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横浜F・マリノス 第1節 浦和レッズ戦マッチレポート

フルマークに近い出来だった前半と、勝ったから取り敢えずOKな後半。

マリノス視点でアディショナルタイムの決勝ゴールで幕を閉じた開幕戦を振り返る。

 

公式リザルト

http://www.jleague.jp/match/j1/2017/022501/live/#live

 

試合前に出したレッズ戦プレビューはこちら

http://www.plus-blog.sportsnavi.com/speirs/article/23

 

内容を要約すると、レッズはセンターゾーンをポゼッションしながら進撃してくるので、その対処が重要。

最後の局面ではサイドからのクロス、30m以内のパスがアシストになる事がとても多い。

 

マリノスはセットプレーとウイングへのスルーパスが鍵。

 

 

機能したセンターの2-2スクエア要塞

 

4-2-3-1と言われる横浜F・マリノスのラインナップであるが、開幕戦はFWが3の真ん中、両サイドが2の両脇へと、ディフェンスライン方向にスライドした4-4-2の方が現実に近かった。

 

前線の2である、ケイマンとバブンスキーは攻撃時、明確な縦関係があり4-2-3-1とも言えるが、今の時代、昔ながらのこの表現方法における並びを、試合の最初から最後まで一定のまま適用出来るチームは少ないのかもしれない。

 

守備時に2トップ&ダブルボランチになった理由は明白で、前回のプレビューでも触れたが、浦和レッズの攻撃指向性として、彼らは中央での進撃を好む事への対策。

 

試合中、マリノスは決して引いてるだけが意図していた訳ではなく、時にチャンスがあればレッズの3バックを追い回しボールを奪うタイミングもあったが、時間的には自陣に撤退していることが多かった。

 

 

 

その際にレッズのダブルボランチ&トップ下2枚の4人に対して、2トップとダブルボランチによるスクエアを構築して、センターゾーンの進撃を阻害する試みを行っていた。

 

気分を害したら申し訳ないが、ネタとしてRB(レッドブル横浜F・マリノスが思い浮かんだ。

余談だが、他チームに取られるくらいならRBを受け入れるのもアリだと考えてる。

 

初コンビとなる”2トップ”は少なくともレッズのセンター進撃を阻害するという点で、かなり機能していた。

 

ケイマンの追い回し力も大したものだが、バブンスキーのパスコースを限定する動き、タスクの消化度は流石バルセロナ仕込みという部分を感じた。

 

彼が育った場所がクライフのレガシーである事を考えると、そこではドリブルやパスを教わるのではなくて、即座のボール奪取を機能させる術や、ボールの移動に対する最適なポジショニング、それをなし得る判断力が仕込まれた筈だ。

 

また、この試合レッズの攻撃は左に偏っていた分、マルティノスは低い位置でのディフェンスが目立った。

対面した槙野に対するデュエルの勝率は攻守ともにかなり良かった印象がある。

 

そして、これはマリノスの右を狙っていたというよりも、齋藤学がいる左サイド側のストッパーが上がりたくなかった、スペースを狙われる、裏を取られる事をかなり恐れていた結果だと思う。

 

 

ペトロヴィッチの処方箋

 

後半、マリノスの成功しつつある予習効果に対する方法を受け取ったレッズは攻勢の時間を続けた。

 

 

 

前半よりも阿部が下がって槙野を押し上げる動き。

 

前述したようにマルティノスの奮闘で槙野が活躍した訳ではないが、これによりレッズのセンター進撃を阻んでいたマリノスが用意した罠、スクエアの陣に若干だが間延びが生じた気がする。

 

前半よりも、という点で、牽制役としての2トップが迷いながらボールホルダーを追っていた印象。

結果、槍が突けないので、盾も構えどころがあやふやになる。

 

さらにマリノスをややこしくしたのが、柏木の動きと、興梠が上がりレッズも2トップ気味になった点だ。

 

 

 

マリノスの第1防壁たるスクエアの上辺が的を絞りきれず活力を失った事で、やや間延びしたスクエア内の空間を、レッズは一旦サイドに逃げてから利用することで、僅かなギャップによる一瞬の時間とは言え、アタッキングサードのセンターゾーンにおいてボールタッチが増えた。

 

