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横浜F・マリノス 来期2022シーズンの”希望観測的”編成を考える

残念ながら、2021シーズンのマリノスは2つのトーナメントでは早々に敗退してしまい(勝負の時期に何が代表招集じゃ、おのれ森保)、リーグでは監督引き抜きなどもあり異次元の領域までは至ること無く、覇権奪還はならず。

 

 

前回は横浜F・マリノスが2021シーズンをどの様に戦ったのか、成果として残された物=統計的数値をベースにまとめた。

 

speir-s.hatenablog.jp

 

今回は、残された数値という現実をベースに、編成面から希望観測的な改善点を考えてみた。

 

なお、他チーム選手の獲得については実現性を考慮はしつつも、基本的には好き放題言ってるだけである。あしからず

 

 

 

前田の代わりは

 

基本的に並びは変わらないものとして考える。

 

次に既知の情報として、前田大然は欧州に行くべき状態の選手になってしまったとして、絶対に一人は取らなければならない。

 

その際に、異次元の走力は代替不能として考えるしか無く、前田と同じ強みを持っている選手では数歩及ばない半端な補充になってしまうのだから、異なる強みを持つ選手を狙いたい。

 

 

早速、降格クラブのフリー案件という好条件な選手獲得に関するニュースが出ているが、実現した場合、スタッツから見える選手の能力と、獲得の意図はどのようなものだろうか。

 

news.yahoo.co.jp

 

キャリアのハイライトは2018年。

 

主に前線中央で使われ、通算1542分プレー、シュート本数53本、11ゴール、成功率は20.8%。大分で、J1のキャリアを築いていたオナイウと似た数値と言える。

 

そこから2シーズン、転売を目論んだ海外の移籍先クラブでは商品価値を上げる結果にはならず、残念な2年を過ごした後、昨シーズンに仙台へ帰還。

 

余談だが、前田もあれだけの能力を持ちながら1年を無駄にしていたことを考えると、良い選手を創り出して行こうのプロセスにおいて、とにかくヨーロッパへ行けばいいという、島国根性全開な無計画な移籍を、日本サッカー界全体で再考する時期に来ているのではないだろうか。

 

国内の有望な若者は欧州に行く前に、先ずシティグループの一員であるマリノスに行くのがいいだろう。

 

 

で、マリノスへの適合という面で、皆が気になるのは走力の部分だが、2021シーズンで直近の90分フルタイム出場したゲームを見てみると、総走行距離が3試合連続でチーム1位(前線でも11kmオーバーに達するタイプ)、スプリント数も前田ほどではないが高い数値を記録しており(20回を越えてくる)、突出した武器とまではいかないが、ハードワークをこなせるかという点で問題は見受けられない。

 

 

そもそも、降格が差し迫った終盤戦では何故か先発を外れる試合が多く、途中出場が続いているのが分からない。仙台にそんな余裕があるとも思えず、怪我等でなければ一体何なのだろう。追放されたマルティノスのように監督へ”意見”を言ってしまったのだろうか。

 

もしかすると、契約延長を拒否したことによる影響かもしれない「お前さては、ここで死ぬ気がねぇな?」信用ならねぇ、みたいな。



それはさておき、では果たして前田の代わりなのか、オナイウの代わりなのか、それが気になる所と言える。

 

具体的に言えば(ファーストトップも出来る)右サイド攻撃のフィニッシャーとなる左ウイングか、それとも(レオと競う)ファーストトップなのか、後者だと杉本はレンタルバックが確定だろう。

 

保有戦力という点で見ると前者の方が充足感があるが、前回のシーズンレビューで触れた左サイド問題が再燃する。

 

 

 

左サイド問題とACLの編成

 

右が矛として機能したのと比べると、左は右と同じくらい機会があったのに、チャンスメイク率、ひいてはゴールの効率が悪いという点で、機能していなかった。

 

これはビルドアップの問題ではなく、敵陣アタッキングゾーンでの問題である事を示すように、フットボールラボにおける左サイド攻撃の指数は、高い順で以下になっている

 

マリノス 77  川崎 69.9  FC東京 58.3

 

他チームと比較すれば、いかに右と同じくらい突出して敵陣左サイド深くでプレー機会があったのか分かる。右で崩す為に左を使っていた…なんて数値じゃない。ちなみに右サイドは82。

 

 

プレー機会は多数あったのに、シュートまでいけない。それと比例するように左サイド攻撃からのゴール率は 2019年2.0% 2020年1.4% 2021年0.6% と、皆さんの印象通りに年々と下落の一途を辿っている。

 

シュート率16.3%(リーグ1位)ゴール率2.1%(リーグ3位)の右と比べれば貧果は顕著だ。繰り返すが、構造として左サイドから攻撃をしていない訳ではない。

 

この差をより具体的に説明すると、100回攻撃した場合に、左サイドから1得点が生まれる確率は45%、右サイドは88%と、約倍の差が生まれていることになる。

 

 

ここで入れ替えの妙により、西村が前田のようにゴールを決め、エウベルのようにチャンスメイクしてくれれば理想だが、現実的にはシュートに至る過程として、見えつつある左右非対称の構造を受け入れて、完成させていく方向が堅実なのではないだろうか。

 

勿論、実は西村がオナイウの補填で、左にもエウベル水準のブラジル人選手を用意する可能性もある。ただ、外国籍の枠が3人から拡大の動きが見えているが、マルコス、チアゴ、エウベルが外せない上に、レオが1番手になる中で”ACLはどうすんねん問題”が残る。

 

だから金銭的折り合いは必須として、杉本は残す確率が高いかもしれない。

 

 

 

ボランチ

 

新たなサイクルの始動。

 

news.yahoo.co.jp

 

変革期真っ只中のマリノスに来て、チームと共にキャリアを再生させた扇原だが、マリノスではとても払えない値札が付いたのなら、諦める必要があるかもしれない。

 

もっとも、インに対してアウトも多いマリノスでは、ポステコグルー監督の就任以降、多くの選手が去っていったが、未だに補填が効かず、穴が埋まらないと懐かしむ選手はマテウスと遠藤渓太の左ウイングユニットくらいではないだろうか。

 

さぁ仕事の時間だ。

 

 

