マリノスが低迷する原因は守備なのか?
27試合を終えて、勝ち点32の暫定12位(勝ち点31の名古屋が1試合未消化)
残り7試合の段階で、自動降格圏である17位との勝ち点差は2と、これがDAZNマネーによる戦力の均衡化なのか、ワールドカップイヤーの過密日程の影響なのかはシーズンが終わって改めて分析を待ちたいところではあるが、大混戦の下半分に”在籍”している以上は、低迷している、という評価で問題がないだろう。
では、なぜ低迷してしまっているのか、というエクスキューズに対して、個々のプレー単位から戦術、ひいてはチームとして『理想のサッカー』の定義(もっとも勝率を上げる手法において何を選び信じるか)まで、様々な要素がある。
今回は、もっとも分かりやすく、データから、今、なぜ、マリノスが低迷しているのか、を提示したい。
記事内のデータはJリーグラボの物です(
)
マリノス低迷の原因は本当に守備なのか
失点数46、一時期はリーグ最多失点、今は名古屋に次ぐワースト、やり玉にあげるには分かりやすい指標である。
一方で、この数字は、4点以上が動いた、いくつかの『バカ試合』によって、本来の実力、性能が見えづらくなっている部分があると思われる。
そこで、4点以上が動いた3つの試合を除外したデータが以下になる。
24試合 33失点 1試合平均 1.375
除外試合 3試合 計13失点
1試合平均の1.375を34試合に換算した場合は、つまりシーズンで46.75失点となる。
これはJリーグでみた場合、流石にトップ5は厳しいが、特に8位~10位前後で珍しくない数字と言える。
また参考までに、2017年と2016年を記載すると、
2017年は除外試合1、33試合32失点、1試合平均0.969
2016年は除外試合0なので、そのままシーズンデータ、34試合38失点、1試合平均1.120
となる。
確かに、守備のクオリティとして、直近2年の水準、トップ5レベルから滑り落ちているのは明白だが、それと引き換えに得るものがあった筈だ。
そう、マリノスにはリーグナンバー1の攻撃力がある、それでトレードオフになっている筈じゃないのか?
※トレードオフ 何かを得るために何かを失った的な意図
バカ試合を除外した本当の攻撃力
攻撃でも同じ様に、4点以上が動いたゲームを除外し、本当の実力を抽出した。
除外試合 3試合 計17得点
24試合 28得点 1試合平均 1.166
あれ・・・すくな・・・
同様の計測方法で2017年と2016年のデータは以下
2017年は除外試合0、34試合45得点、1試合平均1.323
2016年は除外試合2、32試合44得点、1試合平均1.375
エースが1点しか取れてない前年より1試合平均0.2近く低いなんて…
肝心の攻撃がこれでは、全くトレードオフになっていない。
攻撃系の数値は大幅改善しとる
2017年→2018年(1試合平均)
枠内シュート数 4.2 → 4.7
シュート数 12.2 → 14.4
クロス数 14.6 → 21.5
コーナーキック数 4.5 → 6.5
アタッキングエリア侵入数 35.5 → 52.4 ※敵陣ゴールまで30m以内
ペナルティエリア侵入数 11.4 → 17.2
現状、シュート数だけリーグ4位と5位、あとの数値はリーグ1位か2位。
で、ゴール数がなんでこうなるんや… 前年はエースが1点しか取らなかったのに
1試合平均1.323 → 1試合平均 1.166
マリノス低迷の原因は守備ではなくゴール前のクオリティ
モンバエルツのゾーンディフェンスは割り切っていた。
これまで何度も言っているように、彼のチームは被決定機数、被シュート数はリーグ最低レベルの物で、敵に攻撃される時間が長く、回数も多い、そんな状態だった。
だが、クロスを蹴り込まれてもセンターバックが跳ね返せばいい、最後の瞬間に、ペナルティエリアのスペースを4枚のDFが埋める状態、シュートが決まり難い状態を、形になってれば確率論で失点は減る。
攻撃回数が得点回数に直結しない、サッカーという競技に対する皮肉のようなスタンスであり、真実をうまく利用した、合理的な姿勢がそこにあった。
一方、ポステコグルー監督、彼はクライフ教団の宣教師、それとは別に信じるものがある。
提示した様に、マリノスはリーグの水準で考えれば十分な攻撃回数を出せている。
こんなにも短期間で変貌させる事が出来るとは思っていなかった。
一方で、それは現時点でも、思ったよりチームが完成してる、監督のやりたいことが出来てしまっているのに結果がついてこない状態、とも言える。
勿論、攻撃回数という指標自体も、肝心のシュート数がリーグ1位になっていないように、まだまだ向上の余地はある。
そして、一撃で終わってしまうタッチダウンパスの被弾と、センターバックを外した逆サイドのサイドバックを狙うクロス、という定番パターンの失点も、修正する必要があるだろう。
だが、何よりも低迷の原因は、データから攻撃回数の得点転換率、ゴール前のクオリティにあるのは明白で、後は、駒の質を上げる、より転換率が高い選手に変えるしか、答えは無いように思う。
その手法として、もちろん成長を待つという選択肢もある。
その象徴たる翔さんはウイングが適正という評を改めなければならない。
第2のショーを待つのか、7番、そして左ウイングの11番、ゴール前のクオリティ向上が急務のチームで生き残れるか。
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