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横浜F・マリノス24シーズン新監督 キューエルどうよ?

リーグ戦を9試合消化した段階だが、横浜F・マリノスに24シーズンから就任した新監督であるハリー・キューエル監督の仕事ぶりを表層的ではあるが、各種データからレビューしたい。

 

引用元 https://x.com/prompt_fmarinos/status/1776102718060564827

 

 

サッカーは相対的な競技であり、対戦相手の傾向に偏りがあればマリノスのデータも偏ってしまう事になり、その点で9試合という段階はフルシーズン戦ったデータと比較するには中途半端である点は考慮して頂きたい。

 

※一部更新の早いデータは10試合段階の物が混同している

フットボールラボ、Sofascore、Jリーグ公式を参照

 

 

5月2日段階 7位 得点減

 

9試合 4勝3分2敗 14得点11失点(10試合 4勝4分2敗 15得点12失点)

 

順位、勝率、勝ち点、得失点、2月から始まる過密日程を今期のJ1リーグで唯一消化している事を加味する事をどれだけ重視するかで評価も分かれる数字になっている。

 

一方で、それ過密日程は関係なくね?というポステコグルー就任以降から変わらず続く、拙い試合展開による勝ち点のロストを感じる試合があるのも評価を分ける要素だ。

 

 

その中でアタッキングフットボールを標榜するマリノス的に譲れない一線として、やはり9試合14得点が一番、分かりやすい未達項目なのかもしれない。

 

なぜ、という点で得点に関わる数字を追っていくと、シュート数、ゴール期待値自体は上昇している。

 

23シーズン → 24シーズン

 

1試合平均シュート数 13.9 → 15.1

1試合平均ゴール期待値 1.449 → 1.760

 

 

一方で、1試合平均ビッグチャンス創出は 2.6 → 2.3 と減少が見られ

 

更に1試合平均の

枠外シュート 5 → 6.4  被シュートブロック 3.7 → 4.4

 

と、得点が減っていても納得の数字が並ぶ。

 

勿論、これは消化試合がまだ9,10試合という事から自陣でブロックを作る撤退守備の対戦相手が多かった結果、という偏りの結果かもしれない。

 

 

 

攻撃データ

 

引用元 https://x.com/prompt_fmarinos/status/1767917468654469434

 

 

一方で、これも対戦相手による偏りは考慮しつつも、敵陣ゴールまで出来るだけ多く侵入するというチームの目標が一定の達成をされているのも確認できる。

 

1試合平均パス数を見ると

 

23シーズンが455本中 自陣241本 敵陣218本 と後ろでつなぐ機会が多いのに対し

24シーズンは 442本中 自陣208本 敵陣239本 と敵陣比率が上回る。

 

 

また実際の1試合平均プレーエリアでも

 

23シーズンは 30mライン(AT)侵入 42.4回 エリア内侵入が 13.1回

24シーズンは 30mライン侵入が 48.7回 エリア内侵入が 15.3回

 

共に24シーズンでは現段階でリーグ1位の数字であり、J1リーグにおいて最も敵ゴールに近い位置でプレーする機会がチームとなっている。

 

またコーナーキックが多い印象があるとしたら、それはデータ的に正しく、昨季は1試合平均5本だったのが、今期は7.6本と50%アップなのだから、そう感じるだろう。

 

一方で、広島は1試合平均のシュート数が20本(枠内シュート数もリーグ1位の6本、マリノスは5.1本)を越えており、マリノスとは約5本の差が生じており、パターンアタックの整備など敵ゴール前での効率という点で改善の余地はあるのではないだろうか。

 

 

ボールゲームを制圧しすぎてしまった結果、敵がとにかく引いて守備を固くさせる、更にはロングカウンターを被弾する、諦めた敵がロングボール中心なプランBで大反撃(川崎、C大阪)という要素もあるかもしれない。

 

 

 

守備データ

 

引用元 https://x.com/prompt_fmarinos/status/1783070543778066922

 

 

1試合平均失点、被ゴール期待値、直接的な数値でも悪化しているのが確認できる。

 

1試合平均の被シュート数も16.2本と、自分達のシュート数を上回る数字で撃ち負け状態のリーグ18位。

 

 

また間接的なデータでもKAGI(守備時に敵を前進させなかった)はポステコグルー就任時の2018年を下回り過去最低の41.5、リーグ19位の数字だ。

 

参考として23シーズンは46.5、22シーズンは51.0、21シーズンは56.0。

 

そして、今季から守備に関するデータはかなり細分化されており要約して箇条書きにまとめると以下になる。

 

プレスとブロック(ボールにアタックしてない状態)の違いを理解する必要がある

 

・ハイプレスは成功率などに改善が見られる

・一方で失敗してシュート打たれる率も上がった(リーグ20位)のるかそるか状態

 

・ロングボールで交わされるので高い位置のブロックは機能してない

・交わされてシュート打たれる率はリーグ19位

・だけどハイブロックからは失点した事はない不思議

 

・ミドルゾーンとローゾーンのブロックは優秀

・だけど、こちらものるかそるか状態で失敗はシュートに直結してる

・ミドルゾーンのブロックはシュート打たれたら4本に1本は決まる致命傷

・ミドルゾーンの被シュート成功率は勿論リーグ20位、ズバ抜けてる

 

改善点

 ハイプレスがギャンブル過ぎる

 ロングボールを蹴られる前提のハイブロックを検討

 ミドルゾーンのブロックではエラー=致命的状況の解決

 

属人的な理由なのか、構造的な理由なのか、何かを得る為に何を捨てるのか、実現できない理想よりも現実を見つめると、そういう決断も必要になるのかもしれない。

 

ハッチンソン、横浜FCで失敗した経験は活きているかい?

