これはマリノスの監督に就任する者の宿命なのかもしれない。
ボールの保有権に、ピッチ全面で拘る結果、マンツーマンのハイプレスを最後方から受けてボールの前進、更には疲弊により保有権すら失っていく何も出来ない惨敗。
2025年4月2日、ポステコグルー、マスカット、キューエル…スティーブ・ホランドにも、今後は誰もが挙げる事になるであろう代名詞的なワーストゲームが記録された。
今期、ここまで19位に低迷していた名古屋。
7試合全てで失点の計15失点、シュート数はC大阪戦の12本が最多。
そんな対戦相手に24本のシュートを浴びて、0得点の0-2では言い訳は無用だ。
奇しくも、スティーブ・ホランドはシーズンダブルを食らう事になった昨季の名古屋戦を現地で観戦していた。彼らがどういうチームなのか知らない事は無かった筈だ。
だが今回もマリノスを信頼しきった長谷川健太に応えるかのように、90分間、全てプラン通りにハマり続けての惨敗となった。
マンツーマンでこられたらどうしていいのか分からない選手達から、奪ったら素早く裏のスペースを狙う意図は明確で、何度もピンチを迎え、そもそもロングボールから簡単にCKを取られ、繰り返されるCKと2次攻撃から2失点。
岡山も狙い通りに8回のCKを獲得しゴールしたし、名古屋は9回獲得している。
ちなみに今期、名古屋の1試合平均のCK獲得数は3.9回だ。
監督は試合後は自分の責任を回避するかのように、チャンスを作った、課題としてアタッキングサードの質を述べているが、シュート数やゴール期待値、決定機の数という揺るがないファクトがそれを否定する。
問題なのは敵の守備との衝突、敵の攻撃に対する阻害、その結果として、どちらがより多くゴールまでボールを運べるのか、という収支で惨敗しているのは明らかだ。
確かに日本はイングランドからするとサッカー後進国なのかもしれないが、適当な事を言っていても分からないだろうとは思わないで貰いたい。
相手を見ない、という点で余りにも無策。
それが招いた惨敗であり、それは怠慢とイコールであり、監督の仕事をしていないという事だ。
監督は試合をする為に雇われているのではなく、勝つ為に雇われているのを思い出すべきだ。
始めたばかりの監督キャリアなのだから、良い経験であり教訓として糧になる様、今後に活かしてもらいたい。
このままでは広島戦がベストゲームだ。
私にはスタートだったと思ったが、あなたにはゴールになりそうである。
(どこかで聞いたような歌詞)
アタッキングフットボールの定義構築は進みましたか?
今年の新体制発表会で不安を覚えた発言があった。
アタッキングフットボールとは何かという問いかけに対して
「これから明文化を進める」「私の考えとしては…」
あの…
コンセプトとしてアタッキングフットボール、理想の姿、それが定まっていないのに監督以下のチーム編成を行ったんですか?
それはクラブとしての指針、試合の勝ち方を定義出来ていないのと同じ事。
その結果が、今のピッチ上に現れているとしか思えない惨状だ。
何故、マリノスはポステコグルーで成功したのか。
その論理、成功をもたらした仕組みがクラブから失われてしまっているのが近年の弱体化を招いているのではないか。
2018年に行われた当時のSD、アイザック・ドルの新体制発表会は素晴らしい物だった。
・優勝する為には勝たねばならない。
・勝つ為にはより多くゴール(得点)を生み出さなければならない。
・ゴールを生み出すにはバーティカルにゴールを目指す必要がある。
マリノスはフットボールの勝者になる、それが理想の姿であり、それを実現する方法は何かを定義する。
これこそがアタッキングフットボールの精神であり、その後における指針となった。
ゴール至上主義
ゴールこそが全て
ゴールに捧げよ
リーグ優勝に必要な数多ある要素からゴールを信じる
これがマリノスに栄冠と繁栄をもたらしたアタッキングフットボール
我々はゴールで勝つ。その為にフットボールというスポーツを定義し、リーグで、ゲームで論理的に勝つ方法を徹底した。チーム全体としてバーティカルにゴールを目指すフットボールの体現だ。
今のマリノスにおける最大の問題点は、フットボールはどういうスポーツで、Jリーグというコンペティションにおいて、勝つ為には何を求めるのか、その答えを持っていない事だろう。
ポステコグルーが抱えていた矛盾をもたらす信仰(ポゼッション)の影響と、当時と今ではより矛盾が許されない状況が問題を難しくしている。
当時を知らない、そしてリーグでの成功体験が乏しい西野SDはマリノスがいかにして成功をしたのか、理解するべき。
貴方が述べたアタッキングフットボールは、何となくいい試合をしてる風のチームに過ぎない。それがクラブとして理想の姿でしょうか。
マリノスはアイザック・ドル就任以降に、勝つ姿を理想に置いたので、先ず勝つ為に必要な事を明確化し、徹底的にそれを試合で再現する事で多くを勝ち取ってきたのだ。
今の座組でどうする?