入れたい所に入れてない、レッズをサイドに追い出せていた感が消えた。

 

この為、前半よりもハマってない嫌な感じが長く続いたし、後半、レッズが実際に多数のシュートシーンと決定機を作った理由として、マリノスは準備に成功したが、想定と異なる状況に対処までは出来なかった結果と言える。

 

 

マリノスの新武器

 

今年は異なる、より用意周到さを持った雰囲気があるモンバエルツのチームは、攻撃も準備がなされていた。

 

齋藤のドリブルというアドリブによる最大の盛り上がりを、高確率でゴールに帰結させる為の台本。

 

 

 

先制ゴール、そして決勝ゴール共に、ドリブルでペナルティエリアに侵入することで”高い集客力”を発揮した齋藤が、それにより生じるペナルティアーク付近に出来たスペースを活用してのダイレクトシュートで決まった。

 

ゴールシーンだけでなく、決まらなかったが、前半にもバブンスキーが1回、後半にも天野が同じ形からフリーでシュートを放っている。

 

これは齋藤をより活用する、解っていても止められないロッベンのアレみたいな、いわゆるパターンゴールをチームとして仕込んできたと考えていいだろう。

 

フリーでシュートを打つ選手が決めさえすれば、シーズンの平均得点数に着実な上積みを期待できるだけに、今年はトップ下の責任は大きいかもしれない。

 

プレーメーカーではなく、ゴールが求められるアタッカンテ役が務める事になるだろう。

 

 

失点1

 

ペトロヴィッチの処方箋は効いた。

効いたが、ではそれを理由とする構造的な問題で失点したのかというと、ピンチは招いたが失点の理由自体は違った。

 

先ず、この日は右サイドバックに入った松原が、タイミング的にワンテンポ遅い、本来アタックに行けない場面でも、食いついてしまい、簡単に抜かれたり、危険なタックルになってしまいかねない場面が多々見られた。

 

失点シーンでも、カウンターを受けてゴール前は6対7の不利な状況であり、彼だけに大きな責任はないのだが、マリノスディフェンダーなら相手が決定機にトラップミスをしたのであれば、フリーでシュートを打たれるような結果になってはいけない、これまでとは基準が違う。

 

もっとも、それは、この2年で少なかった実戦経験の問題に由来するもので、やがて解決するのではないだろうかと楽観している。

 

 

失点2

 

どちらかと言うと、より残念なのは2点目だった。

 

確かにカウンターを受けていて撤退している状態ではあったが、ダブルボランチが柏木に何もしなかった事で、パサーとレシーバーによる、いわゆるタッチダウンプレーが成立してしまった。

 

 

 

DFラインが高く後ろにスペースが残っている状況で、柏木という一番危険なパサーにあれだけ時間と余裕を与えれば、DFラインの裏を狙って危険なボールが出て来るのは当然だった。

 

この2点目には暗澹たる気分になった人も多いだろう。

 

柏木がマリノス陣内のセンター部分で、前を向いて余裕を持ってボールを持てたのはこのシーンくらいじゃないだろうか。

 

喜田にはバランスよりも、目の前にある最大のリスクに気がついて欲しかった、と大黒柱とはそういうもんだぜ、と期待を込めて苦言を残す。

 

話は逸れるが、このシーンで数的不利を解消したマルちゃんの見せた根性スプリントは凄かった、いや凄まじかった。

 

 

MVP

 

ゲームを通して見れば飯倉だろう。

 

GKの奮闘が目立ったゲームだったが、マリノスの決定機は判断ミスが起きていたり、余裕の無い状況で、辛うじて触った様なシュートも多く、より正確にインパクトされた、強烈で難易度が高いシュートをセーブし続けたのは飯倉だった。

 

マリノスの1番はベンチの指定席券を買って隠居生活を選ぶ選手よりも、戦うことを選び、エンブレムの為に見事なプレーを90分通して出来る選手の背中に相応しい。

 

また、惜しくもゴールには絡まなかったが、金井はポジションを維持する正当性があることを証明した。

 

一方、デゲネクはジョンスと比較して、この試合では特別に上という印象は残せなかった。

 

