横浜F・マリノス ファン

横浜F・マリノスを応援するイチファンによるブログです。

横浜F・マリノスが突き抜けた数値を記録 走り勝つ=サッカーに勝つ

2019年、Jリーグを制したマリノスの特徴とも言える走力。

 

ただ漠然と、1試合で何キロ走ったのか、ではなく、対面する敵に対して走り勝ったという結果は、最終的にスコアとしての勝利にどれだけ関連したのか、優勝を争った4チームで比較してみた。

 

果たしてその実効性は、エネルギー(走行量)の差は、パワー(勝利貢献度)の差になったのか。

 

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https://twitter.com/NissanJP/status/1215931231046492160

 

備考

 

自チームに退場者が出た試合は、10人になるので、当然に走り負けしやすく、総走行距離も落ちるが、特に、11人換算をしたり、除外するなどの考慮はしていない。

 

また小数点以下は3桁で切り捨て

 

記事中で使用しているデータはフットボールラボが提供しているものです。

https://www.football-lab.jp/

 

 

 

4位 川崎フロンターレ 1試合平均の総走行距離 105.685km

 

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https://twitter.com/frontale_staff/status/1215062001333886976

 

 

総走行距離だけを見れば「走るのはボールだ!」を実践、突き抜けて走らないチーム。

ところが、相対する眼前の敵に対して、という視点で見ると、真実が見えてくる。

 

 

① 明確に走り勝った試合(敵に対して3km以上) 1試合 1勝

② 僅かに走り勝った試合(敵に対して1~3km未満)2試合 2勝

 

③ 走行距離は僅差(-1~+1km) 8試合 5勝1分2敗

 

④ 僅かに走り負けた試合(敵に対して-1~-3km未満)4試合 2勝2分

⑤ 明確に走り負けた試合(敵に対して-3km以上)19試合 6勝9分4敗

 

 

そもそも優勝を争った上位陣の成績なので、基本的に勝率は良い、という前提になる。なので見るべきは、勝率の逆、勝ち点喪失率を見るべきだと考える。

 

③と④では、全勝した場合の勝ち点に対して獲得した勝ち点は共に、66.666…%

それに対して、⑤においては、0.47368…%と著しい低下が見られる。

 

 

これらから分かることは、川崎は走らないチームだが、同時に対戦相手を走らせなくさせてしまう必要があり、明確に走り負けたというゲームは、それが失敗した事(=主導権を失った事)を意味している。

 

それは、ボールを持つ度に、確実に敵陣に押し込んでペナ角を中心とした狭いエリアでのボール回し攻撃を続けられたら、敵は走りたくても走れない、ということだ。

 

ちなみに総スプリント数で-20回以上負けている試合は0勝1分3敗。

https://twitter.com/NissanJP/status/1215931231046492160?s=20

 

 

 

3位 鹿島アントラーズ 1試合平均の総走行距離 109.877km

 

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https://twitter.com/atlrs_official/status/1212562940156530692

 

走行距離は平均程度、では敵に対しての実効性は…

 

 

① 明確に走り勝った試合(敵に対して3km以上) 2試合 1勝1分

② 僅かに走り勝った試合(敵に対して1~3km未満)6試合 5勝1分

 

③ 走行距離は僅差(-1~+1km) 8試合 6勝1分1敗

 

④ 僅かに走り負けた試合(敵に対して-1~-3km未満)12試合 5勝3分4敗

⑤ 明確に走り負けた試合(敵に対して-3km以上)6試合 1勝3分2敗

 

 

④の時点で大きく勝点を落としているように、走り負けイコール負け、川崎よりも関連性が高い結果が見えた。 

 

また、シーズン終盤に過密日程があり、11月は3試合で勝点を落としたが、神戸と広島には④の走り負け、また川崎に対しても、3km走り勝った1度目の対戦ではドローであったが、走行距離が、ほぼ同数になった11月の対戦では0-2負けと、疲労の影響が走力に出ている可能性が伺える。

 

また、鹿島単体で見てみると、結果として沢山走った試合(1試合総走行距離116km以上)において、1勝1分2敗と成績を落としており、鹿島もある程度相手をコントロールして、110km前後で走り勝てる展開に持ち込まないと、苦しいのかもしれない。

 

1つの指標として、走り勝てば勝てる、という関連性がみつかる中で、走り負けた試合が全体の半分以上、18試合にも達したのが、3位という順位の割に強い印象がなかった要因かもしれない。

 

 

 

2位 FC東京 1試合平均の総走行距離 109.869km

 

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https://twitter.com/fctokyoofficial/status/1203284926201597952

 

 

前線に速いアタッカーがいるとして、総走行距離は特に目立った数値ではなかった。

 

① 明確に走り勝った試合(敵に対して3km以上) 5試合 4勝1分

② 僅かに走り勝った試合(敵に対して1~3km未満)9試合 6勝1分2敗

 

③ 走行距離は僅差(-1~+1km) 10試合 6勝1分3敗

 

④ 僅かに走り負けた試合(敵に対して-1~-3km未満)5試合 1勝2分2敗

⑤ 明確に走り負けた試合(敵に対して-3km以上)5試合 2勝2分1敗

 

 

走り負けた試合がそもそも少ない。だが、走り負けると、優勝争いをするチームとしては良くないね、程度に成績が落ちる、やはり関連性があると言える。

 

また、明確に走り負けた5試合では、そこまで成績が落ちていないと言えるかもしれないが、実はその内、4試合の対戦相手が松本と湘南であり、当該2チームには2勝2分だったが、相手がセレッソになると0-3負けを喫している。

 

走り負けイコール負けの関連性は見えるが、FC東京も総走行距離は平均的であり、相対する敵を自由にさせない、ゲームコントロールの成果として、走り勝ちを達成していると言える。

 

 

 

ここで、マリノスに行く前に若干のおさらいをすると、今までの3チームにおいて、明確に走り勝った試合において無敗、僅かに走り勝った試合でも、東京が退場者が出たマリノス戦を含めて2敗しただけとなっている。

 

① 計8試合 6勝2分

② 計17試合 13勝2分2敗

 

 

この様に、記事の趣旨として、ここまでにおいて、既に高い関連性は見つかっているが、1位のマリノスは更に別次元であった。

 

チームとして、選手個人として、パス数、オフサイド数…様々な異常値を2019年のJリーグに残したマリノスだが、ある意味で最も異常な数値が最後に見つかったのかもしれない。

 

 

1位 横浜F・マリノス 1試合平均の総走行距離 116.647km

 

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もうむちゃくちゃだよ…

 

ワーストはレッドカード+真夏の鹿島戦で104.33km、最高値は4月の浦和戦で記録した127.84km。

 

 

① 明確に走り勝った試合(敵に対して3km以上) 14試合 11勝3分

② 僅かに走り勝った試合(敵に対して1~3km未満)3試合 3勝

 

