横浜F・マリノス ファン

横浜F・マリノスを応援するイチファンによるブログです。

横浜F・マリノス 25シーズン夢の大補強プラン

皆さんこんばんは

 

この度、横浜F・マリノスのSD(想像ダイレクター)に勝手に就任したと自称するダダのいちファンです。

 

さて、以前に窮地のキューエル監督を救うべく勝手に改造計画を発表させて頂きました。

 

これは今期、監督及びコーチ陣が整備するのではなく、先日のワールドカップで結果を出した事から、選手に完全委託する西野&森保方式、通称ジャパンズウェイを採用した今季のマリノスでしたが、残念ながら現日本代表選手が一人もいない事から、キューエル式433を消化できずにいました。

 

この為、監督及びコーチ陣の力量を度外視可能な、特化した性能を持つ選手をピックアップし、自然発生するケミストリーで問題の解決を達成可能だと信じていました。

 

speir-s.hatenablog.jp

 

しかし、皆さんもご存じの通り、この僅か4日後。

 

キューエル監督は今さらそこなのかという「フィロソフィーの相違」により解任となってしまいました。

 

一体、何を会話して契約をしたのかと考えましたが、もしかしたらスポーツダイレクターを務めた社長とはたまたま立ち寄った居酒屋で出会い、中学の先輩つながりで意気投合しただけだったのかもしれません。よくある事ですので、仕方が無いと言えます。

 

元スター選手であるキューエルが、せっかく横浜に来たのに半年で去るのは不憫にならないと思いましたが、あまりに早い出国にシウマイとありあけハーバーを1年分持たせて送り出す事も出来ず、当時はいちファンとして想像力が足りなかったと、忸怩たる思いで、1日3食しかご飯を食べれない日々を過ごしました。

 

 

そして、同時に翌年はもっと苦戦するに違いないという見込みの元に、真の大型補強案を準備し始めた矢先であり、振り上げた拳の行き場を失う事態でした。

 

何よりも、きっとACLに勝つ為であれば、性急で拙速であろうと、奇妙な位に迅速にシーズン移行を成し遂げたJリーグ野々村チェアマンであれば、25シーズンはACLエリートと同じく、Jリーグも外国籍枠は完全開放になるのは当然にして間違いがないと、ブラジル人選手10人体制へ向けて走り出した矢先の出来事でありました。

 

 

なお既に、その別世界となっているACLエリート西地区では、昨シーズンにあたる決勝戦マリノスを倒し優勝したアル・アインが、Cロナウドほか10人の外国籍選手を投入したアルヒラルに5-1で惨敗し、優勝監督であるクレスポが解任されています。

 

 

 

 

合理的に緻密に…平凡に強くなる

 

マスカットの元で行われた走力依存度の減少とテンポダウンに、キューエルの目指したスペイン代表を多分恐らく理想とする様なプレー。

 

21年から3年、この3年間を振り返るとポステコグルーとの緩やかな別れだったと言えます。

 

speir-s.hatenablog.jp

ポステコグルーのフットボールをやる上で、最も重要な要素はポステコグルーがいる事。弟子が上手く行かずに、再現できない理由はここにあります。

 

その点、一番弟子と言えるマスカットはそれをよく理解しているからこそ、彼だけは成功しているのかもしれません。

 

今後は特別な人物が見つからないのであれば、特化型ではなく、オールラウンダーとして、最先端に接続し、高いフットボール的教養を持つ人物に合理的にチームを構築してもらうしか方法はないのではないでしょうか。

 

正にウルトラCではなく、平凡に強くなるしか道はないのを理解する必要があります。

 

 

この点で思いつく監督はウナイ・エメリと言えます。

 

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アストンヴィラスティーブン・ジェラードという元リバプールのスター選手が監督に就任するも成績不振で解任、エメリが引き受けた時はリーグ17位でした。

 

それから僅か1年、アーセナル、シティの連続撃破、リーグ4位で欧州CL出場権の獲得、大型補強などの特別なバックアップがあった訳ではなかったのです。

 

全局面を突き詰める、エメリは平凡に合理的に、そして緻密に手腕を発揮しました。

 

 

 

想像大型補強 ミッドフィルダー

 

以上を踏まえて、新シーズンに向け、トップクラスの選手を想定に入れつつも、若干の実現可能性を含んだ想像大型補強を実施します。夏に紹介した選手は現在も引き続き有効ですが一旦置いておきます。

 

 

ブラジル1部 最高のプレーメーカー

カイオ・アレクサンドル 25歳 バイーア所属

 

31試合 2458分出場

パス成功率92% キーパス28

 

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彼は多彩なキック、ドリブル、トラップ、プレス耐性、彼がいれば敵チームのハイプレスを個で瓦解可能な真の実力者にして、中盤に君臨するゲームの支配者と言えます。

 

夏に450万ユーロで移籍をしてしまったので、10億円近い解除金が必要になるでしょうね。

 

 

 

中央コンバートが大成功 モバイルクォーターバック

アリソン 31歳 サンパウロ所属

 

17試合1369分出場

パス成功率90.66% キーパス13

 

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10年以上ブラジル1部でプレーするベテラン選手。

しかしサイドから中央でプレーを始めたのは今年になってからです。

 

ロングボール、チップパス、ドリブル成功、デュエル勝率、起点ではなくアタッキングサードまで仕事を出来る攻撃性能を持ったチャンスメーカーと言えます。

 

31歳、22年1月に結んだサンパウロとの契約が、そろそろ満了の時期ならチャンスかもしれないですね。

 

 

中央のドリブラー 最早パスをするランニングバック!?

デニウソン 23歳 クイアバ所属

 

28試合1780分出場 1試合平均ドリブル成功数&率 1.8(74%)

 

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なぜそんなにドリブルをしているのか、表示ポジションを間違えてるんじゃないでしょうか。

何しろドリブルのスタッツは日本に来る前のエウベル以上なのだから。

 

しなやかな身のこなしで敵を交わし、打ち抜くパス、スクランブラーというよりも、最早これはパスをするランニングバッグ。Jリーグでは先ず見つける事が出来ないでしょう。

 

フリーの選手を見つけてパスをするのではなく、フリーの選手を作り出してパスをする能力を持った選手。ドリブルでバグらせるパスディフェンス。まるで宮城リョータ

 

保持の局面に拘るのであれば、必須の選手かもしれないです。

クイアバが買った金額はそれほど高くなく、1年半が経過しているようです。

 

 

 

想像大型補強 ディフェンダー

 

オールラウンダー コンプリートCB

ジョアン・マルセロ 24歳 クルゼイロ所属

 

27試合2333分所属 クリーンシート8 パス成功92% 対空デュエル63%

ロングボール成功率 62%

 

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彼は総合的な能力が秀でた穴が見えないディフェンダーです。

 

ビルドアップの局面ではふわりと落ちる柔らかなロブパスを得意とし、高い成功率を誇ります。(上島やエドゥアルドは40%台)

 

またエウベルやサヴィオみたいな選手が、Jリーグよりも少し多い環境のブラジルリーグにおいて、対ドリブル能力も高い指数を見せています。

 

1試合平均 被ドリブル突破回数 0.1 (エドゥアルド・上島0.4 畠中0.6)

 

転売屋FCポルトを経てレンタルの末に買い取りをされており、サウジなら物ともしない金額でぶち抜けるでしょうがマリノスではどうなるか、不明です。

 

 

 

クリア&タックル王 まさに防壁

ガブリエル・シャビエル(同名) 23歳 バイーア所属

 

30試合2700分(フル出場)190㎝ 対空デュエル勝率70% クリーンシート9

 

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クリア数162、タックル数57、1試合平均ボールタッチ77。

シュートやクロスに対するブロッキングも巧みなCBです。

 

シーズンで考えた時に、平均失点を下げる、正に防壁の様な活躍が期待できます。

大型選手にありがちな対ドリブルの弱さも見受けられません。

 