どうしても左利きにこだわるのであれば、J1でのキャリアなど条件を含め、希少性も高く、穴を埋めるのは簡単ではない上に、そもそも喜田、渡辺皓太、畠中の復帰を機に岩田を一列戻すとしても、枚数も足りず ”勝ち点80を目指す水準で” 早急な対応が求められる。

 

實藤や角田よりも岩田を使い続けたように、センターバックボランチは畠中が戻っても、ギリギリの戦力である。

 

 

この点で扇原と、長いパスを蹴れる特徴を含めて、スタッツの類似する札幌の高峰などは分かりやすい代替手段ではある。

 

ボランチは90分出るとなれば、全局面に関与するべく、チームで最多走行距離が求められるマリノスのスキームにおいては活動範囲=カバー範囲の部分で若干の不安を残す。

 

強みとしては、扇原と比較した場合にデュエル回数&勝率、ドリブル回数&成功率などに優位性があり、喜田と渡辺、扇原の特徴をコンプリートするポテンシャルを感じさせる選手ではある。

 

 

だが個人的には、今オフに、いかなる手段を用いても手に入れるべき選手がいると考えており、既報通りに、その予算が神戸から獲得出来るのであれば、格好の機会だと言える。

 

センターバック、右サイドバックが可能な岩田にボランチをチャレンジさせているように、センター&左サイドバックとしてプレーしている、柏レイソル古賀太陽にマリノスボランチを挑戦させたら化けるポテンシャルを感じる。

 

角田をどこまで、どのレベルの大会で、何分プレーさせる事が出来ると考えているかにもよるが、連戦の中で畠中を壊してしまった同じ轍を踏む訳にはいかない中で、古賀はプロ選手として十分なキャリアを持ち、蹴れる&持てるセンターバックとしてもプレー可能だ。

 

特徴として、たまに”やらかす”のは昨年までの畠中を彷彿とする。

 

 

……この様に、最終ラインとしても一定の計算ができる能力もあるが、マリノスでは一列前、よりボールをプレーする機会を与えたら、と期待できる選手であり、個人的に3シーズン注目した観点から、安くはないとしても、投資に値する選手と考える。

 

 

この背景として、カレンダーを考慮すれば、2022シーズンはリーグだけでなく、W杯アジア最終予選は勿論、ACL、ルヴァン、天皇杯、そして11月21日にはワールドカップ開幕を控えており、再びとてつもない過密日程が待っている中で、複数ポジションでプレーできる選手の重要性は高まるだろう。

 

リーグ戦はおろか、ACL、ルヴァンと天皇杯も『11月上旬には終わってないといけない』

この前提が共有されなければならない。

 

天皇杯は12月中旬以降にベスト8以降を開催すればと思ったが、田島が11月までに終わらせる宣言をしたので、誰も逆らえないのだろう。

 

その結果、もしかしたらルヴァンとリーグ戦の残りを12月中~下旬にやる日程もあるのかもしれない。まぁ11月までに詰め込むだろうし、それは2試合の為に1ヶ月半休むか?みたいな。

 

 

なお、古賀は右利きらしいが左利きと言われても分からない位、両利きの選手である。

 

古賀 太陽 23歳 182cm/76kg J1通算 6660分 J2通算 5015分

2021 37試合 先発フル出場 3325分 CB 28 LSB 8 RLB 1

 

「もっとボールをプレーしたくないか?」

「王者を目指すチームでステップアップする時期に来ているのでは?」

 

 

 

デトネイター(起爆剤)とマルコス

 

そもそも、ここ2年、左ウイングに入って上手くいく選手がいない。攻撃効率を示すデータでも、その傾向が年々と強くなっているのは前段の通りで、2019年時点ではリーグ最高峰だった戦力を失った補填を、今シーズンこそ解決しなければならない。

 

その中で前田は、新たな解決方法として、上手く行っている右サイドアタックに強く関与する事で、ゴールという結果を残し、左の損失を穴埋めしたと言えるのかもしれない。この点で代わりとなる選手も、その構造を引き継ぐのがスムーズだとしても、機会自体は多いのだから、改善が必要とされているのは明白だ。

 

 

先ず注目したいのは現有戦力の活用として、右サイドのデトネイター(起爆剤)として昨シーズンよりも短い時間でアシストを量産した水沼の活躍だ。

 

プレータイムがゴールに直結している事から、右サイドの攻撃効率上昇に最も寄与している選手と言える。

 

昨年の1109分で10アシストも驚異的だったが、2021シーズンは667分で9アシストと、正に2021シーズンはマリノスが”クラブの規模”を敵に押し付ける、5人交代制を使いこなした象徴と言って良い活躍を見せた。

 

 

また、仲川も、ゴールこそ少ないが6アシストしており、マリノスのファーストトップが、動くべき動きをすれば多数のシュート機会を得られるのと同様に、ウイングも多数のクロス機会を得られると言える。

 

つまり、右と同じ様に、左にも質の高いクロスを蹴れる事を最優先とする選手を用意すれば、J1最高効率の水沼と、同様の活躍が期待できるのではないだろうか。

 

 

この点において、今のJリーグ全体を見渡してもトップ5に入るのが天野だろう。水沼と比較してもドリブルという強みがあり、よりスペースの少ない、クロスを蹴る選手にオープンな状況が作れない状況にも強い。

 

2021シーズンではマルコスとプレータイムを共有する事が多かったが、上手くいかない試合では、いっその事、天野を左にして前田とレオの2トップにしてくれ、と何度思っただろうか。

 

 

ともかく、5人交代制で猛威を奮った効果は既に実証済みなのだから、自然とクロスを蹴る機会が回ってくる場所に最高の質を配備する、この水沼的ウイング運用は左でも試す価値が十分にあるのではないだろうか。何しろ現状は下落の一途なのだから。

 

去就は不明だが、ドリブル、デュエル、クロスという特徴なら、天野でなくティーラトンという選択肢もあるかもしれない。

 

 

実際の運用を想定しても、試合途中の交代において、2トップにはせず、左ウイングとマルコスの2枚替えを行うとして、味方とリンクし、橋頭堡となるスペースを探し、敵陣にスルーパスを打ち込んでいく、マルコスを代替するという意味では、山田康太の方が適任だ。

 

天野が入ることでサイド一辺倒になりがちに(それが効く時もあっただろうが)なってしまうことを防げるし、マルコスの役割を残しつつ、天野には左サイドで特別な質を発揮してもらえれば一石二鳥とも言える。

