを早めに抑えたい結果というのはあるかもしれない。
ただ、川崎や広島の様に、多少の圧力を物ともしない相手であれば、逆手に取ってスペースを使われる状況と言える。
ディシプリンが守られないのか、それとも無いのかは不明。
プレス開始位置のルール、前が深くまで追いかけすぎている、ファーストラインを2m後退させる、などの修正及び徹底が必要ではないだろうか。
2018年の気になるデータ フィジカルコンタクト
これは余り触れたくなかったのだ、選手叩きにつながりやすい。
そして最後に、ロングカウンターを受けやすく、中にも裏にもスペースもある、となると、個々の選手が激しくボールに対して行こうぜ!という対処方法が思いつくが、
フィジカルコンタクト(タックルや空中戦、ブロック、ファウル数の偏差値)においても、マリノスは31と、学校のテストであれば赤点レベルの偏差値になっている。
もちろん、マリノスはボール保持時間が突出して多いので、イコール、守備時間も少なく、フィジカルコンタクトは伸びにくい数値かもしれないのだが、それにしても少なすぎる。
ボール支配率2位 56% の神戸の場合、フィジカルコンタクトは 58
ボール支配率1位 60.2% のマリノスで 31
2016年が41、2017年が35、そして今年は31、皆さんが感じている守備劣化は、フィジカルコンタクトを避けているというデータと、関連性があるのかもしれない。
雑談
新監督はとても紳士的で素晴らしいのだけど、これはモンバエルツもそうだったけど。
その結果、チェルシーが、どんどんとヴェンゲルのアーセナル化、していくような感覚がある。ファンには申し訳ないが、特に晩年の3年位はやらかしと大敗のお笑いチーム感がハタで見てるとあった。
モウリーニョくらい『ぬるいプレーしてると3年間スタンドに座るぞ』くらいの激しさがあってもいいかもしれない。
データ by フットボールラボ
幸運に恵まれた惜敗 ワールドカップ2018ロシア 決勝トーナメント一回戦 日本対ベルギー
ロシアで開催されている2018年ワールドカップで、史上初のベスト8へ、2010年大会以来、8年ぶりの挑戦となったベルギー戦。
極めて分かりやすい、表層的かつ、より勝敗に直結する重要指標のみを見た時に、このゲームは完全な負け試合であり、90分+4分まで2-2というスコアだったのは幸運に支えられていたと言える。
シュート数からゲームを総評する
サッカーはより多く得点をする事を目的とした競技である事から、試合後のゲームスタッツにおいて、世界のどこへ行っても、一番上に表示される最重要指標がシュート数になる。
そして、このゲームを通じて記録されているシュート数は、ベルギーの24本 に対して、日本は11本。
また、シュートの内訳として、枠を捉えた、得点の可能性のあるものであったか、を重視した枠内シュート数においても、ベルギーは8本、日本は4本となっている。
また、総シュート数に対する、枠内シュートの比率という観点で見た場合に、
ベルギーは24分の8で 33.33%
日本は11分の4で 36.36%
印象としては、敵のエースであるルカクが何度も決定的なシュートミスをして、枠を外していた様に感じたが、それはデータでも確認され、最終局面で、可能性をゼロにしてしまうミスを多くしていたのは、ベルギーである。
また、これらの傾向は2-2のドローに終わったグループリーグのセネガル戦も同様で、セネガルのシュート数14本に対して、日本は7本、枠内シュート数も、セネガル7に対して、日本は3であった。
サッカーの試合を総評する際に、どちらが優勢であったのか、という認識は極めて重要なスタートラインであり、それはあやふやな印象論でなく、明確な事実をベースとされるべきで、サッカーという競技の本質を考えれば、シュート数がそれに相応しいと私は考える。
この点で、セネガル戦は倍の得点機会を相手が持つ、かなりの劣勢なゲームであり、相手のミスと、日本がロナウドなどのスーパースターを越える様な、特筆するべき決定力でドローになった試合であり、
