2025年9月13日、J1リーグで降格圏まで勝ち点差なしの17位とギリギリの戦いを続ける横浜F・マリノスはホームの日産スタジアムで川崎フロンターレと対戦し、0-3の惨敗を喫した。
55分、キャプテンの喜田がCKのこぼれ球への対応を誤り、相手にスティールされてカウンターを許した。
この流れの中で鈴木冬一がペナルティエリア内でボールに対するプレー以外のファールで決定機阻止を取られてしまう。(当初のハンドによるPKから変更)
いわゆる“三重罰”となり、この瞬間に試合は完全に崩壊した。
この非常事態に、経験が乏しい大島監督は10人で0-2のビハインドを覆す勇気を見せられなかった。チームは凡庸に戦い、想定通りとも言える終盤に追撃のカウンターを浴び、0-3で試合を終えた。
この結果はただの1敗というよりも、残留を争う他の3チームと異なり、リーグの上位陣ばかりとの対戦を残しているマリノスにとって、今後の見通しと言う点で非常に失望を感じる内容であった。
これについて、今後に厳しい戦いを消化し、J1残留をする為には、というテーマで以下の3点を語りたい。
1,何が悪かったのか
2,悪かった事を改善するには?
3,そもそもとして
0,前提として
直近の試合日程を整理すると順番として町田、神戸からの柏とルヴァンカップ準々決勝連戦、そして川崎戦。
このプロセスとして、ロングボールを設計の中心にする2チームには非常に保守的に対策を組んで挑み、一方でレイソル戦ではターンオーバーもあってか振り切った様な地上戦を挑んだ。
これを対戦相手に応じて猫の目のような対応をしていくのかと考えたが、川崎との試合ではメンバーも殆どそのままに悪い方の柏戦を引き継いで挑んだ試合の様に感じた。
何をもって悪いかという基準として統計的に勝利する可能性があったかをベースにしており、それはゴール期待値とビッグチャンス数を根拠としている。
詳細は以前の記事を参照と言う所だが、改めて記載すると以下になる。
マリノス試合後ざつだん・25ルヴァンカップ準々決勝vs柏レイソル連戦 覚悟を決めた地上戦で見えた事と改善点は - 横浜F・マリノス ファン
第1戦ゴール期待値 2.03-0.74(別枠:跳ねてる物枠 デイビッド連続BC1.64-PK0.76)
このハネ物枠とはPKと、連続的にビッグチャンスが続いたプレーであり、期待値は跳ね上がるが、仮に10秒で3本シュート打ったとして。どれか決まっても最大1得点でしょう?という連続性を考慮した別枠である。
この点で3本の内にある最大値の0.73は足しても良いと考えられる。
第1戦ゴール期待値 2.76 - 0.74
(ハネモノ別枠 連続BC0.91-PK0.76)
第2戦はそのまま 0.51 - 1.07 と順当に敗戦。
この様に実際のスコアは1-4だが、統計的に圧倒していたのは第1戦。
では、あなたが監督であるとして、次に迎える必勝の1戦にベースにするべきは1戦目か?それとも2戦目か?統計的に優れていたのはどうみても1戦目であるが、監督の大島による選択は2戦目をベースにしていたのは誰もが分かる所である。
もちろん、川崎を想定して猫の目的にまた1戦必勝の仕込みをします。柏戦は柏戦であって、川崎とは全く別の戦い方が必要です。というのであれば納得感も高い。