 

 

想像大型補強 左ウイング

 

ここではチームの構造として、ロングボールを蹴れるようにならなければならないとして、蹴り先を想定した、神戸における武藤をターゲットにした戦術的オプション(選択肢)を模索します。

 

 

ドリブラーとしてのピークは過ぎたかもしれない…

ディヴィッド 29歳 バスコダガマ所属

 

23試合1604分出場 4G3A シュート成功率12%

1試合平均ドリブル成功数&率 1.6(59%)

 

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彼はピーク時はエウベルを越えるクラスのスタッツを記録するなど、本格派の逆足左ウイングです。近2年不振だったのですが、今期は復調の気配があり見限るにはまだ早い可能性があります。

 

能力は勿論、ずっと左サイドを住みかとしてきた選手というアングルを持った選手であり、更に日本に来れば対サイドバックの環境でロングボールの蹴り先として機能する可能性があります。

 

 

武藤ロールに最適な高身長 左ウイング

ジュリマール 23歳 アトレティコ所属

 

30試合1645分出場 6G2A 対空戦勝率 59% 188㎝

 

まだハイライトが無いレベルの選手です。

たまたま話題となった元浦和のラファエルが10秒で退場した試合を見たらみつけました。

 

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この試合では1G1Aと活躍。

 

外からの右足クロス、プレスからのショートカウンターで左足を振り抜く豪快な一撃と可能性の魅力を持っています。

 

何よりも、Jリーグサイドバックに190㎝近い左ウイングはデザインしたロングボール攻撃において、武藤以上の火力を発揮する事が期待されます。

 

既にブラジル一部における対空戦勝率はJリーグにおける武藤以上です。

 

 

 

想像大型補強 夢のある話

 

柏が低迷している事もあり、サヴィオの周辺が騒がしくなっているようです。

しかし、果たしてそこに夢があるのでしょうか。

 

 

ベネズエラの魔術師にして南半球のリベリー

ジェッフェルソン・ソテルド 27歳 グレミオ所属

 

20試合1417分 5G2A シュート成功率25% 1試合平均キーパス2.1

1試合平均ドリブル成功数2.6

 

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160㎝である事が、有利と感じさせる急加速と急停止、緩急で翻弄するドリブル

巧みな、そして正確無比なキックから繰り出されるゴールとアシスト。

 

日本代表との対戦では1G1Aで森保ジャパンを4-1で粉砕した中心選手です。

本物の逆足左ウイングを横浜の地で見たいですね。

 

10億円でいけそう?

 

 

 

南米のズラタン 周囲を活かし自分も決める

ペドロ 27歳 フラメンゴ所属

 

21試合1659分 11G シュート成功率23% 5A

 

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186cmの伸長をより高く感じさせる長い脚を巧みに操り、トリッキーなタッチを織り交ぜ周囲を活かすポストワークが得意なファーストトップです。

 

浮き球にアウトサイドやヒールを多用するプレースタイルは南米のズラタン

打点の高いヘディングシュートも備え、今期ブラジルセリエA最高のフォワードと言えます。

 

セカンドトップのジョルジアン・デ・アラスカエタとのコンビは補完性も高く、最強2トップと言えるでしょう。

 

30億円くらい?

 

 

 

南の17歳 ネクストキング

エステバン 17歳 パルメイラス所属

 

27試合1764分出場 現在得点王 12G8A

 

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17歳で左利きの右ウイングと言えば、スペインで欧州王者に輝き、バルセロナでプレーするヤマルの代名詞だが、それは今の所は…かもしれないです。

 

先輩のヴィニシウスやロドリゴと比較しても、17歳時点におけるブラジルセリエAにおけるスタッツは圧倒的であり、今の所は得点王なのだから説明不要と言えます。

 

プレースタイルは典型的な左利きの右ウイングであり、キックの正確性が何よりも優れ、左に流れるのが好きな先輩たちと相性はいいかもしれないですね。

 

既にブラジル代表でデビュー済み。

 

チェルシーが60億円で購入予約…

いいのかい?チェルシー

 

 

とんでもない夢物語の様な補強話はいかがでしたでしょうか。

わくわくしますね。

 

こうしてみると、欧州しか見ていないサウジアラビア勢にとっては安いくらいの選手ばかりとも言えますね。

 

また最後になりますが、本日をもって横浜F・マリノスのSD(想像ダイレクター)を勝手に自称するのを辞任致します。

 

皆さん今までありがとうございました。

 

今さらながらイングランド代表のEURO2024を振り返る

あれから3か月以上が経とうとしているのだが、何故か、そう突然何故か。

 

それは思わずガラ空きのゴールにシュートを打てないほど急に、2016年から代表監督を務めたサウスゲート監督最後の大会、イングランド代表の戦ったEURO2024を振り返りたくなった。

 

いやー、忘れてたわー。絶対に話そうと思ってたのに何故か忘れてたわー。

 

簡単にではあるが、大体どんな感じだったのかまとめてみたい。

 

 

 

 

 

EURO2024 ク〇大会!?

 

とにかく優勝したスペイン以外は全体的に評判が悪いのがEURO2024だ。

 

大会システムの改革によりジョージアやトルコなど持たざる者の躍進、ビエルサの様に戦うマンツーマンを見せたスイス、そしてレッドブル革命により最も攻撃的なチームであったオーストリアなど光る部分、見所はあったが、結果を最優先した強豪国が極めて保守的に戦い、往時のイタリア・セリエAを彷彿とする眠気を誘う試合が連発した。

 

 

思えば、スペインの初戦となったクロアチア戦を見て、この様な記事を書いた。

 

speir-s.hatenablog.jp

スペインはこの初戦こそ快勝したが、優勝までは厳しいのではないだろうか。

 

(;'∀')

 

弁明をさせて頂くと、クロアチアの中盤が凄すぎただけで、この後、スペイン相手にここまで保持とハイプレスの戦いを挑むチームは1つもなく、今大会最も面白いゲームが、この試合だった。

 

クロアチアは0-3で敗北しグループリーグでも敗退していく結果になったが、スペイン相手に積み上げた決定機は3、ゴール期待値はスペインを上回る2.38、最もスペインに脅威を与えたチームであるのは間違いがない。

 

 

話を戻すと、大会全体のトレンドは完全にミドルブロックとそれよりも後ろであり、そもそも比較的ハイプレスを仕掛けていたスペインにしてもGKまでラッシュをかけるようなハイプレスはゴールキックからのビルドに対する時くらいで、ミドルブロックの入り口で制限をかけてから、バックパスなどを契機に奪取を仕掛けるような「運動量でどうにかしよう」ではなく、プレーする位置により、何を目指して守備をするのか、目的の決定に基づく、振る舞い、タイミング、全体の意思統一の整備こそが重要だった。

 

 

そしてEURO2024は前回大会よりもゴール数は25(142→117)もマイナスになり、中でも、特に保守的でつまらないチームの象徴的存在がイングランドとフランスであった。

 

まぁ準優勝とベスト4なので、結果は出したのだけど。

 

この点、代表戦と言う舞台において、面白くしろは観る側の要求であって、やってる側からすると「結果以外にプレーする意味とかあるんですか」という考えは分からないでもない。

 

 

 

イングランド準優勝のプロセス

 

市場価値という金額だけなら圧倒的なスター軍団を擁しながらも、ボールを何となく持つけど効果的な攻撃は見られない、他人事とは思えない大苦戦の連続。

 

特に追い詰められたのは94分まで負けていたスロバキア戦。

 

追い詰められたら手段なんて選べない、外道的ロングスローからのベリンガムがオーバーヘッドキックを叩き込む起死回生の一撃。63%とボールを持たされるも120分間でビッグチャンスは2回。

 

 

これではイカンと森保に学んだか、次はスイス対策か3バックで挑んだスイス戦だったが、もっと悲惨な内容で、試合内容は互角以下、PKまでもつれた120分間の戦いで積み上げたゴール期待値は僅か0.65。PKを全員が決める正確な技術は120分の間に発揮する機会が無かったのが伺える。

