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セレッソ戦を終えて 勝ち点60への道 横浜F・マリノス

敗戦は何度もあるし、いずれにせよ辛いものだが、セレッソ戦は気持ち的にも数字的にも、なかなかの手痛い敗戦だった。

 

それでも、まだシーズンは残っているし、意味合いとしてもACL出場権、順位というあくまでも相対的な物ではなく、目標として勝ち点60を目指すという小さくないターゲットが残っている事を忘れてはならない。

 

またしても審判への態度という感情的なもので累積8枚目となるイエローカードの提示を受けたことでマルティノスのリーグ戦は終わり、大怪我をしてしまった斉藤と合わせ両翼を完全に失ったとしても、より良い未来の為に、誤差の範囲ではない明確な進歩を多くの人が感じられる結果、数字が今のチームには必要だ。

 

まだ目標はあるんだ、として、シーズンも最終盤へと局面が映った段階のマリノスでは、両翼が居ないぞ、という問題を含めて様々な人的問題が生じているが、先ずはセレッソ戦を振り返りたい。

 

 

 

盾が崩壊した

 

 

さて、Twitterで失点シーンを振り返った局面。

 

 

 

 

 

失点が多ければ守備が崩壊というワードがあてがわれるが、印象ではなく、実際にどう壊されたのかを理解できていない人もいるだろうと、簡単にまとめた。

 

どちらのシーンも、フィニッシャーにラストパスが出る局面で、ゴール前の4枚という、モンバエルツが監督のマリノスにおいて、特徴的とも言える、盾が崩壊しているのが解る。

 

この盾と言う概念は被シュートが多い、ボコボコにやられてる試合が多いという印象があるのに、失点は少ない、という一見、幸運なだけに見えてしまうマリノスの堅守における重要な要素となる。

 

 

 

リスク管理の鬼

 

 

ペトロビッチの浦和や、川崎の様に、リーグで突き抜けた数字を残すチームというのは、やはり強固な意志が介在している結果だと私は思う。

 

この点、前述の彼らは得点だが、マリノスは失点数において(昨日の4失点は痛恨だが)リーグトップを毎年争って来たのも、たまたま優れた中澤のようなセンターバックがいるからという偶然性の物ではなく、我々のアイデンティティは堅守なんだ、というペトロビッチや風間、両氏に負けない位の強い意志が介在してこそだと考える。

 

それが形として伺えるのが、徹底したリスクの管理であり、前から敵ボールを取りに行く、攻撃を制限する、ゴール前を固めよう迄じゃなく、最終的にシュートを打たれる場合までを想定したリスク管理というものが、モンバエルツリスク管理に対する強い意志を感じる部分である。

 

 

それは敵の攻撃に対してどう守るか、という段階において、ボクシングに置き換えて考えると、そもそも攻撃をさせない、届かない位置にいる、出を止める、任意の場所に打たせる(避ける)、受け流す、などが有るが、

 

マリノスは、それらが上手く行かずに被弾するとしても、いや被弾する事も最初から想定して、ガードの上から打たせダメージを最小にする、という準備ができていると言える。

 

これをどの様に実現しているかというと、4人のDFが我慢強くブロックを維持、シュート、またはラストパスの局面まで4枚のDFが距離感を維持している姿(=盾を構えて受ける)に垣間見える。

 

例えば、日本代表には食らったら終わり的な意味で、この辺の意識が薄いように見える。

 

以上を踏まえてセレッソ戦の失点シーンをもう一度、考えてみると、盾が崩壊しているのが解る。

 

 

 

何が起きていたのか

 

 

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遠藤は1対1で危険性を感じなかったし、スピードもある選手でフォローの必要性は無いと思ったが、松原がジワジワと近寄ったのは非常に嫌な感じがした。

 

その結果、まぁ、昨日のマリノスの前線ではなし得ない程、レベルが高いパスからシュートのクオリティではあるが、極めて痛烈な同点弾を食らってしまうことになる。

 

 

この同点弾は、2点目につながる。

 