③ 走行距離は僅差(-1~+1km) 9試合 4勝5敗

 

④ 僅かに走り負けた試合(敵に対して-1~-3km未満)6試合 2勝1分3敗

⑤ 明確に走り負けた試合(敵に対して-3km以上)2試合 2勝

 

 

 

見るまでもないのだが、その走り勝ちの中身も凄まじい、他のチームとは次元が異なる。

 

 

マリノス以外の上位陣が記録した、明確な走り勝ちの数値は、殆どが3kmをちょっと越える程度、例外的な最高値でも5kmにとどまるのに対して、マリノスは5km以上走り勝った試合が12試合、もっとも差が出た試合は4月の神戸戦で、

 

なんと9.61kmと選手一人分だ。

 

敵に退場者が出ている訳でもないのに、1人分多い優位性、スペースを埋める力、カバレッジパワーを発現させている。

 

 

マリノスに付き合う結果として、多くのチームが普段よりも多い、112km程度は走らされる事になり、そこから更に119kmまで数字を伸ばすマリノスに、敵チームはふるい落とされる形になる。

 

他の上位陣3チームが、相手をコントロール出来た成果として走り勝ちしている傾向が見えるのに対して、マリノスでは自身が伸ばしていく結果、敵がついてこれなくなる、まさにブッチギリと言える爆走だ。

 

 

「俺の走りについてこれるか」

 

「仲川 GTR」の画像検索結果

 

 

 

また、退場者が出た試合を含めて、チームの総スプリント数が150回を下回ったゲームは、1試合も無い。

 

FC東京  6回

鹿島    7回

川崎  16回

 

 

面白い傾向としては、松本には2試合とも明確に走り負けているが勝利した。

 

これは松本のスタイルもあるが、そもそも2試合ともマリノスのボール保持率が70%を越える異常な形式で行われており、正に参考外と言えるだろう。

 

 

 

 

さて、走行距離と勝敗への影響、関連性について『敵チームに対して』という視点を入れてみたがいかがだっただろうか。

 

最後にマリノスの数値を足すと2019シーズン、Jリーグで優勝を争った上位陣の数字は以下になる。

 

 

明確に走り勝った試合  22試合 17勝 5分

 

僅かに走り勝った試合  20試合 16勝 2分 2敗

 

ちなみに比較は以下

僅かに走り負けた試合 27試合 10勝 8分 9敗

明確に走り負けた試合 27試合 11勝 14分 7敗

 

補足としては、松本の様な特殊なチームが、各チームの『明確に走り負けた』の数値を若干、曖昧にしている傾向が確認できた。

 

 

 

サッカーでは走らなければ勝てない。

 

ドイツの空に虚しく響いた中田英寿の言葉を思い出す、対面する敵に対しての走力と勝敗、その関連性が示された。

 

 

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横浜F・マリノスはストーミングなのか

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https://twitter.com/adidasFTB_jp/status/1203206742370217986

 

 

ボールを巡る4つの状況、ボールを保持してる、ボールを持たれている、ボールを失った、ボールを奪った。

 

それらが高速で転換する激しいテンポのプレーを見て言われたとする言葉がストーミング。

ストーキングではないし、ストリーミングでもない(`・ω・´)

 

 

現在、プレミアで覇権をめぐる二強のシティとリバプールの関係において、グアルディオラのポジショナルプレーと比較して、クロップのストーミングと対比されるが、果たしてその認識は正しいのだろうか。

 

また、高速アタッカーを有し、敵陣でハイテンポな攻守の切り替えが行われるマリノスにおいて、ストーミングは行われているのだろうか。

 

 

 

ストーミングとは状況を表現した言葉に過ぎない

 

重要なのは、ボールを巡る4つの状況が混沌的に激しく循環する状況を、第三者が見て表現した言葉であり、ポジショナルプレーのように、構築する立場から出てきた言葉ではない。

 

日本的に言うなら、嵐のようなサッカーだ、みたいな?

 

つまり、構築する指針となる概念ではなく、あくまでも第三者目線において、目の前で起きている状況を批評、述べている際の表現に過ぎない。

 

これが前述のライバルクラブの関係もあり、対比する構図で持ち込まれ方をした為に、誤った認識が広まったのではないだろうか。

 

 

例えば、目の前で起きている天候を表す言葉として「暴風雨だ」として、それは台風によって引き起こされている時もあれば、春一番であったり、より局地的な積乱雲により、発生している事もある。

 

この点において、マリノスも、そして例えば湘南も、それぞれ異なるプレー指針の元に、ピッチ上ではストーミングを起こしていると言える。

 

 

 

OSとアプリケーションとモニター上で起きていること

 

今、皆さんは、何でこの記事を読んでいるだろうか。

 

日本における現状のインターネット使用率だと、8割の人がスマートフォンで残りがパソコンからのアクセスになるだろうから、OS、アプリ、モニターという言葉は伝わりやすい物として代用する。

 

 

例えば、そのモニター上で「アニメーションが動いている」という状況が起きているとして、それは必ずしも1つの理由ではない。

 

 

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YoutubeNetflixのアプリで動画ファイルをダウンロードして見ているだけ、かもしれないし、ゲーム等のアプリで予め入っている動画ファイルを再生しているかもしれない、更には命令によりリアルタイムで動かしている、かもしれない。

 

ただ、モニター上では等しく「アニメーションが動いている」と呼べる状況が起きる。

 

 

これをサッカーに、ポジショナルプレーやストーミングに当てはめると、こうなるのではないか。

 

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ラグビーアメリカンフットボール

 

一旦、ストーミングは置いておいて順を追って考えたい。

???? に当てはまるものは何なのか。

 

グアルディオラやポステコグルーが信じる物と、真に対比する手法を分かりやすく説明するに当たって、ラグビーアメリカンフットボールを用いて考えたい。

 

同じ様な形のボールを使い、同じ様な形のフィールドでプレーする、この2つのスポーツはルールも、大事にする物も大きく異る。何を重視するのか。

 

 

魂のポゼッション派、グアルディオラやポステコグルーが信じる物は、アメリカンフットボールに通じる。

 

それは、何よりも大事なのは攻撃権であり、サッカーだと、ボールを保持している事を意味する。

 

ルールでもボール保持を維持する権利が強く保護されている事もあり、アメリカンフットボールでは、自陣エンドゾーン(サッカーで言うならばゴールキーパーゴールライン上でボールを持っている状態)から攻撃を開始する場合でも、簡単に攻撃権を放棄することは先ずあり得ない。

 

つまり、目的地である敵ゴールまでの距離と、同時にリスクである自ゴールまでの距離が最悪の状態でも、前進による次の攻撃地点の確保、更には得点を狙っていく。

 

