2014年の桜花賞について最後発位の記事になるかと思いますので、1次ソース的な情報は割愛致します。
先ず、日本の競馬では基本的に10分の1秒までしかタイムを計測していません。
この為、今回桜花賞の様に1着馬と2着馬の着差がクビ差ですと、同タイムとなります。
ですが、純然たる差があるように、0.0Xの世界はあります。
今回は同じコースで2回、JRA基準では同じタイムで走破した2頭の競走馬、ハープスターとレッドリヴェールについて0.0Xの世界から考えてみたいと思います。
(参考)
1着 レッドリヴェール 1:33.9
2着 ハープスター ハナ(同タイム)
1着 ハープスター 1:33.3
2着 レッドリヴェール クビ(同タイム)
阪神の坂 勝敗を決したラスト200mの攻防
先ず、2つのレースを2頭だけに注目して気がついた事は、ラスト200mのハロン棒を通過する時の位置関係が、ほぼ同じである点でした。
ハープスターの目線でみると、0.0X足りなくて負けたのが阪神JFだとすると、今回は何らかのプラス要素があり0.0X上回ったと考えられます。
阪神JFでは騎手に色々と結果論で注文が付いたレースでしたが、
仕掛けの位置など影響があるのか検討するため、JRA発表の上がり3ハロンの時計を比較してみました。
(参考)
レッドリヴェール 34.1秒(+0.5) ハープスター 33.6秒
ハープスター 32.9 レッドリヴェール 33.4(+0.5)
2つのレースを同タイムで走破した2頭。
推定ですが上がり時計の差も2つのレースで同じ0.5差となりました。
ハープスターは負けると思っていた
後出しの上に外れてるので説得力ゼロですが、ハープスターはまた負けると思っていました。
1ハロン10秒台の脚を繰り出すのは凄いのですが、加速力がありすぎて消耗の度合いも高い、
いわゆる一瞬の脚を使うタイプで、最後に坂のあるコースでは脚が鈍ると考えました。
もちろん、チューリップ賞の様に大した相手がいなければ一瞬の加速で突き抜けて楽勝だとは思います。
レッドリヴェールの様な強敵と対峙するには微細ですが、隙がある様に思っていました。
全てはラスト200mの為に
「 外を回せばいいのに 」
ハープスターが初の敗戦を喫したレース後、調教師から出た騎手批判は話題となりました。
けれど、このレースを見て、それは発言の真意が伝わっていない、ただ通るコースが内か外かの話ではない、
加速力がありすぎるハープスターの脚の使い方こそが意図だと再認識しました。
これは私の推測で申し訳ないのですが、阪神JFでハープスターは400m→200mでベストの脚(おそらく10秒台)使いましたが、
ラストの200mでは坂があるから落ちるのは当たり前ですが、そこまでの勢いから比べると、失速し過ぎていると感じました。
ここをキッチリ調整して、坂があるのでタイム上は最速ではないですが、桜花賞ではラスト200mでベストの脚を出すように合わせてきました。
これこそが 「 外をまわせ 」 の真意で、加速力がありすぎる馬だから、
進路を作る為に急なギアチェンジが必要になる馬群の中を走らせるな、という事です。
今回ジョッキーは慎重にじっくりと、徹底的に、ただラスト200mにベストの脚を使わせる”作業”を行ってきました。
それで負けたら仕方ないと調教師が太鼓判を押したからこそ、若い騎手が大舞台でも、臆せずに実行できたのではないかと私は思います。
この結果、JRAの記録には残らない0・0Xの差を見事逆転したと考えます。
この話のイメージ) ※数値はあくまでもイメージです。
上がり3ハロン推測が 34.18秒 に対して 33.68秒 だったのが、
今回は 33.48秒 に対して 32.92秒 へと、ラスト200m傾倒のレースをして0.0X分だけ向上した。
レッドリヴェールの保守的なレース運びについて
レッドリヴェールを応援していた私にとっては保守的なレース運びに見えました。
ですが、よくよくリプレイを見返すと、スタートの出負け、僅かな遅れが、あのポジションにならざるを得なかったと解りました。
特に出遅れた後に、前に付けようと仕掛けてしまっています。
騎手を主役にする漫画”ありゃまこりゃま”で披露された元天才ジョッキーの理論で言うと、これは大失態にあたります。
前半100mの無理は後半200mになって返ってくると言ったのは河内さんです。
完璧なラスト200mを迎えたハープスターと、負債を支払ったレッドリヴェール、この勝敗は必然の結果だったのかもしれません。
ですが、そこからの粘りは特筆するべき、この馬の潜在能力を見せてくれました。
2頭の今後について雑感
泥沼馬場の札幌2歳Sでも、高速馬場の阪神JFでも、場所を選ばず、確実に相手を競り落とす姿に、欧州競馬を感じたました。
オルフェ、ディープ、ハーツ、エルコン、日本のエースクラスの馬が一瞬の加速力でゲームを決めにかかっても、一完歩づつ忍び寄り、最後には競り落とされる。
加速力のありすぎる馬は相当に力が抜けているか、陣営が脚を余して負けても仕方がないという、丁半博打をする覚悟が必要かと感じています。
今年の力関係ははっきりしました。
どちらかがいなければ国内牝馬3冠程度なら間違いなし。
オークスは同じコースを2回、同じタイムで走った突出した2頭、3度目の対決、
ボクシングで言うところのラバーマッチとなります。
ゴール前特等席は5000円のマス席でもいい位じゃないでしょうか。