 

 

また433から442に何となく変えてしまう事で名古屋戦の逆転負けの様な、比較的マシだったハイプレス中心で戦っている状況から、苦手なミドルゾーンブロックで戦い続ける状況になってしまう事も考えないといけない。

 

更に、カウンタープレス(ロスト後の奪い返しプレス)という点で強いと感じるチームと比較すると、マリノスは被シュート率が11%(リーグ17位)なのに対して、広島5%、神戸5.6%と大きく水をあけられている。

 

とにかく過密日程、疲労というキーワードが一番影響しているテーマかもしれないが、昨シーズンに続いて、壊滅的な状況は継続中だ。

 

 

戦力編成 水を得た天野と433のインサイドハーフ

 

引用元 https://x.com/prompt_fmarinos/status/1780185064929939467

 

 

今季、未整備な守備を個で支えるポープや上島が活躍しているのは誰の目にも明らかであるし、インサイドハーフに見いだされた植中は戦力編成の歪さを加速させる程の活躍を見せる。サイドバックは豊富だが。

 

更にはMVP榊原の躍進は三井寿的にチームを育成年代から応援する人のハートをキャッチしているだろうし、MF陣の充実はACLのベンチで確認できるまで吉尾の捜索願をそろそろ出そうか迷わせる程であった。

 

 

そんな中でも、今一番期待をさせるのが右のインサイドハーフで起用が増えてきた天野純である。これまでチームが上手くいっていない様な時の方が活躍する、独特の感性でフレーム外での活躍をしてきたが、今期は物凄くハマっていると感じる。

 

433のインサイドハーフ、これまでプレーする機会が無かった殆ど無かったポジションだ。

 

 

ボールのキックに関してはチームでもトップレベルの技術力があるのは議論の必要が無いとは思うが、天野の真骨頂はそこではない。

 

個人的に彼のJ1リーグにおけるシーズンベストは2018シーズンであり、そのシーズンにこそ、天野が433のインサイドハーフに求められる資質を最も発揮したシーズンだった。

 

2018シーズン、リーグ戦における総走行距離は379.8㎞に達し、リーグで年間1位に輝いたのが天野純であり、走れる選手という資質を示している。

 

また2018シーズンにおけるデュエル勝率は59%(地上戦60%)に達し、前線で無駄にフラフラと浮遊させるよりも”球際”が多数発生する戦場に送り込むべき選手であるのが伺える。

 

これまで高い技術や感性を重視し、天野を正確に捉えなかった結果としてファジーに使い過ぎていたのかもしれない。アタッカーとビルドアップの中継者でありその両方、433のインサイドハーフという天職に巡り合った。

 

思い起こせば、2018年はアンカーに拘ったポステコグルーによって天野がフルシーズンインサイドハーフとしてプレーした唯一のシーズンだ。

 

 

現況として、前述の通り守備に大きな問題を抱えているが、ロペス、エウベルがファーストチョイスであるのは議論の余地が無いとして、故に2列目の強度が妥協できない、アスリート能力的に走れて勝てる選手で固めるレアルマドリード的な選択が必要となっているのではないだろうか。

 

マスカットは両ウイングを先ず変える選択をしていたが、キューエルが最初に考えるべきはチームの強度を担保する両インサイドハーフの状態になるだろう。高強度で走れない選手は破綻を生み出す。

 

喜田、渡辺、山根、榊原、植中、天野、2チーム分の戦力は整った。吉尾や植田にもチャンスが回ってくるかどうか。

 

この点、ナムテヒは時折上手いプレーをするのだが、要件を満たさないと考える。むしろ高精度なクロスを蹴れる事を考えると、インサイドハーフが充実してきた現在のマリノスでは左右のウイングが適しているように感じる。

 

元々は西のACLでも大暴れしていた実績は十分すぎる左ウイング、ふがいないプレーが続く宮市、井上は十分に競争の射程圏内だろう。

 

現実的に考えれば、大体殆どロペスが出る運用が続くのであれば、ファーストトップ・ロペスの保険として”6番目のベンチ要員”はそれぞれ個性があって興味深いし、宮市、井上、村上でも務まると考える。

 

J1クラブでありながら出場すら叶わない残念なチームもいるようだが、天皇杯などの今季マリノスにとっては優先度が低い大会で試すべきだろう。