正直、前線はカウンターの局面においてミスだらけのボロボロで、もうマリノスは1-0で終わらせるしか無いという状態だったのはスタンドの皆が感じてたし、それは中澤も痛切に感じていたがゆえに、彼のメンタルに悪く影響したと思う。

 

 

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中澤が、引いた柿谷についていった事で大穴が空いたとして、扇原がカバーするのかと言えばそうでもなく、誰が埋めるんだというのが解決しなかった。

 

中町も見てしまってる状態で、これを中澤が悪いとは言えないが、良くない形になってしまう周囲の状況も想定して冷静に我慢をして、最終局面で大ダメージを受けない状態を維持するのが正解だった。

 

 

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更に、杉本がファーに流れて代わりに右にいた水沼が中に入った事で、下平は杉本を見るけど、栗原はついていけないし、扇原は見えてないし、マルティノスは人数足りてるやろ、と構えるし、という結局、周りにマリノスの選手はいるんだけど完全にフリーになった。

 

盾に開いた大穴と、それを狙う完全フリーの選手、そこへ素晴らしいアイデアとそれを実現する完璧なテクニックでラストパスが出たのではどうしようもない、シュートもノーミスだ。

 

 

 

ロングカウンターが出来ない

 

 

25分くらいまで、練習でやってきました、というセレッソを空転させる術が尽く上手く行って、2点目も狙えるのではないか、という状態だった。

 

もちろん早い時間の先制点という事で、引きすぎてしまったという反省の弁にあるような態勢になってしまったのはあるかもしれない。

 

だが、その状態になったとして、それはそれで上手く利用してきたのが昨秋以降のマリノスであるし、その環境下で大ブレイクしたのが斉藤学でもあった。

 

 

ところが、昨日の前線は、スピードやドリブルどうこうではなく、ロングカウンターが十分できる局面でミスを多発してしまい、アタッキングエリアにも入れずに攻撃が終わる、つまり相手ボールにしてしまうパターンを連発してしまった。

 

 

セレッソの攻撃が左に偏っていたが故に、ターンやドリブル、デュエルにおいて良さを見せるバブンスキーが起点になる回数が極端に少なく、カウンターの局面でアタッキングエリアまでは入るという最低限の攻撃機会すら作れないのは、

 

クオリティを持ったアタッカーを揃えるセレッソ相手に、攻撃を受け続ける事を意味し、確率論として、ミスはどうしても発生してしまうものでもあり、失点は時間の問題であったと言える。

 

 

 

モンバエルツに何か出来ただろうか

 

 

彼が能動的にゲームを動かせない、という評は私の印象とは異なる。

 

最初からそういうプランを用意していない、というのが正しく、逃げ切りの局面ではセンターバックを投入しての5バックというプランは用意されている。

 

つまり、ゲームの情勢を読めない訳でも、意気地がないから動けない訳でもなく、ゲーム中にベーシックを大きく崩す様な転換を好まない、というのが正しい評ではないだろうか。

 

それは先程のリスク管理という意味で、安定を何よりも重視している姿勢が現れていると言える。

 

 

それに雨が強くなって以降、急に精度を落とし始めたビルドアップを改善するというのは難題であるし、昨日のゲームで何かを出来たとすれば、

 

後半の開始からロングカウンターの成功だけを見据えてマルティノスバブンスキーの2TOP(天野がサイドに落ちて4-4-1-1)化という、駒の性能だけを考えた盤上でしか成立しない配置転換ではないかと思うが、ここまでを読んで、リードが有る状況でモンバエルツが準備もしていない博打をする事は無いのが理解できるだろう。

 

 

一方で、マルティノスすら居ないのが確定した2試合がマリノスには残っている。

 

勝ち点60へ向けて、何が何でも勝ちたい2ゲームでは同じくビルドアップが上手く行かない状況も想定される。

 

敵の攻撃は盾で受け止める事を再確認するとして、必然的に浮上するエース級の両翼無しでロングカウンターの再設計という大問題は、天皇杯とは別に、モンバエルツ最後の大仕事であり、チームの再浮上を何度も行ってきた彼の手腕に期待したい。