横浜F・マリノスが突き抜けた数値を記録 走り勝つ=サッカーに勝つ
ただ漠然と、1試合で何キロ走ったのか、ではなく、対面する敵に対して走り勝ったという結果は、最終的にスコアとしての勝利にどれだけ関連したのか、優勝を争った4チームで比較してみた。
果たしてその実効性は、エネルギー(走行量)の差は、パワー(勝利貢献度)の差になったのか。
https://twitter.com/NissanJP/status/1215931231046492160
備考
自チームに退場者が出た試合は、10人になるので、当然に走り負けしやすく、総走行距離も落ちるが、特に、11人換算をしたり、除外するなどの考慮はしていない。
また小数点以下は3桁で切り捨て
記事中で使用しているデータはフットボールラボが提供しているものです。
4位 川崎フロンターレ 1試合平均の総走行距離 105.685km
https://twitter.com/frontale_staff/status/1215062001333886976
総走行距離だけを見れば「走るのはボールだ!」を実践、突き抜けて走らないチーム。
ところが、相対する眼前の敵に対して、という視点で見ると、真実が見えてくる。
① 明確に走り勝った試合(敵に対して3km以上) 1試合 1勝
② 僅かに走り勝った試合(敵に対して1~3km未満)2試合 2勝
③ 走行距離は僅差(-1~+1km) 8試合 5勝1分2敗
④ 僅かに走り負けた試合(敵に対して-1~-3km未満)4試合 2勝2分
⑤ 明確に走り負けた試合(敵に対して-3km以上)19試合 6勝9分4敗
そもそも優勝を争った上位陣の成績なので、基本的に勝率は良い、という前提になる。なので見るべきは、勝率の逆、勝ち点喪失率を見るべきだと考える。
③と④では、全勝した場合の勝ち点に対して獲得した勝ち点は共に、66.666…%
それに対して、⑤においては、0.47368…%と著しい低下が見られる。
これらから分かることは、川崎は走らないチームだが、同時に対戦相手を走らせなくさせてしまう必要があり、明確に走り負けたというゲームは、それが失敗した事(=主導権を失った事)を意味している。
それは、ボールを持つ度に、確実に敵陣に押し込んでペナ角を中心とした狭いエリアでのボール回し攻撃を続けられたら、敵は走りたくても走れない、ということだ。
ちなみに総スプリント数で-20回以上負けている試合は0勝1分3敗。
https://twitter.com/NissanJP/status/1215931231046492160?s=20
3位 鹿島アントラーズ 1試合平均の総走行距離 109.877km
https://twitter.com/atlrs_official/status/1212562940156530692
走行距離は平均程度、では敵に対しての実効性は…
① 明確に走り勝った試合(敵に対して3km以上) 2試合 1勝1分
② 僅かに走り勝った試合(敵に対して1~3km未満)6試合 5勝1分
③ 走行距離は僅差(-1~+1km) 8試合 6勝1分1敗
④ 僅かに走り負けた試合(敵に対して-1~-3km未満)12試合 5勝3分4敗
⑤ 明確に走り負けた試合(敵に対して-3km以上)6試合 1勝3分2敗
④の時点で大きく勝点を落としているように、走り負けイコール負け、川崎よりも関連性が高い結果が見えた。
また、シーズン終盤に過密日程があり、11月は3試合で勝点を落としたが、神戸と広島には④の走り負け、また川崎に対しても、3km走り勝った1度目の対戦ではドローであったが、走行距離が、ほぼ同数になった11月の対戦では0-2負けと、疲労の影響が走力に出ている可能性が伺える。
また、鹿島単体で見てみると、結果として沢山走った試合(1試合総走行距離116km以上)において、1勝1分2敗と成績を落としており、鹿島もある程度相手をコントロールして、110km前後で走り勝てる展開に持ち込まないと、苦しいのかもしれない。
1つの指標として、走り勝てば勝てる、という関連性がみつかる中で、走り負けた試合が全体の半分以上、18試合にも達したのが、3位という順位の割に強い印象がなかった要因かもしれない。
2位 FC東京 1試合平均の総走行距離 109.869km
https://twitter.com/fctokyoofficial/status/1203284926201597952
前線に速いアタッカーがいるとして、総走行距離は特に目立った数値ではなかった。
① 明確に走り勝った試合(敵に対して3km以上) 5試合 4勝1分
