横浜F・マリノス ファン

横浜F・マリノスを応援するイチファンによるブログです。

マリノス試合後ざつだん・第20節AT25分 監督を解任する? 

現在開催中の大陸選手権、ユーロ2024のラウンド16。恐らくイタリアはこのまま惨敗するだろうという試合を見ている。

 

スペインにボコボコにされながら、クロアチアにも大苦戦だったが最後の一刺しで勝ち上がったイタリアらしさもここまでだろう。

 

 

さて、2024年6月末の今、「2位じゃ満足できないクラブだ」と社長自らキャプテンの言葉に乗る様に宣言をし「ACL制覇(=クラブW杯出場)」はアタッキングフットボールが深化した事の指標とすると始まった24シーズンの横浜F・マリノスは多くの応援する皆さんにとって許容しがたい状態になっていると感じているだろう。

 

惨敗による悔しさであり、完成された物が崩壊していく虚しさもフットボール観戦であり、クラブを応援する事を通じて得られる体験、ストーリーであるのだが、それが多くの人には理解を得られないという点でマニアック過ぎる楽しみ方なのは間違いない。

 

 

リーグ戦は20試合が終わり…

 

引用元

https://x.com/J_League/status/1805938863170568354

 

 

ここまでリーグ戦では半分の20試合を消化し、7勝5分8敗、31得点30失点と攻守において目標が達成されていないのが反映した順位になっている。

 

上っ面に聞こえる言葉かもしれないが、統計的にチームは改善をしており、論理的には昨シーズンよりも勝ち点が詰めていてもおかしくないと言える。

 

・ マスカット 23シーズン

ゴール期待値 1.449 - 被ゴール期待値 1.516

実ゴール 1.76 - 失点 1.12

 

・ キューエル 24シーズン20試合消化

ゴール期待値 1.719 - 被ゴール期待値 1.398

実ゴール 1.58 - 失点 1.47

 

 

むしろ勝ち点を落としているのは両方のゴール前で起きるディティールの問題が大きく、特にセットプレーでは直接も含めて現時点で11失点と、昨季34試合での5失点からすると被害は甚大だ。(半分なら2.5失点でありマイナス8.5の状態)

 

また前回の記事でも触れたように、32分に1度程度だったが、今期は22分に1度と、ロペスにチームのシュート機会が集約しているにも関わらず、ロペスのシュート成功率は下落しており、PKキッカーで全て成功しているにも関わらず、実ゴールが遂にゴール期待値を下回った。

 

彼が全盛期のレヴァンドフスキー、例えば30%程度決めていればあと8得点となる。

エースの役割を消化出来ていない。J1水準では優秀だが、スーパーではない。

 

つまり単純な攻守においてマイナスは合計16以上となり、今期は1点差負けが6、ドローが5なのだから勝ち点は相当増える計算になる。

 

 

一方で1試合の30mライン侵入(敵ゴール前)がリーグ1位でありながら、Sofascoreにおけるビッグチャンスは2.5と、マスカットの時よりも高い位置でプレーしながら決定機が増えていないというよりも、微減している。(マスカット 2.6)

 

これはかつてのダイレクターだったアイザック・ドルが新体制発表会で発したバーティカルフットボールを実現する上で、どれだけ上手く行ったかは別として、ポステコグルーがテンポ(時間)でカオス(混乱と疲弊)を生み出し、マスカットは配置の設計により、意図(デザイン)された後方のスペースを素早く突く攻撃が今季のチームには感じる事が無いのと関係しているのではないだろうか。

 

また、セットプレーからの失点が増えているのはディティールの問題が直接的な理由だが、ミドルゾーンにおけるプレッシングとブロックは問題だった昨季よりも被シュート率が増加するなど更に悪化しており、被シュート率が増えてる位なのだから、ノンフィルター化が進んでいる事を意味しており、ゴール前の被フリーキック等も増えていると推測できる。

(推測なのは”自陣ゴール前での被フリーキック”の様なデータが無いから)

 

 

キューエルがマスカットからの継承というより、それは修正、改善ではなくリセット的なアプローチをしてしまった事が、統計的には良くないが2位という結果だったチームをより勝ちにくい、勝ち点を積み上げにくい状態にしてしまった要因ではないだろうか。

 

 

 

監督を代える?

 

引用元

https://x.com/prompt_fmarinos/status/1785178458064343221

 

 

問題を解決する上で監督を代えるというのは手っ取り早い。

一人の生贄を差し出す事で、いま存在している全ての問題を瞬時に無かった事に出来るからだ。

 

個人的には今起きている問題は一人の責任なのか、という見極めは慎重に行うべきだと考えている。この初動が間違っていれば永遠と続く泥沼が待っているからだ。

 

例えばマスカットのチームにおいて問題はいくつかあり、その一つはCBの選手がデザインに適さなかった事、そしてセカンドトップに適した選手(植中ではなく西村)を起用し続けた事。

 

後者は監督を変えれば解決するが、前者は編成の問題だった。

 

2位じゃ満足できないというチームがどの様に解決するのか、昨シーズンオフは楽しみだった訳だが、外的要因とはいえ監督が代わってしまい、更に次の監督がリセットを選択したので残念に思う。

 

 

この点において、半分が過ぎて良く分かった事として、キューエルのチームには随所にスーパーな(専用の個人能力が高い)選手が必要だという事だ。監督から構造として問題を解決する用意はされないのだ。

 

この点において、喜田と渡辺は過去の成功体験から、ポステコグルーの時代まで巻き戻す事がマスカットの時から度々あるが、上手く行ったとしても、果たしてその場しのぎ的な対応を許容していいのか?というチームの規律、マネジメントの問題もある。

 

森保的なボトムアップ方式は所詮は1勝1分2敗でもベスト16で強豪に惜敗で肯定される世界でしか通用せず、殆ど多くで勝たなければならないリーグという大会には適さないという観点から否定的だ。

 

 

現状の課題として、先ず町田、福岡、ヴェルディの様に非保持でCBにボールを持たせる守備をしてくる相手は特に苦手としており、畠中が復帰するかどうかだけでなく、いよいよ柏の古賀太陽など補強も必要であり、何よりも技術と個人戦術に優れた既にアンカーとして多数の成功体験を持つ選手が必要になるだろう。

 

次にロペスのシュート成功率はリーグ上位であり、得点王も狙えるのかもしれないが、

これだけシュート機会が集約しているにしては物足りない。西村が何処で使われるのかは分からないがより戦力を拡充し、競争があるべき状態だ。

 

 

また、高い位置まで安定してボールを運んでも結局はヤンが居ないと攻撃はスタックするだけになるので、試合数的に同格のカットインから高い質でボールが蹴れる選手が必要となる。

 

ここで、ふと思い出すのはギリシャへの半年ローンが終わって年齢プレミアが減り益々価格が下がったフリアン・パラシオス

 

23年、ブラジル一部でのスタッツは日本に来る前のマルコス以上のエウベル級だった。シュートは下手だけどドリブルとクロスは間違いない。ブラジル・セリエAという選定場を信じるなら買いだろう。

 

www.youtube.com

 

覚悟を持って、経験不十分で未熟な事は承知してキューエルに決めたんだろ?

キューエルの為の選手が足りない。

 

監督が好まない選手を一斉に整理して、やる事やってから代えなさいよ。

 

見殺しからのリセットという選択肢だと コスパ はいいけどね。

 

 

 

本物の2位じゃ満足できないチーム

 

引用元

https://x.com/realmadridjapan/status/1802325252200124671

 

 

この言葉から真っ先に想定するのは白い巨人レアル・マドリードだ。

 

その歴史は2位じゃ満足できない、なんて軽々しく言うもんじゃないという処刑の記録だ。

 

分かりやすいエピソードとしては2009年、マヌエル・ペレグリーニとの契約と解任だろう。この年、早々に欧州CLの決勝トーナメント1回戦で敗退してしまった事により監督はプレッシャーが一層高くなる。リーグ優勝しない限りクビだ宣言があったとか。

 

それを受けてレアルマドリードはリーグで怒涛の勝ち点を積み上げ

 

最終的な勝ち点は96!!

 

もちろん白いマドリッド史上最高の勝ち点。

 

 

所がツイてないのは2009年、FCバルセロナの監督はペップ・グアルディオラ

もちろんメッシもついてくる。

 

そのバルセロナの勝ち点は 99!!!