これはマリノスが自陣ペナルティエリア付近において、数的に同数でプレスを受けようが、ビルドアップを諦めない姿勢に通じるものが有るだろう。

 

攻撃権の絶対的な死守。

 

それに対してラグビーというスポーツは、にわか知識だが、非常に位置を大事にしているスポーツだと感じた。今、ピッチ上のどこでプレーが行われているかが重視されている。

 

特に、その位置(敵ゴール及び自ゴールとの距離)が最悪に悪い状況では攻撃権を持っている事にほぼ意味がなく、攻撃権を失う価値は比べるべくもなく、出来るだけ早い位置の回復を行う確率が極めて高い。

 

そして、この概念こそが、魂のポゼッションと対比する、もう一つの手法の根源にある物ではないだろうか。

 

 

 

位置(敵ゴールと自ゴールとの距離関係)を重視する手法とは何か

 

ポジティブな意思とネガティブな不安、それが敵と自ゴールとの距離関係を求める。敵のミスを信じて、自分のミスを恐れる。

 

キーワードは敵ゴールと、自ゴールであり、それらとの距離。

 

ボールを持つなら…出来るだけ敵ゴールに近い位置で持ちたい、その意思の裏返しに、ロストが怖いので自ゴール付近では持ちたくない。

 

そんな2つの思惑を含み、攻撃権、ボールのロストを重視しない、スペースへのロングボールが増えるのをいとわない。

 

 

更に、出来るだけ敵ゴールに近い位置でボールを奪いたい、その意思の裏返しはボールを持たない時は出来るだけ自ゴールから遠ざけたい。

 

速攻の期待と、ゴール前守る不安を背景に、特攻的な敵陣プレスが行われる。

 

 

 

位置を回復する為に、ロストを恐れずスペースを狙うパスを次々と蹴り、同時に回復した位置を守る為に、即座に守備を開始する。

 

突き動かす原動力が大きければ大きいほど、どれだけ期待するか、望まない状況を拒絶するか、という意思において、よりテンポは高速化し、ピッチ上は混沌化する。

 

 

 

ポジショナルプレーには4つ目の指標がある?

 

ポジショナルプレーはサッカーというスポーツを捉える為の概念と考える。

 

ピッチ上をボードゲームの盤面に見立てて、質的優位、位置的優位、数的優位、3つの配置的優位性を元に考えよう、という物である。

 

ただ、1つ欠けている要素があるんじゃないだろうか。

 

現在、ポジショナルプレーが掲げる3つの要素は主に選手とボールで考えられているが、これではラグビー的な概念を網羅してフォローすることが出来ないのではないか。

 

 

例えば、自チームの選手が誰も居ない空間にパントキックを蹴り込む時に考えられる優位性は?

 

ポジショナルプレーには4つ目の評価要素として、敵と自分、それぞれにおけるゴールとの距離、距離的優位、という概念が必要なんじゃないだろうか。

 

これにより、サッカーにおいてもクリアをポジショナルプレーにおいて評価に組み込める。

 

 

では、なぜ、現在はそれが無いのかというと、考案したグアルディオラ自身に、ラグビー的にサッカーを捉える概念がなかった、からではないだろうか。

 

もしも、自ゴールに近い位置でボールを持つことに対して、不安や恐れを感じるなら、今のサッカーは出来ないだろう。

 

 

 

マリノスが起こすストーミング(暴風雨状態)の原理と概念

 

一方、魂のポゼッション派であるマリノスで起きるストーミングは、それとは異なる理由だ。人が暴風雨と感じる状態は、異なるエネルギー構造である、台風でも積乱雲でも起きるのだ。

 

 

先ず、攻撃権を何よりも重視する魂のポゼッションでは、ボールを巡る4つの状態は以下に考えられる。

 

 

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ただし、魂のポゼッションにおいて、これだけでは、ピッチ上にストーミングは起きない。

 

多くのチームにおいては、ロストした瞬間に、攻撃権がない状態を許容できないとして、即座に奪還する所までは早いが、次のボールゲット以降においてテンポダウンが起きるからだ。

 

 

だが、ここでマリノスにはスペースをリソース(資源)と捉える概念があり、更に時間の経過により、それは失われるという認識の元に「攻撃は早くなければならない」という要素が加味される。

 

これは今のマリノスをデザインした当時の主要人物であり、ポステコグルー監督と契約したスポーツダイレクターのアイザック・ドル氏が2018年1月に行った指針表明演説でも、攻撃的、スピードの項目で「素早くなければいけない」「よりバーティカルなプレー」等と語られている。

 

 

ランゲラックのライプツィヒ及びその弟子達、そして影響を受けている筈のクロップにも、この概念はあるかもしれない。そういう意味では、マリノスは魂のポゼッション派に属しながらも、ストーミングを生み出す根源はメイド in ドイツに近いと言える。

 

 

一方で、ボールを持っている事の安心を何よりも重視し、スペースは作るものだ、作れるものだ、とグアルディオラは考えているフシが有るので、シティの場合に、その自主性のおいて、ピッチ上は中々、ストーミング化しない。

 

彼は攻撃時に、スペース(資源)が失われるという不安を抱えない

 

そりゃー、経緯を考えると、現役時代、監督時代、天才的アタッカーが常にチームに居て、ゴール前を固める相手から次々とゴールを決めて勝ってきたのだから、思いもしない概念である。風間元監督もこの派閥だろう。

 

例えばマリノスの場合、早さを求めるあまり、ボールロストを連発する機会が見受けられる。グアルディオラからすれば、これは攻撃権よりも早さを優先している攻撃に見えるかもしれない。

 

むしろ彼は「ボールを持っていないと敵にやられる可能性がある」という不安を抱えている事を語った事がある。

 

 

資源が失われる焦燥と、攻撃権に潜む1%の恐怖、2つの狂気を内包し、揺るがぬ信念により収束させ、敵陣を3色で染める暴風雨、それがマリノストーミング。

 

 

 

まとめると

 

 

ともかく、マリノスでは、魂のポゼッション派に属し、攻撃権を極めて重視しながらも、同時に資源を確保する為に早さを求めることで、ピッチ上において4つの状態が高速回転を起こし、ストーミング、『まるで暴風雨のような状態』、超ハイテンポなプレーが展開される事になる。

 

なお、ポステコグルー監督はこれを意図的に発生させているコメントをしている。

 

ddfm.pw

「(日本では)相手に対して主導権を握るようなプレーより、ゆっくりとしたテンポでのプレー、組織的なプレーをしたがる。これには驚かされたが、我々はこの点にも取り組んできた。」

 

ここにおいて主導権(イニシアチブを握るプレー)とは、攻撃権ではなく、敵の考える時間を奪う様な意図と思われる。

 

 

