泣こうが喚こうが試合はやってくる(2週間こない…)
ACLEによるインターバルにより、他チームの試合が進んだ事もあって、単独最下位でリーグでの戦いを再開する横浜F・マリノス。
そもそもリーグ戦ではもう誰が主導権を握っているのか分からない空中分解を迎えたチームで3連敗を喫しており、ACLE制覇も夢に消え、辛い現実と向き合う時がやってきた。

ホランドの後任は今の所、HCのままキスノーボが代理という立ち位置だが、昨年のキューエル解任後も4か月間ハッチンソンに丸投げした様に、慎重に検討する、急いで決める訳にはいかないを言い訳に、半年以上結論が出ない可能性も高い。
また、今年は特別移籍期間が6月にあるとしても、5月にはリーグ戦が6試合も試合が控えており、もう後でどうにかすると言っている余裕はない。
今いる戦力で求められる最大の結果を残さないと、J2降格は現実味を強める。
そこで連戦を想定したターンオーバーを行う戦力、マリノスに2チーム分の戦力はあるのか。
選手の補完性、タスクの合致をベースに、連戦をこなせる戦力分散を検討してみた。
今回の企画はマリノスの戦力を最適化するセカンドオピニオンである。
くれぐれも試合が無いので鬱憤を記事で放出している訳ではない。
結論として、フィールドプレーヤー10人交代の完全ターンオーバーは可能である。
戦術的指向性
ポステコグルーの残滓と、マスカットやりかけの仕事、これが今のマリノスに残る物であり、問題なのは継承者選びに失敗した結果、どちらも中途半端である事だ。
この点で、どうせ2チーム作るなら、リバイバル原始的ポステコグルーと、続マスカット完全版デアゴス●ィーニで2チームを構成するのが、現在スカッドに合致するのではないかと考えた。
敵チームの事前研究に対して2択をかけられるという、どうせ大して相手を考えないチームなのだから、せめて自分達から択を迫るというアタッキングな思考を持ちたい。
1つ目が自陣保持という無駄な要素を廃したハイプレス突貫型ワンペースチーム。
「ボールを狩ってゴールを目指す」
2つ目が選手のケミストリーを最大発揮したスペイン式、配置攻撃。
「ローブロックでいいじゃん」
更に将来的発展性も含まれており、どうせ迷走してるんだから、この際、試合をしてピッチ上で決めませんか、今後の身の振り方を?
ロペス運用型 ワンペース終始ハイプレス
今回、2つのロジックでチームを構成する”必要”もあった。
その理由として2年連続得点王となったロペスを運用するには周囲の補完性と、極めて限定されたワンペースな戦い方を求められるからだ。
先ずはロペスオリエンテッド、ロペスをファーストトップに置く所からチームの構成を考える。
さて、ロペスをファーストトップに組み込む時に起こる問題点は2点、ゾーンディフェンスの基本となる動きを理解していない事、そしてプレスのスイッチを入れるタイミングの見極めの悪さにある。
怠慢なのが問題なのではなく、ピッチ上の盤面がマンツーマン状態で人を捕まえきったボールホルダーへのラッシュ局面でのみ機能する戦力だということ。
この結果、ハイプレスや高いブロックを構えた時に簡単に中央から球出しされる、ファーストラインを容易に突破される、致命的な問題が試合中に度々起こる事だ。
また、現状の442ではそんなロペスの補填を出来る人員が物理的に1人しかいない為、周囲に配置する人数の変更、並びで改善する事、チームの方針としてマンツーマンハイプレスを仕掛ける時間を多くするプランで試合に入る事、この2点で改善を図る。
ハイプレス(高い位置でのプレス局面)しかなければ、問題は目立ちにくい、とも言える。フットボールにおいて欠点は目立たせない事が出来る。
オフサイドラインの向こう側を歩いているロナウドさんがいても、恐らく殆どのJクラブに対して優位に戦い、リーグも優勝争いするであろうアル・ナスルから学ぶ事もある。

