マリノスとCFG(シティ・フットボール・グループ)の5年間 雲は掴めるのか
シーズン中に出す感じのテーマではないが、皆さん既にご存知の通り、フットボリスタが始めた下記の特集をみて、
私の方でも、ターニングポイントとなったタイミングに投稿した記事を振り返ってみました。
当方は、ただのスポーツ観戦ジャンキーなので、内容は、スポーツ(競技)面を中心に、経営、編成等になります。
表面化した変革 2016年12月
資本関係的に、今後も数年に一度、頭というか社長は代わると思うのですが、今までと異なるのはCFGという一貫性を持ったメソッドが存在することで、真の意味で中長期ビジョンが持てるようになるのではと期待しています。
まぁ、この時にあった色々な騒動は今更蒸し返して話すこともないでしょう。
また、サッカー外部のメディア、特に経済メディアであったが為に、意外とマリノスを応援する皆さんに届いていなかった情報を再確認しました。
この騒動の中で、多くの人は初めて2013年の段階で、マリノスは多額の債務超過に伴うクラブライセンス失効による、消滅の危機にあった事を知ったのではないでしょうか。
今では悪の何でも屋ドンキホーテ化してるカルロス・ゴーンさんですが、彼が「マリノスは持続可能な状態ではない」と判断した結果、「では持続させるにはどうするか」ということで、シティとの提携という出口が見つかった、とも言えます。
現在マリノスが企業スポーツの延長として続いた日産サッカー部に終止符を打ち、プロサッカークラブへの転換点にあるとして、クラブの歴史においてカルロス・ゴーンは偉人になるのか、というテーマがあるな。欧州でサッカーを利用したブランディング戦略が先にあっただろうし。
— Speir_s (@Speir_s) June 27, 2019
世界的自動車連合のトップよりもお時間が取りやすくなると思うので、是非とも先鋭的なサッカーメディアであるフットボリスタには、ゴーン氏の関与について、獄中より届いた手記などの掲載を頑張って頂ければとお願い申し上げます。
※ 現在、氏が問われている罪に関して有罪は立証されていません。
選手の獲得能力 2017年2月
横浜F・マリノスについて、こんなにも期待感が大きいシーズンは無い、と感じている人も多いのではないでしょうか。
世間では過去の実績でしか物を測れない人々が、マリノスは降格する、戦力激減と大騒ぎしてくれましたが、現実は全く異なりました。
このシーズン、チームは、上手く行かなかった事も沢山あるけれど、一丸となって、もがき、あがき、最後のゲームまでACL出場圏内を争い、天皇杯では120分で涙を飲むという、一定の成果まで辿り着いた。
それを成したのは、個々の努力もあるとして、やはり戦略、あとで困らない為の先の読みの施策としての編成が良かったと考えます。
DVDから統計的な分析へ
マネーボールとは何か、簡単に言うと、勝利貢献度を数値化することで勝てる選手を安く買おう、という考え方であり、投資の最適化を目的としてます。
これ(野球のマネーボール)をサッカーにそのまま流用出来るとは思えませんが、監督の望む選手を揃える、というテーマでは十分に機能するかと私は思います。
現在、選手をデータ化して能力、特徴を把握する部分において、CFGは世界でも最先端を行っているのは以前説明した通りです。
システムの『Jリーグへのチューニング』は年々高まっているのを感じます。
「しかし、ここへきても古いチームを解体せず、
君のやり方を否定し続けている連中は、いずれ滅びる。」(映画 マネーボールより)
大変革の時 2018年1~2月
補強とは、選手を獲得するという意味だけではなく、弱い所を補い、強くする、というのが本来の意味だ。
この為、ここでパニックになって行動する必要はなく、弱い所は別にあるのだから、ウイングの代わりはもう要らないと思う。
大人げない事は言わないです、はい。
チームとして何がしたいのか、したかったのか。
そして、選手の特性とやりたい事に適合する選手とは、という話ですね。
2017年のチームを統計的に分析した結果として、スポーツダイレクターのドル氏とそれを支持するクラブは、モンバエルツでは、やりたいことを実現できない、と考えての交代だったと、私は思います。
クライフ教団では信仰無きポゼッションは許されない。
— Speir_s (@Speir_s) July 2, 2019
"「もし、あんなポゼッションを、命を持たないポゼッションをするならば、私は後方に引いてカウンターを仕掛けることを望むよ」" https://t.co/lIImNNKA85
チームが目指す場所に導く人、正に同志であり導師には、理解ではなく、信仰に基づく信念、断固たる意思、それを持った人物が必要だったといえます。
今年のマリノスはどうなろうと面白いに決まってる。
だって僕らの教祖がこれなんだもの。
覚悟しよう、我々は気がついたらスペクタクルの殉教者となっていた。
まぁ、正直、不安でしたよ。
サッカーやクラブの行き先ではなく、皆さんは覚悟が出来ていないだろうなと。
その後、ラディカル(悪い意味で性急)な変化は成績に直結していく訳ですが、一致団結し揺るがないチームと、何より、それを支持する声が多数を占めた事にこそ、あの2016年末から、クラブとしての成長を大きく感じる場面ではなかったのでしょうか。
この時は、言っても伝わらないだろうから、体感して貰うしか無いと考えていましたが、今やクライフ教団ポステコ支部はかなりの信徒を獲得したのではないでしょうか。
進歩を推し量るKPI(重要指標) 2018年3~12月
