横浜F・マリノス ファン

横浜F・マリノスを応援するイチファンによるブログです。

横浜F・マリノスは25シーズンにスティーブ・ホランドと何をするのか

シーズンは振り返らない。

 

今期がダメ(かなり悪い)だったのは誰の目にも明らかなので、ファクトを出す必要もない、そこに議論は存在しない。

 

そして、もう何がダメなのかはシーズン中に言い切ったと考える上に、更にマリノスは次シーズンへのアプローチとして、修正や微調整の範囲ではない改革に踏み切る可能性があり、振り返った所で暇つぶし以外に大して意味が無い記事になると思われる。

 

それでも再び今季をプロセスから噛み締めたいという方は、お手数ながら過去記事を参照して貰いたい。

 

 

見よう見真似の人には無理だった深化

 

 

とは言え、次を語るにも最低限は現状とそれに至るプロセスは必要だ。

 

23年以降、ボールを保持する意思を持つマリノスのビルドアップに対してマンツーマン及びそれに準ずる人を捕まえるハイプレスが効果的であり、対抗として問題意識をもって取り組むというのは正しい方向性であった。

 

しかし、マスカットとキューエルはそれぞれ異なるアプローチをとったが、それぞれ異なる理由で失敗に終わった。

 

ハーフラインさえ越えればのマスカットと、ハーフラインまでのキューエル。是非とも日本のみならず世界でも大人気の超人バトルアニメを見て、二人の力を合わせるべくフージョンを成し遂げて貰いたい結果だ。

 

 

23年、ブライトンで評価されていたデ・ゼルビの4-2ビルドを根本を理解せずに見よう見真似で導入したマスカットはハーフラインを越えられない時間を増やした。

 

一旦越えてしまえばと言っても、越える所からブラジル人選手の個頼みで何とかする試合が続き、敵ゴールに迫る回数、エリア内侵入やシュート数自体は激減した。

 

一方で比較的に、ボールよりも後ろに人が多い状態でロストをするので意外と失点せず大崩れはしなかった。(しかし相手が最初から引いてくる横浜FC戦、仁川戦ではロングカウンター連続被弾で大敗、ハーフラインから構えた柏にも無の90分で敗戦)

 

 

 

 

それに対し、スペイン代表の様な安定したボール保持を配置で実現しようとしたキューエルはハーフラインまでは安定してボールを運ぶ事に成功した。その結果、相手がマリノス陣内へ強くハイプレスに来てくれる時間帯だけは強いという副産物を生み出した。

 

ところが、これまでのマリノスの得点力はスペースを素早く攻略する事によってもたらされている事を理解しておらず、おまけに相手がハイプレスを止めるとスペースが無くなってからハーフラインより先をどう進むのか、圧縮されたゴール前の攻略方法を知らなかった。

 

14分に先制したが徹底的に待たれて3失点した町田戦は象徴的な試合だろう。

 

結果としてウイングはゴール前で外に追い出され、何とかしてくれとばかりに、ロペスのシュート数だけが増えていく事になった。(1試合辺り 23年2.79本 24年3.6本)

 

特に敵陣に入ると、ポステコグルー時代の気分そのままな選手任せにより、SBとボランチが闇雲に前のスペースへ突撃していく為、スペースを奪いウイングの個を潰した上で、安定してボールを前に運ぶ結果、安定してロングカウンターを被弾した。

 

相手が1人少なくなるとむしろロングカウンターを被弾して劣勢になる光景もパターン化した。

 

敗戦処理に過ぎなかったハッチンソンついては特に言及しない。オーダーはやり切ったご苦労様。

もちろん彼にも未来へ十分なチャンスはあったが、シーズンが終わり、来期を委ねようと思う人は誰一人いないだろう。契約こそがプロの評価だ。

 

 

デ・ゼルビの考えを垣間見たい方はこの解説を

 

 

 

 

新監督は何をやるのか

 

このプロセスを経て就任する新監督。

 

www.nikkansports.com

 

その経歴から見ても、現在のプレミアリーグで標準化しているような事は全てやるだろう。やろうとはするだろう。

 

中でも、特に期待されるのは相手を見たサッカーをするという事

 

例えば4231(442)でスタートしたとして、相手の出方次第でビルドアップの形は325をベースに、4-2、2-3もあり得る、プレスのかけ方により立ち位置を変える、試合前に仕込むのではなく、試合中に変えるというのを選手がついていけるかどうかは知らないが、間違いなく実践しようとするだろう。