ロペスの周囲、特に両脇に遠野、渡辺とハイプレス局面に優れた駒を配置し、ロペスを行かせた次の状況を2人で対応するやり方を行う。
敵SBを捕まえる為にも両WBには高い走力を持った2人を配置し、サイドへのロングボールには渡邊、ウォルシュと身長もあり、裏にも強いスピードのある選手を配置する。
4バックでSBが狙われるよりも全然マシだ。
後方の広大なスペースはパク・イルギュが支配しており、間に落ちるボールは、ボランチの喜田、そしてそんなに高い位置でプレーをしたいのであれば望みどおりに永戸を一列前にコンバートして、セカンドを回収に前後左右へ奔走する。
永戸はビルドアップ時には渡邊と諏訪間の間に下りる動きでマークを外し、ロングボールを井上や宮市に届けるタスクもこなせるだろう。渡邊と宮市の間に下りる中継所タスクも期待したい。
自陣では出来るだけボールを持たずに、素早く長いボールで逆サイドへ展開、中央には蹴っても無駄なのでシャドーの裏抜けによるけん制のみとしたい。
両WBを走らせシャドーも連携して数的優位を起こすロングボール攻撃が、自陣から球出しの基本とする。
この為、バックラインでは蹴っていける諏訪間をセンターに配置した。
後方の3枚保持からサイドへロングボールで展開し、受け手のWBと両シャドー、ファーストトップの4人で攻撃を完結し、第二次攻撃も素早くゴール前にボールを入れて、敵の陣形を整えさせる必要は無い。
またロペスとのセットで使われるシャドーは常にクロスに対して、ニアに飛び込む義務を持つ。ボールを持ったら素早く裏に流し込んでいくプレーも頻発するが、全てシャドーの仕事だ。
このタイプではワンペースでやり切る、広島型の戦い方を完遂する意識が重要になる。
プレスを外されたら全力で戻り、自陣に54ブロックを形成する事。
特にローブロックでボールを奪ったら逆サイドのWBとシャドーはスペースに走り、そこへボールを蹴る事。
ロストしたら走っていった勢いでそのままプレスを開始、高い位置で守備を開始する為に敵陣に蹴り込む意識を徹底したい。自陣でビルドアップなんて概念は忘れて良い。
このチームではハイプレスをやり切る事が最大の目的なので、自陣でボールを持つ事は無駄な時間と定義する。
敵にはこちらのスペースアタックを守っているか、ハイプレスを受けているか、2つの状況をずっと継続させたい。
勿論、戦力の流動性も高く、ここに書かれていない選手だと、ヤンとエウベル以外はこの形の中に配置する事が可能だ。特にこれからの時期はシャドーが死ぬ。
では2人は戦力外?
そんな事はなく、B面はエウベルとヤンありきの戦い方を展開できる。
この記事の目的はあくまでもマリノスでフルターンオーバーが可能なプランを提示する事。
フィールドプレーヤー10人交代を目指した第2スカッドの為に温存したB面を紹介する。
エウベル&ヤン運用型 変則442ゼロトップ
裏メニューに見えるけど、実はこっちが表なのかもしれない
両ウイングの質をぶつけていくユーロ2024スペイン式。
SBはここ数年でマリノスの試合を1万分は見ている経験上、ウイングを活かすベストの組み合わせを優先している。ケミストリーで問題は解決できる。
またヤンは一旦ボールをキープをするのでハーフスペースに走り込む選手を近くに置くと、展開として早い攻撃になりやすく、その仕事は2018年にポステコグルーの元でインサイドハーフとして活躍した天野の得意プレーである。
左は個で違いを見せられる選手が並ぶので山根は入っていく必要は無い、カウンタープレスの初手になるべく備え、速攻が出来なかった時に右へ転換するスイッチ役になる。

守り方は4141で構えミドルブロックを重視し、陣内へ入る縦パスをカットし、奪ったらサイド速攻を仕掛けていくモデル。ハイプレスよりもミドルゾーンが主戦場になる。
この為、ボール保持率は50%台前半になるだろう。
敵のCBはボールを持てるが出し先が見つからない状態を維持したい。
相手の陣形次第では4411になる事も重要だ。
CBにプレスをかけて奪うのではなく、妥協なく出先となる人を捕まえる。
ウイングのCB迎撃と、連動してSBを押し出すバックラインのスライドも標準装備して貰いたい。
狙いとして陣内に打ち込まれる縦パスを潰すべく、ジャンを筆頭に山根、天野と運動量が多く、デュエル勝率が高いミッドフィルダー陣を配置している。
泣き所は両ウイングの守備貢献の低さだが、保険としてローブロックでは541に可変可能だ。
SBがしっかりと外に出れる体制を整える事で、ボールホルダーに圧をかけて良いクロスを入れさせない準備をしたい。

ポステコグルーの系譜とスペイン派閥の決定的な違いはローブロックに現れる。
そもそもローブロックで戦う事を拒絶している様なチームだったが、近年は段々とマスカットのマイルド化で頻度が上昇しており、2023年になんとか2位になれたのはローブロックの失点率がリーグ2位だったからだ。
この傾向はロティーナのC大阪、そしてリカルド・ロドリゲスとも似ていて、実の所は徐々にスペイン化が進んでいた。
ただマスカットのチームにおける問題として、1つ目はスペイン系列が得意なポジショナルなビルドアップを仕込めなかった。2つ目にポステコグルーを捨てきれなかったので、いつでもハイプレス、ハイブロックという損失が大きかった。
これが”やりかけ”の仕事であり、B面こそが継続性という点では表なのである。
この点で現在、目下の所リーグ2位と昨季の17位から躍進している柏レイソルはポジショナルなビルドが出来る、悲惨なハイブロックを捨てた2023年マスカット改良型と言える状態で、ロングボール回避が浸透している結果、実はあまり上手く行ってないハイプレスを制限すると彼らは”完成”しそう。
今のJリーグはそれだけでやり切る覚悟を持たないなら”ハイ”の守備は捨てた方がいい。
そして次に、ビルドアップではマンツーマンも想定してハメ殺す準備が必要だ。
多数の三角形を作る配置に立ち、植中も中盤に下りて数的優位を形成。
この中で狙うのは敵が深いラインまでくるのであればキューエル式サイド落とし。
当てて落とすのレイオフを徹底し、この時にサイドが落とし先になる事で、サイドバックに時間を作る。
サイドで詰まって中へのボールをカットされるよりも、中に当ててサイドでカットされる方がリスクが低い。