 

一方、光る所が見えたのが準決勝のオランダ戦。

 

なぜか3バックを継続した事で、442のオランダに対して自然と、敵2トップをGKと3枚で4対2、中央で2シャドー+ボランチが敵の2枚に4対2、2つの中央数的優位、今や懐かしいvsミシャ式あるある442殺し現象が発生。

 

が、有利な前半に自陣ロストから失点してしまい同点には追いついたが、後半になると穴は塞がれ耐える展開に。

 

神の啓示か、終盤に唯一の好采配と言われた前線2枚代えが炸裂、ロングボール蹴ったらあれよとつながり、交代で入ったワトキンズが意表を突いた振り向き様の一撃という、偶発的なバーティカルな早い攻撃がたまたま刺さって勝ち上がった。

 

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そしてファイナル。

 

保持が苦手だけどカウンターに徹すればタレント軍団が輝くのではと期待された決勝のスペイン戦だったが、同点となる一撃は見舞ったが、準決勝でフランスを処理して自信を深めたスペインに完全に処理されて2-1の完敗。

 

ゴール期待値は0.53-1.93、決定機は2-5、勝機なんてなかった、ぐうの音も出ないスタッツだ。

 

 

論理的=平凡 工夫無き構成

 

結果だけが求められる戦いで準優勝したのだから、十分と言えるのかもしれない。

極めて合理的に戦力を運用し、ベーシックに戦えば結果はついてくると言う判断。

 

その結果としてケインを固定してフォーデンとベリンガムを併用したのがイングランドだったのだが、ラインブレイクランを仕掛ける選手が乏しく、縦への早さ&速さを全く失ってしまっていた。

 

各人が足元に貰ってから、さぁどうにかしようとプレーを始める、そんな風景が目立った。

 

先ほど述べた様に、ミドルブロック以降の本場欧州な洗練された最先端な守備に、最も相性が悪い攻撃なのは今期のマリノスを見ていた皆さんには説明不要ではないだろうか。

 

 

一方、代名詞はティキタカで知られるスペインではあるが、この大会ではラインブレイクの名手ニコと、タッチラインに張り付きドリブル突破を仕掛けるヤマルを配置し、ウイングの火力をベースとするスペインとは思えない縦=バーティカルを用意した創意工夫が見受けられた。

 

勿論、保持局面ではバロンドーラーのロドリがいるし、その相棒としてファビアン・ルイスは完ぺきだった。

 

 

せめてイングランドでは幅を取れる選手、グリーリッシュをメンバーに入れておくべきだったのかもしれない。ただ、同じく右利きの左ウイングであるゴードンが全く使われなかったのを見ると、そもそも幅を取るという概念が無かったのかもしれない。

 

4231だとウイングがいない、3421だとウイングバックがいない、兎に角、裏と外が人材不足。大会随一のタレント軍団なのに。

 

 

ケインとワトキンズ、サカとパーマー、フォーデンとベリンガム、ゴードンとグリーリッシュ、もっと誰が何処で何をして欲しいのか、明確な役割に基づく競争があるべきだったのか。

 

結果だけが必要な大会で堅実に勝ち上がる事を考えた場合に、それ以外な要素、例えばセットプレーの攻守なども無視できる要素ではなく、そもそもゴールを生み出す構造まで手が回っていないというのが感想か。

 

 

7試合で8ゴール6失点、無得点1、クリーンシート2。

平均ボール保持は54.7%、90分勝利は2勝。

 

 

オールオアナッシング

 

平凡だろうが退屈だろうが、結果を出せば全て称賛される世界で賭けに負けた結果、サウスゲート監督の評価はとても低い事になっている。

 

タレント軍団で、その能力を発揮できず、つまらなく戦い、敗れ去った監督。

 

 

ただ、これらはあくまでも代表という、準備の時間も少ない集団で極めて短期のコンペティションを戦うフォーマットにおける結果であり、時に結果のみを追求する合理的な判断も評価されるべきであり、必ずしも全てを網羅しているとは限らない。

 

結果は出した、EUROでは2大会連続で準優勝だ。

 

 

特にこれと対照的なコンペティションとしてプロフットボールリーグでは、いかにゴール数を稼ぎ、勝利を積み上げていくのかが求められる。

 

そのフィールドでは、全てに手を回す、準備の時間も十分にある。

 

ウェルカム新SD…で? このあと横浜F・マリノスはどうするんでしょう

2024年11月、横浜Fマリノスで前任者の退任から異例の不在が続いたスポーツダイレクターに、浦和レッズで強化責任者を担っていた西野努氏の就任がチーム公式サイトにて発表された。

 

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現在、西野氏は2024年8月からシティグループに在籍をしており、CFGからの派遣とも言えるチーム統括本部長※の就任は2017年の利重氏以来となる。※役職名は当時の呼称

 

経緯としてマリノスでは利重氏就任以降、アタッキングフットボールの設計者となったアイザック・ドル氏がスポーツダイレクターを名乗り、チューニングによりその継承を行った小倉勉氏が引き継いだ。

 

両者は共にトップレベルで監督も遂行可能な高いフットボール的教養を持つ人物であり、成功している欧州トップクラブ型の組織構造を模範に成功を勝ち取っていくのだが、今回の西野氏就任に伴い、その好循環を断ち切る結果となった”日産の社長”が強化責任者を兼任する旧来企業サッカー部的構造に終止符が打たれる事となったと言える。

 

特に現体制においては「2位じゃ満足できない」と宣言して始まったシーズンの結果が、全てのカップ戦で敗退した上で、J1残留争いでは言い訳無用だろう。(※ACLEは来期に引き継ぐ)

 

この大崩壊を生み出した、キューエル以下スタッフでシーズンを始めるという選択をするに至るような組織の構造から改善が図られるのは必然の結果と言える

 

 

さて、間違いを是正しようという姿勢が垣間見えた事は、応援するファン、サポーターにとって好ましい状況と言えるのだが、現状のチーム状態は余りにも悪くなりすぎており、そもそも「チームとしての勝ち方」すら失っている様に感じる。

 

先ずはどうしてその様な状態になってしまったのか、プロセスを振り返りたい。

 

 

マスカットの乱

 

2022年に若干、画竜点睛を欠いた終盤であったが、あらゆるスタッツデータでリーグを圧倒し、歴代チャンピオンの中でも上位に入る成績で優勝した横浜Fマリノス

 

この時点で既に、ポステコグルー的な、抱えている矛盾とリスクを速さ(速度)と早さ(テンポ)で塗り潰す様な、暴力的でカオスなフットボールから脱却が図られていた。

 

それは走行距離における優位性が顕著なデータで、相手に対して明確に走り勝てなかった試合でも勝ち点が積みあげられる安定性がアップデートされていた。

 

そしてマスカットは2023年にそれを更に加速させる決断として、プレミアリーグで結果を出していたブライトンをコピーする様なロジックをチームに持ち込む。

 

J1におけるハイプレス強化のトレンド、流出した戦力、色々な事情が考慮できたが、今にしてみると、シーズン後により高いサラリーを求めていたように、監督としての野心が、もっと高い評価を得る事が目的だったのかもしれない。

 

だが結果こそ2位となったが、この試みはマリノスではあまり上手く行かず、押し込まれて劣勢な試合が多く、故に敵のゴールは決まらずにマリノスは少ないチャンスからゴールを決めるような理不尽な勝利、前線のタレントに依存するだけの試合が多くなった。

 

ここで気になった点としてはマスカットは大きくやり方を変えたのに、選手の入れ替えが殆どなかった事であり、シーズンが進んでいくと、それによってチームが機能しない場面が目立って行った事だろう。

 

 

振り返って思うのは果たしてこの大きな変更に、チームとマスカットの間にコンセンス、合意が存在したのだろうか?