ベルギー戦は相手が多数のミスをしたにも関わらず、日本の倍、得点機会を得ている事から、セネガル戦以上に厳しい、極めて劣勢なゲームと言え、90分+4分まで同スコアであったのは幸運に恵まれた結果であった、と、この最重要指標をベースにこの試合を評する。
攻撃機会
また、シュート数よりは勝敗に対して関連性が下がる攻撃の指標においても日本はかなりの劣勢であった。
選手のアタッキングゾーン侵入回数※、恐らくFIFAのデータでもいわゆる敵陣におけるゴールまでの30m以内を意味するものだと思われるが、ベルギーが55回を記録した一方、日本は24回と、半分以下のデータが残っている。
※ゾーン内のボールタッチ数ではない可能性
これは、ゴール前までは行くのだけど、そこから崩せていないのではなく、そもそも敵陣ゴールに迫った回数が少ない事を意味し、敗因として、最後のタレント力がどうこうではない、という裏付け程度にはなるだろう。
シュートの項目でも触れたが、むしろ日本は敵陣ゴール前でタレント力が発揮された結果、特筆すべきシュート決定率となり、劣勢の中でも何とかスコアの均衡を保ったのが、今回のワールドカップを戦ったチームの真実の姿であると言える。
また、ボール保持からの攻撃を意図した両チームの対戦において、ボールをより持ったのはベルギーであった。
ベルギー56% - 44%日本
次の観点として、ボールの保持率はゲームの優劣を決める物ではない、という認識が昨今のトレンドではあるが、一方で、両者における ボール保持時間の有効性 を見た場合に、以下と考える。
サッカーにおいて、アクチュアルプレータイム(実際の競技時間)は60分以下、とされている事から、これに60をかける事で、ボール保持時間を推定ではあるが算出できる。
ベルギー 33.6分
日本 26.4分
このボール保持の時間に対して、1分をシュート何本に転換する事が出来たのか、ボール保持時間を有効に攻撃へ活用できたのかを見ても、ベルギーが圧倒的に有効な攻撃を行っていたことが伺える。
ベルギー 0.7142本/分
日本 0.4166本/分
※ この勝手に考えたポゼッションエクスチェンジ(ボール保持率攻撃転換量)という概念は、例えばボール保持率で65%対35%、スコアが1-0、又は0-2、みたいなゲームが有ったとして、どちらが優勢であったのかを推し量るのに効果的だと考える。
例えば支配率が上記の状態で、シュート数が15本 対 5本でスコアが0-1の場合、圧倒的にボールを保持して負けたチームがハメられた、無駄なボール保持だった、という批評になりがちだが、
ボール保持時間の有効性は、0.3846 対 0.2380 であり、効果的な攻撃をしていたのは支配率65%を取ったチームである、と言える。
つまり問題は、相手に対して効果的な攻撃が出来ていなかった事ではなく、ゴール前のクオリティにあった事がわかり、正しい敗因の認識にも役立つのではないかと考える。
基準点
今後、この大会結果については、様々な分析や対策が語られると思われる。
特にゲーム直後は、よりディティールが、それは最後のコーナーキックをどうするべきであった、とか、山口の対応であるとか、交代選手や配置転換、スターティングメンバー、あのゲームをどうにか出来たのではないか、というミクロな(小さな)視点。
更には、スタートの11人しか用意できなかった、チームとしてのポリバレント(多様性)が皆無な事につながったスクランブル体勢ならではの準備不足といった戦略的な物。
最終的には育成や環境、文化と言った日本サッカー全体に対する、マクロ(広大)な物まで広がっていくと推測はできる。
ただ、それらのスタートラインとして、選手個々は、特に体力測定的な要素における各種個人データで優れた数値を記録したように、奮闘を見せた事を評価しつつも、
今大会はグループリーグ初戦のコロンビア戦が象徴的な事例だが、多分な幸運に恵まれた、スタッツでは全試合惨敗でもおかしくなかった、かなり劣勢の試合ばかりしか無かった事。
議論のゴールとして目指すのは、あくまでも優勢なゲームによる必然的勝利、確率論に基づいた論理的な勝利である事を、ここに確認したい。
