これまでブログでは、マリノスのみを対象にしてきましたが、突然の大低迷となった結果、遂に、事実上の監督解任に踏み切ったガンバ大阪。
(引用
https://twitter.com/GAMBA_OFFICIAL/status/1392456236939943937
)
フットボールラボ提供のデータから見るチームの特徴というのをマリノスで行ってきましたが、ガンバ大阪も気になったので調べてみました。
はい、完全にヤジ馬です。
DATE by フットボールラボ(
)
結論から言えば、失点を減らす為に、得点力が犠牲になっている。
という、皆がそんなの分かってるよ、という感じなのですが、では具体的に、失点をどのように減らそうとした結果、何が犠牲になり、得点が減ってるのか、説明したいと思います。
そもそも意図的なのこれ?みたいな
磨きがかかった堅守?
先ず事実として、ここまで10試合を振り返ると、2021年のガンバ大阪(以下ガンバ)は昨年以上に守備が堅かったと言える。
東口の奮闘は誰もが分かるところだが、それ以前に、シュートが放たれた状況を数値化した被ゴール期待値において、2021年ガンバの被弾状況は以下になる。
2020年 1.675
2021年 1.483
1試合平均で0.2ポイント近く下がっており、これは少なくない改善と言える。
更に、実際の1試合平均失点数、そして期待値との差分は以下になっている。
2020年 1.2 期待値との差分 -0.475
2021年 0.9 期待値との差分 -0.583
実際の失点数において、0.2ポイント以上の恩恵が発生しており、これが計画されたものであれば、さすが宮本恒靖と、益々、その評価は高まっていたのかもしれない。
ここからが本題で、何を犠牲にして、この利益を獲得したのか、となる。
データから伺える守備構造の変化
1試合平均の、被攻撃回数、被チャンス構築率において、全てが微パワーアップを感じられる内容で、それが反映される被シュート数は-0.8本となり、まさに被ゴール期待値0.2はここにあり、という数値になっている。
一方で、元から被シュート数自体は多く、改善しても今季の被シュート数14.1本はリーグ19位、ワーストな数字である。
にもかかわらず、被ゴールが0.9点、さらに被シュート成功率が6.4%に収まっているのは東口の頑張りだけでなく、シューターの周囲に大きなスペースがあるような、オープンな状況でのシュートの少なさが伺える。
データからみると、より撤退した自陣後方で守る、後ろのスペースを減らすやり方への転換…なのか自然とそうなっているのかは分からないが、変化が確認できた。
昨シーズンも引いて守る様な印象が強いかもしれないが、20年ガンバは以下となる。
ハイプレス指数 56
最終ライン 55
コンパクトネス 63
一方で、21年のガンバは以下になる。
ハイプレス指数 43
最終ライン 43
コンパクトネス 44
各数値の詳細説明は割愛する(
https://www.football-lab.jp/pages/team_style/
)
敵陣のボールを奪いに行く頻度が大幅に下がり、プレス出来て居ない状況でのデェフェンスラインが低く、守備組織も縦に伸びている(つまりファーストラインは変わってない※)
※守備組織がコンパクトなままラインが低いのであれば、全体が下がっているが、ガンバは広がっているので、後ろだけ下がっていると言える。
鶏が先か、卵が先か、ラインが低いから行けないのか、行かないからラインが低いのか、だがファーストラインは半端な立ち位置でコンパクトじゃなくなってるが、自陣のゴール前に人は居るっぽい?ので跳ね返したり、ブロックしたりで失点は増えない。
どうみるのかは宮本恒靖氏が語らなければ分からないが、昨年に結果は良かったけれど、被シュート数が多いので変えたのか、それとも変えるつもりは一切ないのに、ピッチ上で選手の意思統一がバラバラなのか。
少なくとも現状を見ると、ゴール前に人がいるだけな守備、という印象を受ける。
そして、この反動が出ているのが得点力だ。
先ず君たちが決めろ?