 

フットボール的教養があるスポーツダイレクターが不在であるのを良い事に、優勝して権力が大きくなった監督がアンコントロールになった結果、好き放題やられてしまったのではないか、と考えている。

 

この時点でポステコグルーのチームとは完全に別物、チームとしての勝ち方が大きく異なる状態になっている。

 

 

 

キューエルと何を話したんだい?

 

そんなマスカットの後始末を引き継いだのがキューエル

冷静に見れば火中の栗である。

 

何故キューエルを選んだのか、このプロセスは大いに気になる部分だが、

重要な事はそこではない気がする。

 

先の通り、実質マスカットがマリノスの競技面を掌握しており、契約交渉の結果、その全てを委ねてしまっていた人物が居なくなった結果、引継ぎすら行われず始まったのが24シーズンだったのではないだろうか。

 

その結果として、我慢不可能な成績の低迷であり、半年経ってからキューエルを解任する理由が「彼とはフィロソフィーが異なった」である。

 

スポーツダイレクターとはチームの競技面における監督者であり、それを社長と言うフットボール的教養がまるで無い人物が兼任する事により、マリノスから強いサッカークラブの作り方すら失われたのが良く分かるエピソードだ。

 

最早、マリノスにチームとしての勝ち方は存在していない。

 

 

それが如実に分かるのが暫定監督の選出である。

キューエルは違った、じゃヘッドコーチだったハッチンソンは正しいのか。

 

彼らに物差しが無いから正しいかどうかも勝敗という結果以外で判別不能なのだろうし、そもそも数か月の結果としてハッチンソンはポステコグルーのロジック、チームとしての勝ち方を理解していないのが良く分かった。

 

まぁ一緒に3か月コーチやっただけじゃ…後任のマスカットはクビにしてるし。

 

ただ、現状として社長兼スポーツダイレクターによる敗戦処理投手見殺し状態である事も忘れてはならない。現強化部もポステコグルー的な所に一回戻したかったとして、そもそもポステコグルーのロジックを理解できているとは思えないからだ。

 

ゆえにハッチンソンを選んでしまうし、ハッチンソンを助けられない。

あとは何とか選手が頑張って残留してくれるのを祈るばかりだ。

 

では、仮に今期は残留出来たとして、来年以降はどうしたらいいのか?

やり方はいくらでもあるのがフットボール、我々は何処から来て何処へいくのか。

 

 

 

プランA 目指せスペイン派閥 正統シティ派へ

 

フィロソフィーが違うと、なで斬りにされたキューエルであったが、あくまでその目指した方向性だけに限っていうのであれば、そんなに悪かったとは思えない。

 

何しろ前年は既にマスカットの乱を経ており、スペイン代表を模範とするようなポステコグルーとはかけ離れたスペイン派閥入りをするのはプロセスとして間違ってはいなかった。

 

ただ、監督とコーチにそれを実現する能力もなく、強化部すらフィロソフィーが異なると断じた様にフットボール的な教養不足を露呈し、目指す所すら理解をしておらず、つまり監督以下コーチ陣とコンセンサスも無く、その結果として戦力編成というバックアップも的外れだったのが失敗の理由だ。

 

 

J1リーグに正解を示したグスタフソンの様なアンカー、チームに正しい配置とボールの流れを落とし込めるヘッドコーチ、相手を見たプレスのプランやディフェンスの設計が可能な監督、過密日程でも出ずっぱりになる選手を生み出さないちゃんと使える監督も合意している戦力編成。

 

明確な意思を持ったうえで、監督とのコンセンサス、実務能力のあるコーチ陣の拡充、十分な戦力編成を行えば、もう一度チャレンジするのは何も間違いではない。

 

シティグループのネットワークを駆使して新SDである西野氏がチャレンジするのであれば期待をもって見守りたい。

 

 

 

プランB ポステコグルーに回帰は可能か?

 

結論から言えば、不可能だと考える。

 

先にも述べた通り、矛盾を抱えながらも理の外からなぎ倒す様な戦い方は、2019年当時のJ1リーグなら出来たのかもしれないが、プレスとその回避、走行距離やスプリント数の増加が進んだ、今の環境では論理的に劣勢になるだろう。

 

優勝するほどの安定感が出せるのか?

圧倒的な戦力を持てないトッテナムの現状を見ると分かりやすい。

 

 

速度とテンポが生み出す高強度、ゴールからカウンタープレスまでデザインされたボールの流れ、結果として生じる圧倒的な走行距離は継承可能ではあるが、

 

「そんなに後方でのボール保持にこだわる必要ありますか?」

「その論理ならロングボール蹴ればよくないですか?」

「守り方がロングボールに対してリスキー過ぎません?」

 

という矛盾を解消するアップデートが必要だろう。

 

この点で正しいアップデート、正に論理的にソリッド、無駄がないのがスキッペの広島と言える。

 

イメージはハイプレス、強高度というのがあるかもしれないが、広島は実に走らないチームであり、相手も走らせないチームである。

 

1試合総走行距離 17位

1試合総スプリント数 14位

 

 

敵陣にボールを蹴り込みプレス、持ったらパターンアタック、終わったらプレス、奪ったらカウンター、持ったら蹴り込み、またプレス。

 

常に敵陣にボールを送り込み続ける事で、上下の移動距離を制限し、攻撃も論理的にボールを動かして基本は配置で殴る、実の所はJリーグ的な走行距離で補填をするチームと異なる欧州型なチームである。

 

マリノスのプロセスとして自陣非保持、プレス回避の常套手段にロングボールを許容できるか、どうか。

 

 

 

プランネタ枠 大正義2位じゃ敗北です

 

一方、今年の続きとして一番分かりやすいのがレアルマドリードだろう。

チームとしての勝ち方は明確で、前線に最高のタレントを並べる。

 

それによって生じた凸を相手に押し付け、凹を埋める職人を揃える。

監督は十分な実績と経験を持つ百戦錬磨な人物が必須で政治力も求められる。

 

リーグにおける最低成績は9位、この四半世紀では4位が最低順位だ。

リーグかビッグイヤーを取ってこい、3位の監督はクビになる。

 

この場合、一番最初に入れ替え無ければならない選手はアンデルソン・ロペスだ。

 

今期は19ゴール、シュート成功率18%と一見すると優れた数字であるが、これはPKにより盛られた数字であり、13得点に対するビッグチャンスミスは16にも達する。

 

PK無し 13得点 シュート成功率13.13% ビッグチャンスミス16

参考 前田大然 23得点シュート成功率23.7% ビッグチャンスミス15

 

前田はマドリッドにおけるベンゼマくらいの働きをしてくれた。ロペスは昨年もPK以外の20ゴールに対してビッグチャンスミスは20だった。

 

また2列目は個で凹を埋める、1.5人分は守れる高アスリート能力を持った選手で固める必要が出てくるだろう。CBは言わずもがな。

 

つまりマリノスでは予算が足りないのは明白だ。

 

横浜F・マリノス試合後ざつだん 悲惨な9月とセカンドオピニオン

2024年9月、カップ戦が多く、まだまだ重要なゲームを10試合以上残す中で横浜F・マリノスがシーズン2度目の崩壊状態に陥ったのは明らかだ。

 

戦力不足は確実な下位カテゴリーである天皇杯で対戦した山口を除けば、ルヴァンカップ2戦目の札幌以降は、1-2京都、3-7光州、2-6広島、1-3FC東京と、僅か5分で西村が退場した京都戦が最少失点の体たらく。

 

チームとしての戦い方が出来るよりも、10人で必死に守る方が失点が少ないのだから、フットボールという競技の真理も見えるが、実に皮肉が効いている状態だ。

 

 

契約した監督を「フィロソフィーが異なる」事を理由に解任した主治医の判断は監督実績が乏しいヘッドコーチに、良かったあの頃みたいに戻せば何とかなると考えたようだが、何ともならないという結果を見て何を考えるのか。