もちろん、競技は相手も勝つ為に必死であり、相対的なものなので、試合においては望まない状況を妥協して耐える局面は当然あるし、資源よりも安全を重視する時間を持って、体力的にも、ゲームを、リスクを、コントールしなければならない。

 

 

 

まとめると

 

・ ストーミングとは手法ではなく、ピッチ上の状態を意味する。

・ 攻撃権ではなく、プレーする位置を重視する手法がある。

・ ポジショナルプレーの概念に、ゴールとの距離を取り入れる必要がある。

・ キーとなるのは手法ではなく『8秒ルール』的なスペース(資源)を失う焦り。

・ 更に、妥協の拒絶が、よりテンポアップに拍車をかける。

・ 勝率を求めるのであれば妥協とコントロールは必須。

 

 

この思考遊びをするに辺り、大変参考になったので感謝します。

 

ストーミングについて本気出して考えてみた。ただし、途中経過(・∀・) | サッカーの面白い戦術分析を心がけます

 

横浜F・マリノスで見たい選手 永井龍

オフシーズンの与太話記事。

 

断っておくが、個人的に 見たい だけである。

 

 

選手データ

 

永井 龍

 

永井 龍

 

チーム 松本山雅 2018年~

ポジション FW ファーストトップ

年齢 28歳

180cm/73kg

 

2019年 リーグ戦プレータイム 1793分 3ゴール3アシスト

 

データ by 

https://www.football-lab.jp/player/1000051/

 

 

来歴

 

知る人ぞ知る、世代別代表に呼ばれ続けた、恵まれた体躯を持ち、期待された選手。

扇原と同じくセレッソユース出身、U-16、17、18、19、22を経験。

 

21歳の時、オーストラリアAリーグへレンタル移籍、2シーズンで26試合プレー。

(同時期、ポステコグルー監督はブリスベン・ロアーでリーグを蹂躙)

 

2014年はセレッソで柿谷、フォルラン、杉本、南野、に続く5番手のアタッカーとして1029分プレー、3ゴール1アシスト。

 

2015年、セレッソのJ2降格もあり、プレー機会を求め大分に半年レンタル後※、復帰したセレッソで試合中のアクシデントにより腎損傷で死にかける。

 

フォルランカカウが契約延長せずに6月に退団した為

2015年大分(復帰まで) 先発8試合 722分 2ゴール

 

 

 

翌2016年は長崎でプレーすると、上手く行かないチームの中で、永井への依存度が上がると共に大ブレイク。 神様、仏様、永井様、全く点が取れない長崎を15位に踏みとどまらせる獅子奮迅の活躍。

 

2016年長崎 先発40試合 3818分 17ゴール

 

十分な実績を元にステップアップを図るも、その後は、何となく気分で獲得される革命軍で赤く燃えたり、緑の大地に囲まれ山の中で労働に勤しむ等、ファーストトップとして、真の機会を得られない日々を過ごす。

 

 

マリノスの事情

 

稼働率は重要だ。

 

大きな怪我から復帰した長崎ではシーズン3800分のプレー、その後、所属するクラブ選択に問題があり、機会に恵まれないながらも今季は遂にJ1で1500分以上のプレータイムを獲得(1794分)

 

2017年名古屋 J2 1290分 6ゴール

2018年松本  J2 1159分 3ゴール

 

 

マリノスにおいて、今季の反省点として、例え3番手だとしても、近年にプレータイムを持たないベテラン選手を戦力として計算に入れるのは難しいという事。

 

チームが戦う水準の向上、コンペティション、プレーの強度を考えると尚更、先ず動けることが更に重要視される。

 

 

何より来季の場合、ACLではJリーグとは外国籍選手の登録数が異なる為、スタートを外国籍選手で埋めるとしても、絶対的にベンチには日本人のファーストトップが必要になり、日程が過密化するルヴァン、天皇杯との同時並行を睨むと、プレータイムを計算できる選手が必須。

 

更に、ACLの特殊なレギュレーションとして、一旦、グループリーグや、決勝トーナメントというシリーズが始まってしまえば、例え怪我だとしても入れ替えが出来ない点が上げられる。(厳密には最初に行われる試合の7日前まで)

 

例としては、グループリーグ初戦の3日前にエースが怪我をしたら、全6戦をエース抜きで戦うことになるので、各チームがリーグ戦でACL登録の主力を温存するのは疲労以外にも理由がある。(リーグ向け戦力の方が入れ替えやすい)

 

この点、主力を休ませる為に複数ポジションをこなせる、ACLには登録しない予定のリーグ専用外国籍選手、というのも検討材料だろう。

 

 

よって、外国籍選手の登録数には制限がある為、余分に外国籍のFWを登録する事も出来ないので…(サブの予定だろうが何だろうがACLの外国籍は4人まで)

 

・ ベンチスタートが基本という立場を受け入れる

・ 補填として機能するプレータイムが計算出来る

・ いざとなったらACLで戦える十分な実績のある日本人選手

 

という厳しい条件をクリアする選手が欲しい。

 

 

 

見たい理由

 

機会に恵まれない逸材に、最も優れたチームでチャンスを与えたらどうなるのか気になる、という好奇心であり、彼に、より良い型で機会を与えれば、シュート成功率が20%オーバーになるのではないか、という期待感がある。

 

 

今季評としては、アタッカーでは、誰が出ても良い数値を出すには厳しいチームで、恵まれた体躯を活かし後方に時間を作るプレーでの健闘が目立った。 敵陣空中戦での分も悪くなく、J1水準である程度、基準点になれる能力を発揮したと言える。

 

そして何より、本来は思わず声が出るようなドリブルシュートを得意とし、長崎時代はゴールエリア内に飛び込んで勝負出来るファーストトップだった良い印象が残る。

 

 

www.youtube.com

 

 得意技はニアを撃ち抜く低弾道シュート

 

 

 

データ

 

若干の母数不足だが、複数年において、合格水準と言えるシュート成功率15%以上を記録。

 

2016年~2018年 J2通算 シュート数 167本 26ゴール 成功率15.56%

3年連続 成功率15%オーバーをクリア

 

☆ 参考までに、凄い決めている印象のある選手の2019年リーグ戦シュート成功率

 

ディエゴ・オリヴェイラ 16.5%

ドウグラス 15.4%

小林 悠 15.3% 

 

 

裏を取る俊敏性をもち、パスさえ出れば決める力はある。

 

www.youtube.com

 

また、マリノスよりも『精神的に辛そうな走り』が多いチームで、十分な走力を証明。

 

J1リーグ直近10試合で先発フル出場は6試合

平均走行距離 10.612km

最高走行距離 11.254km(エリキ 11.525km)

 

平均スプリント数 24回

最高スプリント数 33回 (エリキ 35回)

 

 

 

どこかのことわざだったか忘れたが、同じ大地で育った作物、みたいな意味でも、そのマリアージュに期待したい。

 

二代目ドラゴン(ちなみにリュウではなく、りょう)

 

この点、他の選手との契約も絡むがJ2のパス王、京都の庄司はエースの仲川と同じ畑かもしれない。

 

 

また、ふと思うのは3番手の存在が無く、層の薄さに苦しむFC東京とかに取られても、ディエゴとも組めるし、速い永井とダブル永井も出来るので、非常に嫌な選手である。

なんで目をつけないのだろう。

 

迷走するJリーグアウォーズを斬る

この記事は、いつものマリノスファンとしてマリノスをキニナル皆さんに送る記事ではなく

 

~ スポナビブログ時代に適切なタイミングで良いタイトルを入れるだけ、で簡単に2,3万PV行くので書いてた ~

 

普段とは異なる記事です。

 

 

なお全て、個人の感想です。

 

 

授与式を面白くする必要はあるのか?