また、日本代表というのは、未だサッカーが脆弱な地位にある日本という国※において、注目と関心を集める為の普及、広報活動プロジェクトであり、今後に少子化が進むのは退っ引きならない未来の中、その成否は、人材と地方の2点からJリーグにも極めて影響する。
それを主導するサッカー協会において、内部の政治問題が影響し、準備不足があったのは明白であり、前述したように、この天啓とも言える幸運にあぐらをかかず、先ず語るべきは、何を置いても勝つこと、ただそれだけに注力するプロジェクトチームを作る為の猛省を要望する。
※ そもそも賭博が厳しく制限されている日本では、これだけの人口と経済規模があるのにプロ野球くらいしか成立させられていなかった様に、プロスポーツが成り立ちにくい環境と言え、その中で見れば先人の貢献もあり、他競技よりもサッカーは断然、健闘していると言える。
一方、私案だが、昨今のネット化で、公営競技が軒並み過去最高益を記録している、このギャンブル大国において、女子サッカーは公営競技化することは出来ないものかと、W杯で優勝するレベルでも恵まれていない様に見える現状を、年収数千万円級がゴロゴロしてる競艇女子選手と比較して思うのであった。
横浜F・マリノスが惜し過ぎる ラディカルな変化の副作用
14節が終わった段階で、順位表における降格圏目前な位置、勝ち点というデータ(数字)だけを見れば、そこには惜しいも何もない、と言えます。
一方で、今季のマリノスが、リーグにおいて順位を向上させる為に、何を目指しているのか、何を改善したいのか、その進捗を追うのであれば、順調という見方もできます。
勿論、スペクタクルの師であるヨハン・クライフも認めるように、結果は何よりも重要だが、プロジェクトの進捗状況を推し量るのであれば、勝ち点(勝敗数及び順位)以外の結果(データ)に注視したいと思います。
現在の達成度
マリノスが理想とするサッカーにおけるプライオリティ(第1優先事項)が、出来るだけ失点をしない意志という意味の堅守から、実行力を持つ反映としてシュート本数が増えるアタッキング(攻撃的)に変わったのは以前に説明しました。
では、ポステコグルー監督が、このオーダーに応えられているのかどうかを前年との比較で見てみましょう。
データ引用元 2018年5月13日時点
データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB[フットボールラボ]
全て1試合平均の数字、2017年 → 2018年
【攻撃重要指標】
得点に関連しやすい各項目でリーグ1位を記録…ただし
① 30mライン(アタッキングエリア)侵入回数
35.5回(リーグ15位) → 55.5回(リーグ1位)
② ペナルティエリア侵入回数
11.4回(リーグ15位) → 18.1回(リーグ1位)
③ クロス数
14.6回(リーグ11位) → 22.6回(リーグ1位)
④ コーナーキック
4.5回(リーグ13位) → 6.6回(リーグ1位)
⑤ シュート
12.2回(リーグ13位) → 13.4回(リーグ7位)
【攻撃参考指標】
・ ボール支配率
50.2% → 60.3%(リーグ1位)
※ ボール保持が上手く行っている目安になるが、イコール良い攻撃をしている、とはならない数字
・ 攻撃回数
120.8回 → 132.9回(リーグ1位)
※ ミスで失う回数が増えれば増えてしまう数字でもあるので、多い=良いには直結しない → ミスが多いのに攻撃回数が多いのであれば取り返し回数も多い訳では有る
・ パス(成功数)
460.6回 → 618.2回(リーグ2位)
・ ドリブル
16.4回 → 19.3回(リーグ1位)
※ リーグ屈指のドリブラーが2人居なくなったけど、むしろ増えた
以上のデータから、シュート本数(枠内シュート数)に改善の必要性があるのは明白ではありますが、
ポステコグルー監督は、スポーツディレクターの要望に見事に応え、重要指標の改善に成功していると言えます。
スポーツディレクターの要望と指針まとめ
守備はどうなっているのか