 

2位じゃ満足できなかったチームのペレグリーニは予告通り解任の運命が訪れた。

 

 

そして次の犠牲者はキューエルさんと欧州CL王者のタイトルを勝ち取った名将ベニテス

 

ちょっとだけ主張が強くて時に監督以上の権力を握ってる選手が多いベンチに規律を持ち込み半年で25試合17勝3分5敗という、1試合平均勝ち点は2.16という成績を収めた所で解任。

 

FCバルセロナに0-4で負けたりしたけど、首位までは勝ち点4差ながら挽回のチャンスすらなかった。

 

もっともこれで登場するのがサッカー界のレジェンド、ジダン前人未到の欧州王者3連覇、50数年ぶりのリーグとの2冠も達成するなど、世の中に解任ブースト、たまにはリセットも悪くない文化を醸成していく。流石レジェンド。

 

 

こうなれば2位ですらないロペテギには容赦が無かった。

 

マドリッドはスペイン代表監督の間に2重契約を結んでまで無理やり抑えにかかったが、それが発覚してロペテギはワールドカップ前に代表監督を解任された上に、そこまでして契約しながら2位すら程遠い中位に沈んだ秋には温情もなく即座に解任された。

 

そしてその後釜に座り、代理監督から結果を残して監督の地位を得たソラーリもチームを2位までしか立て直せずに解任される。(最終順位は3位)

 

 

マリノスは2位じゃ満足出来ないと監督の首をささげるとして

今後も同様の基準で、こういう歴史を刻んでいく覚悟があるのかい?

 

金もかかるぞい。

 

 

 

試合後の態度

 

UEFA公式サイトから引用

 

 

さて、イタリアはユーロ2024のラウンド16で順当に惨敗を喫した。

 

ピッチ上では様々な理由で思った通りにならない事があるだろう。

対戦相手がいる相対的な競技なのだから。

 

数々の実績を持つスパレッティが試合後の記者会見で答えたという記事が上がった

 

Q イタリアの監督を続けられると思うのか?

 

「当然の質問だ」

 

「それを尋ねることに罪悪感を覚える必要はない。問題の核心だ。私にとっては何も変わらない。起きたことの責任は私にある。私が選手を選び、選手のことを知る必要があるプロセスの一部だ」

 

怒りを好き放題に発散する事を繰り返し、遂には暴言で2万ドルもの罰金を受けた監督は65歳になる熟練の名将から、学ぶべき事があるのは間違いが無い。

 

引用元

https://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=156474

世界で戦える433とは 横浜F・マリノス視点で観るユーロ2024 スペインvsクロアチア

観てますかユーロ2024。

今回は横浜F・マリノス目線で観る、ユーロ2024です。

 

 

なんという無慈悲

 

欧州サッカーファンをやきもきさせ、ギリギリになって発表されたWOWOWのユーロ2024放映決定から僅か、AbemaTVから全試合無料での生中継が発表された。

 

しかも、日本では観るのが困難な深夜帯から明け方に行われるユーロ2024だが、

な、なんと、全試合見逃し配信も無料対応という太っ腹。

 

WOWOWの存在価値は一体…

 

ウマ娘マネーを1円でも取り戻す為、1試合でも多く見ねばと決意を固めたこの決定。

 

 

https://abema.tv/

 

 

という訳で

 

今回は既に行われた試合から、共に433の並びをベースにするミラーゲーム、スペインvsクロアチアを視聴し、マリノスの社長が新体制発表会で宣言した、マリノスが目指す世界で戦えるチームとはどのようにサッカーを行っているのか、マリノス目線でレビューしていきたい。

 

※前半だけで長くなったのと、比較として十分な要素があったので前半45分の話となる。

 

 

スペインが保持とハイプレスで序盤の主導権を握る

 

立ち上がりインサイドハーフのペドリが明確なアンカー番として4231でブロックを形成したスペイン。

 

闇雲にプレスを仕掛けないし、トップの所が1対3(2CBとGK)になってしまうのを許容して後ろのリスクを取らない。

 

 

 

ちなみにマリノスは後方にリスクをかけて常にハイプレス

 

 

 

ちなみに試合中に何度もこうなる

なんでやねん(後ろが追従していないのにCBとGKにラッシュを仕掛けるから)

 

 

 

スペインが仕掛けたのが前半6分、クロアチアゴールキック

ラッシュのハイプレスに行く構えを見せる。

 

インサイドハーフ2枚を投入して、CBとアンカーに同数の3枚をぶつける。

 

クロアチアの後方はGKを含むと7枚なので、5対7、GKと1人のインサイドハーフがオープンになる計算だ。最初の勢いで封殺できるかが問われる。

 

また、この敵ゴールキックにおけるラッシュモード時にバックラインはセンターラインから3m以上後ろだった。毎回この設定なので約束事だろう。

 

ロングボールを蹴られたら下がるのだから、最初から下がっているという事だ。

マリノスはなぜか毎回センターラインに立っているのでDFは下がりながら対応するケースが多い。

 

 

 

その結果、スペインの2列目とバックラインの間には広大なスペースが生じるが、気にしていない。ちなみにクロアチアもスペインのゴールキック時は同じような感じだったので、これが世界標準と言っても過言は無いのかもしれない。

 

ただクロアチアの方が最終ラインを3枚の同数にしたマンツーマンで前にオープンな選手を作らないリスクを持ったやり方をしていた。

 

 

 

ゴールキックの横パス、左CBに対して猛スプリントでラッシュが始まる。

 

瞬く間に圧縮が始まり、CBからの縦パスでロスト、スペインのショートカウンター

ボールを奪って5秒以内にモラタがショット、GKがセーブする。

 

 

 

6分、11分33秒、全く同じ形でボール奪取からのカウンターが炸裂した。

 

ゴールキックにはラッシュ、保持には4231ブロック、蹴らせて回収、安定した保持と序盤はスペインがペースを握る。

 

ラッシュ的な奪うハイプレスはリスクの観点から常時やる物ではないという判断が伺えるし、それを仕掛けやすいのはセットされたゴールキックと設定されている。

 

ボールが低い位置にある段階ではバックパスに詰める流れからウイングがCBに詰めたり、2人目のインサイドハーフが出てきたりするシーンもあるが頻度は高くない。

 

ゴールキックというタイミングは全体として、いつ仕掛けるのか(タイミングの意識統一)、スタートの立ち位置が決めやすいというメリットがあるのだろう。エネルギーの使い所が限定されているからこそ、行くべき時はフルパワーでいける、フルパワーだからハマるという要素もある。

 

 

 

スペインの怪しいミドルゾーン

 

序盤劣勢になったクロアチアだがゴールキックのラッシュには190㎝のブドミルへロングボール(14分51秒)で自陣を脱出すると(GKがサイドへクリア)

 

そこから2分以上敵陣、ミドルゾーンでボールを保持し続けスペインにミドルゾーンでの守備を強いる。そしてファールから16分45秒にはFKを獲得。こぼれ球を拾いそのまま保持攻撃を継続。

 

結局スペインは1本のロングボールの後、3分以上、ハーフラインよりも後ろで守備をすることになった。その後もハイプレス、ロングボール回収、保持の流れはクロアチアが行うようになり主導権は交代した。

 

結局の所、スペインは保持で大していい攻撃が出来ていない。なおかつミドルゾーンで守る状態になると、ペドリがタスク過多気味、若い両ウイングに高いというまでの強度が無く、ハイプレスでハメている時間だけが優勢の時間とマリノスとしては親近感を感じる展開。

 

スペインはこの初戦こそ快勝したが、優勝までは厳しいのではないだろうか。

 

またクロアチアはアンカーのブロゾビッチ(72タッチ パス成功率94%)の移動から連動が起きて、スペインのプレスを誘って交わすようなシーンが増えてくる。

 

 

 

クロアチアの保持がスペインのブロックを凌駕していく。

ゴールキックに対するラッシュはロングボールで回避すればいい。

 

21分にはついに破綻か、とオープンな選手からオープンな選手で縦パス2本でクロアチアに決定機が生まれかけるもラストパスが長かった。

 

更に21分43秒、DFラインのグバルディオルから中央で完全フリーだったインサイドハーフ2人の内、1人へ縦パスが通り、サイドからクロス、ゴール前のヘッドは枠外に。スペインはいつやられてもおかしくない雰囲気に。

 

クロアチアのセンターライン後方で起きる縦移動を伴いながらの保持に引き込まれ、ミドルゾーン守備は決壊寸前だ。このミドルゾーンで守備の展開になったら殴られ続ける感じは他人事とは思えない。

 

スペインのゴールキックには最終ライン3人同数、強気のフルコートマンツーマンで圧殺していく。

 

 

ロングボールの蹴り方と左右非対称なウイング

 

スペインもこうなるとゴールキックはロングボールしかねぇ!と蹴っていく

 

ここでスペインが左右共に逆脚ウイングを配している訳だが、右のヤマルがワールド級ヤンマテウスだとすると、左のニコ・ウィリアムスはスピード系ラインブレイカー。

 

この点、ヤマルはライン際に張ったプレーが多いのに対して、ニコは中よりでラインブレイクランを見せる事が多い。

 

またトップのモラタも左に流れてロングボールのターゲットとなる事で、受けるモラタとその裏を狙うニコという補完性、偶然ではない連動があるのを感じた。

 

