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横浜F・マリノス プライオリティ(第1優先事項)の転換

2018年、今季の横浜F・マリノス(以下マリノス)は、既にJリーグ開幕戦において、チーム愛の垣根を越えるという意味で、サッカーマニアック層に対して最もインパクトを与えたチームであるのは間違いがないように、今後も、どっちに転ぼうが話題を集めることになるであろう。

 

 

その喧騒の中で、具体的なゲーム単体における事象の分析は、プロに任せるとして

 

セレッソ大阪対横浜F・マリノス ~横浜F・マリノスの設計を探ろう~ - サッカーの面白い戦術分析を心がけます

 

 

チームとの時間を共有するいちファンとしては、同じくファンやサポーターに向けて情報発信するに辺り、私は、その文脈を重視したい。

 

 

この立場から見た場合に、許容出来ない記事として、マリノスの文脈を無視する、以下の様な記事である。

 

順調なC大阪と戸惑う横浜――キャンプで見えた両チームの現在地は? | サッカーダイジェストWeb

 

モンバエルツ監督は齋藤、マルティノスのスピードを活かして堅守速攻のスタイルを完成させ

 

選手の役割を単純化し、それがシンプルなサッカーとなって結果を出すことができた

 

今シーズンは、そのスタイルから180度転換した

 

 

前述のらいかーると氏がゲームを観た上でマリノスの分析に時間を割いてくれているのを感じる事が出来るのに対して、この文には、一切の時間が割かれていない事が直ぐに解る。

 

 

以下は2017年のマリノスに対する、正しいおさらいであり、反論となる。

 

speir-s.hatenablog.jp

 

自陣ポゼッションからの攻撃指数は、2016年の56から60と、微増に過ぎないが、ゴール率は、0.3%(リーグ13位)から、1.2%(リーグ3位)という結果を出している

 

カウンター頻度の激減 (2015年 2016年 2017年)

ショートカウンター  51 49 35
ロングカウンター   43 61 49

フットボールラボ・カウンター指数

 

 

意図的にカウンター使用率を減らし、ボール保持攻撃に取り組んだ代償として、

自陣内でのボールロストが多発し、最悪の被攻撃指数を記録(下記)

 

守備開始位置の必然的後退に伴う「DFラインの高さ平均値」低下

38m(リーグ17位)

 

 

被チャンス構築率 12.2%(リーグ17位)

平均被シュート数 14.4本(リーグ16位)

 

 

 

私は上記のデータを論拠として、マリノスにおいて、もしスタイルの180度転換というものがあるとしたら、2016年→2017年に既に実施されていて、

 

2017年は目標を打ち立て、それにチームは団結して苦しみに立ち向かった、という文脈があることを、1人だけ何故苦しんでいるのか、その意味が解らなかった人を除いて、ここに確認します。

 

 

 

 

 

理想における優先順位とモンバエルツの功績

 

 

物事には優先順位が存在して、それは25年という歴史においても長い間、漠然とではあったが、マリノスにおける理想のサッカーという物の1位には常に(若干ハヤノしたが)、堅守(出来るだけ失点しない)が存在していた。

 

これは実際、2017年にチームのスポーツ面における最高責任者であった利重氏が、新体制発表会で強く明言していた事実もあり、2017年までは間違いがなく、マリノスというクラブにおける理想のサッカーとしてプライオリティ(第1優先事項)であった事がわかる。

 

 

次に、では、理想のサッカーにおける第1優先事項とは何かと言えば、先ず、前述したように、マリノスは2017年において、攻撃手法におけるカウンター使用頻度を減らし、 ボール保持攻撃の比率を増やそうとした意図はあった。

 

その目的は、年間を通して、もっと得点する為に、手段を多様化する事であり、シーズンを通して勝ち点を獲得する事を考えた場合に、ロングカウンターしかない、一辺倒の限界は誰が考えても明白と言え、理にかなった選択である。