今季のマリノスは苦労するとして、その中身は、定石の習熟に苦労するのではなく、盤面を崩壊させる様な、個人スキルに依存する致命的ミスと、選手はリーダーシップ(指し手という概念)を獲得できるのか、という事だと考えます。
マリノスは競技面で、何を目指すのか、何がゲームにおいて重要と捉えるのか。
今季は若干、スポーツダイレクターのプレゼン内容が控えめに変わったのですが、前任者が連れてきた監督がそのままなのだから、チームがやりたい事も、この時にドル氏より語られた内容から大きく変わっている事はないでしょう。
モウリーニョくらい『ぬるいプレーしてると3年間スタンドに座るぞ』くらいの激しさがあってもいいかもしれない。
正直、もっと…な監督でした。
スターティングメンバーを見比べて下さいとしか、言いようがないです、はい。
20節消化でリーグ最多失点と、大変苦しい時期の記録。
昨シーズンよりも進歩したからこそ、やりたい事が出来るようになったからこそ、ぶつかっている問題をまとめています。
この時に抽出した指標と、今季記録している同じ指標を比べたら、いかに1年で積み上がったのか、というのが感じる事が出来ると思います。
だが、何よりも低迷の原因は、データから攻撃回数の得点転換率、ゴール前のクオリティにあるのは明白で、後は、駒の質を上げる、より転換率が高い選手に変えるしか、答えは無いように思う。
ゴール前のクオリティ向上が急務のチームで生き残れるか。
チームが苦しい、成績が良くないとして、原因は統計的に考えないと、問題解決にはならないと考えています。
転換率の低かった選手は皆チームを去り、今季は転換率の高い選手がポジションを得ている、その結果、半分を過ぎて暫定で2位にいる。
例えば、先日、首位決戦と呼ばれた東京との試合に2-4で敗れたとして、敗因は果たしてお決まりな『守備崩壊』なんていうフレーズが最適なのか?
敗因は正確に。右からの低いクロスに遠藤と和田が”触った”プレー、遠藤がゴール正面ドフリーでコケたプレー、山谷と和田がペナルティアークから放ったシュートは除外。殆どがゴールエリア内で放たれており、この内1本が50cmずれて、パギの弾いたシュート3本の内1本が逸れれば同点。 #fmarinos pic.twitter.com/94BfUlXDdk
— Speir_s (@Speir_s) June 30, 2019
苦しい時ほど、何故苦しいのか、を冷静に考えないと間違った答えにたどり着きやすい。
例えば、柏が2018年の前半に低迷した理由は、シュートを一番打つクリスティアーノの決定率が激減した事による1点差負けだった。
監督変える前に、夏に選手取ればこんな事にならなかったんじゃないですかね…。
清水の復活もドウグラスありきであるし、FC東京の失速もディエゴ・オリヴェイラの決定率がシーズン前半は30%越えの異常値を記録してから、16%まで収束するのと毎年リンクしてる。
そういう意味で、今季、仲川が既にビッグチャンスのミスを昨季の倍以上記録しているのは惜しまれる所、復活を期待したい。
だが、シーズンを迎えた段階における編成ミスがもたらした混乱は、それらを帳消しにしかねない大きな失敗となり、今季の成績に、失敗に終わったシーズンに、大きく関与しているのは間違いがない。
シーズンは何故失敗したのか、といえば、ここに帰結する。
ドル氏はその手腕は見事な、正にやり手ではあったが、先読み、戦略という部分では性急、傲慢だったかもしれない。
そういった戦力状況の中でも、70%のフレームを完成させた監督の手腕は見事であり、十分な準備がなされるであろう新シーズンには期待が高まった。
心配がない(白目)
いや、ちょっと待て、言い訳をさせてもらおう。
後半、マリノスが改善を目指す課題に24失点している総失点の減少があるとして、0-3で負けた2つのゲームを除外すれば、16試合で18失点であり、更にこれは致命的ミスが散発した序盤戦、壊れたゲームの清水戦、不平等な決定率だった東京戦も含めての数字。真の課題は大失敗のゲームを1回もしない事。
— Speir_s (@Speir_s) July 12, 2019
みろ! 16試合で考えれば1試合1.125失点じゃないか。
開幕戦のアレとか、その他諸々で皆さんが天を仰いだシーンを含んでの数字だ。
ただ、今季は失点が減ったが故に、映像でパターン失点集が作れると思う様な欠陥が目につく。
まだまだチームは信念に基づいた成長途上にあり、修正に期待したい。
さらなる飛躍へ
マルコスとはポジションを争えないけど、扇原とは争える、どうする天野。
けれども彼は、「もっと前で得点に絡む」姿を追い求めたいと言う。
( ゚д゚)
・・・・・・・・・・・・・・・残念ながら去っていく選手もいるだろう。
2014年からの5年を外から見たファンの感想として。
それは日産サッカー部という、昭和の時代から続く『プロサッカークラブとはなにか』が定義できていなかった体制からの脱却であると私は思う。
競技で成功し、ビジネスの成功に還元させ、多くの人を巻き込み生態系を拡大し、クラブを発展させる、それが2015年、利重氏がインタビューにおいて、ビッグクラブとしての運営を明言したシティグループが行っていること。
2014年に新生した、プロサッカークラブとしてのマリノスの5年間を総じてみれば、よちよち歩きの赤ん坊は見事成長し、それは成功と言える。
そして、1が3になったとして、これを10に、100へ、このまま発展のカーブを描き続ける事は出来るのか。
次なる5年はよりパワフルでなければならないし、それが成した時、次の5年後には、マリノスは、とんでもない坂の上に立っているかもしれない。
と夢を見る。