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横浜F・マリノス 西野SDの契約満了を受けて

近頃、私達はいい感じ

 

今や懐メロとなった約30年前、振り返れば失われた30年の始まりだった頃にゆるーい事がウリの様なガールズユニットのPUFFYがポップに歌った『これが私の生きる道』がヒットしていた。

 

絶望的な勝ち点差を巻き返しJ1残留に迫るマリノスは正に近頃私達はいい感じと言ったところだが、これがマリノスの生きる道と言えるほど未来を見据えられているのだろうか。

 

 

2025年10月28日、横浜Fマリノスは丁度一年前に就任したばかりの西野SDとの契約満了を発表した。長期的な方向性をチームにもたらす筈のSDが1年で満了という事はあり得ないので、実質の解任と言えるだろう。

 

今期はホランド、キスノーボと解任の度に記事を書いてきたが、遂にこの順番が回ってきたという所だ。

 

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マリノスでは監督を信じるだけだ!という非論理的な取り組みが、監督任せにつながり人材不足による迷走を招いた事から、待ち望まれたスペシャリスト、鳴り物入りで現れた西野SDであった。

 

だが彼はフットボール界の尺度においては言い訳不能なほどに十分な時間を与えられたにも関わらず、初手から致命傷と言えるスティーブ・ホランド以下コーチ陣を構成。更には能力的に懐疑的な指摘もあるキスノーボの性急な監督昇格と、その後の判断も間違え続けた結果、マリノスは過去最悪の状況に追い込まれた。

 

獲得した選手の活躍や、夏以降の立て直しを成果と捉える人からは惜しむ声も上がったが、残念ながら妥当な判断と言える。このタイミングでの解任となると3人目の監督選考ではクラブ内に意見の相違があったようであるし、果たして大島監督就任以降の決定に彼は主導権を持っていたのだろうか?

 

もはやSDとしての求心力を、以前に自身が述べた様に言葉の力を失っていたのかもしれない。

 

 

 

中山社長の取材対応と責任

 

西野氏の解任を受けて2025年11月4日、中山社長が取材対応を行った。

 

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内容を端的にまとめると、解任理由は結果責任、今期はこのまま現体制で来期の枠組みを進める。進める中で新SDの採用もあるが12月末の今季終了後となる。

 

また取材では中山社長の責任を問う声も出たようだ。

 

この点、マリノスの競技面(スポーツ)における責任はスポーツダイレクターが背負うという観点から、経営に問題が出ていない、又は経営に影響が出る失敗(J2降格)まではなっていない事もあり、辞任をせざるを得ない段階まで行かないと言う判断も理解できる。

 

一方でクラブの目的として『日本を代表してアジアや世界で戦う』水準には程遠い状態を昨年の失敗を踏まえても改善出来なかった、競技面を再構築する為の組織作り能力は大きな疑問が残る。

 

なぜ失敗したのかは散々書いてきたが、西野氏も前年と同様に(SDという役職ではなかったが西澤氏がいた)、これまでのプロセスを顧みるという地味な作業を怠る、怠慢とも言える態度こそが大破局を招いたと言える。

 

丁度1年前に、西野氏就任発表を受けて書いた記事。

 

speir-s.hatenablog.jp

マスカット&キューエルの失敗を引き継いで修正するのか。ポステコグルーから無駄を排除したソリッドスタイルを極めるのか。マリノスには2つの道があったが、彼はどちらも選ばなかったのは明白だ。

 

マリノスよりも事業規模、人件費が少なく、昨季は17位の柏レイソルと14位の京都が、マリノスが選ばなかった、それぞれの道を迷い無く突き進む事で結果を残しているのが皮肉だ。彼らは最初の一歩目から団結していたし、ゆえにピッチ上で求められるパーツも揃っていた。

 

一方、ようやく何とか生き残り策を見つけた現状のマリノスは一言で言ってしまえば、同じく死にかけたが復活した3年前の神戸を思い出す。まだパーツが足りない感。やっとチームは合理的な戦い方を見つけて団結をしたが、最適と言える人員構成ではない。

 

 

 

アタッキングフットボールという宗教

 

『アタッキングフットボールという旗を降ろすことは考えていないです』

 

中山社長は取材対応でそう答えたそうだが、ではアタッキングフットボールとは何ですか?と問われて未だに明確な回答、クラブとして決まった物が見えてこない。

 

 

何だか良く分かっていない物を掲げていくガッツだけは認めたい。

 

 

大島監督の続投の有無、それらを前提とした今後の発展、選手構成などは一旦置いておいて、今後も禍根を残しかねないアタッキングフットボールを一度決着をつけるべきだろう。聖典が必要だ。

 

フットボールに明確な、唯一無二の答えは存在しない。現実世界に多数の宗教や無信仰が存在する様に何を信じるのかは人それぞれだ。そこにクラブとして答え(信仰先)を持つ事こそがアタッキングフットボールという看板であり旗を掲げる意味なのだ。

 

 

問おう。

リーグ戦で優勝する為に最も重要な事は?

 

ある人は言う、やはり守備だ!と。

年間を通して安定した守備が必要だ。

 

ある人は言う、資本力だ!と

優れた選手を多数抱える事が決定的な差になるのだと。

 

監督という立場だとチームワークだ!と答える人もいるかもしれない。

選手の団結こそが長いシーズンを戦い抜くのに必要だ!と。

 

マリノスの答えは明白だった。

 

ゴールだ!

