オフシーズンになると選手との契約が話の中心になるが、マリノスはそれを話せる状況にない。
川崎に惨敗を喫して以降、ピッチ上を単純化する事で統一感、一体感、そんなワードを頼りにJ1残留を成し遂げた大島監督。最後の最後までブレにブレた中で夏に獲得した選手がハマったのは幸運だった。
ではだからと言って、これでいけるのかと言えば、それを来期も続けるかというと先行きは不透明な状況だ。
特に最終節の鹿島戦において見せられた現実として、かつてポステコグルーがそうしたように、このやり方を突き詰めるのであれば、かなりの選手を入れ替える必要があると試合を観た全ての人が痛感しただろう。
この点、マリノスよりも明らかに予算が乏しい京都であるが、リソースを戦力へ高効率で転換する事で3位に躍進した。それはクラブとして現環境で強い戦い方の決定、その理想をピッチ上で実現可能な監督コーチ陣の選出、選手構成の最適化において失敗が少なかったという事だ。
マリノスと大きな差が無い柏もトレンド、潮流に逆らった上で2位となった。
つまりマリノスの予算で15位という結果はクラブとして現環境で勝てる戦い方を決定できず、何を理由に選んだか分からない監督とコーチ陣、それじゃ選手構成も適正になる筈もない、とまとめる事が出来る。
今のマリノスはクラブとして現環境で強い、優勝争いが出来る戦い方を決定する所からリスタートしなければならない。その為にはクラブ内で高いフットボール的教養が求められるが、来期にはJ2で結果を残してきた2人がマリノスに戻ってきたと言える。
J2ベストチーム考とマリノスのヘッドハンティング
統計的に1試合平均のゴール期待値 ー 被ゴール期待値の数値が 0.3を超えているチームは優秀だったと言っていいだろう。38試合戦えば単純に得失点差が+11以上になる計算だ。
この点、優勝した水戸、4位だった徳島は実の所、そんなに優れていない。
特に水戸の薄氷感がヤバイ。
水戸 1.231 ー 1.130
徳島 1.159 ― 0.941
ただ、J1を制した鹿島もそうだったように、つまり今のJリーグのトレンドとしてはイーブンくらいにまとめて、後はゴール前に特別なクオリティがあれば勝てるとも言える。予算の使い方として前線とゴールキーパーに妥協しない姿勢が問われるだろう。
リスクとしてはチームの命運を個に委ねる為、博打性が高くなる。
一方でゴール期待値TOP3だった大宮、長崎、千葉は+0.3を達成しており、内2クラブが昇格を勝ち取り、大宮は6位だった事からも論理的に優勝争いするなら、絶対ではないが方法論としては安定性がある。(タレント力もずば抜けている筈の長崎は何故2位に…)
更に、今期のJ2で特筆すべき優れたチームとしては今期昇格組のFC今治が上げられる。
今治 1.517 ー 1.203
岡田氏の提唱する特殊なメソッドが有名だが、Jリーグ参入以降は現実的な戦い方にシフトし、24年度人件費では千葉の半額以下、長崎の4分の1以下となる。
もっとも水戸は今治よりも更に数千万円少ないのだから優勝はいかに奇跡であるか。そりゃ薄氷感も漂うだろう。この点に言及される事をあまり見る事が無く、もっと高く評価されるべきである。
今治は実ゴールが1試合平均1.21しか生み出せなかったのが予算に現れてしまったとも言える。
マルクス・ヴィニシウスは17ゴールを決めたが、シュート成功率は10.9%しかなく、ウェズレイはゴール期待値マイナス3オーバーの4ゴール、シュート成功率は9%台、6ゴールの横山もシュート成功率は8.7%しかない。
例えば優勝した水戸を見るとCF渡邊のシュート成功率は20%を越え、斎藤のゴール期待値差分は+4ptを超える。
同規模予算における戦力転換率の差、これはスカウティングの勝利だ。小原氏は総合的には良い仕事をしたと言えるが、近年、優れた外国籍タレントを選び続けてきたマリノスで学ぶべき事があるだろう。
少し、この話を広げると今季個人昇格でJ2熊本でプレーした塩浜も10G決めているが、ゴール期待値はマイナス1.38、シュート成功率は9.1%と、あまり良いとは言えず、何より熊本は17位富山と同勝ち点、得失点差1で降格したのを考えると意味は重くなるだろう。期待値通り、つまり平凡な水準で11ゴール決めていれば富山が降格していた。