22分過ぎのゴールキック、26分37秒のスルーパスなど典型例だろう。

34分30秒のラインブレイクランも中央エリアでCBに対応を強いている。

 

 

 

そして先制点が生まれる。

 

クロアチアのロングボール攻撃、セカンドを回収したスペインはミドルゾーンでオープンなパサーが発生。(ファビアン・ルイス

 

それに対して、先ほどの図と同じく、ニコがセンターバックに対してラインブレイクランを仕掛けた結果、中央のモラタが完全フリーになった所へ的確なスルーパスが通り、GKと1対1を制して先制点。主導権を失う中、一瞬のスキを突いた瞬間芸は見事。

 

しかし、ウイングでありながらサイドに立ちつつも中央気味でラインブレイクランを繰り返していた布石が効いたのも間違いないだろう。

 

この点、左サイドでのコンビネーション攻撃が上手く行っていないマリノスにとって、左右非対称なタスクを与える事で、ロペスとエウベルを近い位置でプレーさせるアイデアは活用できるかもしれない。

 

CBの持ち出しに呼応したニコのダイアゴナルなラインブレイクランとSBのオーバーラップ攻撃。(43分18秒)

 

 

ヤンに比べるとキック精度にそれほど自信がなく、左を担当するカットインプレーがあまり上手くないエウベルや、井上、宮市にとってニコのプレーとそれに伴う連動は大きなアイデアになるのではないか。

 

また、ウイングが低い位置でボールを持った時にサイドバックインサイドハーフが2人ともボールよりも前にいる様な状態は確認出来なかった。(ペナルティエリア角付近なら数回あった)

 

マリノスの場合、特にサイドバックは上がるタイミングが早すぎると感じる。

 

ウイングやインサイドハーフがスペースを開けたら、そこに飛び込んでいく連動性がない。ウイングよりも前でマークに付かれて立っている時間が長すぎる。

 

 

張り続けるヤマル

 

しかし、やはりスペインのミドルゾーン守備は危うい。ゴールからのキックオフ攻撃でクロアチアに中央でオープンを作られると、ゴール中央ペナルティアーク付近からシュートを被弾。シュートが当たり損ねたのもありGKセーブ。(26分55秒)

 

しかし自陣のスローインからゴールが生まれる。

 

内側でラインブレイクランを仕掛ける回数が目立つニコに対して、同じタスクは負わず張った立ち位置が多いヤマル。

 

スローインの落としから大体あの辺な対角線ロングキックが炸裂。広大なスペースがあるのだから精度はそこまでいらない。追いつければいいと言わんばかりなラフアタック。

 

 

これが刺さるのがサッカーの怖い所。

 

カットインプレーからのパスはカットされるが、こぼれ球で2次攻撃、ヤマル、ペドリ、横パス2本で先制アシストを決めたファビアン・ルイスがフリーになると、2人抜きからのショットで2点目を決める。

 

保持に拘る以上、サイドの低い位置で圧縮を受けるとして、ローリスクな脱出方法は用意する必要性を感じる。通ればハイリターンな質を持ったウイングがいるのだから。

 

ミドルゾーンで劣勢だったスペインはボール保持率46%ながら、両ウイングで後方のスペースを素早く狙う攻撃でスコア上の優位性を生み出した。マドリッドの様だが実にスペインらしくない。

 

 

 

インサイドハーフ(ペドリ)は上下左右でタスク過多

 

しかしスペインのミドルゾーン守備はやはり怪しい。またしてもキックオフ攻撃からあれよあれよとパスが通ると、ゴール中央、ペナルティエリア入り口でオープンなシューターが誕生し、コースを狙うシュート。(32分50秒)

 

40分40秒ごろにも、4141でブロック守備をしているにも関わらず、タスク過多なペドリと自陣ではルーズなヤマルの裏がオープンになり、決定機が生まれている。SBを活用したヤマルの裏は狙い目になるかもしれない。

 

しかし一方で47分、ショートコーナーからヤマルのこれぞクオリティというクロスで3点目。正にワールド級ヤンマテウス。やるかやられるか。

 

先ほどのピンチはGKの見事なセーブで事なきを得たのだが、スペインのミドルゾーン守備は優勝できるとは思えない脆さを露呈。もちろんクロアチアのブロゾビッチ、モドリッチコバチッチがリンクした高い流動性で上下に連動する保持攻撃は見事であり、正直マリノスではどれだけやられるのか想像がつかない。

 

両ウイングの裏を利用されまくり、天野か植中がヘロヘロになっているのが見える。

 

動ではなく静、白いマドリッドがシティにしたように、これだけの強豪相手になると後ろのスペースを消す方法で対応するしかないように感じる。トーナメントを勝つならレアル・マリノッスか。

 

世界で戦う水準は相当に坂の上の雲だ。

 

ちなみにこのゲーム、最終スコアはスペイン3-0クロアチアだが、ゴール期待値は2.01-2.38だった。

 

マリノス試合後ざつだん24年6月・アディショナルタイム ~アタッキングフットボールとは何か?~

夢と希望を満ちたアジアの旅がACLファイナルの惨敗という結果に終わり、リーグという現実に向き合う時がきた横浜F・マリノス

 

だが野々村チェアマンにより、増やすべきタイミングは果たして今だったのか!?と大きな疑問が残り、戦略性の欠片もなくシーズン移行よりも前倒しで今季導入された20チーム制がクラブに休む暇を与えない。

 

その中で迎えた現在リーグの1位、2位との直接対決でどちらも先制しながら逆転されるという結果で連敗に終わり、残念ながら24年はシーズン半ばにしてタイトルレースからの脱落が明白となったと言える。

 

この上半期の結果に対して、クラブの社長、キャプテンも自覚する様に、2位じゃ満足できないチームを応援する人々から、監督コーチ陣の手腕に対して疑問が出るのは当然だろう。

 

果たして本当に、彼らにマスカットのチームを継続した上で進化をさせる能力があるのか、と。

 

 

毎試合マリノスの試合が終わった後にエーックス!のスペースという機能で好き放題に話をしている訳だが、今回はアディショナルタイムとして記事に残しておきたい。

 

この記事は分析ではなく、あくまでもざつだんスペースの延長的な話である。

 

 

キューエルに求められた役割

 

 

2024年新体制発表会 動画より引用

https://www.youtube.com/watch?v=mO0ceW4ULoM

 

マスカットとの契約更新交渉が不調に終わり、次期監督を選定する必要に迫られたクラブは

 

・アタッキングフットボールの理解と継承

・アタッキングフットボールの深化

 ※進化ではなくこの表現。理解を深めていく事、と受け取るのが一般的

 ※ただし”理解を深める”が何を意味するのかは説明が無い

 

これらを条件とし、選定のプロセスとしてCFGとの議論もあったが、最終的な決定はクラブが行いキューエルを選んだ。

 

またクラブが発表したボードからも、アタッキングフットボールは変化していく(深化させていく)と想定している事が伺える。

 

その中で目標は達成すべきこと(譲れない要素)は大きく分けて2つ。

 

 

1、リーグ最多得点は成果であり、フットボールのスタイルが反映された物であり、これを変える事はなく継続していく。信念がここにある。

 

 

 

2、リーグのトップ層になり、日本を代表し世界と戦えるクラブになる。

ACL優勝とそれに伴うFIFAクラブワールドカップは達成指標となる。

 

 

 

キューエルはアタッキングフットボールを深化させているのか

 

上半期(17節終了時点)の中で見えた達成項目について伝えたい。

 

先ずマスカットが後方でボールを持ち引き付けるスタイルを導入した昨季から比べると、30mライン侵入、エリア内侵入、クロス数、コーナーキック取得など、高い位置でプレーする機会が増えている。

 

これを反映する様に1試合平均のシュート数16.2本はリーグ2位の数字であり、マスカット時代から半年で大きく向上している。

 

1試合平均

シュート数 13.9本 → 16.2本

 

それに伴うゴール期待値も22年水準まであと一歩まで回復と一定の成果は出ていると言える。

 

ExG 1.447 → 1.804

 

実際のゴール数は平均1.76から1.60に下落しているが、1試合辺りの決定機も2.6と同じであり、ロペスを始めとしてシュート成功率が軒並みダウンするなど、シューター側の問題も0ではない。

 

 

最も、ロペスばかりにシュート機会が集中している傾向があり、その結果、昨季チーム2位だったエウベルはここまで0ゴール、ロペスのシュート成功率もダウンするなどゴール前の抑えどころが対戦相手からすると分かりやすいかもしれない。

 

ロペスの場合、昨季は2855分で89本だったシュート数は、1119分で53本に達し、成功率は24.7%から18.9%まで下落している。

 

ヤン、宮市、植中、天野さらにはセットプレーでも機会が度々ある上島がゴール期待値を下回る。

 