 

 

山田の特徴として、マルコスが弱さを見せる、敵が背後にいる状況でボールを守るプレー、更にはターンからのドリブルが強み。弱点はシュート成功率だけど、その点は天野も変わらないので、2番手を山田にしてもマイナスでもない。

 

右の水沼、左の天野、リーグでクロスを最も蹴るチームにおいて、左右に配備される最強クロサー。今季、残り15分で最も得点を決めたチームであるが、同時に得点を生み出せずに競り負けた悔しいゲームもいくつかあった。

 

更に来期はいかなる撤退守備をも、上から引き潰すような質を手に入れたい。

 

 

 

サイドバック

 

構造の話になってくる。

 

西村を前田の代わりに考える、もしくはエウベルを左担当に回すにしろ、ティーラトンとの相性が悪い問題を無視できない状態になってきた。

 

何しろ、誰がウイングに入っても、左サイドから一定の時間をかけたプレーでは、年々とゴール率が急速に下落しているのが事実である。

 

 

和田は複数ポジションにおける3番手に必要だとして、2番手、又はレギュラーを争う選手が居ない状況は改善する必要がある、という動きなのだろうか。

 

news.yahoo.co.jp

 

現時点では、鹿島でプレーしている事からも、各種数値はオーソドックスなサイドバックであり、左サイドにも、ボールを一定時間持ちたがる選手ではなく、ランに特徴を持つ小池のようなタイプを用意する意図があるのではないだろうか。小池ほど特別に速いかは別として。

 

 

ティーラトンを入れ替えるのか、それとも競わせるのかは不明だが、入れ替えとなればもう1人が必要と、大幅な入れ替えが行われる事になるし、それ位の事を行っても驚きは無いセクションと言える。

 

前田が作り出した構造の継承をチューニングするとして、ウイングではない、セカンドトップ的な選手を入れる左右非対称を洗練していくのであれば、ウイングバック的なスピードを武器とする、ライン際が好きなサイドバックを必要とするかもしれない。

 

ニッチ(適所)、キャラクターに応じた住み分けとして、例えば左から行くときはボランチセンターバックに降りて3枚で、ライン際で幅を取るのはサイドバック、という構造もあり得るし、この時、ボランチに左で蹴れるセンターバック適性もある選手がいるとスムーズにいくだろう。

 

 

勝ちしか許されないという状況で迎えた終盤戦、下位チーム相手にもビルドアップで大きな問題を残しているのが如実に現れた試合がいくつもあった。

 

2021シーズン、標榜するアタッキングフットボールで守備の安定性を高めることに成功したバージョン3.0と言える現行モデルを、更に3.1、3.2と改善していく必要性があるのは間違いない。

 

その上で、構造の鍵を握ることになる、左サイドバックの編成は注目点になるだろう。

 

 

 

レオはマリノスの仕組みで機会を得なければならない

 

 

オナイウが12ゴール、そして夏以降に、その代役となったレオが10ゴールで、杉本が3ゴール、通年レギュラーだった前田が23ゴールで得点王になった事を思えば、一見、十分に見える。

 

だが、レオのシュート成功率は15%に届いておらず、5アシストという補填はあるにせよ、マリノスのアタッカーとしては物足りない物だったのは間違いない。

 

近年、マリノスのファーストトップとしては歴代最低の数値を記録してしまった訳だが、詳細を見ると、問題の本質が見えてくる。

 

 

① ゴールに対するビッグチャンスミス数を見ると、実の所、レオは決定機のミスが少ない。(by sofascore)

 

前田 23G-15ミス オナイウ 12G-6ミス レオ 10G-2ミス

 

余談だが、エウベルのビッグチャンスクリエイト(決定機作ったけど味方が決めなかった)は16もあり、別に前田一人でもないだろうが、単純に彼が3分の1でも決めていれば、単独で得点王だったし、エウベルも優秀選手にも選ばれただろう。

 

前田、セルティックに行くよりも、まだマリノスでやるべき事があるのでは?

 

 

 

② 1本あたりのシュート期待値が特に低い

 

選手が稼いだシーズントータルのゴール期待値は加算方式なので、シュートを打てば打つほど増える物だが、前田が97本で18.286なのに対して、レオは68本で6.888しかない。

 

これを分かりやすく、1本辺りに換算すると、前田 0.1885 レオ 0.1012 とレオは期待値の低いシュートが多いと言える。

 

 

レオの1本辺りの数値はシーズンのゴール期待値上位20位までに入った選手の中で、古橋と並んでぶっちぎりに低い物だった。ミドルシュートを打ちたがる傾向が出ているのかもしれない。

 

その逆となる例として、オナイウは1本辺り0.2014 と前田より高く、エジガル(0.1937)を越えた。正にマリノス(アタッキングフットボール)のフレームに最も適合したファーストトップと言える。

 

単純計算で言うと、統計的にオナイウはシュート5本で1点になるが、レオは10本も必要になる、ということで、いかに決まる可能性が低いシュートが多いか分かるだろう。

 

ちなみに昨年、夏場の緊急補強だったジュニオールサントスですら、シュート1本辺り0.1390とレオよりも遥かに高く、7本で1点になる。

 

 

レオに得意の形、これまでのキャリアでゴールを重ねてきた経験があるにせよ『マリノスのファーストトップ』を習得することで、これまでとは異なるイージーショットが増えることを理解して貰いたい所。

 

仮にレオが1本平均0.190のシュートを50本打てればゴール期待値は9.5になり、今シーズンよりも3点近く向上することになる。イージーショットが増えれば差分も大きくなる為、15得点程度が可能だった筈だ。

 

 

オナイウは前年、9.1%に過ぎないシュート成功率だったが、今季は25.5%まで劇的に上昇したように、既に出来るはずの選手を獲得しているのがマリノスである。

 

新しく加入したファーストトップにとって必要なのは、能力の向上ではなく、マリノスのスキームにおける最適解の理解だと言える。

 

直ぐに適応したエジガルやエリキの様な怪物に慣れすぎてしまっているので、物足りなく感じるが、半年近くチームに合流出来ず、キャンプも経験できない中で、1年目はオナイウや前田よりも機能したと言え、可能性以上にゴールを生み出す能力があり、レオはまだまだ改善の余地を大きく残している選手だと言える。