また、低予算という意味ではいわきFCも素晴らしく、ゴール期待値得失点差+0.3を達成、開幕10試合のもたつき(1勝3分6敗)が惜しまれる。
閑話休題。
まとめると、千葉、今治は今期のJ2で優れていたチームであり、クラブとして現環境で強い戦い方の再決定を進めなければならないマリノスに、J2で結果を残した元千葉の鈴木健仁氏、元今治の小原氏が加入するのは大きなプラスになるだろう。
過去を振り返るとマリノスが下り坂を転げ落ちる様に成績低迷となった理由は、アジアを代表するクラブという、まるで東洋のレアルマドリードの様な大目標に対して、トップからして他所で結果を残していない人物の登用が多過ぎたからだ。
マリノスが本当にスポーツ的目標を達成するのであれば、本家同様に人材育成機関ではなく、OBであろうと結果を残した人が集まる場所にしなければならない。そういう基準が必要だ。
今期の反省を踏まえ…答え合わせしたい
現状、2025年最終節時点のマリノスをまとめると
● ポジティブ
インテンシティ(守備はガッツ=根性が必要)を再確認出来た
スペースアタックの重要性を思い出す
スペースアタック→ライン押し上げの連動性が復活
セットプレーから得点力アップ
選手の質が高い
● ネガティブ
ボールの保持が全く出来ない(…ので諦めた)
結局ロングボールに弱いハイブロック
敵の325保持に答えが無い
相手を見た対応が試合中に出来ない
選手がハマってるとは言い難い
さて、解決方法は選択肢として色々あるけど、マリノスはどうするのか?
これが全く見えてこないので今は選手の話をしようがない。
まぁ…普通さ
これくらいは最低やるよね
とフィーリングだけで書いた去年の記事を読んでみてほしい。
その経歴から見ても、現在のプレミアリーグで標準化しているような事は全てやるだろう。やろうとはするだろう。
中でも、特に期待されるのは相手を見たサッカーをするという事。
私は目の代わりに貝がついてる、フジツボ野郎でした。
皆さんの期待感を煽るような発言をして申し訳ございませんでした。
一方でJリーグのトレンドとなっているGKからロングボールを蹴るのが分かり切っているような相手であれば、相手を考えたプランを用意するのも常識であり、対応するだろう。
あ”あ”あ”あ”あああー!!!(大惨事)
マリノスの監督就任が決定的となっているスティーブ・ホランド氏は監督としての実績は皆無に等しいが、世界最高峰の景色を、基準を、強いチームというのが当たり前にやるべき事を知っているのは頼もしい所だ。
ギェー!!!(断末魔)
問題を解決しなければいけない。
解決方法は色々あるが、結局は何を選ぶのか。
ドラえもん的アプローチ
あんな事、こんな事、出来たらいいな♪(逃避)
「こうど な よんよんに~!」
442で325の守り方がチームに落とし込めるようになる。
特にWB対応としてSHの外切りと連動した内締め、敵のバックパスからチームで連動したハイプレスへの切り替え、ショートカウンターによるゴール、獲得したCKからの連続攻撃。欧州トップクラブ水準で442が機能するようになる。
「りゅうどうせい の たかい ぼーる ほじ~!」
特にローブロックではGKの+1を使える安定保持が落とし込まれ、SBやボランチ、トップ下が頻繁に位置を入れ替えながら325を形成し、ファーストトップによる裏取りや、逆サイドを狙ったロングボールを有効に用い、全体としてゴールに迫る回数が高い状態=試合展開を優位に進め、スペースアタックを意識した早さと特別なゴール前の質で複数得点を多数の試合で重ねる。
「かうんたーぷれす~」
良い攻撃が生み出す次の守備機会。攻撃時に準備される守備。
トランジション局面を制圧し、被カウンターによる失点を減らし、カウンターカウンターによる得点を増やし、敵の心をへし折る一部の隙もない戦いを実現。
「ありがとうドラえもん!!!」
「よ~し、これで鹿島や広島をギタギタに…!」
523-541(AI風アプローチ)
夢見るのは自由だけど、向き合わなきゃ現実と。
523、541、3421、呼び方はなんでもいいけど守備のタスク振りがしやすい3バックの導入、3シーズンやってどうにもなってない442とか、もう諦めなよ。
今季の失敗は監督が酷すぎた。コンテもモウリーニョも右腕(副官)はちゃんと別にいるよ。経歴詐称に騙されたんじゃないの?