17シーズンの特徴として、カウンターの使用頻度を下げて、自陣ポゼッション攻撃に注力した結果、ビルドアップの失敗からショートカウンターを受ける回数が多く、酷いデータが残っているのは、繰り返し説明してきました。
2017シーズンデータ
・ 被シュート本数(1試合平均) 14.4本(リーグ16位)
・ 被チャンス構築率(1試合平均) 12.2%(リーグ17位)
失点が増えている2018シーズンですが、なんと若干の改善が見られます。
・ 被シュート本数(1試合平均) 13.4本(リーグ15位)
・ 被チャンス構築率(1試合平均) 10.7%(リーグ14位)
※ 攻撃を受けた回数、なので数字は低いほど良い(順位が高い)です
ですが、失点数では断然に2017シーズンが少ないのは何故か。
これには、うまくいかないゲームでも負けない、リスクヘッジのスペシャリストであるモンバエルツの準備された守備があったと考えます。
自陣に押し込まれ、その結果として、敵の攻撃、特にセットプレーからの失点が増えてしまった17シーズンでしたが、シュート本数に対する失点率は7.4%とリーグ1位でした。
これには、モンバエルツがチームに落とし込んだ、相手がシュートを打つ最終局面では、ペナルティエリア内に4人のDFが常に存在する、確率論で計算されたゾーンディフェンスがありました。
例えば、敵ウイングに対してサイドバックは出て行かないで、エリア内に留まり、クロスを4人で待つ光景が解りやすいかと思います。
シーズン最終節のように、マリノスが大量失点してしまったゲームでは、例外なく、これが崩壊してます。
非論理的な失点
自陣に押し込まれた結果、増加するセットプレーが、イコール、増加する失点となり、ACL出場権を逃したのが2017シーズンとすると、
今季、リーグ1位だった被シュート成功率7.4%を、10.6%(リーグ15位)に落としている物はなんなのでしょう。
失点割合表 セットプレーはピンク色
紫がディフレクションを含めたこぼれ球、そして灰色は、あらゆる通常の攻撃パターンに分類されない、その他(謎)です。
こぼれ球+その他 8失点(ワースト1位) 汗
このファクターだけで、広島の総失点よりも多い訳です。
マリノスよりも失点数が多い、名古屋は合計が、その他だけで2、長崎はこぼれ球だけで2、更にワースト2位のガンバでも5です。
この、本来は再現性が乏しく、少ないはずの非論理的な失点が半分になるだけで、失点数はリーグ平均になると思われます。
ラディカルな変化の副作用
タイトル回収。
この様な、通常では起こりえない事が繰り返し起きているのだから、その内に無くなる、だから楽観していい、という結論ではありません。
逆に、何かしら大きな欠陥があるからこそ、この様な自体になっていると考えるのが問題解決では正しいアプローチです。
その大きな要素として、欲しい物を手に入れる為に、あまりにも急進的、厳しい言葉を使うと、性急に求めすぎている副作用が発現しているのではないかと考えます。
その一つは例えば、具体的には、飯倉が悪目立ちをしすぎですが、誰もが、局面局面における、状況に対する経験値不足という余白であると思います。
この部分は、モンバエルツという優れた前任者が居たにしても、あまりにラディカルな故に、段階を越えながら、というアプローチではなくなっており、その余白をトレーニングで埋めることが出来るのか、このW杯中断期間は極めて重要な時間になりそうです。
他にも、ディティールの修正は必要と思われるデータとして、そもそも、これだけ攻撃の重要指標が向上しているのに、肝心のチャンスクリエイトが出来ていない現状があります(チャンス構築率)
10.1% → 10.1%(変化なし)
サッカーは碁と違い、チェスや将棋と同じ、駒の性能が異なるボードゲームであり、配置されるのはあくまでも石ではなく駒であり、
この攻撃関連のデータからは、石の配置なら悪くないが、駒の選択は正しいのか、という疑問が残ります。
今後、ポステコグルー監督には、モンバエルツが確率論で守備組織を整備したように、あくまでもロジックに基づいたアプローチで、