② 僅かに走り勝った試合(敵に対して1~3km未満)9試合 6勝1分2敗
③ 走行距離は僅差(-1~+1km) 10試合 6勝1分3敗
④ 僅かに走り負けた試合(敵に対して-1~-3km未満)5試合 1勝2分2敗
⑤ 明確に走り負けた試合(敵に対して-3km以上)5試合 2勝2分1敗
走り負けた試合がそもそも少ない。だが、走り負けると、優勝争いをするチームとしては良くないね、程度に成績が落ちる、やはり関連性があると言える。
また、明確に走り負けた5試合では、そこまで成績が落ちていないと言えるかもしれないが、実はその内、4試合の対戦相手が松本と湘南であり、当該2チームには2勝2分だったが、相手がセレッソになると0-3負けを喫している。
走り負けイコール負けの関連性は見えるが、FC東京も総走行距離は平均的であり、相対する敵を自由にさせない、ゲームコントロールの成果として、走り勝ちを達成していると言える。
ここで、マリノスに行く前に若干のおさらいをすると、今までの3チームにおいて、明確に走り勝った試合において無敗、僅かに走り勝った試合でも、東京が退場者が出たマリノス戦を含めて2敗しただけとなっている。
① 計8試合 6勝2分
② 計17試合 13勝2分2敗
この様に、記事の趣旨として、ここまでにおいて、既に高い関連性は見つかっているが、1位のマリノスは更に別次元であった。
チームとして、選手個人として、パス数、オフサイド数…様々な異常値を2019年のJリーグに残したマリノスだが、ある意味で最も異常な数値が最後に見つかったのかもしれない。
1位 横浜F・マリノス 1試合平均の総走行距離 116.647km
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もうむちゃくちゃだよ…
ワーストはレッドカード+真夏の鹿島戦で104.33km、最高値は4月の浦和戦で記録した127.84km。
① 明確に走り勝った試合(敵に対して3km以上) 14試合 11勝3分
② 僅かに走り勝った試合(敵に対して1~3km未満)3試合 3勝
③ 走行距離は僅差(-1~+1km) 9試合 4勝5敗
④ 僅かに走り負けた試合(敵に対して-1~-3km未満)6試合 2勝1分3敗
⑤ 明確に走り負けた試合(敵に対して-3km以上)2試合 2勝
見るまでもないのだが、その走り勝ちの中身も凄まじい、他のチームとは次元が異なる。
マリノス以外の上位陣が記録した、明確な走り勝ちの数値は、殆どが3kmをちょっと越える程度、例外的な最高値でも5kmにとどまるのに対して、マリノスは5km以上走り勝った試合が12試合、もっとも差が出た試合は4月の神戸戦で、
なんと9.61kmと選手一人分だ。
敵に退場者が出ている訳でもないのに、1人分多い優位性、スペースを埋める力、カバレッジパワーを発現させている。
マリノスに付き合う結果として、多くのチームが普段よりも多い、112km程度は走らされる事になり、そこから更に119kmまで数字を伸ばすマリノスに、敵チームはふるい落とされる形になる。
他の上位陣3チームが、相手をコントロール出来た成果として走り勝ちしている傾向が見えるのに対して、マリノスでは自身が伸ばしていく結果、敵がついてこれなくなる、まさにブッチギリと言える爆走だ。
「俺の走りについてこれるか」
また、退場者が出た試合を含めて、チームの総スプリント数が150回を下回ったゲームは、1試合も無い。
FC東京 6回
鹿島 7回
川崎 16回
面白い傾向としては、松本には2試合とも明確に走り負けているが勝利した。
これは松本のスタイルもあるが、そもそも2試合ともマリノスのボール保持率が70%を越える異常な形式で行われており、正に参考外と言えるだろう。
さて、走行距離と勝敗への影響、関連性について『敵チームに対して』という視点を入れてみたがいかがだっただろうか。
最後にマリノスの数値を足すと2019シーズン、Jリーグで優勝を争った上位陣の数字は以下になる。
明確に走り勝った試合 22試合 17勝 5分
僅かに走り勝った試合 20試合 16勝 2分 2敗
ちなみに比較は以下
僅かに走り負けた試合 27試合 10勝 8分 9敗
明確に走り負けた試合 27試合 11勝 14分 7敗
補足としては、松本の様な特殊なチームが、各チームの『明確に走り負けた』の数値を若干、曖昧にしている傾向が確認できた。
サッカーでは走らなければ勝てない。
ドイツの空に虚しく響いた中田英寿の言葉を思い出す、対面する敵に対しての走力と勝敗、その関連性が示された。
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