おまけにヘッドコーチはポステコ式の442派で常にクーデター狙ってたんだから上手く行く訳ないよね。3バックという選択が問題じゃないよ。
広島で城福‐スキッベを経験した迫井氏がヘッドコーチに入ってノウハウも十分なんだから、真面目にコツコツと、今期からの積み上げを進めなきゃ。今期やってた事は442じゃなくても出来るんだからさ。
それに鹿島、柏、神戸にはボコボコにされてるし、C大阪戦は大敗もあり得たし、ヴェルディに翻弄されたのは…もう忘れたの?随分、都合がいいね。
ファーストラインを3枚にしつつWBへの対応に困らないし、ボール保持で325にするのに可変範囲が狭くていいじゃない?仮に今期と同じ事をするとしても523-541の方がハマりがよくないかな。
外に立ちたいクルークスをシャドーで使う課題はあるけど、例えば町田で左シャドーに相馬を使う様に、左WBは自陣残り気味で右WBは上がり気味、右CBの望月も上がる構造を参考にしたら?
つまりマリノスなら、左WBに加藤や鈴木、関富が入って、角田も高い位置でプレーする分、右WBはCB的に低位置で振る舞う構造を採用できる。左に攻撃的要素が高いマリノスの戦力とも合致するよ。ここで輝けば、怪我人が多いし、望月が注目された様に角田は代表ワンチャンあるかもね。
右WBは右CBとして後方支援、加藤もクルークスと相性よく、松原も復帰するし、新境地が見えた宮市は最適じゃない?
天野はそのままクルークスのタスクを引き継ぐ交代人員に出来るし、トップは谷村とデイビッドで垣田と細谷の様に運用出来て、左シャドーも遠野が復帰すれば植中の抜けたダメージも小さいね。
渡辺皓太や新加入の樋口君あたりも、シャドーこそが現代フットボールシーンにおける彼らの為のポジションと言える。ボランチは喜田、ジャン、山根に木村の復帰、田中君が新加入と戦力は揃ってるね。
植中移籍のダメージ
続けて、植中移籍のダメージを考えて対応策を練ろう。
アラウージョ、井上との契約を含めて、シャドーにハードワーク可能な得点力のある選手も欲しい所だね。まぁそれって谷村のベストポジションなんだけどさ。
その場合はむしろ2番手のファーストトップとか考えた方がいいかもしれないね。デイビッドとは異なるハンマータイプの選手とか。
マリノスの予算を考えると仙台の宮崎鴻あたりはオススメ、敵陣空中戦の鬼。決定力、ヘディングシュートも申し分が無く、負けてる時のクロス連打攻撃したいなら交代要員として確保したい。ゴール前のクオリティで勝敗は決まるよ。
小松も碓井も昨季に移籍したからJ2日本人、最後のセンターフォワードと言えるね。
いわきでプレーした熊田は…対空戦は強いけど、彼が決めていればチームはプレーオフ圏内までいけただろうね。得点力なら山形の高橋も狙い所。
ただ、あくまで谷村を前で使うのであれば、シャドーなら降格する新潟の長谷川は最有望株だね。井上やアラウージョもタスクはこなせるしチームに馴染んでいるメリットはあるけど、得点力はどうだろうか。
昨季を振り返ると、ゴール前で順番が回ってきた時に、その最重要タスクを消化する回数が多いところに、質が無い選手を並べたクラブが優勝を逃したり、降格したりしてるって事。その点、鹿島の優勝は大事な事を示しているね。
さぁ…
マリノスの決断は…
「うわーん!ドラえも~ん!!!」
「この442、全然機能しないよ~」
何てことに、ならない様にしてもらいたい