 

Jリーグアウォーズは表彰式であり、賞を授与する場です。

あの、聞きたいのですが、それが面白い必要があるんでしょうか?

 

まぁ、万人ウケを求められるテレビ番組なら、そういった要素が必要な面もあるでしょう。

 

 

そもそも論で、よく考えて欲しい、賞の授与式に最も必要なのは…何だろうね。

 

賞を授与する人を観て、笑う必要が、笑ってもらう必要が、あるのかい。

 

 

 

主催者が授与式で先ずやるべきことは…

 

 

賞の価値を高める演出だろうがよ!!!!

 

 

その点において、別に芸能人を呼ぶなとかではないですよ。

ただ、プロフェッショナルとして、仕事に挑む緊張感がそこに有った様にまるで見えなかった。

 

例えば、先日の国民祭典で祝った、彼らにはそれを感じた。

 

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多くの人がJリーグアウォーズに感じた不快感。

 

 

それは インテンシティがゼロだった 事だ。

 

 

この緊張感ゼロの空気を作ったのは『賞を授与する場で最も重視する事は何か』を定義できていない主催者のJリーグに他ならない。

 

サッカー好きな芸能人が集まって気楽に、フランクな姿勢でダベる会は、裏のYoutubeチャンネルでやればよろしいのでは?

 

 

 

ベストイレブン選考

 

競馬のJRA賞など、普段は優勝劣敗のみがまかり通るスポーツで、順位付けに投票式を採用している場合、色々と紛糾することはある訳ですし、結論として、民主主義とはこういうものだ、と思います。

 

ただし、賞に応じた選出方法というのが有ると考えます。

 

最優秀選手賞、つまり年間リーグMVPについては、実際に対戦した選手監督による投票、つまり印象票で決しても、何も問題はないでしょう。

 

それに付随する、優秀FW、MF、DF、GK、各項目で投票数の上位3名、などとする。

 

 

ベストイレブンについては、それとは別に、スタッツデータ等を元に、試合を分析するプロが選ぶのが納得感が高いと私は考えます。

 

納得感。

 

例えば、私がここで、2019年ベスト映画はゴジラです!!!!と宣言します。

 

 

ただし…

 

天気の子? ジョーカー? アベンジャーズ? アナ雪2? 

 

は? 全部観てませんけど何か?

 

これで納得感ありますかね。

 

 

 

 

で、2019年Jリーグベストイレブン選んだ皆さんは…

 

 

全チームの全試合を観たんだろうな???

 

 

 

え?

 

むしろ殆ど見てない、印象だけで決めたんですかー?(ニヤァ)

 

そこに納得感は生まれますかね。

 

 

 

2019年Jリーグで行われた全選手のプレーを出来るだけ広く網羅できるのは統計データだけです。

 

そして最後に人の目として、試合分析のプロが、例えばサイドバックとしてより優れている数値を出した選手は誰か、という複数人による議論を行い、

 

GK、センターバック、サイド(ウイング)バック、守備的ミッドフィルダー、攻撃的(サイド含む)ミッドフィルダー、FW(ウイング含む)

 

みたいな各ポジションを選出した方が、異論は絶対に出るとしても納得感は高くないでしょうか。

 

また、密室ではなく「AとBを比べたが、このポジションであれば、このデータを重視すべきと判断しました」のようなプロセスもサイトなどに公表したら良いと思います。

 

この点、競馬のJRAでは、機関紙の優駿において、トップハンデという馬の能力を数値化する一種の賞があり、ハンディキャッパー達による議論が毎年公開されていて非常に面白いコンテンツでした。

 

 

 

先ず授与式とは何なのか。

そして、より納得感のある選出方法。

 

今のJリーグは、日本サッカー協会とは異なり、合理的に良くしようというプロセスを歩める団体であると信じています。

 

 

20億円も前借りするんだから、ちゃんとやろうぜ。

 

いや、お願いしますよ。

 

 

www.nikkansports.com

DAZNから入る公衆送信権料(放送権料)収益が来年度は約25億円増額されることに加え、22年度の増額見込み分16億円を前借りして20、21年度に配分、先行投資する異例の取り組みを「強い意思決定」(米田理事)として決議。

 

横浜F・マリノスがJリーグで優勝した理由 全試合見続けたファンが2019年に何が良くなったのか説明する

明治安田生命J1リーグ2018シーズンにて、勝ち点41、正にギリギリの残留という結果に終わったチームは、なぜ翌年の2019シーズン、チャンピオンになれたのか。一体、何が良くなったのか。

 

 

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https://twitter.com/jsgoal/status/1203218170233769985

 

 

 

誰もが気になる部分に、定点観測を続けたファンならではの視点で答えたい。先に言う、長いぞ。

 

 

前年との比較ではなく、CFG以降の5年を振り返るならこちらの記事から

speir-s.hatenablog.jp

 

 

おさらい 失敗の2018シーズンと低迷した真の理由

 

監督も認めた失敗に終わったシーズンを総評すれば、何もかも原因はラディカル(急進的)過ぎた変化、時間が足りなかったという準備不足に求められるだろう。

 

ビジョンや方向性、正しいやり方だとしても、急ぎすぎては上手く行かなかった、それが最も顕著に出たのが所属選手の構成、つまり編成だった。

 

40歳の選手が肉体の限界を越えてまでピッチに立っていたとして、まだセンターバックが物理的に足りず、サイドバックは交代要員が一人も居ない状態でシーズンを終えた様に、昨年の夏にバックラインは質以前に、物量において壊滅的状況であった。

 

その後、夏のマーケットにおいて獲得した、ドゥレ、チアゴ、畠中の3人が揃った後半の13試合は明らかな誤審を除けば13失点、つまり、シーズン換算では34失点となり、これは十分に堅守と呼べる状態であるし、守備に関しては、監督が望んだ選手が揃ったらどうなるのか、が翌年に先んじて示されていた と言える。

 

 2019年2月9日記事

speir-s.hatenablog.jp

 