ところが、川崎に対して『相手は関係ない!自分達のフットボールをプレーしよう』と気持ちだけはポステコグルーの様に試合を挑んだように感じた。
それなら、1戦目をベースにすべきだろう。
1,何が悪かったのか
今期の川崎はボール保持率が下がった。
下げたのではなく結果的に下がった。
速攻型にする為に、縦ポン、ロングボール中心に変えようという持たない選択ではない。
奪いに行く守備の収支が合わなくなってるよね?赤字になってない?だからボールを持てない時間や、高い位置で奪えない事を受け入れる事で守備の安定性を高めよう。
だって被ゴール期待値が1.55じゃ優勝できないよね?というマリノスと似たような問題意識を持って改善に挑んでいる。
その結果としてボールを持てない時間が増加し、チャンス構築数が大幅に減り、ゴール期待値は昨季より‐0.4ptになったが、被ゴール期待値も1.14まで下げる事に成功。
ゴール期待値は、昨今のJリーグで上位にいけるバランスの1.3X-1.1yになっている。
おまけに最近は守備の安定を高めるブロック守備が、前線のタレントに奪った後のスペースを作る事に寄与し始めており、中盤にはそのスペースを突ける脇坂や山本もおり、ゴール期待値は大幅に減ったのに実ゴール数は前線タレント力で落とさないという、本来は去年のマリノスが達成すべきだったソフトランディングの姿を見せている。
そんな相手に、2回目の柏戦でゴールまでろくにたどり着けなかったビルドアップ部隊のまま、退場者が出るまでは保持率60%に達するボール保持のスタイルで挑んだのだから、上手く行く訳が無い。
この戦いの構図はあの試合に近い。大島監督よ、昨年アル・アインに粉砕されたACL決勝戦第2戦で何を学んだ? その後にあの試合はどうすればよかったのか。もし自分が監督だったらどうすれば勝てたのか、と言う検討は行ったかい?
スコア上、ゲームを壊してしまったのは喜田であるが、退場者が出るまでに0-3になっていてもおかしくない試合だった。
0-2になってからも特に勇気のない決断だった。
10人で劣勢を覆すのであれば最も簡単な手法がパワープレーだ。
例えば、前線に馬力で押せる谷村、ジャン、宮市を並べ、後方に天野を足してひたすら蹴って行く。ゴール前にロングボールが送られる度にそれが少し予想外な方向にバウンドするだけで観客は沸き立っていく。2点リードしている川崎はこのまま終わりたいと希望し保守的になっていく。いけると言う期待感が次第にスタジアムに広がっていき、相手を休ませないテンポ、連続性が生まれる。
実際は数的不利を消す為にパクがCBの位置に上がりボールを保持をしても繰り返されるバックパス。未熟な監督はホームスタジアムの空気を味方につけることすら出来なかった
2、改善するには
覚悟が足りない。
ボール保持で結果を残す監督は大体…何かが”おかしい”
一方、日本で大体失敗するのは憧れでボール保持を始める事だ。
憧れ程度の中途半端な意思で始めるものではない。ボール保持は信仰、宗教で始める物であって、勝つ為に簡単に非保持を選ぶような人間がやる事じゃない。
大島監督に問いたい。
何で横浜FC戦とか町田戦と神戸戦では簡単にボール離す選択してんの?
何で就任してから3か月経ってるのに、マリノスの選手はGKを使ったボール保持で+1の数的優位を使う保持の安定すら出来ないの?
ボール保持で結果を出す為に狂ったように全てをボール保持の為に捧げてる?
