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チームは進歩していないのか リーグ最多失点と問題点

名実ともに現在のJリーグにおけるトップ3と、3連戦となる日程の妙もあり、1試合未消化ながら、20節終了時点でリーグ最多失点となってしまった。

 

この理由について、試合ごとのディティールに注力し、小難しい解説図を展開する方法は戦術クラスタに任せるとして、より文脈と、分かりやすい数字、データで語りたい。

 

特に、数年間マリノスを見続けていることをベースにした、文脈を重視する思考は、戦術的に一試合を切り取る見方では出せない部分かと思うし、チームの進歩を考える上で重要と考える。

 

 

 

2017年から見る予兆

 

 

ポステコグルー監督のやり方になったから、失点が多い、これは正解であって、正解じゃないと考える。

 

 

先ず、当ブログでも、これまで繰り返し触れている様に、攻撃の志向が、その割合がロング&ショートのカウンターからボール保持に傾倒していったのは、今年ではなく2017年からである。

 

この点、昨年は、プレス回避、ビルドアップなどの自陣ポゼッションによるボール保持がまるで上手く行かず、そもそもボールを持ちたくても持てすらしなかった、という見解も従来より主張してきた通りである。

 

その結果、今年は大きな発展があるし、その発展を生み出しているのが新監督のアイデアなのは間違いがなく、やりたい事がやれている、という点でチームは進歩していると考える。

 

 

その一方で、冒頭でも触れたように、現在の所、リーグ最多失点となってしまい、マリノスを何らかの形で応援する多くの人にとって、進歩を感じない結果となってしまっている。

 

だが、こうなることは2017年の時点で予兆となるゲームがあった。

 

 

 

2017年9月23日 甲府

 

マリノスにとって、ACL出場を逃すことになった手痛い敗戦は3つ有ると考えている。

 

その内の1つにして、最大の要因となったのが、3-2で敗れた、このゲームであり、2018年の現状を予言するゲームと言える。

 

 

早い秋の訪れと共に、後半戦を迎えたJリーグ、残留争いで後がなくなっていた甲府は、前線の強力2トップ頼みのロングカウンターに腹をくくっていた

 

よって、ゲームを通じたデータとして、彼らのパス本数と成功率は266本、69.5%、ボール支配率は35%と、一切ボールを保持せずに、持ったら裏(スペース)、縦、と徹底していた。

 

その結果、マリノスは、ボール支配率64.9%と、2017シーズン最高のボール支配率を記録、殆どの時間をハーフライン付近より上、甲府陣内で過ごす事となった。

 

 

去年の試合ダイジェスト

 

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失点シーン、今年、よく見る光景じゃないですか。

 

 

ロングカウンター能力が高い(選手を配してる)チームに対する相性の悪さは、2017年から変わってないと私は思う。

 

この点について、ポステコグルー監督になったから弱体化したのではない、ということ。

 

ただ、監督であるならば、弱点があまり露呈しないような(意図的にボールを保持しない)やり方を選択する事も可能ではある。

 

これが正解であって、正解じゃない理由。

 

 

怪我の功名ではないが、モンバエルツの時は、やりたくても出来なかったから弱点が露呈しなかった、だけであって、いざ、出来たら出来たで、今年と同じ問題が発露していたと言える。

 

この点、やりたい事が出来るようになって、次の問題を認識出来るようになった、という点で、チームは進歩していると考える。

 

 

 

 

去年の0-3と今年の0-2

 

 

川崎には昨秋に続いて、今年も二週目は完敗となった。

 

ただし、その中身は大きく異なる。

 

 

2017年、一周目は2-0で快勝したのに、二週目は0-3で完敗した理由を認識している人はいるだろうか。

 

マリノスが変わりつつあった、更にそれが川崎に対して最悪の相性だった、単純に述べると、こうなる。

 

 

 

① 2-0で快勝した一周目

 

ボール保持率 39.6%

パス本数 378本

シュート数 13本(枠内5)

 

 

② 0-3で完敗した二週目

 

ボール保持率 48.3%

パス本数 500本

シュート数 7本(枠内1)

 

 

一週目は、ボールを持たない事で、2017川崎における最大の武器であったショートカウンターを全く被弾せずに快勝、一方、二週目ではボールを持つ意志があったものの、プレス回避、ビルドアップのボール保持、自陣ポゼッションすら上手くいかないで、更にショートカウンターで次々ハメられた。

 

 

嫌な記憶がいっぱい詰まった映像ですね

 

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失点シーンは全て、ショートカウンターを被弾した物。

 

 

 

それに対して、今年の二週目は、今季最悪のスタッツを記録したように、

 

 

by DAZN

 

 

ボールを持てず、延々と自陣内でポゼッションされ、撤退していた守備を崩された失点。

 

 

では、これも、ポステコグルー監督に変わって守れなくなった、のだろうか。

 

 

 

 

2017年11月18日 C大阪

 

 

ゲームスタッツ

 

ボール支配率 45.5%

パス数 453本 (成功率78.4%)

シュート数 7 (枠内1)

 

 

2018年第20節川崎戦スタッツ(上記画像から抽出)

 

ボール支配率 46%

パス本数 436本 (成功率79%)

シュート本数 5 (枠内1)

 

 

延々と自陣内でセレッソにボールを保持されて、ゴール前に撤退した守備が、彼らの巧みなパスワークで崩され2失点した事で、勝敗が決定的になったゲーム。

 

セレッソのボールキープが延々と続いた結果、アクチュアルプレータイム(実際に90分の内プレーが行われていた時間)は、Jリーグ平均の55分を大きく超える、62分になっている。

 

 

 

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サイドバックが釣り出されたスペース、中の選手が釣り出されていったスペース、ラストパスはどちらも見事として、今回の川崎戦と同じ様な失点シーン。