 

現状、これが出来ないチームはボール保持に拘る資格(能力)が無い。

 

 

 

特にSBは闇雲にと前に出ていくだけではなく、個人ポジショナルプレーとも言えるリーダーシップを持った選手が必要になるだろう。更に中央ではアンカー的に振る舞う事が出来る選手も重要で、中でCBからのパスを受けて次へ届けられる能力が問われる。

 

また攻撃では完璧な崩しよりも、より攻撃効率を高める敵のゴール前にボールを入れる回数を増やそうとする。この為、ウイングに個が求められるのは引き続きだが、より縦突破からのクロスが重視される。

特にヤンには1対2の局面でフラフラと中に入らず、2人目を無効化出来る縦突破を要求するだろう。(スペインで久保はこのドリブルを有効に使っている)

 

この辺はシンプルアタックを好むスキッペ的な所があるかもしれない。

無残なロストからロングカウンターを被弾する確率が減る。

 

ハーフスペース攻略も時間をかけてボランチが飛び込むのではなく、スペイン代表でニコが繰り返したように、ウイングのダイアゴナルな動きで突いていくのがメインになる可能性がある。

 

マスカットが一時期力を入れたロングパスを使用したラインブレイクランも設計に組み込まれ、特に逆サイドのウイングは斜め走りの回数も要求される。

 

 

 

一番要求される事は守備の強度とクオリティ

 

ハイプレスは責任が明確なマンツーマン気味になる方法が主流になると推測。今や、行くならマンツーマンはスタンダード。

 

一方でJリーグのトレンドとなっているGKからロングボールを蹴るのが分かり切っているような相手であれば、相手を考えたプランを用意するのも常識であり、対応するだろう。そもそもプレスのかけ方も相手次第で変えるというのが頻繁に行われる

 

プレミアの選手はこなせるが、今マリノスに在籍している選手がこなせるかは知らない。

 

また、特に要求が強くなるのは442ブロック守備になると考える。昨年にマリノスはシティと対戦したが、その後にプレシーズンでシティが戦ったアーセナルアトレティコ・マドリードとの差に愕然とした。

 

選手のクオリティと言えばそれまでだが、非保持においてマリノスの442ブロックはぬるま湯どころか空気だった。

 

 

ガラパゴスJリーグ、脱アジア水準、ワールドスタンダードを身に着けたチームが作れるのか。これは今期の新体制発表会で社長が目標としていた、世界と戦うチームという部分と合致する。

 

アタッキングフットボールは必殺技の名前ではなく、優先順位、第1目標の標語であって、それを達成する手法、プロセスは緻密に合理性をもって確率を高めるべく論理的に行う必要があり、自分達だけの特殊な方法で勝てるなんていう思い込みは捨てるべきだ。

 

ポステコグルーの限界が世界最高峰のプレミアリーグで露呈した今、それを再確認したい。

 

 

もっとも、アーセナルを率いるアルテタでもあれだけ時間がかかった事を考えると、来期は誰がワールドスタンダートの基準でプレーできるのか、選別の時間になるのかもしれない。

 

勿論、今期チェルシーを復活させたマレスカの様に元から所属していた選手の資質もあるとはいえ、いきなり大躍進の可能性も捨てきれない。

 

思い起こせば、セビージャが最も2強に迫った00年代黄金時代の選手であり、右サイドではナバスとダニエル・アウベスが猛威を振るい、5トップによる世界最高の攻撃サッカー(当時のセビージャ会長が勝手に言っていた話)を地味に中盤で支えていたあのマレスカさんなのが感慨深い。

 

昨年レスターで成功するまで監督実績は皆無だったが、1年で大出世を成し遂げた。前年にシティ・ペップの元で1年間アシスタントコーチを経験したアルテタに続く弟子2号と言える。

 

 

マリノスの監督就任が決定的となっているスティーブ・ホランド氏は監督としての実績は皆無に等しいが、世界最高峰の景色を、基準を、強いチームというのが当たり前にやるべき事を知っているのは頼もしい所だ。

 

選手がついてこれるかは知らないけれど。

 

スポーツダイレクターは腕の見せ所だ。

先ずはこのオフシーズンに、どうなるか見てみようじゃないか。