 

 

一方で、相手からボールを奪う、という目的に対しては、常に正しい駒配置をする事が目的となるポジショナルプレーの概念において、最終的にハイプレスと撤退守備、どちらも完璧に出来る様にならないといけないのだが、この点でマリノスは2016年の秋に、撤退守備の整備から始めたと言える。

 

これこそが、理想における第1優先事項とは何か、という現れであり、また自己分析において、フットボール批評に載ったモンバエルツのインタビューを読むに、ポジショニングの基礎であり、更にはボール保持攻撃がろくに出来ない状態でリスクオフを優先した、適切な判断と言える。

 

 

この点、モンバエルツを評する際に、基礎をマリノスに教えた、というだけではなく、一歩間違えば、前年はマリノスより上位だった大宮が降格した様に、

 

チームの状態を見極めて習熟段階を上げていくという、極めて困難かつ危険な作業に対して、リスクヘッジが最適であったという部分も賞賛したい。

 

 

以上から、サッカーダイジェストの記事が、いかに、CFG以降のマリノスという文脈を理解していない物かは一目瞭然と言えるし、同時に困難な仕事を成し遂げたモンバエルツを過小評価していると言えるだろうか。

 

サッカー専門誌として長い歴史を持つサッカーダイジェストではあるが、WEBサイト化による記事の乱造に注力した結果、ゲームを観ること、事実を調べる事に労力を割こうとしない記者の記事を掲載し続けており、最早、存在価値を失っていると断じたい。

 

 

その一方で、元からマニアック層には人気の高かったフットボリスタは、ようやくのWEBサイト化に対応し、評価を上げてきている。

 

footballista | 海外サッカー月刊誌 footballista(毎月12日発行:900円)

 

彼らが、以前は眼中にも無かった日本、Jリーグにも目を向けてきたのは、ビジネス的理由もあるだろうが、良い傾向だと思う。

 

 

 

 

18年マリノスの変化は理想のプライオリティ(第1優先)

 

 

今年、2018年の新体制発表会は、元エースが意味不明な言動により離脱したこともあり、大変注目度が高かった為、ドル氏のスピーチを聞いた人も多いだろう。

 

 

youtu.be

 

先ず、前年との違いとして、統括本部長の利重氏はより広い範囲をカバーし、海外クラブと同じく、スポーツ面という局所における最高責任者がスポーツディレクターとなったのだと感じたが、今にして思えば、あれこそが、マリノスというチームにおける理想の転換を明言した発表の場であった。

 

 

攻撃する回数を増やす(アタッキングエリアへの侵入回数)

 

 

これを多くの人は、前年からの改善と受け取った筈だ。

 

だが、開幕戦で私は実感した。

 

マリノスにとって理想のサッカーにおける第1優先事項が、出来るだけ失点しない(=堅守)では無くなったのだと。

 

それが第1のチームであれば、ああいう手法(ゲームモデルの採用)を選択する事は絶対に出来ない。

 

 

勘違いがないように説明すると、引き続き「出来るだけ失点しない」という概念は存在しているが、理想のサッカーとして、全試合において相手を圧倒し3-0で勝つ、というビジョンがあったとして、その中で優先順位が低いという意味である。

 

1-0より3-1がいいよね、と言うのが解りやすい例えだが、表層的な物ではなく、とても根源的な部分から出てきているのを理解しないといけない。

 

 

 

まとめると、2018年にマリノスは変わった

 

何が変わったのかというと、戦術や攻撃手法、守備方法ではなく、それら手法を選択する、マリノスが考える理想のサッカーとしての第1優先事項が転換した、と考える。

 

チームとの歴史を重視する、ファン、サポーターにとって、より重要な事は、こうした文脈であると私は考えるので、ここにシェアする。

 

 

 

マリノスはクラブ消滅の危機だった

 

CFG以降の文脈はこちらの記事から

 

speir-s.hatenablog.jp