マーケットは閉まった。オフェンスコーチの登用も政治と権力、プライドが関わる問題で難しいかもしれない。
つまり少なくとも監督以下の体制は今のままで7月20日までは過ごす必要がある。
外的要因でチームを救えるのは西野SDしかいないだろう。
彼は施工主としてチームとスティーブ・ホランドを呪縛から解放するべき。
自陣でのボール保持、これの価値評価を下げる時がきたのではないか。
Jリーグのトレンドとして、被ハイプレスに対する手法としてロングボールによる安全な回避が進んでいるのは試合を見ている方なら大体は把握しているだろう。
その結果として、1試合平均における自陣パスと敵陣パスの関係性において、敵陣パスが多くなるチームが増加している。
昨季の上位勢は全てこれに該当するし、今期も(4月3日現在)
1位 鹿島 総パス309 自陣137 敵陣177
2位 町田 総パス279 自陣136 敵陣147
3位 川崎 総パス373 自陣176 敵陣206
4位 広島 総パス350 自陣161 敵陣195
5位の柏のみが、総パス498 自陣277 敵陣222となっているが、監督はスペイン派閥として定評のあるリカルド・ロドリゲス。優れた監督は結果を出すのが早い。
早く結果を出さなければ、よほどのビッグネームでもない限り、生き残れないからだ。
今期のマリノス 総パス450 自陣259 敵陣194
マスカットが特殊な事を求めた23年 総パス455 自陣241 敵陣214
これと比較しても、自陣の滞在が長く、敵陣に入るのに苦労しているのが伺える。
話題を呼んだ町田FC監督の黒田氏の発言もあったが、自陣でのボール保持は意味があるんですか?
意味はあるとして、それは…強度の高いマンツーマンのプレスを90分受ける前提でも、敵のゴール前に高い確率で到達させる事が可能なビルドアップに精通した、スペシャリストが居ないと実現不可能なのではないですか?
居ないのにやらせるのは違うのでは?
エースが不調だとして、植中も常時投入して欠かせない状況で、つまり代わりすら居ないというのは分かりやすい事例だが、シーズンに至る編成が失敗したのは明らか。
それは要件定義書、仕様書、図面、設計図、なんでもいいが、発注者・施工主が曖昧な注文をしたのが、その理由。
ここでスティーブ・ホランドに正しい設計図を与えるべき。
今のJリーグで勝つ為に、自陣でのボール保持は拘らなくてOK。とにかく敵陣でのプレー回数を増やして、ゴールにダイレクトなサッカーをしましょう。
マリノスというクラブをポステコグルーの信仰(ポゼッション)という呪縛から解放し、2018年アイザック・ドルが語った内容を思い出し、よりソリッドな、無駄の無い、究極のアタッキングフットボールを目指すべき。
マリノスは優勝を目指すクラブなので勝利数が必要だ。
そして勝利の為にはゴールが必要で、それはどうやったら量産出来るのか。
例えそれが信仰だろうと、西野SDは答えを持たないといけない。
本当に自陣でのボール保持率は勝利にどれだけ貢献しているのか。
意味があるのか、利益をもたらしているのか。
今、利益が無いとして、今後は本当に利益を生み出すようになるのか。
選手もやり方も変わらずに?
ポステコグルーを否定するとして、手放すべき物を間違えていないか?
勝つ為にはより多くゴールを生み出さなければならない。
ゴールを生み出すにはバーティカルにゴールを目指す必要がある。
それを捨てるなら、フットボールの真理に根差した、勝利へのロジックを持たなければならない。
ボール保持という呪縛
これこそが精神に合致しない無駄な物なのでは?
そもそも例え直ぐにロストしても直ぐに奪い返せば、ボール保持率は落ちないじゃないか。
で、敵陣でなら保持をしても良い事にしよう、という妥協という調整。
敵が保持を嫌がる所、奪い返しをしやすい場所でロストするというロストの設計と、プレスの準備が必要だが。
なんで無駄な物ばかり集めて、大事な物ばかり手放してしまうんだ。
(どこかで聞いたような歌詞)
そうなればスティーブ・ホランドも例えば後方でのキープから一気にスペースを突いていくような、デ・ゼルビの専売特許じゃなく、既に2016年にチェルシーでコンテがやっていた事を、どうやってチームに落とし込んでいたのかまで思い出すかもしれない。
監督が仕事をするように、西野SDは仕事として、発注者として、動かないといけない。