 

 

 

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横浜F・マリノス かく戦えり 2021シーズンを統計的に振り返る

横浜F・マリノスは2021シーズンをどの様に戦ったのか。

そこに見られる変化は、監督の評価は、各選手の活躍ぶりは、どの様な物だったのか。

 

フットボールラボのデータを元にまとめた

 

 

大幅な改善が見受けられたのは守備

 

1試合平均0.9失点は、昨年の1.6失点と比較すれば、2021シーズンの最も顕著な変化と言える。堅守のマリノス復活と言ってもいい。

 

それに直結する数値として、被シュートが1試合平均12.7本→10.5本と優勝した2019シーズンを越えた。

 

また、実際に打たれた被シュートの成功率も13%→8.8%と、敵チームは決めるのが難しいシュート、確率が低いシュートを打たされている傾向が見えた。

 

順に並べてみると、敵チームの攻撃機会が減り、次にシュート機会も減少し、その成功率も低いものになった。

 

その被シュート成功率の低下に関してはマリノスの守備エラー、鹿島戦でだけは何度もあったような出来事、個人ミスや、エキセントリックな対応をした結果に発露するオフサイドトラップの失敗から起きる、敵のイージーショットが無くなった事があげられるだろう。

 

そして、優秀選手賞に選ばれないのが最も不思議な選手として思い出される、高丘陽平がもたらした安定とビッグセーブに、10年戦える確信を持てた人も多いだろう。

 

 

一方で、これまでマリノスにおいて、良い守備のバロメーターとなっていた数値は軒並み下がっている。

 

ハイプレス指数 52(成功率50.3%) → 44(成功率53.8%)

最終ライン指数 81 → 61

攻撃→守備の走行距離における敵チームとの優位性 74 → 54

コンパクトネス 47 → 40(非プレス時における守備陣形の面積 ※広くなっている)

 

 

これは以前にも記事にまとめた通り、優勝した2019モデルとは根本的な構造が変わったと言える。マリノスのデザインはバージョンアップがなされた2021モデルになった。

 

speir-s.hatenablog.jp

 

最終節のように、地上戦に限定された川崎の様な相手であれば、むしろ相性は良いが、GKを交えたビルドアップの理論が普及した事、更にそれと組み合わせた、ボールロストよりもマリノスのハイ(敵陣)プレスでショートカウンターを喰らわないリスクヘッジであり、最も簡単な回避方法として、ロングボール戦術を用意してくるチームが増えた。

 

マリノス戦だけは『これをやりきろう』と決めてくる相手との対戦において、理想としてハイテンポで殴り続けたいとしても、総合的に見れば、より効率的にアタッキングフットボールをする上で、我慢が必要になった。

 

 

その点で言えば、GKからのビルドアップに対して、見えてる地雷を踏みに行かずに、黙々とサンペール-イニエスタを消し続けて耐えた神戸戦などはそれの究極的なゲームであったし、ロングボールを散々蹴られ続けても危険なシーンは一つもなかった。

 

まぁ自分達のボール保持がボロボロ過ぎて、自陣ロストの連発となり、低い位置で守る時間が必然的に増加してしまい、シュートは多数打たれたのだが、それは札幌、湘南、J1史上初、20位という最下位で降格したチームなどの対戦でも見えてきたビルドアップの問題であって、そちらも、さらなるバージョンアップが求められると言える。

 

 

 

監督交代

 

シーズン途中に、マリノスという特殊なチームに就任するのは簡単な事じゃない。マスカットは継承者としての役割を十二分に果たしたと言える。

 

一方で、難しさも多く見えた。

 

2021モデルというバージョンアップ、変化は間違いなくあったとして、だからこそ鹿島戦の1失点目は一体何だったのか不思議で仕方ない。誰も近寄りもしない完全オープンなGKに対して、ディフェンスラインはハーフラインに位置し、裏に蹴られるやディフェンスラインは後方に走りながら対応して、あのゲームの方向性が決まるミスが発生。

 

内情は不明だが、外から見るだけの感想として、首位川崎を猛追していた高揚感に飲まれていたとしか思えない。

 

バージョンアップの指標として上げた項目においても、最終的には以前に記事を書いた時とほぼ同じ数値に落ち着いたが、8月後半のゲームから、つまり勝点を落とし続けた時期において、改善を見せていた各項目が裏面に反転する勢いで、2020シーズンの様な数値になっていた。

 

 

これにはいくつかの試合でセットプレーから先制点を早々に献上した事で、逆転への焦燥感を抱えたプレータイムが多くなってしまった、という展開の妙もあるかもしれない。

 

だが、そもそも21試合が終わった時点では5失点しかなかったセットプレーからの失点が、それからの17試合で7失点と、終盤戦に1点が重い試合が続く、勝利しか許されない状況において、かなりのブレーキになったのは間違いない。

 

 

より直接的な監督の裁量という点で見ると、連続する中2日の日程において、前2試合で続けて終盤に足がつり、直近試合では最後の数分プレー不可能だった畠中の先発起用も含めて、8月末の鹿島戦は大きなターニングポイントとなるゲームだったと言える。

 

渡辺皓太の退場を招いたリスク管理など、戦力が均衡したリーグで、高いレベルにおける経験の少なさを思わせる場面も見受けられた。

 

 

また、下位チームとの対戦が続いた夏場など、一時期は上手く行った事もあったが、より苦しいゲームではユニットの関係性、補完性を考慮しない結果、闇雲に見える選手交代で明らかなパワーダウンを招くなど、やはりシーズン中の監督交代はダメージが皆無とはいかなかった。

 

所有戦力を掌握、熟知した指揮官の強みという文脈において、優勝チームも戦力という点では夏に大きな痛手を負ったはずだが、個々の特徴を含めたチーム戦力を知り尽くした事による戦力の運用という点で、一日の長を見せられたと言える。

 

 

 

最強の右サイドアタック

 

矛盾という言葉があるが、Jリーグにおける矛という点ではマリノスの右サイドが上げられるだろう。

 

比較として、マリノスの左サイドアタックを見ると、シュート率12.9%(リーグ9位)ゴール率0.7%(リーグ15位)と奮わない数値を記録。

 