2018シーズン失点データ

<前半>

第1節から22節まで 21試合  合計 40失点

1試合平均 1.904 シーズン(34試合)換算  64.736

 

<ドゥレ、チアゴ、畠中が揃ってから>

第23節から34節まで 13試合 合計16失点(誤審3)

1試合平均 1.230 シーズン換算 41.846

 

 

一方で、前半戦の勝ち点は20、そして後半戦も勝ち点21とあるように、失点数が激減したにも関わらず勝ち点を稼げなかった。多くの人は異なる印象かもしれないが、これが数字的には正しい。

 

2018シーズンにマリノスが最後まで残留争いに巻き込まれた真の理由は、夏には解決した守備陣の編成問題にはない。

 

誰もが攻撃は良いマリノス、と思っていたかもしれないが、実の所は総得点数に誤魔化されていたにすぎない。

 

本当は得点力が低い、1試合4点以上を記録した、8得点の仙台を象徴とする、通称バカ試合を除外した場合における平均的な得点数、これに問題があった。

 

2018年9月27日記事

speir-s.hatenablog.jp

24試合 28得点 1試合平均 1.166

※記事投稿時点

 

この1試合大量得点を除外した数値が、2018シーズンにおけるマリノスの真の姿であり、この数値は同じ方法で算出したモンバエルツ時代より、なんと0.2も低い数字である。

 

その結果、今季に向けてウーゴ、伊藤翔、ユン、ブマル、前線スカッドもバックライン同様に、大幅な総入れ替えが行われた。更に2018シーズンは全体的な計画性を欠いた結果、バックラインに外国籍選手を使う関係で、比較的、得点関与率が高いブマルを使いたいのに使えず選択肢を失う、という事態も招いた。

 

前任者は、辣腕と呼べる優秀なSD(スポーツダイレクター)だったが、20人近い選手の入れ替えを現実と戦いながら、ワンシーズンで達成するのは、いくらなんでも無理だった。

 

振り返ると昨シーズンの失敗を招いた編成だが、先ずはディフェンスライン、そして今季はアタッカー陣にリソースが割り振られたと言える。

 

そして、時間さえあれば、シティフットボールグループの最先端の分析力、情報網、海外現地での協力体制という、Jリーグではチート(インチキ)とも言える、最適な選手を連れてくる確かさは皆さんご存知のとおりだ。

 

 

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「日本ではよく外国籍選手の補強に関して、『当たり、外れ』という表現が使われますが、我々はそういう言い方はしません。我々はギャンブルしているわけではなく、情報を集めて精査して、自分たちのスタイルにあう選手を選んでいるので。」

 

CFGにマリノス専属のコンシェルジュみたいな人がいて、その人に『俺に話してくれれば問題を解決するよ』と言ってもらっています。試合分析においても、CFG側にシーズンを通してマリノスのためにリソースを割いてくれる人がいますからね

 

 

最後方の2-2ユニットから始まる流動性

 

信念が揺るがない監督、もっと言えば頑固者。

 

そんな監督が、プレーの根幹に関わる部分において、就任以来続けてきたが、今年に入って変えたことがある。

 

 

昨シーズン開幕からマリノスでは、最後方でビルドアップする時の枚数を頑ななまでに2-3(2人のセンターバックの前に、喜田+サイドバックが基本)としていたが、これは敵からすると特攻プレスに行く時に2トップでハメやすかった。

 

特に有効だったのは、GKまでは追わないで持たせて、ロングボールを蹴らないことが分かってるGKからマリノス陣内へ出るボールを数的同数で狙うやり方で、自陣でのロストを重ね劣勢になる事例が目立った。(顕著な例は2018年10月20日のガンバ戦 前半1-0から1-2の逆転負け)

 

これは2018年夏に、一時期3バックを試した時ですら、ボール保持時は3人のセンターバックの内、1人は1列上がらせるほど、絶対に2-3の形を維持していた。

 

さて、今季、どうするのかと見ていたが、開幕からは引き続き頑固なまでに2-3だったので不安を覚えた。

 

案の定、その形に向けて対策(用意)をしてきた相手にビルドアップが上手く行かない、更には相手が勝負時とばかりに圧力をかけてくると、ボール保持すら危うい状況は改善しなかった。

 

変化が起きたのはある程度シーズンが進み初夏を迎える頃。 選手の欠場などもあり、ユニットの組み合わせを模索する中で、対策に対する柔軟性が高いシステム、解消案として、遂に発見したのが、2人のセンターバックと2人のミッドフィルダーからなる、2-2ユニットである。

 

 

これは基本的に最後方は2人のセンターバックで担当するが、敵1列目の人数に応じて、ミッドフィルダーの内、1人が最終ラインに入り、3を形成するというもの。

 

 

 

 

これだけだと、なんだそんな簡単な事かと思うかもしれないが、タスクとして『絶対に最終ラインを数的同数以下にしない』という意識が強く植え付けられているのを感じる。

 

同時に、これはパターンではなく、あくまでも状況次第な動きである為、最終ラインが数的同数以下にならなければ2-2のままを維持するし、注意事項として、マリノスの場合、1列下がって最後方で3を作る選手は、センターバックの間に降りる、とは決まっていない。敵がどの様にプレスをかけるか、敵陣形のどこを突くのか、次第である。

 

 

また、2センターバックと喜田は基本陣形であり、そのコンビとなるミッドフィルダーがキーとなるべく、正に常時、盤面を認知、分析し、配置的優位を意識したポジショニング、ポジショナルプレーの実行が要求されると言える。

 

その結果、レギュラーポジションを掴んだ扇原は1試合の走行距離で連続1位を記録する期間もあった。

 

 

 

 

これは、日本代表が未だに柴崎という一人の展開力に依存しているのとは異なり、正に最先端の司令塔と呼べるプレースタイルだ。

 

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数的な優位性を保ちながらボールを前進させることを重要視しているポジショナルプレーにおいて、選手の距離感は生命線。だからこそ、左右に動き回りながら味方との位置を調整するジョルジーニョは「適切な位置関係」を保つことに寄与する。

 

広い範囲を動き回りながら、正解にゲームメイクをこなす彼は、新時代のレジスタと呼ぶべきだろう。一本のパスで戦況を打開する天才ではなく、チームの組織の中で力を発揮する彼らは、今後の育成が目指す選手像にもなるに違いない。

 

 

また、両サイドバックにもそれは高度な水準で求められ、彼らは2-2ユニットの状態を見て自身も適切な配置をしなければならず、時に、最終ラインで3の一角に入ることもあれば、3の前で1をやることもあるし、必要なら3-2の配置を取ることもあれば、マルコスの代わりにトップ下の位置で、敵2列目の裏を狙うこともある。

 