 

「いや、何とかならない事は当然、想定してありますよね?」

 

「ありますよね?」

 

 

「まさか無いんですか ( ;∀;)ウェッハー 」

 

 

今回のマリノス試合後ざつだんでは、暫定ガチャに運命を委ねた様に見える主治医に不安を感じた皆さんに、セカンドオピニオンとして「ちゃんと対応すれば死にませんよ」という一服の清涼剤を提供したい。

 

 

 

前年を顧みないプロセス

 

1年のトータルで見れば、不満が多いながらも結果だけは悪くなく、多数の怪我人を抱えながら前年リーグ2位となった2024年のマリノスに求められていたのは改善をもたらす修正だった。

 

戦力編成も補填に留まる中で現状戦力をいかに最適化させ、最大限に活用できるのか、そこに大きな変更は不要だった筈だ。

 

何故ならばマリノスは既にポステコグルーで性急な変革を行った歴史があり、根本を変えるような変更をする為には、どれだけ選手を入れ替えなければいけないのか、愚かながらも体験で学んでいた筈だ。

 

リスクに見合わない自陣のボール保持、ロングボール一本で空転するハイプレス、即ゴール前のシュートにつながる脆すぎるハイブロック&ミドルプレス、被決定機の山を積み上げる杜撰なロングカウンターに対するリスク管理2023年の12月には既に分かっていた事をどう修正するのか、新監督に求められた仕事だった筈だ。

 

ところが新コーチ陣の行った事は、それらを全く考慮しない、前年を顧みずにフィロソフィーが異なろうが自分たちのやりたい事をやるという、実にギャンブル的な振る舞いであった。

 

これは受注した側ではなく、契約をする側、発注側にも大きな問題がある訳で、スポーツダイレクター以下のいわゆる強化部、強化責任者の責任は少なくない。

 

自らのチームを最も理解しなければいけない人達が、理解をしていなかったからこそ起きたミスマッチという終わりの始まりである。

 

 

 

敗戦処理という残務

 

キューエルが去り、チームに残されたのは2021年を知るハッチンソン。

 

暫定監督という役職名が既に不安を覚えるが、果たしてシーズン終了までの契約は既に結ばれたと考えていいのだろうか。明らかに暫定のままでは長すぎる期間が経過している。立場としては今季暫定ということでいいだろうか。

 

恐らく就任から数試合の結果で「これでいけるでしょう」と場当たり的な判断が行われ、今期を確定させたと推測できる。

 

 

だが残念ながら、2年前への巻き戻しも難しいという結果が出てしまった訳だが、それは当然で、今のマリノスには2年分の宿題が多数に溜まっており、アジアの頂点を目標にしようと言うクラブの競技レベルに見合わない実績しかない監督が、問題を解決するには困難を極める。

 

何しろ唯一の強みと言えるマリノスでの経験ですら、2021年を最後にチームから離れており、この間のプロセスは一切知らない。

 

 

そもそも、半年近く仕事をしたマスカットがクビにした経緯もあるし、何より同じ様にポステコグルーの真似事をした昨年の横浜FCでは開幕から10試合連続失点し、合計27失点と全く結果を残せずに、実権を失った。

 

降格したチームで、監督は残留するがヘッドコーチは退任するという珍事が起きている。契約は報酬であり、責任の所在は明らかだと言う事だ。

 

 

ポステコグルーとのコネクションを活かし、遂にはマリノスの監督まで辿り着いたキャリアに見合わない就活能力は評価するが、ピッチ上での結果を見ると芳しくない。

 

勿論、ハッチンソンがマリノスで監督になれるチャンスに賭けたいというのは正解であるし、彼なりに懸命にやっているのは理解するが、頑張っても非情に能力だけが求められるのがプロ競技の世界であり、能力を示すとは結果とイコールの意味を持つ。

 

 

就任当初は勝利を重ねたが、以前に指摘したように町田戦の後半45分はサンドバックになるチームを見ているだけだったし、神戸戦は分かり切っていたのに無策で惨敗した。

 

明らかな問題に対して何も出来ていない事は明らかであるし、その振る舞いは何もしようとすらしていない様に感じるが、それは頑張らない事や怠慢ではなく、能力や経験が不足しているからであると思われる。

 

 

キューエルを選んだ皆さんの物語として、場当たり的にハッチンソンに賭けたとして、来期に向けて新シーズンから契約をしたいという思惑があるのかもしれないが、重要なゲームを多数残す中、このまま彼は敗戦処理だから仕方ないで放置できるのだろうか。

 

問われる責任感、ハッチンソンの結果はイコール、あなた達の結果である事を忘れるべきではない。

 

 

 

2年分の宿題

 

先ず迫りくる試合に向き合わなければならないハッチンソンが理解するべき出来事として、22年から23年に何が起きたのか、という不在期間の出来事だろう。

 

J1リーグにおけるフットボールの進化もあるが、最も大きな問題は戦力編成である。

 

 

22シーズンはフル活用により、リーグ戦出場時間で70%以上出場したのが岩田、永戸、小池龍太の僅かに3人だった。ゴールとアシストも幅広く分散している。

 

純粋に強かったではなく、裏返せばチーム内には極めて激しい競争があった事を意味しており、チームとしてインテンシティが高いフットボールを目指す上で、そこに一定の緊張感が存在していた。

 

例えば町田は開幕時点で多数の選手を抱え、高校サッカーよろしく1,2,3軍制度があったそうだが、夏を経て使わない選手をかなり放出してしまった。厳しい目と3軍送りになる緊張感の喪失、最近の失速は関連性があるのではないか。

 

 

所が23シーズンでは戦力の流失も大きく、攻撃でも上手く行かない中で個人能力に依存する傾向が高まり、ゴールはロペスに一極集中し、エウベルとヤンが同時に居ないと全く違うチームになってしまう状態になってしまった。

 

 

Jリーグにロングボールをベースとしたハイプレス回避方法が浸透しきった事もあり、ポステコグルーの系譜としての守備は2年の時をかけて2023年12月末の時点で既に崩壊している。

後述する構造的な問題も含めて、見様見真似のモノマネでは成立しない事を知らないといけない。

 

また、何も考えずに、23年のままな戦力でキューエルに好き放題やって貰った皆さんにはチームの強度を保つ為に行う戦力編成の緻密さが理解できなかったと思われる。

 

 

そして次に、ピッチ上でテクニカルな問題としては大きく2つ。相手を見ないハイプレスと、無駄に人が前に前進していく攻撃が挙げられる。

 

前者は構造的な自陣ゴール前守備を増やし、後者は致命的な被カウンター状況を生み出す。

 

 

 

数値的には2018年以降でワースト

 

ポステコグルー以降で最も守備に苦しかったシーズンと言えば、就任シーズンの2018年を思い出す人がいるかもしれないが、2024年はそれを下回る水準に推移してきた。

 

マリノスの守備における出来不出来はフットボールラボの指数、KAGI(Keep Away from Goal Index)に関連性が高く、この「守備の際にどれだけ相手を前進させなかったか」という要素がハイプレス、カウンタープレス(奪い返し守備)の成果を表しやすい。

 

最も高かったのは2021年の56.0(リーグ2位)

 

昨年は46.1とポステコグルー就任シーズンの2018年47.3を既に下回っており、今期は42.7(リーグ19位)まで下落している。キューエルの時(鹿島戦時点)よりも悪化している事を補足しておきたい。

 

 

また23シーズンはご存じの通り、後方でのボール保持機会が増えた事もあり、守備機会にはローブロックで守っている時間も増えた結果、サンドバックだけど人が多いので失点は抑えられたというサッカ―の真理が含まれている。

 

キューエルACLで勝ち残れたのは退場者が出てサンドバックな時間が増えた結果、昨季の経験が効くというピタゴラスイッチ現象も推測される。

 