一方で右サイドはシュート率16.7%(リーグ1位)ゴール率2.2%(リーグ3位)、右アタッキングエリアにおけるプレー機会も他チームとの比較において突出しており、リーグ最多得点チームにおける主武器と言える。

 

右サイド攻撃指数、1位マリノス81.8 2位広島60.2  川崎53.3

 

 

攻撃関与の項目を見るとラストパス機会はエウベル、小池が並び、メインシューターは前田と、右サイドからの攻撃が機能したからこそ、左の前田が中でプレー出来る機会が増えた結果、ゴールを多数生み出せる構図が生まれたのが分かる。

 

また、水沼、仲川など、プレー時間(機会)の限られた二人も、それぞれ9アシスト、6アシストを記録している様に、一定以上のクオリティを持つ選手が入れば機能する構造が出来上がっていたと言える。特に水沼のプレー時間辺りのアシスト数はサカつくなら神の領域と言える。

 

 

 

中央と左

 

リーグ最多得点のチームなのだから、全般的に攻撃は上手く行ったと言える。

 

例えばマルコスは得意の左足ショットが尽く僅かに逸れた事で総ゴール数は若干減って9ゴールだったが、一方で5アシストを記録しており、いわゆる通れば一撃の勝負パスも多く、敵も一番警戒するエリアで機会こそ少ないが、中央攻撃をする上で欠かせないキーマンなのは変わらない。

 

サイドが他よりも突出して多すぎるだけで、中央攻撃の機会もリーグ4位、そしてクオリティという点で見れば中央攻撃のゴール率6.3%はリーグ1位であるし、そのエリアから最もラストパスを送ったのはマルコスである。

 

 

問題は右サイドと微差くらいにプレー機会があったのに、ゴールはおろかシュート数も奮わなかった左サイドからの攻撃と言える。

 

何しろ最もシュートを放ったのが、残念ながらアタッカーの中ではシュート成功率が一番低いエウベルであるし、そして最もラストパスを蹴ったのが前田となっている。

 

あえて単純化して言えば、ラストパスを蹴るのが前田で、シュートを打つのがエウベルだと、この貧果も納得の数字と言える。ちなみに左サイド攻撃から生まれたエウベルのゴールはゼロとなっている。

 

※補足 清水戦の前半3分において、左サイドをスルーパスで抜け出した前田→エウベルで1ゴールあるが、アタッキングゾーン左で行われたプレーは前田のクロスのみなので、連続したプレーを要件とする左サイドアタックとしては集計されていない。

 

 

つまりこれは、左サイドからの攻撃ではクロス、シューター共に、オープンな状況が必要だったと言える。

 

オープンになるのであれば右だろうと左だろうとマリノスのアタッカーなら高いクオリティを発揮できるのは自明の理であるが、オープンにならない状況でどう打開するのかがマリノスにとってはメインテーマであり、左からの攻撃ではスペースを消されるとスタックしてしまった、とも言える。

 

 

更に、ほとんど右でプレーした小池が左でもラストパス機会4位なのと比較すると、ティーラトンは前年3位だったが、2021では5位にすら入っていない。前田がいなくなる事も想定されるだけでなく、改善の必要性を最も感じるセクションと言える。

 

エウベルの左起用など、他のアタッカーとの兼ね合いを考慮すれば、左サイドにも小池のようなリーグ水準以上の機動力を持つサイドバックを用意するなど、編成面においても最重要項目かもしれない。ティーラトンの入れ替えもあり得る。

 

例えば現有戦力の活用という点では、岩田に複数ポジションを求めるように、宮市は僅かながらドイツで経験したことを思い出してもらい、サイドバック起用もありなのかもしれない。

 

低調なことはクラブも既に把握しているだろうから、大きなシャッフルを予感させる。

 

 

 

新たなサイクルを望む

 

これほど1年前が遠く感じるシーズンは無かったのかもしれない。

 

2020年の12月7日はまだカタールにいて、アジアの頂点を目指しACLを戦っていた。

 

マリノスは残念ながらベスト16において、昨年チームの限界を示すような完敗を喫し、彼の地を後にしたのだが、もし勝ち上がっていたら決勝戦と同日に予定されていた、『絶対に変更はしない』と明言されていたJ1リーグ最終節は一体どうなるのか。

 

幻となった、ACL勝戦J1リーグ終戦の同時開催は2020年12月19日、そんな心配も遠い昔に感じる。

 

 

その後、シーズンオフに入ったマリノスは手堅く戦力を維持したかに思えたが、エリキを中国にかっさらわれ、やや緊急感をもって新加入となったレオであったが、コロナの影響でいつ合流できるのか不明のままシーズンインを迎え、エウベルも怪我等があり、開幕戦は高卒ルーキーの樺山がスタメンを飾るも結果は出ず、低調なシーズンインとなり、若干の不安を抱えていた時期も懐かしい。

 

余談だが、樺山は夏にプレー機会を求めて山形に移ったが、高卒新人としては十分であるが、エウベルが水準となるマリノスのアタッカーとしてはゴールを生み出す質までは見せられていなかった。

 

 

そんな今シーズンの入りについて、様々な事情から若干の出遅れ感があったのは間違いがないだろう。もっとも近年のマリノスは戦力編成においてはスクラップ&ビルドを繰り返しており、離陸体制が整う助走期間が必要なのは毎年恒例の感すらある。

 

だがこれは横浜F・マリノスが高いレベルを維持し続ける上で必要な事であり、それなりの金額を貰えれば欧州に選手を送り出してしまうやり方も含めて、昨今の情勢を見据えた結果、戦略として正しいと言える。

 

 

だからこそ野心のある選手が、得体のしれない転売屋よりも、マリノスを選ぶ状況が生まれる。

 

マリノスでゴールを量産する事よりも、辺境や周辺リーグに行くことは選手キャリアにおいて、ステップアップにつながるのか!?