チームとしてどれだけ得点機会を創出できたのか、ガンバのゴール期待値を比較すると以下になる。
2020年 1.454 実得点 1.3
2021年 0.913 実得点 0.3
0.5ポイントも期待値が下がった上で、更に差分が-0.6ポイントと目を覆う数値に。
期待値はいわゆるハネる事もあるので、資金力があり優秀なアタッカーがいるチームであれば、例えば実得点が1.2になっても驚きはなく、その場合にガンバは10試合で12得点、3試合少ない状態で8~12位前後と、監督解任とまではならなかったと思われる。
※同じACL組の川崎、名古屋とは6試合
(ゴール期待値と実得点の参考)
川崎は異常値とも言える+0.6オーバー、名古屋+0.189、マリノス-0.018、鳥栖+0.188、神戸+0.196…エウベルもうちょい決めようか?
チームに若干、構造としての問題が起きているにせよ、正に決めるべき選手が決めていれば、ここまでの”貧果”にはならなかったかもしれない。
監督にも言い分がある、ということだ。
アタッカー陣も言いたいことがある?
一方で、構造が招くアタッカー陣の辛さ、も垣間見える。
先ず、トランジション、いわゆる切り替え勝負の局面において、特に守備から攻撃の際に大きなパワーダウンが確認できる。
2020年 60 → 2021年 44
これも説明の詳細は割愛するが、チーム全体としてボールを奪った3秒間に敵チームよりも縦方向に走っていれば上がっていく数値である。
一旦、いわゆるカウンターに関わる人数が減っている?という推測をするに留める。
次に、ショートカウンター指数を見ると、指数自体は微減だが、その攻撃がシュートに達する確率が大幅に下がっている事が確認できた。
2020年 Sカウンター指数 48.7 シュート率 18.5%
2021年 Sカウンター指数 46.5 シュート率 11.4%
ところが、ショートカウンター時に走っている人、を計測した各数値では、人数と中身で大幅に増加している。
2020年
2021年
先に守備構造の項目と合わせて考えられる推論として以下に考えられた。
同じショートカウンターだとしても、ボールを奪う位置が低いので、アタッカーは全力で走り込まないと、間に合わない状況になっている?
その結果、高速走行の弊害としてミスが起きやすく、シュートまでたどり着けない可能性。
さらに…ロングカウンターにおいても、ファーストラインが半端に設定され、後ろに人がいるだけの守備が悪影響を見せていると思われる。
2020年
2021年
30m以上のロングパスと、敵陣において7秒間で3人が関わったコンビネーションプレーが激減。
推測として、ゴールを守るだけの撤退守備により、両サイドで選手の位置が悪くなった結果、サイドを活かした大きな展開が無くなり、さらに半端なファーストラインとなっている前線でも、各選手の距離感が悪く、フォローが間に合わずパスがつながらない、と思われる。
結論として、スペースがある状況、数的優位がある状況といった、イージーショットが無く、おまけにこっちはシュート打つまでに疲弊してんねん!みたいな
これがデータから確認できる、守備が得点力に影響していると思われる、ガンバ大阪の2020年と2021年の差、となります。
今年はDAZNさん肝いり企画で、昨年のドキュメンタリーが公開されるそうですが、この様な事となり、よそ者としてはどの様な気持ちで視聴をしたら良いのか、困惑をしております。
ナニワトモアレ、2021シーズンはACLも含めて、この後も引き続きコロナ禍の元、超過密日程で進んでいきますので、ガンバ大阪様皆様のご健勝、そしてアジアでのご活躍を祈って終了とさせて頂きたいと思います。
お読み頂きましてありがとうございました。
P.S
マリノスファンとして、ひとこと言いたいのは、改善点は明らかなので諦めるにはまだ早いんじゃないか、ということです。
特に、マリノスとの対戦はまだ2回残っており、公平性の観点から、何よりもクラブのレジェンドである宮本氏とは、最後まで共にする覚悟で、是非とも11月3日まで解任は待って頂きたかった所です。