(川崎戦の松原からエリキへのスルーパスを送ったシーンは標本と言えるプレーであり、後方が生み出した時間とスペースというリソースを、前進のエネルギーに転換するハブの役割も担う)

 

これぞ正に開祖であるヨハン・クライフが言うところの「サイドバックが60mを上下移動するなんて馬鹿げている」「彼らはボールについてまわる選手」であり、その難解なイメージをグアルディオラが分かりやすく『偽サイドバック』と翻訳したプレーである。

 

マリノスの攻撃について、流動性が言われるが、それは前線の、ゴール前の話だけではなく、最終ラインから始まっているといえる。

 

 

情報を取得し分析、判断、実行する能力(リーダーシップ)を獲得した選手に、柔軟性の高いシステム(プログラム=命令)を与えることで、予習をされても、簡単にはハマらないチームになった。

 

 

2019の特徴① オフサイドトラップ

 

マリノスではオフサイドトラップの概念が異なる。

 

マリノスでは駆け引きや守備ゾーンのコンパクト化だけなく、タックルをするのと同じくらいに、ボールを奪う手段として、オフサイドトラップを採用している。

 

そして、マリノスはラインが高いから裏を狙おう位の軽い気持ちで挑んできた対戦相手は、山のようなオフサイドを積み上げた。

 

ただ、これはボールホルダーへのプレッシャーが全くない状況でも実行してしまう為、同時に多数の失点につながっていた時期もあり、若干のやり過ぎ感もあった。

 

 

典型例

 

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夏の時点でマリノスは、被シュート数が少ない(リーグ3位)のに、いざシュートを打たれれば簡単に決まる脆さがあった。被シュート決定率 11.4%(リーグ14位)

 

ところが、上位を追い詰める10試合で、24試合で11.4%だった数値が、33節終了時に10.5%と激減した。だからといって、オフサイドトラップを減らすなんて解決方法でないことは試合を見ていれば誰でも分かる。

 

 

ポイントになったのは、エリキが優秀なアタッカーであったとして、どこで使うのかに揺れていた時期にある。 夏加入でマリノスのやり方も分からず、ボールの猟犬と化してしまったエリキが、自ポジション(当時は右サイド)を全く守れない時期に行われた数試合。

 

マリノスのハイ(敵陣)プレスを回避しても、ゆっくりとゴール前までボールを運ぶ名古屋はなんの驚異でもなかった。

 

だが、徹底的にその穴を突かれ、実は薄氷の3-0勝利だった広島戦、そして広島戦をよく研究しており逆転負けしても不思議ではなかった仙台戦の手痛い引き分けを経て、最終的な陣容が固まった。

 

 

 

非ボール保持の時、屈指のインテンシティが生まれた。

 

「自陣にフリーのボールホルダーがいなければええんやろ?」

 

信仰による勝利。

 

 

 

2019の特徴② コンパクトネス

 

次にチームの守備における特徴として、フットボールラボにおいて、昨季よりも顕著な変化を感じるデータが、コンパクトネスだ。

 

マリノスが守備時におけるブロックの平均サイズが以下になる。

 

 

2018シーズン

 横幅 37.5m

 縦幅 30m

 

2019シーズン

 横幅 36.3m

 縦幅 28.5m

 

 

特に縦幅は、昨年の方が最終ラインの平均位置が高いのに縦幅が広く、前がむやみに追いすぎていた、前線のプレスバックが甘かった、その結果、後ろは広大に空き、中身もスカスカだった傾向が垣間見える。

 

平均値なので、ハイプレス時だけでなく、自陣守備時も含めて、リーグトップレベルにコンパクトな、敵ボールホルダーを圧縮する守備陣形、これが2019シーズンのマリノスである。

 

多くのチームが、圧縮されたことによって生まれる空間、『逆サイド』を目指したが、屈指のインテンシティにより「逆サイドに逃さなければええんやろ?」と封殺した。

 

もちろん、後ろはゴールキーパーとして、エデルソンやノイアーを越える『フィールドにおけるパスカット数』を記録しそうなパク・イルギュが控えている事も追記しておく。

 

 

 

信仰の勝利。

 

 

2019の特徴③ 最強のトランジション

 

次に劇的な変化が見れるのが、トランジション(切り替え)の局面において、負の切り替えと言われる、攻撃→守備において計測した指数が、昨年の58から、今季は75と、約30%のアップが確認できた。

 

この指数は、ボールを失ってから3秒以内に自チーム(全員)が走った距離が10m以上あり、それが敵チームの1.5倍の時に計測される。

 

つまりボールを失った時に、いかにチームがフルパワーでエネルギーを注いでいるか、という指数であり、マリノスが記録した物は、他のどの数値よりも、リーグ内で最も突き抜けた数値であり、オフサイドトラップの多用、コンパクトネスと並び、今季マリノスの特徴と言える。

 

 

ちなみに川崎は41、鹿島に至ってはリーグ最低で38と、この指数は攻撃回数の多さに関連性はなく、失った直後に取り戻す意思を表す数値、故意によるものなのかが分かる。

 

また2位は走って頑張るチームと皆が思っている湘南だが、指数は64、それを10以上も上回るマリノスの突出ぶりが確認できる。

 

リバプールや、シティといった最先端を見ても思うのは、ボールを失った瞬間にエネルギーを注げないチームに強度は生まれないし、強さを感じない。

 

 

②と③の複合的な要素として、コンパクトな守備陣形と、全力の切り替え勝負、これが生み出すハイ(敵陣)プレス成功率が、リーグ最強のショートカウンターにもつながっている。

 

 

 

 

2019の特徴④ ポゼッション攻撃の進歩

 

 遂に訪れた収穫の時、苦しみの時代終焉。

 

初めて読む人もいるかと思うので、昨年の開幕前から何度も言っていることを再び言う。

 

マリノスボールをロストしやすいカウンター頻度を落とし(行けそうな時は全力で行く)、攻撃権を大事にして、より敵ゴール前のプレー機会を求め、ポゼッション攻撃に傾倒し始めたのは、モンバエルツ時代から、それは2017年の夏前からだ。

 

 

この時間は忍耐を要する、正に苦しみの経緯、歴史であり、特にモンバエルツ時代は死屍累々、悲惨なまでの自陣でのボールロストを生んだ。

 

2018年1月14日記事

speir-s.hatenablog.jp

 

ポゼッション攻撃に取り組んだ代償

 

被チャンス構築率 12.2%(リーグ17位)

平均被シュート数 14.4本(リーグ16位)

 

とても5位になったチームの数字とは思えない…モンバエルツがいかに失点率を減らす、守備ブロック構築の名人だったかと言える。

 

 

そして2018年、勝利する為の最善手であると信じる監督、信念のポゼッションをする監督に変わった事もあり、ボール保持率はシーズン平均約59%と、歴史的にもミシャのレッズを越える、最もボールを持つチームが完成した。