 

柿谷や清武、中村憲剛や家長、延々と攻撃を継続できたら、そのうちに穴が空いて、クオリティを持った選手に仕事をされるのは2017年と変わりません。

 

 

よってこれも、ポステコグルー監督に変わったから守れなくなった、のではないと言える。

 

 

一方で、ポステコグルー監督になったのに、ボールすら持てないという、2017年を彷彿とするゲームをしてしまった事は、

 

ロングカウンターにやられるという、次の課題で上手くいかないことよりも後退であり、大きな問題と言えます。

 

 

 

気になる2018年データ ハイライン

 

今年のマリノスはハイラインか

 

YES、2位以下をぶっちぎる驚異のハイラインである。

 

 

今年のマリノスはハイプレスか

 

YESであり、NO、効果的だが、意図が異なり、更に限定的である。

 

 

 

ハイラインについて議論の余地はないが、ハイプレスについては多々ある。

 

先ず、マリノスのハイプレス(ここでは敵陣でのボール奪取を図った行為)についてリーグ1位の成功率を誇っているが、指数(偏差値)では44と、中より下、といった数値である。

 

この指数は純粋な試行回数ではなく、ハイプレスが可能な敵攻撃に対する実行率をベースにしており、出来るのにしなかったら数値は低くなる。

 

リーグ1位のFC東京は68を記録しており、いわゆる最後の15分まで緩むことがない。

 

 

一方でマリノスは、15分刻みの発生率において、後半開始直後が激減し、偏差値を大きく押し下げている。

 

0-15  15-30  30-45 45-60  60-75 75-90(分)

39.2%  41.7%  42.3%  29.8%  42.0%  39.5%

 

 

更に言うと、C大阪や浦和の様に、意図的に低いチームもあるのだけど、開始15分が30%台に落ち込むチームもマリノスくらいである。

 

 

また、川崎が昨年に引き続いて、ハイプレス成功からの攻撃で高いシュート率(敵陣でボールを奪ってシュートまで行った)を維持しているのに対して、マリノスはとても低く、

 

計測方法として、敵陣内で始まったカウンターを防いだ様なケースも含まれ、奪った地点よりも前方に敵選手が多く残っている状況が推測できる。

 

 

 

ハイプレス成功率1位 マリノス 47.7%

ハイプレス成功率2位 川崎 47.3%

 

成功率は、その一連の攻撃で敵がシュートを打てなかった率なので、必ずしも良い状態でボールを奪った事を意味しない。

 

 

誰が奪ったのか、は含まれておらず、マリノスでよく見るように、ハーフライン付近で、ディフェンスラインの選手がカット、またはスルーパスを飯倉がクリアなど、敵FWにパスが通らない様なシーンも成功に含まれる。

 

 

敵陣でボールを奪い、一定時間以内にシュートまでに達した率を表すショートカウンターシュート率で、明確な差が見える。

 

川崎 23.6%

マリノス 14.3%

 

川崎がシュートの為のハイプレスだとすると、マリノスはボールロストの補填としてのハイプレス(敵陣内でボール奪取を仕掛ける行為)と言える。

 

 

 

 

2018年の気になるデータ コンパクトネス

 

 

また、コンパクトネス、敵にプレスが開始する前の段階でどれだけ守備組織がコンパクトなのか、という指数においてもリーグ最下位の38となっている。

 

下から二番目の鹿島でも44とその差は大きい。

 

特に、縦幅は31.2mと、湘南や長崎に比べると4m以上広く、守備組織の内側にスペースがある状態。

 

事情として、ラインが突出して高いので、後ろの危険を潰す為、ボールホルダーを早めに抑えたい結果というのはあるかもしれない。

 

ただ、川崎や広島の様に、多少の圧力を物ともしない相手であれば、逆手に取ってスペースを使われる状況と言える。

 

 

ディシプリンが守られないのか、それとも無いのかは不明。

 

プレス開始位置のルール、前が深くまで追いかけすぎている、ファーストラインを2m後退させる、などの修正及び徹底が必要ではないだろうか。

 

 

 

 

2018年の気になるデータ フィジカルコンタクト

 

 

これは余り触れたくなかったのだ、選手叩きにつながりやすい。

 

 

そして最後に、ロングカウンターを受けやすく、中にも裏にもスペースもある、となると、個々の選手が激しくボールに対して行こうぜ!という対処方法が思いつくが、

 

フィジカルコンタクト(タックルや空中戦、ブロック、ファウル数の偏差値)においても、マリノスは31と、学校のテストであれば赤点レベルの偏差値になっている。

 

 

もちろん、マリノスはボール保持時間が突出して多いので、イコール、守備時間も少なく、フィジカルコンタクトは伸びにくい数値かもしれないのだが、それにしても少なすぎる。

 

 

ボール支配率2位 56% の神戸の場合、フィジカルコンタクトは 58 

 

ボール支配率1位 60.2% のマリノスで 31

 

 

2016年が41、2017年が35、そして今年は31、皆さんが感じている守備劣化は、フィジカルコンタクトを避けているというデータと、関連性があるのかもしれない。

 

 

 

 

雑談

 

新監督はとても紳士的で素晴らしいのだけど、これはモンバエルツもそうだったけど。

 

その結果、チェルシーが、どんどんとヴェンゲルのアーセナル化、していくような感覚がある。ファンには申し訳ないが、特に晩年の3年位はやらかしと大敗のお笑いチーム感がハタで見てるとあった。

 

モウリーニョくらい『ぬるいプレーしてると3年間スタンドに座るぞ』くらいの激しさがあってもいいかもしれない。

 

 

データ by フットボールラボ 

http://www.football-lab.jp/