計測が始まった2019年以降、マリノスの実ゴール数はゴール期待値を下回った事が一度もなく、現状は攻撃スタッツがいいのに得点と勝ち点が伸びない23年の広島化が進んでおり、成果を出しているとまでは断言できない。

 

 

キューエルの明白な失敗

 

マスカットのチームには明確な課題が見えていた。

 

被シュート数、それに伴う被ゴール期待値が、本来であれば優勝争いをする水準には程遠い、残留争いをするレベルだったことだ。

 

これはロングボールによるハイプレスの回避が進み、更に自陣でのボール保持を重視する特殊スタイルの弊害により、プレーが行われる位置が低くなりがちで、結果として自陣で守る時間が多くなるという、2017年モンバエルツ時代と類似した傾向だった。

 

しかし、被ゴールが何故か抑えられるという傾向があるのは、押し込まれればゴール前に守備選手が多い状態でシュート機会が訪れる為、意外と失点しないという、モンバエルツ時代であり、退場で10人になった時にも確認される、ミスが前提となるサッカ―というスポーツの原理によるものだろう。

 

シュートをボコボコに打たれても平均失点は1.12と上位水準だった。

 

 

しかし偶然性に委ねる解決方法であり、この改善は「2位じゃ満足できない」チームにとっては急務と言えるテーマであったのだが、上半期のデータから伺える事は失敗の一言に尽きる。

 

ハイプレス成功率は改善せず、微減とはいえ、むしろ下落。

 

更に失敗がシュートにつながるか、という被シュート率に至ってはリーグ20位、つまり最下位であり、ハイプレスという守備行為において、ボールを奪うという点ではそこそこ悪い(10位)が、ゴールを守れているかという点では論外の状態だ。

 

また、元々、怪しい所があったミドルゾーンでも昨季はとりあえずボールは奪えていた(リーグ5位)が、今期はボールを奪う事すらできなくなっている。(リーグ14位)

 

いや、そもそもミドルゾーンでプレスに行く頻度すら大幅に下落している。

 

フットボールラボ独自の指数でみると…

 

ポステコグルー時代は70を下回った事が無く(21年まで)

マスカットは恐らく意図的に60以上に調整したのが伺えるが(22,23年)

 

キューエルは56.4まで下落しており、そもそもハイプレスに注力しながら崩壊しており、ハイプレスの延長としてミドルゾーンでもプレスをしているという状態が作れていないのではないか。

 

またカウンターに弱いのはアタッキングフットボールの特徴でもあるが、それを封じ込める手段としてカウンタープレス、ロストした瞬間に激しく奪い返しを遂行する行動があるのだが、今期はそもそもこの指数も大きく下落している。

 

2019年 74.1

2020年 62

2021年 71.2

2022年 62

2023年 57.8

 

2024年 38.3

 

高けりゃいいという訳でもないだろうが、これが果たして深化なのだろうか?

 

先ほどのデータから今季は改善が見られる傾向として、ボール保持が上手く、敵ゴール前まで進出する頻度が高くなり、その結果としてチーム全体が前に出ている時間も増える中で、カウンタープレスの指数が低くなって何かメリットはあるのだろうか。

 

カウンターに脆いのも当然の結果だ。

 

 

 

どうすりゃいいのよ

 

先ず、今のマリノスには時間と共に劣勢問題が存在すると考えている。

 

それは鹿島、町田との連戦を通じて改めて確認されたが、アンカーを経由しない、アンカーから攻撃が始まらない事で、攻撃の選択肢が早い段階で限定され、修正しやすく、対戦相手は一度修正してしまえば、マリノスは対応できない、時間経過と共に窒息していく事だ。

 

現状のマリノスでは、いかにウイング、エウベル及び左が機能していないので、右サイドのヤンが敵陣でオープンになれるかが生命線となっている。

 

左からはやけくそカットインクロスがGKにキャッチされるかラインを大きく割っていく光景が多く目撃される。

 

右からは先ずヤンにオープンな状況を用意し、ハーフスペースへのスルーパス、カットインシュート及びクロス、ワンツー、サイドチェンジ(ウイングの1対1&永戸のクロス)と多彩な選択肢を提供できている時間だけが、良い攻撃をしている時間である。

 

快勝した柏戦は有利な内に相手を崩壊させ主導権を握り続ける事が出来た。

 

 

アンカーを経由しない敵陣侵入の仕組みとしてはGKと両CB、アンカーの4人に対して3人目となるサイドハーフを呼び込み、その裏をIHに当ててサイドバックが利用しファーストラインを突破すれば、瞬間的には松原とヤンが敵SBに2対1となり、一旦はヤンが敵陣でオープンになれる。

 

前半の25分までは何処のチームもそれなりにハマってくれたりするが、マリノスのCBに持たせる事は許容、妥協して一旦は後ろのリスクを潰すことを優先し、むしろSBを引き込み自陣での圧縮からのカウンター狙いに変更すれば良いと、普通のチームはすぐ気が付く。

 

ヤンが狩場になった鹿島戦などは修正効果の典型例だし、町田の平河の様な速い上に守備にもエネルギーを使う選手が居ればプレスバックで封殺される。そしてマリノスには再現性を伴う効果的な攻撃がそれしかないので、優勢な時間はゲームセットとなる。

 

徐々に被カウンター、更には自陣での守備、敵セットプレーの機会が増える中、敵のミス、即興的なカウンターやアーリークロスが刺さるのを祈るのみだ。

 

 

これはアンカーに資質のある選手が居ない事で、攻撃開始の早い段階で選択肢が無くなる事が問題であるし、監督がチームに変化の仕込みであり、試合中の変化を指示できない以上は(仕方ないので)個人能力で解決するしかない部分ではないかと考える。

 

この点、町田戦などは上島と渡邊が困っているのは明らかだったが、喜田に問題を解決する能力が無かったのは明らかだった。

 

何度も言うが、大前提として監督が先ず準備するべき物だが、監督がアイデアを落とし込めずに試合中の変更も出来ない中、保持率が65%に達する様な特殊な対戦相手とのゲームにおいて、個人能力で解決するしかない環境の中、アンカーとしての資質が無い選手を配置するのは無理があると改めて痛感した。

 

 

アンカーの資質、例えば同じくボール保持を徹底する新潟でアンカーをこなす秋山。

 

新潟は442ではと思う人がいるかもしれないが、ボール保持の時に秋山がアンカーとして振る舞っているのは3分も観ないで分かる事であるし、保持の中心にいるのは彼で間違いない。

 

その中で秋山の1試合平均のボールタッチ数は103回にも及び、CBと同数もしくはそれ以上となる試合が珍しくない。

 

一方で喜田のボールタッチ数は58.9回と、毎試合CBよりも20回以上少なく、ボール保持率が約60%に達するチームのアンカーとしては低い関与率だ。

 

ちなみにマンチェスターシティのロドリは1試合平均のボールタッチ数が121回に達する。まぁ、そこまでの必要は無いと思うが。

 

アンカーは特別なポジションであり、能力、才能といった資質、更にはこのポジションで成功体験を積み重ねてきた経験、培った個人戦術が必要となる。

 

足が速いだけの選手をウイングに置いても機能しないのと同じ事だ。

 

2位じゃ満足できないクラブであるマリノスはプロの環境において、アンカーとして成功したことがある選手を買うべきではないのか?

 

なぜアンカーだけは妥協するのか、それで上手く行くと思う理由は何か。アンカーというポジションを軽く見ているチームは大体失敗する。

 

 

例えばJリーグは30年以上の歴史があるが、屈強なFW、足の速いウイング、クロスの上手いサイドバックプレーメーカーボランチ、色んな選手が浮かぶだろうが、アンカーと呼ばれて思い浮かぶ選手がいるだろうか。

 

軽く見た結果、記憶に残る選手が一人もいない失敗の歴史だ。

 

ところが24シーズン、遂にアンカー=選手名 となる選手がJリーグに誕生した

 

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60%を大きく越える圧倒的なデュエル勝率、喜田よりも1試合2回以上多いボールリカバリー、80~90回のボールタッチ数、質の高い各種パススタッツなど攻撃への関与。

 

特に、マリノス戦の2点目など、マリノスのハイプレスを崩壊させつつ、更に得点者である伊藤に縦パスを通す総合演出は圧巻の一言だった。

 

彼の活躍は上半期J1リーグMVPと言えるハイパフォーマンスであり、監督がやりたいサッカーをピッチ上で実現する上で、必須の選手をここまで完璧に用意してきた浦和は見事という他ない。

 

 

マリノスはシティとは構造が異なる訳であり、むしろどちらかと言えばアーセナルに近い事もあり、対戦相手によっては喜田で問題が無い時もあるが、監督が未熟な為にどうにもならなくなる試合があるのも事実で、個人能力で解決しようにもキューエルに選択肢が足りないのも事実である。

 

ただ、それを使いこなせるのかという部分で、未知ではあるとはいえ山根というカードがある中、交代枠3枚を残しフリーズしてしまう様子は監督としての資質を疑う光景だった。

 

監督もヘッドコーチもプロフットボールにおける成功体験が乏しいという点で未熟であり、彼らをサポート出来る経験を持つ人物が必要なのかもしれない。

 

 

 

アタッキングフットボールとは何か?