8月の川崎戦やC大阪戦では多数のシュートを打たれたが、自陣に人が多く、入りそうで入らない一森の領域展開が再現性を見せたのは偶然ではないだろう。

 

 

ハイプレスが機能しない理由として構造的には対神戸は典型だが、守備時は442でプレスに行くと、2トップと両ウイング、ボランチ1人の5人を誘い込まれた上でサイドバックにロングボールを蹴られ、サイドが数的不利のままゴール前まで押し込まれる構造。

 

対3バックになると、ウイングを引き出された後に、サイドバックが敵ウイングバックを捕まえに行くと、敵シャドーがサイドバック裏を狙う構造、この2つは極めて再現性が高いプレス回避からの被シュートシーンである。

 

ロングボールが中央から蹴られる事で守備ブロックのスライドが追い付かずに、どちらもCBが一人で何とかしろという結末になりやすい。

 

西村とボランチが最奥まで引き込まれるので、中盤に一人残るボランチの周辺もスカスカでCBが下りてくる選手を捕まえられなければジエンドだ。つまり前に後ろに忙しい。

 

 

構造の問題に向き合わずに、ハードワークを合言葉に選手の責任に丸投げするのはおかしくないか。

最もらしく聞こえるが、審判批判を封じられたキューエルも終盤に繰り返した選手批判である。

 

相手がGKから両サイドや、サイドの低い位置から対角線にロングボールを蹴る事を前提にしている中で生じる不利はどうするつもりなのか。監督として解法はチームに示されているのだろうか。

 

 

DAZNのスタッツから見ても分かる、ハーフラインよりも前でボールなんて殆ど取れない試合が多い。

にも拘らず「前から行くぞ」が、構造が引き起こす諦めの境地。

 

プレスに行ってもどうせ無駄、頑張っても上手く行かないの繰り返し。

手ごたえ、やりがいの無さ、それがチームの守備強度を落としているのでは?

 

ハードワークは人の気持ちが生み出すもの。

 

 

 

ロングボール回避を想定した配置の再構成

 

ロングボールが目の上のタンコブとして、守備戦術における目標は2点。

 

CBとGK、ボランチの4人で構成するひし形に制限をかけつつ、サイドバック付近に人員を配置する。更に誰が何を担当するのか。

 

 

現状のマリノスはこの様な感じで

 

人数を送り込んでいるが、どうせGKから蹴られる。

両サイドの人員が余り有効ではなく、ロングボールが蹴られたら戻れない。

 

 

 

両サイドの優先順位を先ずは後ろのフォローに修正するべきだ。

サイドバックへの対応は遅れる事になるが、低い位置のサイドバックにボールを持たせるのはプレスの開始位置として悪くない。

 

 

 

 

誰にやらせるのか?

 

前に送り込む制限部隊と、前後のタスクを抱えボール際で戦う事が多くなる回収部隊。

 

このまま442で行くと、ロペス、西村or天野、ボランチが制限部隊で、エウベルとヤンが回収部隊になるが、どうみても役割が悪い。

 

エウベル、ロペス、ヤンを制限部隊で送り出し、西村or天野、両ボランチの3人が回収部隊を担うのが最適だろう。

 

攻撃時のタスクとして4231ではあるが、現在は守備時にはセカンドトップが上がり、ボランチも前に進出する4132でプレスに行っている。

 

これをロペスが下りる、セカンドトップも下りる、ウイングが中に入る、4312でプレスに行くのが今のメンバーで役割を振り分けると最善策だと考える。

 

1がロペスで2がエウベル、ヤン。

 

例えば、もっと保守的でいくなら4411のままCBからサイドにボールが出るまではブロック待機というプランもある。

 

 

世界の先端も成功事例も関係ない。

移籍金でチーム人件費が10チーム分払える世界なんざ知った事か。

 

今のマリノスが明日や来週とその2日後のゲームで結果を出す為に何を変えるか。

 

更にプレス開始位置も制限する、闇雲にラッシュしない。

とにかくバックパス、サイド圧縮、いつ行くかのタイミングを共有するべき。

 

 

ポステコグルー時代も悪い傾向としてライン設定が高くなり過ぎるというか、前が闇雲にラッシュをかけるからそれに追随して無駄にラインが上がり過ぎる。

 

後方が追従できない結果、更に順番に交わされ後方のスペースを提供するだけの機会が多すぎる

 

 

改善案

 

出口を潰され、中央を制限されればサイドに逃げる事になり、それが格好のプレスに行くスイッチになるというのは散々敵チームにやられてきた事だ。

 

ハイプレスの重要な要素は全員が一斉に行く事であり、ハードワークの問題ではなく、何処のボールに対して、いつ行くか、という位置とタイミングの問題を解決するべきではないか。

 

もっとミドルゾーンで戦うべき。

必殺作戦なんて必要ない、今いる選手で平凡にきっちり守ろう。

 

 

 

ロストする設計とカウンタープレス

 

攻撃も被カウンターが目をつぶれる状態ではなくなっており、大問題だ。

 

フィニッシュからの逆算、次々とスペースに人が飛び込む、流動性が高い人の流れは何の為にあるのか。今や被カウンターからの逆算になってしまっているボール保持の形も調整が必要だ。

 

アタッキングフットボールという言葉が曖昧なリスク管理や、大量失点を仕方がない物にしていないだろうか。

 

 

そもそも順足ウイングをベースに、サイドを素早く攻略するラインブレイクと、そこからDFラインの裏へのクロスでゴールを量産する構造をベースにしていたポステコグルー。

この攻撃ではロストする位置も敵陣サイドに決まっているので圧縮してカウンタープレスもハメやすい。苦し紛れの縦パスは絶好のカモだし、猶予が無い状況ではロングボールではなくクリアボールになるので回収しやすい。

 

 

しかし23年に、ヤンとエウベルをそれぞれ逆足ウイングとして配置し、依存度を高めてしまった事で、一旦ウイングにキープさせ、そこから内側に向かう経路に変わってしまった。更に当然遅くなる

 

 

左:ポステコグルー的 右:逆足ウイング的 ボールの流れ

 

 

おまけにリスクを高める構造として、そのスローダウンに伴い、ウイングとサイドバックセカンドトップで完結していたハーフスペース攻略にボランチが飛び込むのまで常態化している

 

例えば、仲川のスルーパスに喜田が走り込まないと成立しないとしたら、マテウスや遠藤のパスを扇原がエリア内で受けるシーンがどれだけあったか。

 

 

その結果、ロストしたら補填が効かず、更には敵のパス1本でCBが1対1に晒される。

 

端的に言うのであれば、スペイン代表の様にボールを持つのに、ポステコグルーの様に人が次々前に飛び込んでくる結果、時間が有るので人が殺到しすぎる。

 

 

このアンバランスはマスカットのやりかけの仕事を、キューエルが雑に大幅転換して放り投げた結果であり、ハッチンソンが時計の針を巻き戻すにしても、ポステコグルーはどこでどの様にロストするのか、ボールの流れから奪い返しプレスまで設計していたのを理解しているのだろうか。

 

時計の針を巻き戻すとして就任した筈が、ボールの流れ、バーティカルなプレー、ロスト位置の設計と言った、攻撃の構造がまるで修正出来ていないのが、その問いにおける結論なのだと思う。

 

後方での保持、サイドバックボランチ流動性が本質じゃない。

彼は分かっていない。

 

 

ならば現状、ポステコグルーの様なサイドスペース速攻攻略型では無くなっているのだから、左右と中央にひし形を形成する基本の立ち位置の為に流動性を発揮する修正が必要ではないか。

 

 

 

特に左サイドではサイドバックがひし形の頂点になるリスク管理も何もない状態を何度も見るが流動性の中にもルールが必要だろう。

 

永戸がエウベルにボールを預けて内側を上がっていっても何も無い。

 

ポステコグルーのルールならそこで永戸を使って更に前のスペースを目指さないとならないのだが、現状、そんなルールは崩壊しており、エウベルがジョグをしている選手にパスを出す事は先ず無いからだ。ボールが欲しければフルスプリントしてスペースに走り抜けるしかない。