大島監督にはボール保持に対する信仰を全く感じない。
だから選択を間違えるし、そもそも信仰が無いならやるべきじゃない。
憧れは身を滅ぼすだけだ。
天野、山根、渡辺、角田、この4人をビルドアップ部隊に揃えるのが必須条件で、そこを妥協するべきじゃない。プレス耐性は高いがキックの質に問題がある加藤はレシーバー側がいいかもしれない。更に、この中でも誰をオープンにするべきかの設計は重要で、角田か天野にフリーのレシーバーへパス入れされるのが目的だ。
とにかく個の質に依存したボール保持しかチームに落とし込めていないのだから、構成要素を妥協するならやり方を変えるべき。
3,そもそもとして(戦力最適化案)
保守的な交代が特徴な大島監督。
そんな狂ったフットボールをする資質があるとは思えない。
長年フットボールを見ている経験上、そういう監督は大体が最初から何かがおかしい。
大島監督のような真面目な人間がやるのは難しい。
対戦相手となった長谷部監督の様に、堅実に戦えるチームを作るのが適しており、
ポステコグルーへの憧れを仕事に持ち込むべきじゃない。
今更ブレるかみたいな話があるが、そもそも前述したように戦い方はブレッブレの猫の目的であり、ブレるも何も基軸と呼べる物は存在しない。
残り9試合、上位陣との戦いを見据えて基軸とするべきは長谷部監督から学ぶべきだろう。
ハイプレスは試合開始等に制限し、中心はミドルゾーンでの堅牢なブロック。ボールを持てない時間があったとしても冷静に受け入れ、デイビッドや井上の裏取り力を活かし反発力としてのカウンターを整備する。
時間制限するんだから試合開始からのハイプレスに妥協はない。モウリーニョの様に「悪人になれ!善人はフットボールでは敗北者になる!」と檄を飛ばしたいところだ。
勝ち点を積み上げる為に戦力を最適化する事だけを考えるべきだ。
スタックしてもどうにかできるウイングの個を失った以上、目指すべきは中央のスペースを素早く突く攻撃を主武器に変えるべきだろう。
デイビット+谷村か植中、ハーフスペース突撃が得意な天野か渡辺。
もしくは谷村か植中+井上、ハーフスペース突撃が得意な天野か渡辺。
バランスを考えると、裏取りマン+セカンドトップ&ハーフスペース突撃得意マンの3人構成をベースにしたい。
ワイドプレーヤーだと右はクルークス、ユーリ・アラウージョ、左は加藤と鈴木のサイドハーフ+サイドバックで、アシンメトリーにすると4バックから変化しやすい。
この場合に右SBはバックラインに残るかボランチに入るか、2CBと2CHの構成次第で自由度がある。
例えばデンや松原を使えるならバックラインに残るCBロール、山根を使うなら偽SBなど。
また、ミドルブロックの守備がチームの主戦場となると、ホランド期に抜群のスタッツを積み上げていたジャンが外せない選手になってくるだろう。
ミドルブロックからの中央スペース速攻、サイドからの2次攻撃を主軸とするメンバー構成。ベスト構成だけを記載。
これまでの内容から、誰に何処でどんなプレーをさせれば成功率が高いのかをベースにしている。

442から可変するのもありだが、可変のリスクを消すなら523で対応してもいいだろう。
現状のSB不足を考えるとその方がいいかもしれない。
日本代表は2022年にハーフタイムの突貫工事で実現し、ドイツとスペインを撃破したが、十分な時間が有るクラブチームでミドルゾーンを523で守るブロックの構築くらいは出来ると信じたい。
渡辺がシャドーで天野がボランチ、山根(SB)がバックラインにいる状態が最大火力状態。ボール保持をしたいならこの状態が必須だが、目的と異なる。
前線は裏取りマン+谷村か植中の補完性を重視するコンビが主軸。
スペースが生まれやすい想定ならデイビッド&井上+谷村か植中もあり。逆に劣勢時にクロスからのゴールを狙うのであればCB+植中+谷村の構成もあり。
安定的な敵陣スペースへの攻撃として角田がいる事でWB、又はWBを囮にシャドーがSBのスペースへ走るサイドポン、その2つを囮にした中央裏ポン、そして対角線ロングパスの選択肢が生まれる。選択肢を用意した上で徹底的に蹴って行くべき主砲。確実性よりも何回刺そうとしたかという試行回数を重視したい。
中央は囮役が増えるのであればデイビッドを左シャドーにするのもありだが、523で守る事を考えると守備の負担が増えてリスクをとることになる。
川崎戦で負傷退場となった宮市は復帰が出来るのであれば左WB、シャドーでの起用が想定できるし、外国籍枠でアラウージョが使えないのであれば右WBも想定される。
2回目の柏戦、そして川崎戦を見てもウイングに何とかして下さい状態ではもうどうにもならないのがハッキリしたのだから、特別なウイングを失った事を自覚し、今いる戦力の最大有効活用を模索しないとJ1残留は遠のいていくばかりな気がする。