 

年末総括記事では守備スタッツが壊滅的状態であり、既に崩壊していた23シーズンが終わり、その改善を目的として、今いる選手が残る前提で433を提案した。

 

マルコスシフトからエウベルシフトへ

 

speir-s.hatenablog.jp

 

ところが、キューエル及びハッチンソンは結局ハイ&ミドルプレス、ハイからローまでのブロック形成においてインサイドハーフが1列上がっての442という方法を導入した。

 

別に問題ないと思うんですよ、1列目の2人が共に連続性を持った上で高練度に連携し、更に両ウイングが守備時にはサイドハーフとして、2列目に相応しい強度で上下にスプリントが可能であれば。

 

キューエル及びハッチンソンは誰に何を期待するのか、間違えているのではないか。

いや、23シーズンを正しく分析したのかい?

 

問題が解けるのは問題を正しく認識出来た者だけである。

 

 

現状、マリノスの戦力編成はレアルマドリード的であり、それは前線の質に妥協しないが、あくまでも質に妥協しないのであって、監督がやりたい事にマッチするかは関係ないという事だ。

 

これはフットボールという答えなき問題に取り組む上で、信仰、信念の問題であり、前線の質こそが勝利への最短距離であり、監督のやりたい事などクラブは求めていないと、彼らの聖典にはその様に記されている為だ。

 

そして2024年、欧州チャンピオンズリーグ15回目の優勝でそれは正しいと証明された。

 

 

さぁ、話は最初に戻る。

 

アタッキングフットボールとは、クラブの理解として得点こそが成果であり、リーグトップの得点数はスタイルの反映である。そしてスタイルを維持しつつ、世界で戦えるクラブになればそれでいいのだと新体制発表会で説明された。

 

これがキューエルの達成目標であり、今期の戦力を用いて実現する必要がある

 

アタッキングフットボールにはボール支配率が60%になる事も、監督がやりたい事をやる必要性も全く含まれない。

 

その現状として、中間発表をみるに1試合平均得点こそリーグ3位であるが、アルアイン、鹿島、町田、守備に自信があるチームには封殺され、カウンターとセットプレーに酷く脆い、世界で戦うというお題目には程遠い試合内容を繰り返している。

 

連戦で難しいというのもあるが、結果は結果であり、それを言い訳に何もしない状況ではないのではないか。

 

いま世界で戦うのに大きく足りない物は何か、もはやデータで示す必要性すらないのではないか。

 

 

マリノスの主武器なんですか?

 

リーグ2位のシュート率23%、リーグ2位の得点率を誇る攻撃方法はなんでしょうか。

ロングカウンターです。

 

何故か?ロングカウンターは個の質が重要であり、ミスが起きやすいパスと異なり、エウベル、ヤンの強烈ドリブラーがいる時点で武器になって当たり前である。

 

この点、ロペス、エウベル、ヤンが最も威力を発揮する状況をデザインして再現しつつ、更に守備の問題を解決する方法として…年末総括記事では433を提案した訳である。

 

 

その意図としては、ロペスがプレスの始動点になる守備、ウイングがハードワークする前提の守備、それは無理じゃないかと感じたのと同時に、自陣に引き込んだに後方のスペースを利用するマスカットのやり方を継承する事にもつながる一石二鳥。

 

ロペスのタスクを中央固定でGK-ボランチ間の制限だけに限定し、両ウイングでCBに当たる、1列目を2-1でプレスに行く、普通に433でプレスとブロックを作りましょう、それだけ。

 

 

 

インサイドハーフは死ぬかもしれないが…喜田、渡辺、天野と12㎞走れる選手は揃っており、山根、榊原、吉尾と交代出来る選手もいる。この点で喜田は優秀なインサイドハーフであり、この意見にモンバエルツは同意してくれるだろう。

 

ハイプレスが実質マンマーク化する時代、穴が開きにくい、穴が開いてもリスクが低い簡単なタスクを彼らに割り振るべきだろう。

 

それに奪うという意味において、本当の意味でプレスを誰が開始するのか、という点で前3枚はけん制役になり、インサイドハーフが担う事になるだろう。

 

更に、仮に敵のロングボールがつながり、自陣守備に移行するとして、エウベル、ヤンの担当が、両SBと異なり両CBであれば、滅多にゴール前まで上がってこない選手になるので自陣が安定する。

 

早い段階で前に人を送りすぎない事で、ロングボールを蹴られても7人いれば安定感が違う。蹴られる前提の人数配置をする。

 

かつて英雄の時代、マンマークで英雄を消すことで10対10のサッカーにするという概念があったが、マリノスはハーフラインより後ろは8対7でフットボールをやればいい。

 

 

また自陣守備にしても、中央にこの3人が残るとなれば、もしかすると敵はリスク管理にSBが1枚残らざるを得なくなり、マリノスが数的不利になる事は滅多になくなる。これで8対6。

 

え?同数でいいんですか?

という命知らずにはUAEの地でマリノスが味わったように、3トップの破壊力で沈んでもらえばいい。

 

ロングカウンターの設計、設定として、今の両ウイングが実質442のSHとなってしまうのと異なり、毎回エウベルとヤンの初期配置が高い状況でカウンターがスタート可能になる。

 

 

もちろん完璧な戦い方はないとして、今いる選手で何をやるかなのだ。

更に、過密日程、連戦の中で出来る事は何か、だ。

 

2020年、とんでもない過密日程の中で3連敗を喫したポステコグルーはウイングを廃した3バックを導入し、4連勝を達成した。

 

ハイプレスやハイブロックは交わさる&前進はされる前提で、ミドルゾーン以降の攻防比、しっかり守って殴り返すデザインがあれば、今の戦力からリーグ最多得点、更には世界の強豪と戦う事を想定したパフォーマンス、アタッキングフットボールは実現可能なのではないだろうか。

 

ボール保持、監督が仕事をするかアンカーで改善するしかないが。

 

ともかく戦力を顧みずに、現状は『上手く行ったら完璧』を求めすぎている結果、攻守に渡り何も上手く行ってない様に感じるのが実に勿体ないのである。

 

横浜F・マリノス24シーズン新監督 キューエルどうよ?

リーグ戦を9試合消化した段階だが、横浜F・マリノスに24シーズンから就任した新監督であるハリー・キューエル監督の仕事ぶりを表層的ではあるが、各種データからレビューしたい。

 

引用元 https://x.com/prompt_fmarinos/status/1776102718060564827

 

 

サッカーは相対的な競技であり、対戦相手の傾向に偏りがあればマリノスのデータも偏ってしまう事になり、その点で9試合という段階はフルシーズン戦ったデータと比較するには中途半端である点は考慮して頂きたい。

 

※一部更新の早いデータは10試合段階の物が混同している

フットボールラボ、Sofascore、Jリーグ公式を参照

 

 

5月2日段階 7位 得点減

 

9試合 4勝3分2敗 14得点11失点(10試合 4勝4分2敗 15得点12失点)

 

順位、勝率、勝ち点、得失点、2月から始まる過密日程を今期のJ1リーグで唯一消化している事を加味する事をどれだけ重視するかで評価も分かれる数字になっている。

 

一方で、それ過密日程は関係なくね?というポステコグルー就任以降から変わらず続く、拙い試合展開による勝ち点のロストを感じる試合があるのも評価を分ける要素だ。

 

 

その中でアタッキングフットボールを標榜するマリノス的に譲れない一線として、やはり9試合14得点が一番、分かりやすい未達項目なのかもしれない。

 

なぜ、という点で得点に関わる数字を追っていくと、シュート数、ゴール期待値自体は上昇している。

 

23シーズン → 24シーズン

 

1試合平均シュート数 13.9 → 15.1

1試合平均ゴール期待値 1.449 → 1.760

 

 

一方で、1試合平均ビッグチャンス創出は 2.6 → 2.3 と減少が見られ

 

更に1試合平均の

枠外シュート 5 → 6.4  被シュートブロック 3.7 → 4.4

 

と、得点が減っていても納得の数字が並ぶ。

 

勿論、これは消化試合がまだ9,10試合という事から自陣でブロックを作る撤退守備の対戦相手が多かった結果、という偏りの結果かもしれない。

 

 

 

攻撃データ

 

引用元 https://x.com/prompt_fmarinos/status/1767917468654469434

 

 