 

選手市場という観点でみた時に、日本という生態系においてはマリノスはどちらかといえば買う側だが、より大きなスケールで見た時、その上にヨーロッパという規模が異なる市場がある限り、望まざるともJリーグのクラブは何処まで行っても、有望な若手をできるだけ高く売る育成クラブでしかない。

 

エースが中国に、フランスに、更にはまさかの監督に続いて、冬になれば当たり前の様にトップスコアラーも欧州に出ていく。一部の瀬戸内海方面では、怪物級の能力を持つ選手を使いこなせなかったチームもあるようだが、近年のマリノスはエース生産工場の様相をみせる。

 

入れ替えによる再整備に伴う、再起動のウェイティングタイムが若干発生するとしても、恐れずに踏み込んでいく。

 

そのサイクルを回す力こそが、優勝争いをし続ける力になり、継続された先にビッグクラブ、勝者のメンタリティ、常勝というワードが後から付いてくる事になる。

 

リーグ戦において10年の間、1度も最多ポイントになっていないチームは、最早常勝というワードが相応しいとは思わない。

 

 

特定の環境下で生き残るのは強い生物ではなく、適応した生物である。

 

 

 

P.S

最近はTwitterスペース機能で、マリノス試合後雑談など好き放題話す、とかもやってます。

ある程度、情報が出揃ったら来シーズンを語る、とかもやりたいですね。

 

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ポステコグルーから何を学んだのか

絶対にブレてはいけない。

言うだけなら簡単だが、外部環境がある中で、それを実行するのは難しい。

 

 

プロサッカークラブにとって、それは勝敗であり、更に1つの勝敗が重みを増すであろうタイトル、ポイントレースという重圧が、正常な判断を容易に狂わせる。

 

マリノスが目指すデザインを深く共有した、建築家であり、魂の伝道師はクラブから旅立ったが、その素晴らしい教えは残り続けなければならない。

 

監督が暫定であろうと、マスカットであろうと、マリノスのサッカーは変わる事がないとして、そこで生きるとはどういうことなのか、師が示した立ち振舞いを忘れてはいけない。

 

サッカーという不確定要素の多いスポーツにとって、スコア上の敗北は結果に過ぎず、チームのパフォーマンスを評価する上で、最も重要な指標に足り得ない。

 

マリノスは1つのゲームに敗北したとして、その敗北をどの様に受け入れるかを3年以上に渡り、ポステコグルーから学んだ筈だ。

 

 

 

2021年9月17日の名古屋戦で記録したマリノスの得点に近いスタッツは以下になる

 

 

ゴール期待値

 2.235  今季平均 1.896

 

枠内シュート数

 8本   今季平均 5.8本

 

チャンス構築率

 16.8%  今季平均 12.7%

 

 

関連指標として、ボール支配率65.5%、30mライン侵入87回、ペナルティエリア17回、これらも全て今季平均を上回る数値を記録。

 

(DATE by フットボールラボ)

 

 

 

タイトルは重要だが、それで態度がブレてはいけない。

うろたえ、痛がり、動揺している様を見せてはいけない。

 

 

鹿島戦は酷いもので、かなりネガティブな雑感を上げた。

敵がいる、邪魔をしてくる、だとしても何も出来ないに等しいものだった。

 

speir-s.hatenablog.jp

 

 

 

だが、アタッキングフットボールとして、この敗北は、大した痛手ではない。

 

 

 

 

 

ならば、かつての師のように、堂々と受け止めればいい。

 

「敗北は残念だが、ゲームを支配し、より多く敵ゴールに迫る自分達のサッカーは出来ていた。」と

 

揺るがない姿勢というのは、辛い時にこそ見せるものだ。

ダメージを受けていないぞ、と。

 

 

画像

(引用元 
https://twitter.com/prompt_fmarinos/status/1402904673212780544

 

 

 

敗北に悔しさはついてくるだろうが、タイトル争いでマイナスだからと言って増幅させる必要はない。ただ粛々と論理的勝利を積み上げていき、その先にタイトルを多数保有する集団こそが現代におけるビッグクラブ=常勝軍団である。

 

アタッキングフットボールが問題なく機能した時、対戦相手は記憶に残らない。我々の記憶に残るのは、このゲームはゴールが生まれなかった、ただそれだけの悔しさでしかない。

 

主審も好きにすればいいし、対戦相手も勝利を誇ればいいし、岩田に聞かせる愚痴もない。

 

 

クラブより重要な選手はいない、と言われる事もあるが、何がタイトルだ。

 

いや、タイトルは素晴らしい、何より感動が生まれるし、それがより広く伝播しうる手助けになり、歴史と伝統はより深みを増すだろう。

 

だが、クラブのアイデンティティより、重要なタイトルなんて地球上に存在しない。アタッキングフットボールで獲得しなければ意味がないし、このゲームにおいても、マリノスは素晴らしいサッカーをした。

 

 

だから、気になるのはただ一つ、シュート成功率4.5%を記録したシューターの皆さんだ。

 

(#`ェ´)

 

ワーストゲーム 21シーズンJ1 マリノス鹿島戦雑感

J1リーグ2021シーズンを戦うマリノスにとって、現時点で最も酷い試合だったと言える。

 

 

それは前回3-5で敗れた試合、開幕戦、勝ったのが不思議なガンバ戦を含めて、辛いゲームは沢山あったが、標榜するアタッキングフットボールの根幹である、得点機会のクリエイトが最低だった事を意味する。

 

 

フットボールラボにて集計されるゴール期待値において、今季これまで最低だったのは、5月22日に行われた松原の一撃で辛うじて同点で終えた柏戦だった。

 

この試合のゴール期待値は今季平均1.909を大きく下回る0.674、まさに幸運で特別な一撃が必要な、可能性の低い攻撃だったと言える。

 

ところが今回の鹿島戦ではそれを更に大幅に下回る0.567、今季ワーストを記録した。

 

 

戦力運用

 

この8月、首位の川崎が三笘と田中を失い、攻撃のクオリティに問題を抱えている一方で、好調に思えたマリノスセンターバックの人員に問題を発生させていた。

 

川崎が再開以降に3試合で2分1敗と勝ち点7を喪失したのに対して、マリノスは最後の最後に勝ち点3を失うツケを払うことになった。

 

2試合連続で終盤に足がつり、前試合に至っては最前線の”ミソッカスポジション”で休養しながら試合を終えた畠中をそれでも起用したのは結果的には、今後中期的に戦力ダウンが起きる事も含めて大失敗だった。

 

明らかな”サイン”が出ていた選手を中2日で先発させるこの采配は同時に實藤に対する信頼感の無さを浮き彫りにさせた。来季に向けて一番動きがあるかもしれない。

 

 