 

2人の関係性では永戸がサイドにいて、エウベルが内側にいる時しか攻撃が成立していない。

 

 

またエウベルは後方にスペースがある状態なら左にいてもドリブルは火力を発揮するが、タッチライン沿いから精度の高いキックが求められる状況が増える逆足ウイングの適性が無いのは明らか。

 

極めて高い能力を持つエウベルが、唯一ヘタクソな苦手なプレーを何度も再現させるのは目を覆うばかり。

 

左は永戸が外、エウベル内側の様な左右非対称も組み込む必要があるだろう。

能力が無いと言ってるのではなく何が得意で不得意なのか、シナジーの問題だ。

 

永戸の所にサイドバックをおびき出してエウベルはCBにラインブレイクを仕掛ける、来日以来、何度も見せてきたプレー、ワンタッチで入れ替わればそこはもうペナルティエリア内だ。

エウベルという稀有なタレントを腐らせているのは構造であり、最悪の資産運用だ。

 

 

また、仮にハッチンソンが時計の針を完全に巻き戻す事を目指すなら、ウイングの左右を入れ替える必要があるかもしれないが、今度はヤンが左サイドのプレーで問題を抱える事になるだろう。

 

あの自信なさげなドリブルをもう一度見たいか?

 

 

一方で、ルヴァンカップで札幌に快勝した試合では宮市&井上のラインブレイクが繰り返され、ラインブレイクからそのまま攻め切るという一連の流れが威力を発揮していた。

 

完全に巻き戻すのか、それとも今に適した配置を導入するのか。

ハッチンソンは決断が必要だ。

 

ハードワークという念仏を唱えていても構造的な問題は解消しない。

 

当然、時間の無い中で変更は難しく、どちらにしろ問題は続発するだろうが、何となくこのままではあまりにも先が無いのだから。座して死ぬな。

 

何よりポステコグルーは保守的である事を批判し、挑戦と成長を目指せと繰り返し言っていたではないか。弟子は唯一の拠り所にこそ耳を傾けるべきだろう。

 

 

 

現実的対応を推奨

 

現有戦力で乗り切るしかない、連戦で時間も少ない、だがしかし、賞金や出場権を含めると来期にも影響が甚大なACLエリートを含めたカップ戦が多数存在している。

 

以上の観点から、今は勝率を上げる事に注力するべきかと考える。

しかし、余りにもコーチ陣に経験、実績が乏しすぎるのがネックになる。

 

世間体的に3人目の監督は難しいであろうから、一方でコーチに移籍期間は関係が無いのだから、シティグループの人脈を活かし臨時コーチを採用し、安定したハイブロックとミドルプレス、リスク管理を考慮したボール保持の配置を採用するのが最善ではないか。

 

勿論、内内には結果を残したら来期には監督の契約がつくようなオプションは必要かもしれない。

 

ただ、一番の問題はチームの競技面を統括するスポーツダイレクターが、なぜ勝てないのかを説明できないフットボール教養不足の恐れがある事だ。

 

そもそもチームの役職を考えると、社長というのはスポーツダイレクターを査定する立場であり、それが兼任となったらいったい誰が、この不始末の査定をするのだろうか。

 

横浜F・マリノスが挑む24-25ACLエリート出場の西地区チーム アル・〇〇紹介

なんかすごいぞサウジアラビア

 

横浜F・マリノスが再びあの景色を目指す前に、様相はすっかりと変わっている事を思い出したい。

 

引用元 

https://www.f-marinos.com/acle2024_25/

 

 

フットボールの本場として長年スターを独り占めしていた欧州にマネーゲームを仕掛け、次々とタレントの強奪を始めた唯一無二の存在が現れる。

 

ビジョン2030と銘打たれた国家の威信がかかる大改革プロジェクト真っただ中にあって、成功の象徴となるショートケーキの苺、ほぼ決定と言われる2034年ワールドカップの開催を狙うアラビア半島の巨人サウジアラビア

 

スポーツウォッシングという批判もどこ吹く風と、約束の時へ向けてフットボールへの投資は勢いが加速する一方だ。

 

その恩恵を受けて、24シーズンから優勝賞金が17億円に大幅アップするACLエリートに出場するチームの戦力は充実どころの話じゃない。

 

そもそも増えたという賞金もサウジ勢からすれば”しけた”金額であり、もう既に全勝で優勝しても元は取れないが、名誉以外はどうでもいいんだろう。そんなサウジアラビアの出場チームを所属する外国籍選手を中心にまとめてみた。

 

 

※移籍金はメディア等に掲載された推測の物

 

 

前年1位 王者アル・ヒラル

 

所属外国籍選手 9人

 

www.footballista.jp

 

ネイマールがいるチームというと分かりやすいかもしれない。

昨季は10月に大怪我をしてしまったので殆ど出ていない。

 

 

ちなみに年棒は239億円(当時レート)と言われており、23シーズンのJリーグチーム人件費(選手年棒だけではない)ベースだと彼一人で1位の神戸から、9位の広島まで大体賄える事になる。

 

復帰時期は全治10か月と言われており、2025年になってからだろう。決勝トーナメントの開催時期となる2025年4月には一応間に合う見込みだ。

 

他にもJリーグファンにも説明不要な有名どころとしてはマン・シティやバルセロナでプレーした攻撃的サイドバックカンセロが新シーズンから加入している。

 

 

それ以外に昨年優勝した既存戦力として、前線にはプレミアリーグフルハムで活躍(24試合14ゴール)したミトロビッチを23年に5260万ユーロ(85億円)で獲得、昨季はサウジリーグで28試合28得点とハーランド級にブレイクした。おめでとう。

 

プレミアリーグで対空戦勝率が48%だった選手がサウジにきたら64%になった。

アジアの重爆撃機爆誕 である。

 

 

他にも日本代表の鎌田が来る前に躍進していたラツィオで活躍していたミリンコヴィッチ(伊セリエA36試合9G8A)も同じく23シーズンに4000万ユーロ(約65億円)で獲得。サウジリーグでは30試合11G10AとMFの中ではトップクラスに活躍している。

 

 

他にもバルセロナに4000万ユーロで買われた時は他の前線が凄すぎて(メッシ、スアレスほか)出場機会が得られなかったが、ロシアのゼニトで大活躍し(27試合23G7A)6000万ユーロ(約97億円)で獲得したマルコムなどがいる。左利きの右ウイングのブラジル人、マリノスのヤン・マテウスよりもシュートが得意なタイプで昨季は31試合15G6Aをしている。

 

他にもプレミアリーグウルバーハンプトンで守備的MF等を務め中心的選手だったルベン・ネェベス(プレミア35試合デュエル勝率53% 参考:遠藤航44%)を5500万ユーロ(89億円)で獲得するなど、移籍金だけでJリーグは下まで全部買える位、昨年の時点でお金を使っているのが分かる。

 

ちなみにこれはまだ”移籍金”で年棒は別。リーグ1位も納得だ。

 

この点、新獲得のカンセロは移籍金が僅か40億円、年棒は25億円(23年札幌の総人件費より8億円多い)と、アル・ヒラルの中では非常にリーズナブルな選手と言える。

 

 

 

2位 逆襲に燃えるアル・ナスル

 

所属外国籍選手 10人…と思ったら、つい先日に11人になった

 

www.goal.com

シルバーコレクター、リーグは2位、ACL西地区決勝ではアルアインにハメられ惜敗。

王者クリスティアーノ・ロナウドは怒りに震えて終えたシーズンだったに違いない。

 

ちなみにCR7、年棒は300億円、ネイマールよりも更に5クラブくらいJ1チームを賄える、流石ナンバー1。

 

有名どころではマン・シティに居たDFラポルテ、元リヴァプールのアタッカー、サディオ・マネなどが所属している。

 

