横浜F・マリノス ファン

横浜F・マリノスを応援するイチファンによるブログです。

戦評 天皇杯2017決勝戦・セレッソ大阪戦

天皇杯2017・決勝戦においてマリノスは最終的に負けた訳であるが、私はとても良いゲームだったと評価している。

 

終盤、松原と飯倉のミスを何とか取り戻すべく、全員で相手ゴールに向かう姿勢は感動的であり、これは正に今シーズン、少しでも上にと、全員で、もがき、あがき、だけれども、あと一歩足りなかった最後の演目として『忘れるべきではない銀メダル』だと思う。

 

チーム全員で取り組む、この一体感は根源的な揺るぎなきベース(基礎)だ。

 

 

 

 

戦術マルティノス

 

 

日本を代表する老舗のサッカーメディアであるサッカーダイジェストは素っ頓狂な見出しの戦評を公開していたが、筆者は戦術+選手名を使う意味を軽く考え過ぎていないだろうか。

 

【天皇杯|戦評】“戦術マルティノス”の限界と“全員攻撃・全員守備”の底力 | サッカーダイジェストWeb

 

 

これは、そもそもの話をすると、この戦術+選手名というのが一躍有名になったのは、ブラジル代表として活躍した”フェノーメノロナウドが元になっているのだが、サッカーマニアには今更過ぎる既知の話である。

 

 

それは、敵を1人を引きずりながら眼前、2人のDFの間を突破していき、更にとんでもないシュートを叩き込む、異常的な個人打開力のみで、

 

クライフ監督退任と共に崩壊してしまったバルセロナをリーガ2位に押し上げた、チームに依存しない、助けがいらない、という意味ではメッシ以上の存在に対しての表現であり、

 

更に言えば、勝っても批判されるバルセロナにおいて、近年稀に見る退屈極まりないチームを率いた監督の発言を晒し上げる、嘲笑的な皮肉である。

 

 

今のマリノスは、取り組み始めたがゆえに上手く行かない部分があるのは確かだ。

 

しかし我慢強くチャレンジを続け、団結力で決勝の舞台までたどり着き、120分、最後の瞬間まで健闘したマリノスというチームに対する戦評、評価として妥当なのか、言葉の経緯と歴史を学び、物を書く、文字を綴る事を仕事とする人間として、適切な言葉であるのか再考してもらいたい。

 

 

 

 

マルティノスが前半に活躍した理由

 

 

専門誌の記者にとっては、マリノスマルティノスの個人打開力のみに攻撃を依存していると感じたようだが、私は意見が異なる。

 

 

特にマルティノスが躍動したのは劣勢であった前半の45分間であるが、これには理由がある。

 

先ず、前半、マリノスがDFラインから試みたビルドアップにおいて、自陣でボールを失った回数は7回にものぼる。

 

これは、とにかく蹴り出して相手センターバックが難なく処理した回数や、裏を狙って通らなかったパス、ハーフライン付近でバブンスキーや両ウイングが受けたが取られた回数は除外しての数字なのだから、明確に劣勢になるのも当然といえる。

 

その劣勢の中で、マルティノスへのパス本数、ドリブル、アタッキングエリア侵入回数、チャンスクリエイトが増加したのは事実である。

 

 

だがそれは、ビルドアップで比較的持てる選手がいる左サイドに逃げるしかなくなる回数が増え、最終的に対角へのロングボールが数回通った事、

 

更に、そのまま自陣左サイドからセレッソの攻撃が始まる事により、マリノスのウイングを用いたロングカウンターの設計として、右サイドのマルティノスは前目に残りカウンターに備えるので、

 

切り替えの局面で飛び出していける、速攻時にパスを受ける機会が増える、といったように、あくまでも状況が生み出した傾斜に過ぎない。

 

 

後半、延長と、セレッソの脚が止まり、そしてDFラインが下がり、相手陣内まで容易にボールを運べるようになると、むしろ左サイドで攻撃機会が増えたのは偶然ではない。

 

初めて観た専門誌記者には解らなかったようであるが、マリノスを1年観た皆さんにはおなじみな、左傾斜のビルドアップと劣勢の時ほどマルティノス、である。

 

 

 

 

メタらなかった

 

 

ゲーム界隈にはメタる、というワードがある。

 