また、連勝中は途中交代を最大限に活用した前線選手の時間基準での運用が成功していたが、組み合わせにより生まれる効果が考慮されているとは感じなかった。

 

鹿島という敵を過小評価していたのだろうか。

 

サイドに開いて足元にボールを受けてからアクションを起こす、もしエウベルであれば…右サイドではそういう局面が前半だけで何度も見られた。

 

他には失点シーンとなった被カウンターの直前などが典型例だが、内側に入る前田が敵サイドバックを引き連れる事で空くサイドのスペースで和田がフリーになる、という構造が度々起きていたが、右側同様に、ここでもティーラトンだったら…と思わされた。

 

 

更には全体的な組わせとして、マルコスが敵2.5列目に徹底監視される中、扇原とティーラトンが居ない、右は松原でもない、クォーターバックが一人も居ないのに、両ウイングがレシーバータイプとして、誰が彼らにパスを投げる? 一体、どういう想定だったのか、意図が分からなかった。

 

連戦だからとにかくプレータイム重視なんだ、として、それが今季ワーストの攻撃につながり、更には唯一運用しない決断をしたセンターバックが、その代償を個人もチームも払うことになってしまったのを見ると、遣る瀬無き、という気分である。

 

 

 

偶然と必然

 

ゲーム自体を総評すれば0-2はアンフェアな結果と言える。

 

鹿島の決定機はオープン(シューターとGKの間にDFが居ない)な物であったが、90分でそれのみでしかなく、同様のシーンはマリノスは終盤にアーリークロスから両ウイングがそれぞれシュート機会を迎えている。

 

両ウイングは元からシュート成功率が低いからせめてどっちか一本は…として、シュート名人と言えるマルコスの”確信的ショット”が枠を捉えなかったシーンも含めれば、鹿島のゴール期待値はマリノス以下の0.4台であり、決して一方的に、完敗したゲームとは言い切れない。

 

結局の所、対鹿島というのは彼らが究極的ミス待ちサッカーで挑んできて、特にマリノス側で守備の局面においてミスが出た際に発揮されるエネルギーと集中力が極めて高く、それは元から彼らが「それで一点突破しよう」という意図を持ち、準備しているからだと言える。

 

 

その点で、最初の失点シーンにおけるミスとは何か?

 

畠中がやらかしたどうこう以前に、敵GKがあの位置から精神的余裕が十分とれるフリーキックで(つまり完全にノーカバー、オープン)でボールを蹴るのに、DFラインをセンターラインまで5m未満まで上げる必要があるのか?

 

ミスを待って蹴り込んでくる相手に、どの様な陣形をとるべきか。仮にマリノスの2列目が競る位置だと、そんなに問題が起きるだろうか。

 

ゲームの形勢が決まりかねないリスクを犯して得られるメリットは何だろうか。蹴られた瞬間にダッシュで後方に一旦戻ってからヘディングで対応する事になるのが、果たして良いことなのか。

 

何故マリノスが鹿島に連敗中なのか、それはミス待ちサッカーに対して、ミスが起きやすい事を繰り返してるからではないか。

 

 

また2失点目に関わった喜田のプレーは残念だった。

 

ゴール前での残念さはネタでしかないが、彼のレゾンデートルに関わる残念なプレーだった。喜田の評価基準に得点力は入ってない、入ってるならトップクラブであるマリノスのユニホームを着ていないだろう。

 

 

被カウンターの局面、人数的なリスクコントロールは出来ていた。にもかかわらず、なぜ、敵陣内でピトゥカを潰そうとしなかったのか。

 

2人しか居ない相手に追走のマルコスを含めて4人の局面でリトリートするのが今のマリノスだろうか。コーナーエリア前から蹴られるGKのフリーキックにDFラインをセンターライン付近まで上げるのに?

 

徹底してミスを待つ相手に対して、リスクのとり方がちぐはぐに見えた。

そして起こるべくしてミスが起きて、それが全て失点につながった。

 

まったくもって遣る瀬無い、である

 

宮本監督解任な2021年のガンバ大阪は何が悪かったのか

これまでブログでは、マリノスのみを対象にしてきましたが、突然の大低迷となった結果、遂に、事実上の監督解任に踏み切ったガンバ大阪

 

f:id:Speir_s:20210514133207p:plain

(引用 

https://twitter.com/GAMBA_OFFICIAL/status/1392456236939943937

 

 

フットボールラボ提供のデータから見るチームの特徴というのをマリノスで行ってきましたが、ガンバ大阪も気になったので調べてみました。

 

はい、完全にヤジ馬です。

 

DATE by フットボールラボ(

https://www.football-lab.jp/

 

 

 

結論から言えば、失点を減らす為に、得点力が犠牲になっている。

 

という、皆がそんなの分かってるよ、という感じなのですが、では具体的に、失点をどのように減らそうとした結果、何が犠牲になり、得点が減ってるのか、説明したいと思います。

 

そもそも意図的なのこれ?みたいな

 

 

 

磨きがかかった堅守?

 

先ず事実として、ここまで10試合を振り返ると、2021年のガンバ大阪(以下ガンバ)は昨年以上に守備が堅かったと言える。

 

東口の奮闘は誰もが分かるところだが、それ以前に、シュートが放たれた状況を数値化した被ゴール期待値において、2021年ガンバの被弾状況は以下になる。

 

 

2020年 1.675

2021年 1.483

 

1試合平均で0.2ポイント近く下がっており、これは少なくない改善と言える。

 

 

更に、実際の1試合平均失点数、そして期待値との差分は以下になっている。

 

2020年 1.2 期待値との差分 -0.475

2021年 0.9 期待値との差分 -0.583

 

実際の失点数において、0.2ポイント以上の恩恵が発生しており、これが計画されたものであれば、さすが宮本恒靖と、益々、その評価は高まっていたのかもしれない。

 

 

ここからが本題で、何を犠牲にして、この利益を獲得したのか、となる。

 

 

 

データから伺える守備構造の変化

 

1試合平均の、被攻撃回数、被チャンス構築率において、全てが微パワーアップを感じられる内容で、それが反映される被シュート数は-0.8本となり、まさに被ゴール期待値0.2はここにあり、という数値になっている。

 

一方で、元から被シュート数自体は多く、改善しても今季の被シュート数14.1本はリーグ19位、ワーストな数字である。

 