一方で、これも対戦相手による偏りは考慮しつつも、敵陣ゴールまで出来るだけ多く侵入するというチームの目標が一定の達成をされているのも確認できる。

 

1試合平均パス数を見ると

 

23シーズンが455本中 自陣241本 敵陣218本 と後ろでつなぐ機会が多いのに対し

24シーズンは 442本中 自陣208本 敵陣239本 と敵陣比率が上回る。

 

 

また実際の1試合平均プレーエリアでも

 

23シーズンは 30mライン(AT)侵入 42.4回 エリア内侵入が 13.1回

24シーズンは 30mライン侵入が 48.7回 エリア内侵入が 15.3回

 

共に24シーズンでは現段階でリーグ1位の数字であり、J1リーグにおいて最も敵ゴールに近い位置でプレーする機会がチームとなっている。

 

またコーナーキックが多い印象があるとしたら、それはデータ的に正しく、昨季は1試合平均5本だったのが、今期は7.6本と50%アップなのだから、そう感じるだろう。

 

一方で、広島は1試合平均のシュート数が20本(枠内シュート数もリーグ1位の6本、マリノスは5.1本)を越えており、マリノスとは約5本の差が生じており、パターンアタックの整備など敵ゴール前での効率という点で改善の余地はあるのではないだろうか。

 

 

ボールゲームを制圧しすぎてしまった結果、敵がとにかく引いて守備を固くさせる、更にはロングカウンターを被弾する、諦めた敵がロングボール中心なプランBで大反撃(川崎、C大阪)という要素もあるかもしれない。

 

 

 

守備データ

 

引用元 https://x.com/prompt_fmarinos/status/1783070543778066922

 

 

1試合平均失点、被ゴール期待値、直接的な数値でも悪化しているのが確認できる。

 

1試合平均の被シュート数も16.2本と、自分達のシュート数を上回る数字で撃ち負け状態のリーグ18位。

 

 

また間接的なデータでもKAGI(守備時に敵を前進させなかった)はポステコグルー就任時の2018年を下回り過去最低の41.5、リーグ19位の数字だ。

 

参考として23シーズンは46.5、22シーズンは51.0、21シーズンは56.0。

 

そして、今季から守備に関するデータはかなり細分化されており要約して箇条書きにまとめると以下になる。

 

プレスとブロック(ボールにアタックしてない状態)の違いを理解する必要がある

 

・ハイプレスは成功率などに改善が見られる

・一方で失敗してシュート打たれる率も上がった(リーグ20位)のるかそるか状態

 

・ロングボールで交わされるので高い位置のブロックは機能してない

・交わされてシュート打たれる率はリーグ19位

・だけどハイブロックからは失点した事はない不思議

 

・ミドルゾーンとローゾーンのブロックは優秀

・だけど、こちらものるかそるか状態で失敗はシュートに直結してる

・ミドルゾーンのブロックはシュート打たれたら4本に1本は決まる致命傷

・ミドルゾーンの被シュート成功率は勿論リーグ20位、ズバ抜けてる

 

改善点

 ハイプレスがギャンブル過ぎる

 ロングボールを蹴られる前提のハイブロックを検討

 ミドルゾーンのブロックではエラー=致命的状況の解決

 

属人的な理由なのか、構造的な理由なのか、何かを得る為に何を捨てるのか、実現できない理想よりも現実を見つめると、そういう決断も必要になるのかもしれない。

 

ハッチンソン、横浜FCで失敗した経験は活きているかい?

 

 

また433から442に何となく変えてしまう事で名古屋戦の逆転負けの様な、比較的マシだったハイプレス中心で戦っている状況から、苦手なミドルゾーンブロックで戦い続ける状況になってしまう事も考えないといけない。

 

更に、カウンタープレス(ロスト後の奪い返しプレス)という点で強いと感じるチームと比較すると、マリノスは被シュート率が11%(リーグ17位)なのに対して、広島5%、神戸5.6%と大きく水をあけられている。

 

とにかく過密日程、疲労というキーワードが一番影響しているテーマかもしれないが、昨シーズンに続いて、壊滅的な状況は継続中だ。

 

 

戦力編成 水を得た天野と433のインサイドハーフ

 

引用元 https://x.com/prompt_fmarinos/status/1780185064929939467

 

 

今季、未整備な守備を個で支えるポープや上島が活躍しているのは誰の目にも明らかであるし、インサイドハーフに見いだされた植中は戦力編成の歪さを加速させる程の活躍を見せる。サイドバックは豊富だが。

 

更にはMVP榊原の躍進は三井寿的にチームを育成年代から応援する人のハートをキャッチしているだろうし、MF陣の充実はACLのベンチで確認できるまで吉尾の捜索願をそろそろ出そうか迷わせる程であった。

 

 

そんな中でも、今一番期待をさせるのが右のインサイドハーフで起用が増えてきた天野純である。これまでチームが上手くいっていない様な時の方が活躍する、独特の感性でフレーム外での活躍をしてきたが、今期は物凄くハマっていると感じる。

 

433のインサイドハーフ、これまでプレーする機会が無かった殆ど無かったポジションだ。

 

 

ボールのキックに関してはチームでもトップレベルの技術力があるのは議論の必要が無いとは思うが、天野の真骨頂はそこではない。

 

個人的に彼のJ1リーグにおけるシーズンベストは2018シーズンであり、そのシーズンにこそ、天野が433のインサイドハーフに求められる資質を最も発揮したシーズンだった。

 

2018シーズン、リーグ戦における総走行距離は379.8㎞に達し、リーグで年間1位に輝いたのが天野純であり、走れる選手という資質を示している。

 

また2018シーズンにおけるデュエル勝率は59%(地上戦60%)に達し、前線で無駄にフラフラと浮遊させるよりも”球際”が多数発生する戦場に送り込むべき選手であるのが伺える。

 

これまで高い技術や感性を重視し、天野を正確に捉えなかった結果としてファジーに使い過ぎていたのかもしれない。アタッカーとビルドアップの中継者でありその両方、433のインサイドハーフという天職に巡り合った。

 

思い起こせば、2018年はアンカーに拘ったポステコグルーによって天野がフルシーズンインサイドハーフとしてプレーした唯一のシーズンだ。

 

 

現況として、前述の通り守備に大きな問題を抱えているが、ロペス、エウベルがファーストチョイスであるのは議論の余地が無いとして、故に2列目の強度が妥協できない、アスリート能力的に走れて勝てる選手で固めるレアルマドリード的な選択が必要となっているのではないだろうか。

 

マスカットは両ウイングを先ず変える選択をしていたが、キューエルが最初に考えるべきはチームの強度を担保する両インサイドハーフの状態になるだろう。高強度で走れない選手は破綻を生み出す。

 

喜田、渡辺、山根、榊原、植中、天野、2チーム分の戦力は整った。吉尾や植田にもチャンスが回ってくるかどうか。

 

この点、ナムテヒは時折上手いプレーをするのだが、要件を満たさないと考える。むしろ高精度なクロスを蹴れる事を考えると、インサイドハーフが充実してきた現在のマリノスでは左右のウイングが適しているように感じる。

 

元々は西のACLでも大暴れしていた実績は十分すぎる左ウイング、ふがいないプレーが続く宮市、井上は十分に競争の射程圏内だろう。

 

現実的に考えれば、大体殆どロペスが出る運用が続くのであれば、ファーストトップ・ロペスの保険として”6番目のベンチ要員”はそれぞれ個性があって興味深いし、宮市、井上、村上でも務まると考える。

 

J1クラブでありながら出場すら叶わない残念なチームもいるようだが、天皇杯などの今季マリノスにとっては優先度が低い大会で試すべきだろう。

 

24シーズン横浜F・マリノス戦力編成展望

まだ監督も決まっていない段階では展望というよりも願望に近い内容になるが、24シーズンの戦力編成を構想していく。

 

リーグ2位という順位にしては様々な課題を残す結果となった苦闘の23シーズンをベースに、実現性に配慮をしつつも可能性と問題解決に重点を置いた内容とする。

 

 

ベースとしての23シーズン

 

1つ前の記事で行ったシーズンレビュー。

 

speir-s.hatenablog.jp

 

内容を要約すると

 

・守備は壊滅的状況(ここまで悪いと個人の問題ではない)

・攻撃も上手くいってない結果、個人能力(特定選手)依存

・選手の組み合わせ、補完性、シナジーに課題

 

以上が問題となる。

 

そして更に、今回の前提としてロペス、エウベル、ヤンは来期もマリノスでプレーするとする。

 

 

並びを変えよう

 

引用元 https://x.com/LFC/status/1736087544633413907

 

2019年、ポステコグルーが発見をして以来、一貫してマリノスセカンドトップを採用した4231-442でプレーしてきた。

 

しかし23シーズンでは敵チーム、J1リーグのトレンドを含む様々な変化が起きている現状、更にはロペス、エウベルのダブルエースを共存させる上で、主に守備時に成立不可能ではないかと思える破綻的状況が試合の中で何度も発生してしまった。

