2025年7月12日、不本意なリーグ戦最下位からの巻き返しを図る横浜F・マリノスはイスラエルリーグの強豪、マッカビ・ハイファからセンターフォワードであるディーン・デイビッドを獲得した。
現地、いわゆるヘブライ語読みだとダビドだが、マリノスは英語読みで登録する傾向があるのでデイビッドが登録名になるようだ。
皆さんが気になるのは一体どんな選手なのか?という事だろう。
そのキャリアは日本では余り馴染みがないイスラエルリーグでのみプレーしており、また代理人がビジネスに積極的なブラジル人選手の様にハイライト系の動画が少ない事もあり、掘り下げて紹介したい。
個人データ
ディーン・ディビッド 29歳 184㎝
一部で左利きの表示もあるがプレーを見るに右利きだと思う
2021年に国内移籍で強豪のマッカビ・ハイファに移籍。
1部リーグ通算は198試合67得点17アシスト、12940分プレー。
強豪に移籍する位に活躍を始めたと言えるのが19シーズンから。22-23シーズンまでは左ウイングで併用されていたが23-24シーズンからCFに固定されると得点力が爆発。
23-24シーズンにブレイクしリーグ得点王に輝く。
ゴールパターンとしてはヘディングが少ないが、その理由は個人以外にもありそう。
マッカビ・ハイファへの移籍金は110万ユーロ、現在評価額は220万ユーロだが、残契約が1年を切った売り時なタイミング、29歳という年齢から100万ユーロと言われるマリノスへの移籍金は妥当と言える。
イスラエル代表として招集は多いが出場は9試合1ゴール、今秋以降のW杯予選では呼ばれる事になるかもしれない。
欧州CL、EL、Eカンファレンスリーグと欧州の大陸カップの全てでプレー経験があり、全ての大会で得点記録がある。
24-25シーズン
29試合 27先発 2190分プレー ベストプレイヤー4試合
14ゴール シュート成功率17% 決定機ミス 26 4アシスト
23-24シーズン
28試合 22先発 1934分プレー ベストプレイヤー7試合
20ゴール シュート成功率25% 決定機ミス21 1アシスト
右足 13ゴール ヘッド2
マッカビ・ハイファ
選手のスタッツやハイライトだけを見ても理解は限られる。
ジュニオールサントスが日本ではマリノスでだけ活躍し、広島をお払い箱になってブラジルに帰ったらブラジル王者にして、南米チャンピオンのボタフォゴで主力となる大活躍するのには理由がある。
イスラエルリーグはイスラエルプレミアリーグの名称で14クラブが1部のようだ。
通常リーグ戦26試合の後に、チャンピオンシップラウンド10試合の計36試合で構成。
※チャンピオンシップは0からではなく36位試合の勝ち点で優勝が決まる
マッカビハイファはデイビッド移籍以降の20-21、21-22、22-23と3連覇を達成。
23-24は2位、24-25は明らかに1試合獲得勝ち点が下がった3位と、マリノス同様に彼らもサイクルの終焉だったかもしれない事情が伺える。
残念ながらリーグ戦の詳細データは23-24シーズン以降の物しかなく、詳細は分からないがデイビッドがCFに固定されたのは23-24シーズンで、それ以前は左ウイングでも出場する機会が多かった。
クラブのスタイルは基本4231でボール保持意識が高く、マリノス同様に昨年より今年と、苦戦が目立つ傾向がデータからも、試合のハイライトからも伺える。
今期(24-25なので前期とも言える)は特に、マスカット末期のチームを見る様なシーンが多く、自陣ビルドで詰まる、そして仕方なく蹴るロングボールというCFがハイボールに強いかどうか以前にチームにロングボールを蹴る設計が無い印象を受ける。
ディビッドの対空戦勝率は30%台と高くないが、チームとして苦し紛れのロングボールが多い事は考慮したい。
また守備ではハイプレス志向を持ったチームであり、敵陣で奪取してからのショートカウンターというシーンも少なくない。運動量はゲームハイライトからは分からないが”理解度”という点でロペスよりマリノスのハイプレスは向上が期待できると感じた。
一方で、マスカットのチームよろしく、数的同数のDFラインにロングボールを蹴られてそのままゴール前まで攻められる、ミドルゾーン(ハーフライン前後)で後方のビルドアップユニットがロストしてカウンターを受ける展開も目立った。
彼が所属していた今期のマッカビ・ハイファは正に2023年のマリノスを観る様なチームであり”続き”を始めるには最適なCFなのかもしれない。
また、今はガンバでプレーするネタラヴィもマッカビ・ハイファに22-23シーズンまで所属しており、移籍初年度の23年は16位(当時は18クラブ制)に低迷するチームの中で大活躍した様にイスラエル強豪でプレー出来る水準であれば、Jリーグでも対応できると言える。
試合のハイライト映像と強すぎる相棒
マッカビハイファでタレントと言えるのがセカンドトップでプレーするSaba”サバ”だ。
32試合32先発、2808分プレーし16ゴール15アシスト、何でも俺に任せとけという感じは小柄なマテウス・サヴィオと言った印象を受ける。
チームは基本地上戦で、セカンドトップにサバがいるとなれば、ファーストトップは余りやるべき事が無くなる。オフサイドラインでの駆け引きに専念できると言うか、ボール保持時はそれしかやる事が無い。
1試合平均のボールタッチが少ないタイプなのはチームの構成もあるかもしれない。
試合のハイライト映像はIPFLという恐らく多分、リーグ公式がハイライト映像をYoutubeに上げている。が、ヘブライ語で検索しないと出てこない。
מכבי חיפה
文句たれる監督に前半から2枚目のイエローを切って退場させる主審がカッコいい。
山下さんも城福とかに毅然と対応するべきだと思う。
背番号21番がデイビッドで、サバはどの試合でも試合映像を観ていれば直ぐに分かる。
一部で非公式な選手のハイライト映像もあるが、もっと良いのが作れそうな素材は昨シーズン分だけでも結構ある。
この試合の先制ゴールなどは真骨頂、相棒のサバにボールが入る瞬間を狙ったラインブレイクなどコンビネーションが極まっている感が漂う。
また試合ハイライト映像を見て行くと、クロスに対してニアを取りにいけるのでファーが空き、そこにサバが飛び込んでチャンスを迎えるシーンも目立つ。
彼のヘディングゴールが少ないのはチームとして、それにより生じる次、フリーな選手を狙う意図があるからかもしれない。
試合ハイライトを見れば見る程、決めろやサバという展開にフラストレーションがたまっていくだろう。
セカンドトップはクロスに強い、ヘディングでのゴールが得意な選手と相性が良いのではないだろうか。
また敵陣で保持をする時にはデイビッドが常にラインブレイクを狙っているという意識がチームに浸透すれば、シンプルに裏という攻撃が効いてくるだろう。
デイビッドは常時スペースを狙うファーストトップ、というポステコグルーの流派が本来求めるべきタイプであり、それによって生じる次を突いていける補完性の高い相棒が求められる。
これによりマリノスの攻撃が意図的にスペースを作っていくフリーランが入り乱れる本来の姿に戻る事が期待できるかもしれない。