これだけ攻撃的に優れた指標が、最終的にシュート本数や、ゴールに結びついていない現状を、確率論で最適化して貰いたいです。
中断までの前半戦、まだ1試合残っていますが、結論としては非常に惜しい戦いであった、と思います。
Jリーグ第7節・広島戦雑感 マリノス的な目標を達成する為の最適な配置
今季は選手へのアタリが少々キツイ様な気がする。
これは、いよいよマリノスがシティグループの一員である理解が広がり、更には理想とするプレーのモデルケースまでも、現マンチェスター・シティに設定するのだと認識している人が多いからだろう。
つまり、論理は間違っていないのだから、後は実践、実行出来ないのが悪い、となるのだから、選手はやり玉に上がりやすい。
残念ながら、解らなかった人もいるようだが、マリノスがどうなったら強くなるのかが、観戦側に見えてしまったが故のリアクションと言える。
ただ一方で、何でシルバやデ・ブライネの様に出来んのじゃ!と言っても、あれは100m走で9秒台の世界にいる、特殊な一握切りな住人であることを忘れてはいけない。
これは今、話題沸騰な日本代表も、W杯でベスト16がノルマのような現実と乖離した目標設定に言える事だ。
100m走であれば、10秒台しか出ない中で、どれだけマイベストを尽くせたのか、を査定項目にするべきだろう。
若干、話が逸れて申し訳ないが、日本代表の話をすると、仮にロシアでノルマがあるとしたら、前回の反省として最高のコンデションを作れたのか、その指標は運動量やスプリント、又は別の何なのか、
更に良い守備が出来た効果測定として結果としての失点数ではなく、被シュート数や被決定機を指針にするべきであるし、カウンター攻撃を主題とするのであれば、カウンター発生回数、更にはカウンター成功率を観るべきだろう。
日本がW杯において、2分1敗でグループリーグで敗退しましたと言っても、それは100mのベストで10秒00の選手が決勝レースにいけませんでした、というのとイコールであって、
サッカーのデータは陸上のタイムと比べると対戦相手が異なるので絶対的ではないが、例えば、被シュート数はグループリーグを戦った全チームの中で16位より上か下か、被決定機は16位を越えているか、シュート数は、カウンター成功率はどうか、というデータにおいて、真ん中を基準に良いのか悪いのかを判断するのが正しい効果測定だろう。
冷徹に見れば、日本のレベルだと、内容は良かったで満足するレベルであるし、その内容を個人の感想ではなく、目標指標を設定して判断しようぜ、というビジネスの世界では至極当たり前な話である。
勿論、内容は良くても結果が悪ければ、結果でしか語れないバカが大騒ぎするだろうが、エビデンス(科学的根拠)に基づいて正々堂々と反論をすれば良いだけの話である。
平和な45分と最低な最重要指標
さて、話はマリノスに戻る。
ここまで、お付き合いをしてくれるチームが多かった中で、広島はボールを持ちたければご自由にどうぞ、と構え、更にロングカウンターを主軸とするチームだった。
これにより、マリノスは自陣ポゼッションの失敗から攻撃を食らう回数が、これまでに比べれば大幅少なく、特に過密日程により広島が起用した選手の問題からロングカウンターの質が低い前半は、今季、最も平和な45分だった。
ところが、自陣が平和なら敵陣も、最も平和な時間が訪れていた。
これはマリノスにお付き合いをすると、どうしてもスペースが出来るので、シュート数で優位になるとしても、マリノスもある程度、攻撃が成功し、シュートの打ち合いになりやすく、オマケに慣れない事をさせられてるので、マリノスよりも先にヘバる現象が起きている。
だが、広島は甲府を彷彿とさせる自陣に陣地を形成してのロングカウンターを主軸としていた事から、マリノスにとって敵陣中央はスペースがなく、サイドに追いやられてしまう、サイド傾斜が起きた。
ウイングとサイドバック、インテリオルとピボーテ、4人がアタッキングエリアのサイド、いわゆるペナルティエリアの角でボール交換をしながら機を伺う攻撃が繰り返された。
だが、迎え撃つのは、ここまでの失点は当日のPKも含めて2、広島が保有する甲府よりもレベルが高い選手がやりきる事で生み出される、Jリーグでは鉄壁の質。