 

また攻撃時も、22シーズンはプレータイムを共有したマルコスと西村で合計62本ものラストパスを記録したが(つまりセカンドトップが実質チーム1位)、23シーズンでは上位3人がウイングで、ラストパス数5位以内にもセカンドトップはいない結果になるなど、もはやセカンドトップが必要なのか?と戦術的迷子の状態になっている。

 

 

以上の事からも、今季のマリノスはブライトンを模倣していると噂されていたが、その理由が共通の4231だからというのであれば、そもそも並び構造自体を変える事で、もっと上位のチームを参考にすることも出来るだろう。

 

例えば、現在プレミアリーグで上位にいるのはリヴァプールアーセナルであり、基本的には433をベースとしており、また選手の凸凹を組み合わせるケミストリーの達人アンチェロッティの22年マドリードも参考にする事が出来るのではないだろうか。

 

対戦相手を考慮したオプションとして2つの配置、タスク振りを持つチームになる時がきているのではないだろうか。

 

 

最悪7人で守れる

 

引用元 https://x.com/prompt_fmarinos/status/1712123804481364282

 

マルコスシフトからエウベルシフトへ

 

4231(守備時442)と433で何が変わるのかと言えば、頻発するロングボールを蹴られる状況、更に自陣でエウベルが戻ってこない(でもいいよ)という状況での改善が想定される。

 

23シーズン、GKラッシュまで厭わないプレスを行う意思はあったが、全く効果的でなく(被ゴール期待値1.516 被シュート数リーグ16位)、2トップは開いたCBとGKにいい様にあしらわれ、ウイングとボランチ1人を前に引き出された上で蹴られるロングボールという状況が何度も発生した。

 

結果、後方のフィールドプレーヤー5人に対してロングボールを蹴られる事で、セカンドの回収が難しく、一旦拾われれば対応が難しく、ゴール前まで下がるしかない状況になった。

 

今期の神戸をはじめ、意図的にGK及び最終ラインから対角線のロングボールを蹴ってくるチームは今後も増えていくだろう。

 

これに適応する為、3トップ化する事でロペスは中央ステイ、両ウイングがCBにけん制、サイドバックは2列目がけん制という極めて無難な対応をする事で、GKラッシュの機会は減るが、2列目以降が7人になる事でロングボール回収率は向上が見込めるし、セカンドを拾われても対応が可能になる。

 

勿論それで”間”を使われる事もあるだろうが、今期はもっと悲惨に使われて破綻する事も珍しくなかったので、使われた後の対応も補填が効くのでマシになるだろう。

 

 

そしてミドルゾーン以降の守備でも、2列目が気合いでスライドすればエウベルが戻ってこないからサイドで数的不利になる、という今季何度も発生した状況を見る事はないだろう。ガッツが足りない選手は交代すればいい、5人使える。

 

特に深い位置での守備においては、後ろは数的に揃った上で、あえてエウベル前残りの状況を作るのは敵チームにとって脅威でしかない。

 

平凡で、それはツマラナイかもしれないが、ロペス、エウベルを共存させた上で破綻しない事を優先するべきでは?と考える。

 

別に理想を変える必要は無く、バックパスやミスを起点に行ける時は行けばいいし、何より守備が上手くいってないチームは弱く見える。

 

そもそもマルコス及び、それを代替する選手もいない上に戦術的に意味がなくなっている状況でセカンドトップを用意する必要性はアンチェロッティ的な選手の特性を最大限発揮する”調理”からすると、意味がないのではないか。

 

 

ウイングの戦力編成

 

さて、攻撃の中心となる両ウイング。ここはエウベルとヤンがいる前提なので2番手以降の選手が求められるし、更にターンオーバーや毎試合交代する事も考えると3番手も持つ必要がある。

 

そして何よりも重要なのはロペスとの相性であり、クロス精度と、ドリブル突破も含めたラインブレイク能力、他にゴールシーンとしてスルーパスに抜け出すようなスピードも必要になる。

 

 

この点で宮市は2番手としてみた時に、自身のゴールシーンはあったが、クロスでのアシストが無かった。またドリブル突破も高いとは言えない。

 

ゴール 3ゴール

アシスト0 クロス成功数&率 0.4 (26%) ※数値として悪くはない

ドリブル成功数&率 0.4 (47%) 

 

 

また水沼も彼が活躍していたのはエウベルと同時に出ている試合、もしくは相手に退場者が出た後のみであり、この条件が無いと6月以降は0ゴール、0アシストだった。

 

前提条件がエウベルとヤンのセットを基本としているので、ヤンが先発で出れない状況のみ、など制限が付いた右の3番手とするのが望ましいだろう。エウベルが居ない=途中交代で使うのは止めた方がいい。

 

井上に関してはスピードこそ光ったが、クロス、ドリブルといったクオリティがマリノスが求めるウイングの水準に達していない。出場機会的にチームに置いて成長を待つべきなのか、判断が難しい所。

 

クロス成功数&率 0.4 (16%)

ドリブル成功数&率 0.1 (17%)

 

 

また対戦相手次第ではエウベル、ヤンが出れない状況などで1番手に出来るのがスピードはなくともドリブル、クロス、ボールを守れるなどの部分でクオリティの高さを持つ選手だろう。

 

この点で、ナムテヒはもともとは左ウイングで長年プレーしたキャリアを持つ事から、敵のゴール前まで前進するのが難しくない相手、そこからのクオリティが求められる相手など、起用が検討できる。

 

ドリブル成功数&率 0.9 (67%)

デュエル勝利数&勝率 1.7 (54%)

クロス成功数&率 0.8 (37%)

 

 

また、今シーズンは苦戦したが昨シーズンはほぼ右サイドでプレーしていた復帰確実らしい天野も限定条件での右サイド起用は検討ポイントになるだろう。中央に置いてもサイドに行く訳で。

 

共にロペス向きな、斜め後方から、質の高いクロスを蹴れるという条件を満たし、また433化する事で、2人とも2列目での起用も想定される選手ではある。

 

 

ウイングの戦力補強①

 

エウベルとヤンが絶対的な主力だとした場合、必要になるのは短時間で効果を発揮するパートタイマーであり、23シーズンはここが泣き所になってしまった部分もある。

 

この点で、激推ししたいのが、右ウイングでヤンと交代しても構造が変わらないという点で熊本に所属する島村 拓弥の名前を上げたい。

 

主にJ3で経験を積み、今期はJ2の熊本で主力として活躍したプロ生活6年目を終えた24歳。京都からレンタル生活が続き、ブラジルにレンタル歴もあり州選手権などに出場している。

 

J2 熊本 36試合 34先発 2652分出場 2ゴール 7アシスト

 

左利きの右ウイングであり、ゴールよりもアシストが多く、左足の制度には自信アリ、起点となるプレーも上手い。つまりヤンとスタイルがとても似ている。

 

 

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とにかく今Jリーグにいる選手でヤンに一番類似している選手である

本人の意思は別に、マリノスとして取らない理由がみつからない。

 

島村君、熊本もいいだろう。いい監督でいいサッカーだ。

だが君の左足をJ1リーグで、アジアで振るいたくないか?

 

 

 

ウイングの戦力補強②

 

さて、マリノスは育成組織の選手をレンタルで育成しているが、帰ってくる事例は生まれるのだろうか。

 

もちろんアカデミーの最大成果にプロ選手が育成される事があるとして、それがマリノスである必要は無いという要素があるのは忘れてはならないテーマである。マリノスにとって育成は今や戦力補強ではなく事業なのだ。

 

とは言え、よその池を山田康太が元気に泳ぎ回っているのを見ると、未来が交錯しなかったのが惜しむ気持ちも芽生えてくるだろう。

 

この岐路にいるのが新潟でJ1昇格し、今期もプレーした松田詠太郎になる。

 

今期は何故か彼のポジションだけ激戦区になり、出場機会を大きく減らす結果となったが、シーズン終盤では一段上がったクオリティを発揮し、後半戦成績を伸ばしてきた新潟の一員として活躍した。

 

23 J1 新潟 898分 21試合9先発 0ゴール1アシスト

22 J2 新潟 1982分 38試合22先発 4ゴール7アシスト

 

特徴はドリブルで 成功数&率 1.0 (60%) はJリーグでも上位レベル。

クロス成功数&率 0.4 (20%) はあとちょっと

 

課題はタックル数の少なさが目立ち、守備貢献、関与が課題ではあるが、433化するならアリの水準。右利きで一貫して右サイドでプレーしている、いわゆる順足ウイングだが、カットインも上手い。

 

 

松田君、これまで松橋さんにはお世話になっただろうが、独り立ちの時期では?