他にもリスカことアンデルソン・ソウザ(昨季17試合16G4A)の前線、中盤はポルトガル代表のオタビア(29試合10G5A)と、クロアチア代表でW杯準優勝メンバーでもあるインテルから獲得したブロゾビッチ(昨季30試合4G8A)がバランスを取る。

 

DFラインはカタールW杯にブラジル代表として招集されたテレス、伊藤純也の元同僚コナンなどが脇を固める。

 

1位アル・ヒラルに比べるとロナウド一人に突っ込み過ぎた印象が若干否めない。

注目株はブラジルリーグ観測でみつけた逸材のウェズレイ19歳

 

一言で言えば、右効きの左ウイングとして”ちゃんと”育てられたジュニオール・サントス。プレーが結構似ている。見た目以上に大きく感じさせる肉体、停止状態から瞬時に置き去りにする加速、深い切り返しから放たれる強烈なショット。

 

19歳ながら今年に入ってブラジル1部でブレイクし過ぎたので日本に来る未来は無くなり、2260万ユーロ(約36億円)でお買い上げされた。

 

試合に出れば出るだけ伸びてくる年齢なので、半年もすると一番の脅威となるかもしれない。

 

※記事を書いた直後に一人増えました

 

 

 

 

ラストピースを獲得 3位 アル・アハリ

 

所属外国籍選手 10人

 

www.soccer-king.jp

とんでもないラストピースがピタリとハマった。

ブレントフォードで前々年に大ブレイクしたFW、イヴァン・トニーの獲得が決まった。

 

22-23シーズンプレミアリーグ33試合20ゴール、シュート成功率は21%

4アシスト12ビッグチャンスクリエイト(味方決めてくれ…)

 

 

英国の高機動アームストロング砲がアジアに上陸

 

 

直接フリーキックもねじ込む右足のキックは振り抜けば城塞を打ち破る一撃が放たれる正に決定打。GKをよく見て決めるPKも得意技の一つ。勿論左足も使える。

 

昨年は自チームの勝敗まで賭博をしていた事が発覚して8か月の出場停止を受け、成績は振るわなかったが、既にユーロ2024も出場しておりブランクも解消だ。

 

最も、他のメンバーは1位、2位と比べるとそこまででもなく、元リヴァプールフィルミーノ(Free)バルセロナでは振るわなかったがACミランでは中心的だったMFケシエ(1250万ユーロ)ラ・リーガで久保より活躍した程度な、まだ22歳なのにセルタからサウジに来たガブリ・ベイガ(4000万ユーロ)など。GKには元チェルシーメンディ(1850万ユーロ)もいる。()は当時の移籍金

 

何か感覚がおかしくなってるかもしれないが、1位、2位を見た後だと少し物足りない戦力だ。差し出がましいようだが、もっと補強が必要ではないだろうか。

 

 

勿論、右サイドには元マン・シティの魔法使いリヤド・マフレズ(3000万ユーロ)が変わらないクオリティを振り続けており油断が出来る相手ではない。(昨季32試合11G13A)

 

特にビッグチャンスクリエイトは22にも達しており、中央に強力なストライカーが居れば…と魔法の無駄打ち状態だった。

 

中央に居れば…

 

 

などなど、24-25シーズンに出場するサウジアラビア3チームは以上となる。

 

ちなみに国家的支援(公的投資基金)がある4クラブの中でアル・イテハドは5位だった。ベンゼマさん…

ほかマテウスが移籍したアル・タアーウンは大健闘も4位、惜しい。

 

 

取らぬ狸の何とかだが、決勝トーナメントは2025年4月中旬以降に8チームでセントラル方式、東西ごちゃまぜで開催予定となっている。

 

3回連続アル・〇〇のチームと戦う可能性もある訳だが、もしも一回戦がUAEアル・アインなら組み合わせとしてラッキーと言えるかもしれない。

 

また、ワールドカップアジア最終予選でこれから日本と対決するサウジアラビア代表の面々は殆どサウジリーグでプレーしているが、外国籍選手が多いチームだと”サブ”準レギュラーになっている事が珍しくない。

 

 

 

遅々として進まないJリーグ

 

散々聞いた話としてJリーグは夏開幕にシーズン移行を決めた。

その説明の中で、最も大きな理由はACLとシーズンを合わせる事だった筈だ。

 

リーグの具体的な目標として明確にACLエリートを勝つ事と言っている。

 

だがサウジアラビアリーグを見ると、ベンチの人数は9人いた。

Jリーグは5人交代制が導入されて数年経つのに未だに7人のままだ。

 

シーズン移行と同じく、ACLエリートと同じ環境にするべきでは?

 

また外国籍選手も8人出ていたが、今後ACLも彼らがしたい様になって行くのは明らかなので、Jリーグはこのまま座して死ぬのを待つだけだろうか。

 

 

更に2023年の数字を見ると、例えば札幌とマリノスの人件費は13億円しか差がないが、アル・ヒラルアル・ナスルとの差は一体幾らになるだろう。

 

ネイマールを除外しても外国籍選手の獲得費用、移籍金だけでマリノスが10チーム賄える。

 

年棒ネイマール分を足せば20チームのマリノスが完成しそうだ。

 

('ω')ピコーン‼(マリノスだけでリーグ戦が出来る!)

 

 

例えばプレミアリーグではシティと下位チーム、ラリーガではレアルマドリードバルセロナとその他、ドイツではバイエルンとそれ以外でかなりの戦力差が生じているし、欧州では実際のタイトルも金銭的優位性を持つチームが寡占状態だが、アジアではどうなるだろうか。

 

野々村チェアマンはACLエリートを勝てというが、改めて調べてみると彼が社長を務めていた時代に札幌ではJリーグのタイトルを何も取れなかったようだが、アジアではその時以上…どころではない差がある事を伝えておきたい。

 

どうやって勝てる算段でしょう?

 

 

最も有効な手段として神に祈るというのが推測されます。

シュートが決まってほしいとか、外れてほしいとか祈るのではなく、サウジのチームが途中で潰しあうのを祈りましょう。

 

 

それ以外にも、2024年、野々村チェアマンの一声でJ1に20チーム制を導入した事により、23-24ACLに出場したマリノスはリーグ戦の水曜ゲームが劇的増加した事により、1試合平均観客動員は-4500人、開催試合数×客単価3000円計算で考えると2億円近い損失が発生している。

 

ACLでトントンでは意味が無い。仮に欧州でチャンピオンズリーグが優勝以外に価値が無かったとしたら、各クラブはそんな経営的に不安定なコンペティションに注力するだろうか?(実際だと昨年はグループリーグ出場・6戦全敗でも26億円獲得)

 

 

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リーグを統括する立場として、リーグ戦を当たり前の様に水曜に開催する事の異常さを反省するべきでは?

それでフットボール文化は促進されるのだろうか。

 

また順位賞金が出るから要らないでしょうと、何となく従来あった9000万円程度のACL支援金の打ち切りも同時に行っている事を忘れないでおきたい。

 

 

そして週末も残念な出来事が起きた。

 

台風の影響でFC東京の移動がとん挫し、試合に間に合うのか、会場にたどり着けるのか話題になっていたが、例えFC東京側の判断に失敗と言える部分があったにせよ、気象の専門家ですら予測が困難であった災害時であり、

 

何よりも2日間碌に練習を出来ない選手達が、勝ち点はく奪のペナルティを避ける為に、移動だけに追われて何とか試合会場にたどり着くという事態の何処にフットボールファーストを表題に掲げる精神があるのか?

 

 

とにかく言っている事と、現実にやっている事が全く矛盾している様をこんなに見せられては疑念しか浮かばない。

 

今となってはシーズン移行をするという議論において、お題目であったその全てが欺瞞であり、とにかく目的はシーズン移行であって、何が何でもシーズン移行をする為に都合が良い嘘八百だったのであり、そんな議論は、検討は、虚無であったのではないかと指摘したい。