それに対して、マリノスの攻撃で、若干の可能性が生み出されたのは、そこから脱出して逆サイドに戻した時に、ブマルが応援を必要としないことで生まれる僅かな時間を利した、カットインを始めた時くらいであった。
マリノスにおいて、攻撃的とはシュートという行為を出来るだけ多く行おうという意志を意味する。
結果としてシュートは5本。
今季の最も解りやすい指標において、スコアは度外視しても、今季最低のゲームになってしまったし、それは柏レイソルが後半から広島の様に、ボールを奪う事を放棄してロングカウンターを主軸に据えたゲームでも予見されたものであった。
今後に予想される相手チームの傾向。 前から行くと交わされる確率が高い&上手く行っても殴り合いを覚悟なので、自陣を埋めるように撤退してロングカウンターをメインとしつつ、プレスに来たら無理に繋がずロングボールでDFラインの裏狙いでセーフティに攻める。 #fmarinos
— Speir_s (@Speir_s) 2018年3月2日
https://witter.com/Speir_s/status/969554460350402560
ボールプレー機会に対するシュート本数が全然足りない、これはマリノスの価値観では攻撃出来ていないと同義。 後半は柏が撤退して中を固めた事で、前半は空いていたスペースが無くなり、アタッキングエリア中央から追い出された結果としてのサイド傾斜が起きてしまった。 #fmarinos pic.twitter.com/bJbsUw0TM9
— Speir_s (@Speir_s) 2018年3月2日
2点目を、敵の攻撃を防いだ直後に起きる自陣ポゼッションの失敗から取られる展開まで同じだった。
シュートを増やす方策はないのだろうか
理想としてシティがあるかもしれないが、マリノスに適したチューニングというのは必要であると思うし、特に、今後に予見される、ボール奪取を放棄してのロングカウンター狙いに封殺される可能性にどう立ち向かっていくのか、は重要なテーマだろう。
確率論の話である。
現状の所属選手において、ゴールシーンから逆算して考えた場合にパターンとして浮上するのは、左サイドで下平が蹴ったクロスに対して、ウーゴと翔さんが中で合わせる、というのが、ここ数年のマリノスを振り返った文脈からは思い浮かぶ。
敵に撤退され、スペースが無い状況でも、あくまでもフリーな選手を作ってそこにパスを出す、という攻撃がシュートに至る確率と、ウーゴと翔さんがエリア内にいる状況で、下平がクロスを蹴る、どちらが確率が上なのか。
ここで重要なのは、ポジショナルプレーは縛るのではなく、全く逆の開放する理論なのだということ。
例えば出来るだけ失点したくない、という指針を持つチームもポジショナルプレーは導入できる。
概念を深く解釈すれば、誰もがバルセロナやシティの様にプレーする為の理論ではなく、あくまでも配置の優位性が勝敗における最重要課題だとするだけであって、
サッカーという競技で勝つ為に最も重要な事は、シュートを沢山打つことだ、とする考えと、出来るだけ失点を防ぐべきだ、という考え、それぞれに存在する正義、どちらでも使う事が出来る。
マリノスには、マリノスの目標に合致する、マリノス的な最適な配置
シティがモデルだ、で止まっていては、真のポジショナルプレーという概念からはむしろ遠ざかる。
マリノスというチームが、広島の様な撤退した陣地を形成する敵を相手に、出来るだけシュートを打ちたい、とする場合における、最適な駒の配置はなんなんだろうかを追求するのが重要。
また、左を山中下平とする場合に、左ウイングに山中を当てるのが当然的に言われるが、タッチラインに張り付くウイングには、多方面な活躍が可能な山中ではなく、純サイドプレーヤーである下平の方が良いと思う、ハマのベッカム化計画。
それに、これなら天野はピボーテとして、大好きなサイドでのボール保持活動に専念していいし、更にデルフの様に、サイドバックとして山中と、もしくはクロサーというタスクならば下平とウイングのポジションを争うテストもありえる。
