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幸運に恵まれた惜敗 ワールドカップ2018ロシア 決勝トーナメント一回戦 日本対ベルギー

ロシアで開催されている2018年ワールドカップで、史上初のベスト8へ、2010年大会以来、8年ぶりの挑戦となったベルギー戦。

 

極めて分かりやすい、表層的かつ、より勝敗に直結する重要指標のみを見た時に、このゲームは完全な負け試合であり、90分+4分まで2-2というスコアだったのは幸運に支えられていたと言える。

 

 

 

シュート数からゲームを総評する

 

サッカーはより多く得点をする事を目的とした競技である事から、試合後のゲームスタッツにおいて、世界のどこへ行っても、一番上に表示される最重要指標がシュート数になる。

 

そして、このゲームを通じて記録されているシュート数は、ベルギーの24本 に対して、日本は11本。

 

また、シュートの内訳として、枠を捉えた、得点の可能性のあるものであったか、を重視した枠内シュート数においても、ベルギーは8本、日本は4本となっている。

 

 

また、総シュート数に対する、枠内シュートの比率という観点で見た場合に、

 

ベルギーは24分の8で 33.33%

日本は11分の4で 36.36%

 

 

印象としては、敵のエースであるルカクが何度も決定的なシュートミスをして、枠を外していた様に感じたが、それはデータでも確認され、最終局面で、可能性をゼロにしてしまうミスを多くしていたのは、ベルギーである。

 

 

また、これらの傾向は2-2のドローに終わったグループリーグのセネガル戦も同様で、セネガルのシュート数14本に対して、日本は7本、枠内シュート数も、セネガル7に対して、日本は3であった。

 

 

サッカーの試合を総評する際に、どちらが優勢であったのか、という認識は極めて重要なスタートラインであり、それはあやふやな印象論でなく、明確な事実をベースとされるべきで、サッカーという競技の本質を考えれば、シュート数がそれに相応しいと私は考える。

 

 

この点で、セネガル戦は倍の得点機会を相手が持つ、かなりの劣勢なゲームであり、相手のミスと、日本がロナウドなどのスーパースターを越える様な、特筆するべき決定力でドローになった試合であり、

 

ベルギー戦は相手が多数のミスをしたにも関わらず、日本の倍、得点機会を得ている事から、セネガル戦以上に厳しい、極めて劣勢なゲームと言え、90分+4分まで同スコアであったのは幸運に恵まれた結果であった、と、この最重要指標をベースにこの試合を評する。

 

 

 

攻撃機

 

また、シュート数よりは勝敗に対して関連性が下がる攻撃の指標においても日本はかなりの劣勢であった。

 

選手のアタッキングゾーン侵入回数※、恐らくFIFAのデータでもいわゆる敵陣におけるゴールまでの30m以内を意味するものだと思われるが、ベルギーが55回を記録した一方、日本は24回と、半分以下のデータが残っている。

※ゾーン内のボールタッチ数ではない可能性

 

これは、ゴール前までは行くのだけど、そこから崩せていないのではなく、そもそも敵陣ゴールに迫った回数が少ない事を意味し、敗因として、最後のタレント力がどうこうではない、という裏付け程度にはなるだろう。

 

シュートの項目でも触れたが、むしろ日本は敵陣ゴール前でタレント力が発揮された結果、特筆すべきシュート決定率となり、劣勢の中でも何とかスコアの均衡を保ったのが、今回のワールドカップを戦ったチームの真実の姿であると言える。

 

 

また、ボール保持からの攻撃を意図した両チームの対戦において、ボールをより持ったのはベルギーであった。

 

 ベルギー56% - 44%日本

 

 

次の観点として、ボールの保持率はゲームの優劣を決める物ではない、という認識が昨今のトレンドではあるが、一方で、両者における ボール保持時間の有効性 を見た場合に、以下と考える。

 

 

サッカーにおいて、アクチュアルプレータイム(実際の競技時間)は60分以下、とされている事から、これに60をかける事で、ボール保持時間を推定ではあるが算出できる。

 

ベルギー 33.6分

日本 26.4分

 

 

このボール保持の時間に対して、1分をシュート何本に転換する事が出来たのか、ボール保持時間を有効に攻撃へ活用できたのかを見ても、ベルギーが圧倒的に有効な攻撃を行っていたことが伺える。

 

ベルギー 0.7142本/分

日本 0.4166本/分

 

 

※ この勝手に考えたポゼッションエクスチェンジ(ボール保持率攻撃転換量)という概念は、例えばボール保持率で65%対35%、スコアが1-0、又は0-2、みたいなゲームが有ったとして、どちらが優勢であったのかを推し量るのに効果的だと考える。

 

 

例えば支配率が上記の状態で、シュート数が15本 対 5本でスコアが0-1の場合、圧倒的にボールを保持して負けたチームがハメられた、無駄なボール保持だった、という批評になりがちだが、

 

ボール保持時間の有効性は、0.3846 対 0.2380 であり、効果的な攻撃をしていたのは支配率65%を取ったチームである、と言える。

 

つまり問題は、相手に対して効果的な攻撃が出来ていなかった事ではなく、ゴール前のクオリティにあった事がわかり、正しい敗因の認識にも役立つのではないかと考える。

 

 

 

 

基準点

 

今後、この大会結果については、様々な分析や対策が語られると思われる。

 

 

特にゲーム直後は、よりディティールが、それは最後のコーナーキックをどうするべきであった、とか、山口の対応であるとか、交代選手や配置転換、スターティングメンバー、あのゲームをどうにか出来たのではないか、というミクロな(小さな)視点。

 

更には、スタートの11人しか用意できなかった、チームとしてのポリバレント(多様性)が皆無な事につながったスクランブル体勢ならではの準備不足といった戦略的な物。

 

最終的には育成や環境、文化と言った日本サッカー全体に対する、マクロ(広大)な物まで広がっていくと推測はできる。

 

 

ただ、それらのスタートラインとして、選手個々は、特に体力測定的な要素における各種個人データで優れた数値を記録したように、奮闘を見せた事を評価しつつも、

 

今大会はグループリーグ初戦のコロンビア戦が象徴的な事例だが、多分な幸運に恵まれた、スタッツでは全試合惨敗でもおかしくなかった、かなり劣勢の試合ばかりしか無かった事。

 

議論のゴールとして目指すのは、あくまでも優勢なゲームによる必然的勝利、確率論に基づいた論理的な勝利である事を、ここに確認したい。

 

 

また、日本代表というのは、未だサッカーが脆弱な地位にある日本という国※において、注目と関心を集める為の普及、広報活動プロジェクトであり、今後に少子化が進むのは退っ引きならない未来の中、その成否は、人材と地方の2点からJリーグにも極めて影響する。

 

それを主導するサッカー協会において、内部の政治問題が影響し、準備不足があったのは明白であり、前述したように、この天啓とも言える幸運にあぐらをかかず、先ず語るべきは、何を置いても勝つこと、ただそれだけに注力するプロジェクトチームを作る為の猛省を要望する。

 

 

※ そもそも賭博が厳しく制限されている日本では、これだけの人口と経済規模があるのにプロ野球くらいしか成立させられていなかった様に、プロスポーツが成り立ちにくい環境と言え、その中で見れば先人の貢献もあり、他競技よりもサッカーは断然、健闘していると言える。

 

一方、私案だが、昨今のネット化で、公営競技が軒並み過去最高益を記録している、このギャンブル大国において、女子サッカー公営競技化することは出来ないものかと、W杯で優勝するレベルでも恵まれていない様に見える現状を、年収数千万円級がゴロゴロしてる競艇女子選手と比較して思うのであった。