そしてゴールを生み出す為に沢山攻める必要があるのだと。

 

これがアタッキングフットボールという宗教であり、リーグNo1の得点力を獲得し維持していた根源である。全てをゴールの為に捧げるのだ。

 

 

さて、全ての基準がゴールとなれば、起きる事象の受け止め方も変わってくる。

例えば西野氏が守備の問題を間違って受け止めていたのは明白だ。

 

守備の問題は失点数が多いのが問題ではなく、ハイプレスが機能せずショートカウンターでの得点数が落ちてるのが直接的な問題であり、敵ゴールから遠ざかってしまう事になるプレーする位置が下がっているのが間接的な問題であった。

 

つまり解決方向として、どうしたらハイプレスを機能させる事が出来るのかを考えるべきなのに、ハイプレスはやめて後ろのスペースをとにかく埋めるという判断をする監督を連れてくる。これでは例え失点が減っても問題の解決になっていない。マリノスが求めていたのはハンジ・フリックだった。

 

更に言えばハイプレスの機能性を大きく落としているロペスやエウベルをそのままに、センターバック陣の大幅入れ替えしてみるのも受け止め方が間違っているし、とどめに世界基準なマンツーハイプレスや442のミドルゾーンブロックすらチームに落とし込めないヘッドコーチを2年連続で昇格させた。(別に前年は西野氏の責任ではない)

 

そして攻撃に関する所でも、自陣で問題を抱えたマスカット(回数減)、敵陣で問題を抱えたキューエル(質の低下)、攻撃効率の悪さは年々と高まっており改善は急務だった所に、自陣も敵陣もウイング任せで後は何もない監督とヘッドコーチを選んできた。

 

この結果、こんなん違う!とクーデターが起きて、ハイプレスの問題は何も解決せずに自陣も敵陣も何もない全局面で劣勢のチームが完成する。19試合で3勝したのが最早ラッキー。

 

この様に西野氏の解任は妥当オブ妥当であるが、そもそも西野氏の理解がおかしいというのは中山社長及び前体制がアタッキングフットボールという宗教を理解していない事が原因なのではないか。

キューエルと同じく、2年連続で引継ぎ不足というか事前説明不足によるフィロソフィーの犠牲者が誕生したのでは。

 

…と同時に、これを理解した上で、今からもう一度本当にアタッキングフットボール=ゴール至上主義を掲げるのですか?と問いたい。

 

 

 

ガラガラ…ポン!するんですか

 

大島監督が就任後、紆余曲折を経て、合理的な勝利を目指すチームになりつつある。

 

植中と谷村の根性で支えるファーストラインは浦和と広島からミスを引き出しショートカウンターからのゴールを生み出し、ミドルゾーン以降で構えれば人数をかけてスペースを潰して決定機すら作らせない。他にもセットプレーから連続ゴールが生まれるなど勝敗を決めやすいポイントにフォーカスする事で勝ちやすいチーム化は進んでいる。

 

一方で自陣保持局面の拒絶に見られる様に、負けに繋がる要素の排除など、今のマリノス勝利至上主義=ウイニングフットボールと言える。

 

大島監督が続投するにせよ、しないにせよ、現状をベースに発展するのであれば改善は保持・非保持ともに向上の余地は残すとして、これをゴール至上主義と言えるアタッキングフットボールに無理やりこじつける必要は無いように思える。

 

緊急登板で立て直して残留を勝ち取った監督に翌年は方向転換を迫ると言うのは大失敗するパターンでしかないように思える。今季をベースにするのであれば戦力編成を含めて発展はしやすい。

 

論理的に勝率を高める為に問題を解決出来ていなかったコーチ陣の総入れ替えは結果的に大成功だった訳だが、彼らにゴールこそが全てという狂信的な基準のフットボールを実践可能なのだろうか。

 

 

それともアタッキングフットボールという旗を掲げるとはリセットしてやり直します、と言う判断を取るのだろうか。

 

その際はフィロソフィーを確認して、ポートフォリオと言える作り上げたチームのプレーを確認した上で、クーデターを起こさないコーチ陣もセットで優秀な人材を探して貰いたい所だが、本当に、そこまでやる覚悟が?

 

個人的に中山社長にオススメの組織改革としてアナリティクスチームを統括本部と同等の権力で社長配下に並べる事だろう。選手獲得から現状パフォーマンス、更にはチームの指針制定まで、フットボールを統計的に捉える部門が強い発言権をクラブ内で持つべきだ。

 

アタッキングフットボールだ、ゴール数だ、沢山攻めるんだ、として重要指標は何にする?

 

エリア内タッチ数、シュート数、ゴール期待値、XGot(枠内シュート期待値)決定機…何を目的にチームはプレーすればいい?マリノスにとって攻めるとは何?

 

 

旗を掲げるとは言っても、曖昧な理解のまま、都合よく中身を挿げ替えて、それっぽい感じで何となく飾っておくのであれば、チームに迷いを与えるだけだし、栄光の思い出が汚れる前に、大事にしまっておいた方が良いと思うのだけどね。