またこれは、別にユンがダメだとか言う話ではなくて、過去の文脈からみると、広島の様な相手であるならば、確率論として、左利きで良いロングパスが蹴れる選手をサイドに配置して、ウーゴと翔さんが合わせる方が、今のマリノスならシュートは打てそうという話。
まだマリノスは、導入初期の段階に当たり、モンバエルツの時代から取り組んできたビルドアップ(敵のプレスを回避して敵陣ポゼッションへ移行&アタッキングエリアへの突入準備)にすら苦慮しているのは、多くの人が感じているだろう。
他にも、川崎に、いいようにやられてしまった敵陣地での守備は、何の為にリスクをとってラインを上げてるのか解らない大きな課題であるし、ボールロスト後の再奪取も、ハーフライン付近でセンターバックが奪い取る事はあるが、ショートカウンターは出来ていない。
現状、Jリーグで上位と言えるのは、モンバエルツの遺産と呼べる、撤退時の強固なブロック守備だけだろう。
だが、どうやったらマリノスが強くなっていくのかは、よく解った。
改めて、チャレンジしていくチームを支持したい。
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横浜F・マリノスの目標達成指数 ポゼッションエクスチェンジ(造語)
多くの人にとって 『マリノスが狙い通りの良いプレーを出来ているのか』 解る指数を思いついた。
これは、なぜ、なにを、何のために、と明確な指針がスポーツ面における最高責任者が提示してくれたので、適用できると考えている。
この点において、ドル氏のプレゼンでは、マリノスにとって攻撃的とはなにか、について、シュート本数だ、と明確に定義されている。
シュート本数を増やす為に、アタッキングエリアへの侵入回数を増やすんだ、出来るだけ素早く前に進むんだ、そして素早く進む為に仕掛ける回数を増やさないといけない、と非常に解りやすい説明でした。
だが、命名というのは難しい。
マリ指数(マリノス的目標達成指数)、ポスティング(ポステコグルー&レイティング)、ドルPX(ポゼッションエクスチェンジ=ボール保持変換)、
色々考えると意味合い的には マリPX(マリノス・ポゼッション・エクスチェンジ) 辺りが適当だと思うが、いかがだろうか。
マリノスは何の為にボールを保持するのか
今の日本サッカー界では、自身で勉強や調査をせずに、あくまでも自身の今ある知識で消化と認識をする為に、とにかくレッテルを貼り付けて矮小化を行う、という傾向が、メディアレベルですら目立つ。
これは、マリノスはハイラインでハイプレスという戦術なんだ、みたいな、お前の頭は未だに加茂ジャパンだろ、みたいな行為を指す。
更に、これら手法は試合分析にまで波及し、特に今季は『ボールを持つだけのポゼッションは意味がない』という、倉庫から引っ張り出してきた古臭いカビが生えた批判が予想される。
マリノスはボールを持つこと、ボールポゼッションを第1目標とはしていないし、なぜボールの支配率を高めるようなプレーをするのか、も明確化している。
この部分について、小学生にも解る様に言うと、マリノスは、沢山シュートを打ちたいから、沢山攻撃する必要があって、沢山攻撃する為には、沢山ボールを持っていないと出来ないよねー。
よって、最終結果として、得点できないから負けたとして、一つ覚えにボールポゼッションは意味がない、というのは的外れであるし、マリノスがゲームにおいて目標を達成したのかどうかは、それぞれの項目について、段階的に見ていかなければ、正しい批評は出来ないと言える。
マリPX
先ずボール支配率、ボールをどの位、持つことが出来たのか。
これはボール支配率という、今では一般的になった事で、サッカー中継では必ず出てくるデータにより推測ができる。
また、時計が止まることがないサッカーの実プレー時間※(アクチュアルタイム)は60分以下と言われており、実際にボールを保持している時間は、こちらをベースに考える。
(※審判が判断して時計を止めた分は、アディショナル(ロス)タイムとして全て消化される。)