そろそろ横浜の水が恋しくなってきた頃じゃないか。

 

 

ウイングの戦力補強③

 

今季のJ1リーグを見ていて、これぞパートタイマーという素晴らしいメンタルを持つウイングがいた。鳥栖でプレーする横山 歩夢だ。

 

J3の松本でブレイクし、今期は鳥栖へ移籍。本人は不服だろうが岩崎、長沼で固定された中、先発出場はゼロという徹底したパートタイマー運用をされた。

 

J1 鳥栖 17試合 全途中出場 367分 4アシスト

 

そのプレースタイルは一旦ボールが入れば、絶対にドリブルで仕掛ける必殺スタイル。

基本は左サイドだが右でもプレーは可能か。

 

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敵陣で仕掛ける一手が出ずに外側をボールが回っていく結果、彼だけが下げる事は絶対にしないので、ひたすら横山からクロスが蹴りこまれる状況も何度か見た。

 

無理仕掛けもあるのでドリブルの成功数&率は 0.9 (52%) と一流には届かないレベルだが、367分のプレーで4アシストは見事の一言。クロス成功率も悪くない (25%)

 

交代選手とはどうあるべきかを体現できるメンタリティ、次世代のエース候補な20歳。

 

 

横山君、世界を目指すならエウベルやヤンとレベルの高い競争をしてみないか。

君には是非とも横浜で夢をかなえてほしい。

 

 

マネーボール

 

この項目はJリーグの他チームは閲覧禁止である。

労力がかかっているので利用するなら是非とも金を払ってもらいたい。

 

マネーボールとは印象ではなく、統計データを元に求める能力があるのに、世間では評価されていないという差額を狙った選手獲得方法となる。

 

ブラジルのセリエA(一部)でプレーする攻撃的な全選手の中から、もっともマリノスに合致するお買い得な選手を探してみた。

 

その結果、今期はゴイアスでプレーしていた24歳のアルゼンチン人、フリアン・パラシオアスが浮上した。

 

ブラジル1部 27試合 19先発 1647分 1ゴール1アシスト

 

20代そこそこなマリノスが買える水準の選手はあまり活躍してもらっては困る。

この点、マルコスやエリキも、二桁得点をしていた訳ではない。

 

マネーボールにおいて、目立っては困るのだ。

 

先ず、特筆するべきは1試合平均のドリブル成功数と成功率

 

2.0 (62%)という数字はリーグでもトップクラスに位置する。

この数字はリーグを越えて通用する事が多く、信頼性が高い。

 

参考までに、今シーズン、かつてJ1リーグで猛威を振るった選手が特に前半、首位を快走するチームでウイングとして活躍していた。

 

ジュニオール・サントス ボタフォゴ所属

37試合30先発 2183分 7ゴール1アシスト

ドリブル成功数&率 2.0 (52%)

 

だから言ったでしょうポステコグルーさん、城福さん、ウイングだって。

 

 

強いチームの方が伸びやすいという点で、ゴールとアシストはチームの順位にも影響を受けるが、ドリブルに至ってはJリーグで三笘と同水準だったジュニオールサントス以上の数値なのが伺える。

 

シュートはエウベル同様にあまり上手ではないかもしれないが、何といっても特筆すべきはクロス成功数&率となる。

 

フリアン・パラシオアス ブラジル1部 1.3 (41%)

ヤン・マテウス J1リーグ 0.8 (29%)

エウベル J1リーグ 0.5 (23%)

 

これらの統計的な裏付けを持ったうえでハイライト動画を見ると、体格的に不利な相手にもボールをロストせずに反転するのが上手い事や、右足の精度に自信がある事も分かる。

 

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サビオラの系譜、名前まで同じなシティでプレーするフリアン・アルバレスがほぼ同世代にいるが、アルゼンチンは次々とこういう選手が生まれてくる。左右、セカンドトップ全てでプレーが可能。4231の選択肢を併用するなら重要な選手になるだろう。

 

また、実現性として毎年保有元のアルゼンチンーサンロレンソからレンタルに出されている。(売り先を探している?)そしてゴイアスとのレンタルは終了している。

 

ほか信頼性は目安程度だがトランスファーマーケットによると安い

K=1000 M=100万

 

ジュニオール・サントス 1.4Mユーロ 育ったな…

ヤン・マテウス 700Kユーロ

フリアン・パラシオス 600Kユーロ

 

例えば左ウイングで比較すると、U17歴もあるサンパウロのホドリゴ・ネストル23歳は 9Mユーロである。

 

彼もドリブル、クロスはそれなりに高いが ドリブル1.2 (67%) クロス0.4 (32%)

フリアンの方が上なのだ。

 

https://www.transfermarkt.jp/julian-palacios/profil/spieler/728262

 

これがマネーボールである。

 

もしもJリーグでプレーする事になれば、かなりの猛威を振るうだろう。その時はぜひトリコロールを着ていてもらいたいものだが…

 

 

 

2列目の陣容

 

 

ジョエルの移籍以降、特に手を打たずにシーズンを終えたが、ポジションが2から3になるのであれば人が足らなくなることが懸念される。

 

現状で、渡辺、喜田、山根、榊原がいるが、特に左右は攻撃能力が問われる事から選択肢は豊富だ。

 

能力とは別にハードワークは最低条件だとして、特に前にいるのがエウベルではない右サイドでは天野、ナムテヒといったセカンドトップ適正の選手、更には水沼も選択肢に入るかもしれない。終盤局面では左右の同時期用すらあり得るか。

 

また、左では現在臨時でサイドバックを務めている吉尾を含むと、全員復帰すれば4人になるが、エウベルのカバーといった相性を考えると、吉尾のサイドバック経験は活きてくるだろうし、全員復帰していれば特別な左足を持つ永戸も選択肢に入れていいのではないだろうか。

是非とも、ハマのアレクサンダー・アーノルドになって貰いたい。

 

2列目全て 渡辺 喜田 山根 榊原

右限定 天野 ナムテヒ 水沼

左限定 SB陣容拡充条件 吉尾 永戸

 

 

他に獲得候補としては千葉でプレーしていた見木、熊本の竹本などが想定されたが、既に移籍、契約更新で獲得は難しいだろう。

 

もはや説明不要な鳥栖の鉄人河原はかなりの争奪戦になっていると思うが、金銭以外にも同カテゴリーで絶対的レギュラーで買い手数多な選手が、渡辺と喜田がいる状況で、移籍しようと思わない可能性も高い。

 

この点、433化で3ポジション化する事はかなりの押しになるだろうが監督すら決まっていない現状ではどうだろうか。

 

 

センターバック

 

バックラインでは両サイドバックは既にケガからの復帰待ちを含めて人員が揃っている事から、センターバックに話を絞りたい。GKも一森の確保が最優先になるだろう。

 

 

さて、センターバックでの懸念事項は畠中の復帰時期と實藤の稼働率だろう。角田の海外移籍もリスクとして含んでいいかもしれないし、シーズンの前半ではサイドバックをこなす状況も検討する必要がある。

 

そして保持の局面にも慣れている選手でなければ上島の様に適応に時間を必要とする可能性がある。

 

これらの要素を加味すると、選択肢はほぼ無く、新潟の渡邊 泰基 24歳左利き 180㎝が候補になる。

 

J1 新潟 21試合出場 18先発 ( CB14試合 左SB4試合 )2ゴール1アシスト

 

新潟育ちだが高校経由、更にアルベル下では起用されずレンタルへ。その金沢においてヤンツーフットボールで保持局面も磨かれ今季から新潟復帰。

 

Sofascore 機会採点 では 畠中 7.08 渡邊 7.01 とそん色なし

 

畠中 - 渡邊 1試合平均 比較

 

パス成功数&率 53.4 (87%) - 55.5 (89%)

敵陣パス成功数&率 17.0 (79%) - 18.0 (85%)

ロングボール成功数&率 1.8 (39%) ー 2.7 (47%)

シュートにつながったパス 0.2 - 0.5

 

パスデータでは渡邊が上回る

 

 

デュエル勝利数&率 4.3 (65%) ー 4.6 (62%)

空中戦デュエル勝利数&率 2.2 (64%) ー 2.3 (62%)

 

デュエル局面でも差は感じない

 

微差だが、インターセプト数で畠中が上、タックルでは渡邊が上とチームの守り方で差がつく部分なのでこれは何とも言えない。

 

また時折見せるドリブルでの仕掛けは成功率がとても高い。

ドリブル成功数&率 0.2(83%)

 

 

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渡邊君、居心地はいいかもしれないが、遂に新潟から巣立つ時がきたんじゃないか?

いつかは来る時が、遂に今、来たんだ。

 

 

さて、24シーズンの戦力編成を勝手に展望しましたがいかがでしょうか。

 

最終的にある程度スカッドが見えてきたら、またXのスペースでトーク会などを開催したいと思います。

 

そもそも監督は誰になるんでしょうかね…

 

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