サイドバックをオープンにしたら攻撃開始の合図となる。
加藤にはドリブルでの運びを期待し、松原にはヤンへのスルーパスを期待したい。
ファーストラインを突破するサイドに玉出しが出来たら自陣からでも12秒以内にゴールを目指して貰いたい。
エウベルはサイドではなく中間に漂いSBとCBの2人をピン止めし、深さを作る。
ヤンは大外でSBを隔離、ニコ&ヤマル、スペイン代表式左右非対称ウイングの立ち位置。
下りる植中に敵CBが付いて行けば敵のDFラインはかなり歪に大きなスペースを残す事になる。
ロングボールを蹴るなら常に植中の先にエウベルがいる様に、2人が直線上に並ぶように右サイドから左に蹴る、もしくは植中は左流れをメインに動く。
思えば、ブライトンの物まねをしていたマスカット時代に唯一リーグで先発出場した福岡戦では植中とエウベルの関係性は良かった。
特に、エウベルは敵の陣形に対して何処に配置するのかが問われる駒。
敵陣形における”角と奥”が一番活躍が出来る位置であり、敵陣形の中や中間でボールを触らせるべきじゃなく、植中と山根を近くにいる事で常にエウベルを角と奥に設置したい。
エウベルのヒートマップ推移
昨年は明らかに内側でのボールタッチが増えているのが分かるし、雑に残り数分で投入される今年は酷い物だ。最高クラスのウイングがどこでボールを触っている?

また、敵陣形に対する角と奥とは黄色の位置であり、昨年以降にエウベルが主にボールを受けているのが赤の位置だ。右サイドのヤンなら、ここから起点型ウイングとして攻撃を開始出来るが、エウベルは昨年の様に全く活躍しなくなる。
23年はハイプレスをあえて受ける事で、ハーフライン付近が自然と、角や奥になっていた。エウベルの正しい立ち位置は敵陣形の位置で決まる。
植中と山根は内側で、加藤は外側で、必要になる角と奥じゃないボールレシーブを全て担当し、3人で常にエウベルを角と奥に立たせる事だ。
逆に彼らが同時に角と奥に立ってはならない。常にどちらかにエウベルを置くように開ける必要がある。
攻撃指向として速攻の左サイド、敵陣ブロックと向き合う右サイド、と言える。
右から左への敵陣サイドチェンジも有効になるだろう。
今回はあくまで完全ターンオーバーも可能である事を示す為に戦力を分割しているが、こちらでも、ロペス以外の戦力は大体が運用可能であり、つまりは試合中に前線の交代でロペス型、エウベル&ヤン型で戦い方を変える事も想定できる。
CBにしばらくキニョーネスは居ないのだから諏訪間、右はウォルシュでもいい。
そこまで練度を上げてる時間はないかもしれないけれど。
ただ受ける局面に脆い選手はミッドフィルダーで使いにくく、もしもB面がメインになるのであれば、フィジカルという要素を加味した上でミッドフィルダーの補強は必要になるだろう。
被カウンターの度にミッドフィルダーがタックルせずに見てるか、アフターで危険なタックルをしてカードを貰っていては勝てない。
戦力再整備
身の振り方を決めれば、戦力の再整備する方針も決まる。
ただ、こうしてみるとマリノスは十分に2チーム分の戦力を有しているが、如何に前監督が戦力を運用出来ていなかったのかと呆れるばかりだ。
何しろ1チーム分すらろくに運用できないとは無駄な拘りがあるだけ、素人よりも酷いではないか。
ACLE準決勝でアル・ナスルを倒した川崎の先発2トップは神田と大関。
誰だよ!?って思わなかったかい。
マリノスはもっとやり繰りできた戦力があると思わないだろうか。
ハマるのはどちらか、という点で対戦相手を見てA面とB面を使い分けるのもアリだし、勿論両方の戦い方で活躍できる選手も想定される。
改めて更に今後に戦力の再編成をする上で、今シーズンの方向性を試してみる意味でも2チームで戦ってみるのはアリなのかもしれない。
レアル・マドリードもエムバペを足したら崩壊した。
アル・ナスルもデュランを足す為にタリスカを追い出したが、それが正しかったとは言い切れない結果となっている。
ヤンを足した結果、マリノスも問われているのではないだろうか。
ロペスか、エウベル&ヤンか、引き算をする時がきたのかもしれない。