つまり、ボール支配率60%における、実際のボール保持時間は、60分の60%なので36分(以下)となる。
次に、重要なのが、このボール保持時間をしっかりと攻撃に変換する事が出来たのか、という視点であり、マリノスにとって攻撃とはシュート本数を意味するので、シュート本数を攻撃時間で割る。
1(分)攻撃時間を、何本のシュートに変換できたのか、という思想に基づく指数、
これが マリPX(マリノス・ポゼッション・エクスチェンジ) となる。
※実際にはアクチュアルタイムは55分程度であるし、毎試合変動するものであり、更にゲームにはどちらのボールでもない中間という物も存在する為、指数の数値に /分 の様な単位を付けるのは望ましくない。
マリPXの参考値
データは年間の平均値(by フットボールラボ)
ケース① 2017年リーグチャンピオンである川崎フロンターレ
平均ボール支配率 56.2%
平均シュート数 14.7本
マリPX 0.436(四捨五入)
ケース② 2017年2位 鹿島アントラーズ
平均ボール支配率 53.6%
平均シュート数 15.2本
マリPX 0.473(四捨五入)
ケース③ 2017年 7位 浦和レッドダイヤモンズ
平均ボール支配率 59.6%
平均シュート数 15.2本
マリPX 0.425(四捨五入)
数値的には、2017年に上位陣で最も高いチームはセレッソの5だったが、彼らの年間平均ボール支配率は50%を下回っており、これは宗教の問題で、沢山攻撃をするのに、沢山ボールを保つ必要が無い、と考えるチームも存在する。
この点では鹿島も、ボール支配率が55%を切っており、攻撃を沢山するには、ボールを持つ時間も沢山合った方が良い、という概念がチームにあるか、どうかは重要になる。
マリノスは、その概念においてボールを保持したいと考えているので、ボール支配率55%が、最低目標になるだろう。
また、マリノスの場合、通常の基準では不十分と考えられる。
例えば、2017年のレッズは年間の平均、ボール支配率、シュート本数、ともにリーグ1位の数値を記録しているが、前年2016年よりも低迷している。
ケース④ 2016年 年間勝点1位 浦和レッドダイヤモンズ
ボール支配率 58.6%
シュート数 17.4本
マリPX 0.497(四捨五入)
マリノスのボール支配率が年間平均で60%を越える可能性を考慮した場合、それはJリーグ史上に存在する極めて特異的なチームと言え、
目標値となると平均シュート数は17本以上の、マリPX 0.472(四捨五入)と推測される。
これまでのマリノス
第1節 セレッソ大阪戦
ボール支配率 57%
シュート数 17本
マリPX 0.497(目標値+0.025)
第2節 柏レイソル戦
ボール支配率 64%
シュート数 14本
マリPX 0.365(目標値-0.057)
このように、柏戦が、いかにチームの第1目標にほど遠い、不出来なプレーだったのか、が明確化するし、
次に、マリPXが目標値を達しているのに勝てなかったゲームにおいて、はじめて、では第2目標以下の達成はどうだったのだ、という議論を始めるべきだろう。
例えば、セレッソ戦においては、被枠内シュート、被チャンス構築数、被ショートカウンター指数 が高いとして、そうなってしまった理由はなんだろうか、とか。
まとめ
マリノスにおいて、攻撃はシュートを意味する。
マリノスは攻撃回数を多くする為に、攻撃に必要なボールを長く保持したい、と考えている。
よって、この思想を反映する、重要な事、見るべき数値として、先ずボールが持てたのか、次に、そのボールの保持時間を、シュート本数にどれだけ転換できたのか。
その転換率を表した指数と計算方法は以下
マリPX (マリノス・ポゼッション・エクスチェンジ)
シュート本数 ÷ (実プレー時間60分×ボール支配率) = ボール保持時間のシュート数変換率=1(分)攻撃時間辺りのシュート数
シーズン目標は マリPX 0.472
年間平均ボール支配率 60%
年間平均シュート数 17本
補足:マリPXが目標を達成しているのに勝てないゲームでは、第2目標以下に問題がある。