ただ、若いなりの無敵感なのか、生来のメンタリティなのかは解らないが、俺は出来るんだ、と、もの凄く自信を持ってやっているのを感じるし、

それが萎む前に結果がついてくれば日本代表目線なら10年は立ちはだかる敵がマリノスで育つことになりそうだ。

 

スターシステムに乗せられてる選手が、海外に住んでる事しかプレミアが無い事をJリーグの、マリノスセンターバックが、ゲームで証明してくれる風景は痛快かもしれない。

 

 

ウーゴ・ヴィエイラ

 

まだ本調子にはほど遠く、90分使えない選手。

 

対戦した浦和レッズの方が、この説明が意味する脅威を感じているのではないだろうか。

 

テクニックはあるね程度の印象ではなく、チームにタイトルを取らせたことがあるFWと言うのは、

ファーストトップとしてシーズンを通して得点数を安定させるFW的個人戦術が優れているのだと感じだ。

 

イグアインはこの辺が本当に上手いけど、一見速そうに見えないランニングフォームといい、プレー的に似ていると思った。

片鱗は見た、悪いなりに点もとった、彼こそが、モンバエルツが、マリノスが、ずっと探していた本物のFWかもしれない。

 

フィールドプレーヤーで、今日の所はラファエル・シルバがベストプレーヤーだった。

次に彼と会う、最終節では”今シーズン”ベストプレーヤーの座をウーゴが争っていて欲しいものだ。

 

 

ビルドアップ

 

長年の課題。

 

DFラインから見ていくと、デゲネクが精度の問題はあったが何度か行っていたプレー、対角線のロングボールは今後、両ウイングがタッチラインに張り付くマリノスにとって、絶対に必要な生命線になるので誰が入ったとしても継続してやっていかないといけない。

 

また、何故か金井が珠玉のプレーを魅せていた横パスからの裏一発は、ある意味サイドチェンジを起因とする速攻であり、マリノスというチームで、サイドチェンジが効果的に活用されているのを初めて見た気がする。

 

サイドチェンジは本来、攻撃するサイドを変えるだけではなく、整った相手陣に移動を強いることで、乱れを生じさせる為の物であり、マリノスがいくらサイドチェンジしても効果がなかったのは、その意味が理解されていない為、展開が遅く、相手陣の移動&再整備の方が早かったから。

 

今後、マリノスのビルドアップをナメて、前から追ってくるチームにはウイングの破壊力も含めて、相当効くだろうから、アドリブじゃ勿体無い、これも継続が必要だ。

 

一方で、ダブルボランチセンターバックによる4人のユニットは課題であったセンターから敵陣へ入る試みに成功していなかった。

 

この辺、最後の局面でクロスに飛び込む、FW追い越す、といったトップ下の仕事としてフィニッシュから開放された天野がレジスタとして、マイボールをよりよい形で前進させる、プレーメーカーとしての仕事をこなせるようになるかどうかだろう。

 

純粋なテクニックだけでなく、状況を見てセンターバック間やセンターバックの両脇に降りてサイドバックを押上げたり、気がついたらチームが優勢になってる地味に効いてるレジスタとして効果的な動きを身につける必要がある。

 

ロングパスは素晴らしい物が何度もあったし、前後によく走ってはいたが、マリノスが抱える拙さを解消するには、彼がより効果的に効率的に随時チューンしていく必要がある。

 

レジスタというのは、走らされるのではなく、自分の意図で周りを動かし、自分の必要性で、自らの意図で動く、この点でレッズの阿部は流石だったし、彼が作った一旦サイドに逃がしてプレスを空転させてから中を活用するボールの流れはお手本になる。

 

天野にはセットプレーのキッカーという重要な役割があるが、チームとしてのタスクで結果を出せなければ中町や扇原がこのポジションでは控えている。

 

 

終わってみれば3-2。

 

神がかったビッグセーブを連発する本来の活躍を魅せた飯倉の踏ん張りが勝ち点3をもぎ取った、昨年なら2-2や、3-3で終わっていた印象がある。

 

正直、粗の方が目立ったという印象の人が多いのではないだろうか。

 

ただ、それは選手がプレーのクオリティを上げるしか無いレッズに比べると、上昇余地が大量に残されているとも言える。

 

どうなればチームは強くなって、優勝争いが出来るのか、それがやっと見え始めたと言える3年目の春だった。

 

 

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