にもかかわらず、被ゴールが0.9点、さらに被シュート成功率が6.4%に収まっているのは東口の頑張りだけでなく、シューターの周囲に大きなスペースがあるような、オープンな状況でのシュートの少なさが伺える。

 

データからみると、より撤退した自陣後方で守る、後ろのスペースを減らすやり方への転換…なのか自然とそうなっているのかは分からないが、変化が確認できた。

 

 

 

昨シーズンも引いて守る様な印象が強いかもしれないが、20年ガンバは以下となる。

 

ハイプレス指数 56

最終ライン 55

コンパクトネス 63

 

 

一方で、21年のガンバは以下になる。

 

ハイプレス指数 43

最終ライン 43

コンパクトネス 44

 

 

各数値の詳細説明は割愛する(

https://www.football-lab.jp/pages/team_style/

 

敵陣のボールを奪いに行く頻度が大幅に下がり、プレス出来て居ない状況でのデェフェンスラインが低く、守備組織も縦に伸びている(つまりファーストラインは変わってない※)

 

※守備組織がコンパクトなままラインが低いのであれば、全体が下がっているが、ガンバは広がっているので、後ろだけ下がっていると言える。

 

 

鶏が先か、卵が先か、ラインが低いから行けないのか、行かないからラインが低いのか、だがファーストラインは半端な立ち位置でコンパクトじゃなくなってるが、自陣のゴール前に人は居るっぽい?ので跳ね返したり、ブロックしたりで失点は増えない。

 

 

どうみるのかは宮本恒靖氏が語らなければ分からないが、昨年に結果は良かったけれど、被シュート数が多いので変えたのか、それとも変えるつもりは一切ないのに、ピッチ上で選手の意思統一がバラバラなのか。

 

少なくとも現状を見ると、ゴール前に人がいるだけな守備、という印象を受ける。

 

 

そして、この反動が出ているのが得点力だ。

 

 

先ず君たちが決めろ?

 

チームとしてどれだけ得点機会を創出できたのか、ガンバのゴール期待値を比較すると以下になる。

 

2020年 1.454 実得点 1.3

2021年 0.913 実得点 0.3

 

0.5ポイントも期待値が下がった上で、更に差分が-0.6ポイントと目を覆う数値に。

 

期待値はいわゆるハネる事もあるので、資金力があり優秀なアタッカーがいるチームであれば、例えば実得点が1.2になっても驚きはなく、その場合にガンバは10試合で12得点、3試合少ない状態で8~12位前後と、監督解任とまではならなかったと思われる。

 

※同じACL組の川崎、名古屋とは6試合

 

(ゴール期待値と実得点の参考)

川崎は異常値とも言える+0.6オーバー、名古屋+0.189、マリノス-0.018、鳥栖+0.188、神戸+0.196…エウベルもうちょい決めようか?

 

 

チームに若干、構造としての問題が起きているにせよ、正に決めるべき選手が決めていれば、ここまでの”貧果”にはならなかったかもしれない。

 

監督にも言い分がある、ということだ。

 

 

 

アタッカー陣も言いたいことがある?

 

 

一方で、構造が招くアタッカー陣の辛さ、も垣間見える。

 

先ず、トランジション、いわゆる切り替え勝負の局面において、特に守備から攻撃の際に大きなパワーダウンが確認できる。

 

2020年 60 → 2021年 44

 

これも説明の詳細は割愛するが、チーム全体としてボールを奪った3秒間に敵チームよりも縦方向に走っていれば上がっていく数値である。

 

一旦、いわゆるカウンターに関わる人数が減っている?という推測をするに留める。

 

 

 

次に、ショートカウンター指数を見ると、指数自体は微減だが、その攻撃がシュートに達する確率が大幅に下がっている事が確認できた。

 

 

2020年 Sカウンター指数 48.7 シュート率 18.5%

2021年 Sカウンター指数 46.5 シュート率 11.4%

 

 

ところが、ショートカウンター時に走っている人、を計測した各数値では、人数と中身で大幅に増加している。

 

2020年

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2021年

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先に守備構造の項目と合わせて考えられる推論として以下に考えられた。

 

 

同じショートカウンターだとしても、ボールを奪う位置が低いので、アタッカーは全力で走り込まないと、間に合わない状況になっている?

 

 

その結果、高速走行の弊害としてミスが起きやすく、シュートまでたどり着けない可能性。

 

 

 

さらに…ロングカウンターにおいても、ファーストラインが半端に設定され、後ろに人がいるだけの守備が悪影響を見せていると思われる。

 

 

2020年

f:id:Speir_s:20210514131418p:plain

 

2021年

f:id:Speir_s:20210514131557p:plain

 

 

30m以上のロングパスと、敵陣において7秒間で3人が関わったコンビネーションプレーが激減。

 

推測として、ゴールを守るだけの撤退守備により、両サイドで選手の位置が悪くなった結果、サイドを活かした大きな展開が無くなり、さらに半端なファーストラインとなっている前線でも、各選手の距離感が悪く、フォローが間に合わずパスがつながらない、と思われる。

 

 

結論として、スペースがある状況、数的優位がある状況といった、イージーショットが無く、おまけにこっちはシュート打つまでに疲弊してんねん!みたいな

 

 

これがデータから確認できる、守備が得点力に影響していると思われる、ガンバ大阪の2020年と2021年の差、となります。

 

 

今年はDAZNさん肝いり企画で、昨年のドキュメンタリーが公開されるそうですが、この様な事となり、よそ者としてはどの様な気持ちで視聴をしたら良いのか、困惑をしております。

 

ナニワトモアレ、2021シーズンはACLも含めて、この後も引き続きコロナ禍の元、超過密日程で進んでいきますので、ガンバ大阪様皆様のご健勝、そしてアジアでのご活躍を祈って終了とさせて頂きたいと思います。

 

お読み頂きましてありがとうございました。

 

 

 

P.S

 

マリノスファンとして、ひとこと言いたいのは、改善点は明らかなので諦めるにはまだ早いんじゃないか、ということです。

 

特に、マリノスとの対戦はまだ2回残っており、公平性の観点から、何よりもクラブのレジェンドである宮本氏とは、最後まで共にする覚悟で、是非とも11月3日まで解任は待って頂きたかった所です。