 

 

 

 

だが、前述したように、前後に選手が揃わないこと、監督が固辞するやり方が対策を立てやすい事もあり、2018シーズンは劇的な変化を見せつつも、ルヴァンカップ勝戦を象徴する様に、得点や、結果として勝ち点に繋がらなかった。

 

また傾向として、前年は、自陣ポゼッション指数70、敵陣ポゼッション指数56と、10ポイント以上も自陣が高く、これは後ろで持ってる時間が長い、同時に前に進めない事を暗に示す、ボール保持の拙さが垣間見えるデータが残る。

 

この点においても2019年は、自陣ポゼッション63、敵陣ポゼッション60と、バランスは大幅に向上している。

 

 

前年に、ルヴァンカップ決勝でボコボコにやられた湘南の特攻プレスを手玉に取る。例の騒動前の試合である事も追記しておく。

 

 

 

パーフェクトゲーム()

 

428本のパスがボール保持の安定感、そしてボール支配率が多数の攻撃機会だけでなく、同時に相手からボールを取り上げる守備に直結しているのが分かる。

 

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2019年夏、保持して殴り勝つを目的に、プレシーズンとは言えマンチェスター・シティに対して、ここまでやれるチームがJリーグにあるか。

 

 

 

 

ちなみに、この試合、グアルディオラは「暑すぎるので事前に取り決めた時間よりも早く、選手交代タイムを要求したい」と、通訳としてピッチレポーターを捕まえて4審に交渉したにも関わらず、自分は75分までほぼフルメンバーで戦った。何たる負けず嫌い、ずるいぞ。

 

 

2019シーズンの平均ボール支配率はJリーグクラブ前人未到の61%台に突入したが、その数値向上は、再奪取のクオリティ上昇は勿論、敵の圧力に対して自陣で失わずに、敵陣ポゼッションに移行が出来ている証だろう。

 

 

 

ゴール前のクオリティにかける執念

 

選手個々のファンもいるだろうから、あまり多くは語らない。

 

マリノスは、夏に、これだけの数値を残す選手がいるのに、満足できないでマテウスを獲得した。

 

 

 

また、事実として、共に日本代表出場歴のある三好と天野は、マリノスでポジションを失った後にベルギーへ移籍した。

 

 

そのクオリティをチームにもたらすのは誰か?

 

 

 

 

 

マリノスが変えなかった事 ポステコグルー監督

 

 

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「過去に拘って今のサッカーを変えずに、このままやった方が良いのでは、という人もいます。そういう状況でも信念を貫いていくことが最も大切。」

 

「自分は必ずこのチームで成功すると信じています。」

 

 

今季も多くのチームが監督を変えたが、「今、チームに起きている問題は監督を変えれば解決するんですか」と疑問に感じる事が多い。

 

また、問題解決の方法として、負けそうだから将棋盤をひっくり返す、解けないから問題用紙をビリビリに破く、といった、問題解決ではなくて、解決できないまま無くしただけ、という一種のヒステリーであり、エキセントリックな方法も目立つ。

 

 

サッカーに必勝法は存在しない。

 

だからこそ、勝つ為に最も良いやり方というテーマにおいて、私は、我々は、何を信じるのか、という一種の宗教である。

 

マリノスはサッカーというゲームを、どの様に定義するのか。

そしてマリノスが彼を、信じるものが同じである事を理由に選んだのだ。

 

 

※ 取締役、前統括本部長

 

 

そして望んだ結果が出ないとして、マリノスの分析力は、先ず自チームに活かされている。

 

今のマリノスは間違えない、一言で言うなら、しっかりしてる。思惑や願望ではなく、科学を拠り所に、最先端にキャッチアップし、リソースを確保し、適時、合理的な姿勢で問題に正しく取り組む。

 

2018シーズン、マリノスが同じ物を信じている監督を変えたとしても、原因は前述した編成にあったのだから、何一つ解決する問題はなかった。だから変える必要はない。

 

至極当たり前の事を当たり前にやっただけかもしれないが、不安や焦り、外圧もある中では、その当たり前をやり抜く事こそが一番難しい。

 

 

そして改善や解決というのは、先ず、何が問題であるのか、問題を正しく認識することが最重要である。

 

変える必要が無いものは変えなくていい、大変革の中で基準点を失わない事は、何よりも重要であった。

 

 

ddfm.pw

 

「私が日本に来て驚かされたことを強いて挙げるとすれば、人々がいかに保守的であるかということだ。だいたいそういうことだろうというのは感じていたが、日常には保守的なところが多いし、彼らのフットボールについても同じだ」

 

「日本が育てている選手たちのタイプに関して言えば、私と結びつくことはなかなか無い。技術的にとても恵まれた選手が育っており、彼らはとても速いテンポの中でプレーすることができる。そうしたフットボールは私が望んでいるものだが、彼らのプレーの傾向はとても保守的なんだ」

 

「相手に対して主導権を握るようなプレーより、ゆっくりとしたテンポでのプレー、組織的なプレーをしたがる。これには驚かされたが、我々はこの点にも取り組んできた。」

 

※ ここにおける主導権とは、攻撃権(ボール保持)ではなく、リアルタイムストラテジーゲーム的に、(判断する・考える)時間というリソースを奪う様な概念を意味すると思われる。

 

 

 

全てではないが

 

これでもかなり削ったが、長くなった。

 

時々における巧みなプレー、活躍した選手個々についてなど、まだまだ語るべき事は多数あるのだが、それらは表面的で分かりやすい事でもあるので、この記事ではあえて触れないでおく。

 

 

 

 

2014年に沈黙の壊滅的状態からリスタートしたサッカークラブ、横浜F・マリノス

 

最初の5年で、1は10くらいになっただろうか。

 

 

当時、CFGジャパンの代表としてインタビューに答えた利重氏はこう言った。

 

『シティ・フットボール・グループ』にとって、クラブ経営はイコール、ビッグクラブの経営です。

だからこそニューヨークであり、メルボルンであり、横浜なのです。

 

 

また、シティフットボールグループにとっても、大きなマイルストーンとなった。

 

グループの中で後発になるマリノスというクラブが、いち早くそれにを成したのは、莫大なリソースを、優位を活かすバックボーンが、オリジナル10として過ごした約30年によって備わっていたからこそ、である。

 

 

未知の領域へ

 

さらなる発展を求めるなら、次の5年はよりパワフルでなければならない。 

やるべきことは単純だ。

 

ハンドルを握り(正しい方向へ)サイクルを回せ(漕ぎ続けろ)

 

 

マリノスの戦いは まだ始まったばかりだ!

(ポステコグルー監督の次シーズンに、ご期待ください)

 

 

思いついた事を書きなぐった駄文ではあるが『今季のマリノスは何が変わったのか』について、少しでも伝われば幸いである。

 

 

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