硬い金属で殴るということではなく、ここでは、相手を限定した1戦限りの戦い方を採用する事、と訳したい。

 

 

シーズン3戦3敗、相手が何をやってくるのか十分わかっている。

 

高いラインに対して例えば徹底的に裏を狙ってDFを後退させて守備エリアの間延びを誘い、最終的に蹴り合いに引きずり込む様な戦力、マルティノスを筆頭に走力を武器にする駒も揃っている。

 

事実、前のめりになったセレッソがバランスを崩したことでコンパクトさを欠き、激しく攻守が入れ替わる、切り替え勝負のハイテンポな展開になった後半5~15分において、立て続けにチャンスを作り出したのはマリノスだった。

 

 

だが、一戦限りのやり方、というのも選択肢にある中で、それを採用しなかったのが、天皇杯決勝のマリノスだ。

 

 

だから監督を勝負弱いのだ、とする声も上がるだろうが、私はそうは思わない。

 

攻撃陣が、特に齋藤さんのシュートが全然枠に飛ばない中で、1点差ゲームを全て物にして14戦無敗、1位すら手が届く状況にまで立ち回ったのは見事であるし、何よりルヴァンより運の要素が高い完全一発勝負のカップ戦で、決勝まで進出した監督に対する評価として適切ではないだろう。

 

1戦ではなく、シーズンでモンバエルツを見た時に、とても勝負強いチームを率いる監督といえるだろう。

 

 

周囲が騒ぎ立てる喧騒の中『マリノスの為にプレーする、忠誠心を持った選手が揃った』17シーズン、取り組み始めたことが上手く行かない中でも、団結して乗り越えてきたフィナーレとして、私はこれでよかったと思う。

 

いちファンとして、残念ではあるが、そこに悔しさや憤りといった感情的なものは一切ない。

 

 

そして、より高いレベルでは、メタって勝ったとしても評価しないという基準、それがビッグクラブであり、CFGの、シティグループの価値観だと思う。

 

これは日本初のプロゲーマーと言える彼の考え方にも通じる。

 

勝ち続ける意志力 (小学館101新書)

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セレッソ戦を終えて 勝ち点60への道 横浜F・マリノス

敗戦は何度もあるし、いずれにせよ辛いものだが、セレッソ戦は気持ち的にも数字的にも、なかなかの手痛い敗戦だった。

 

それでも、まだシーズンは残っているし、意味合いとしてもACL出場権、順位というあくまでも相対的な物ではなく、目標として勝ち点60を目指すという小さくないターゲットが残っている事を忘れてはならない。

 

またしても審判への態度という感情的なもので累積8枚目となるイエローカードの提示を受けたことでマルティノスのリーグ戦は終わり、大怪我をしてしまった斉藤と合わせ両翼を完全に失ったとしても、より良い未来の為に、誤差の範囲ではない明確な進歩を多くの人が感じられる結果、数字が今のチームには必要だ。

 

まだ目標はあるんだ、として、シーズンも最終盤へと局面が映った段階のマリノスでは、両翼が居ないぞ、という問題を含めて様々な人的問題が生じているが、先ずはセレッソ戦を振り返りたい。

 

 

 

盾が崩壊した

 

 

さて、Twitterで失点シーンを振り返った局面。

 

 

 

 

 

失点が多ければ守備が崩壊というワードがあてがわれるが、印象ではなく、実際にどう壊されたのかを理解できていない人もいるだろうと、簡単にまとめた。

 

どちらのシーンも、フィニッシャーにラストパスが出る局面で、ゴール前の4枚という、モンバエルツが監督のマリノスにおいて、特徴的とも言える、盾が崩壊しているのが解る。

 

この盾と言う概念は被シュートが多い、ボコボコにやられてる試合が多いという印象があるのに、失点は少ない、という一見、幸運なだけに見えてしまうマリノスの堅守における重要な要素となる。

 

 

 

リスク管理の鬼

 

 

ペトロビッチの浦和や、川崎の様に、リーグで突き抜けた数字を残すチームというのは、やはり強固な意志が介在している結果だと私は思う。

 

この点、前述の彼らは得点だが、マリノスは失点数において(昨日の4失点は痛恨だが)リーグトップを毎年争って来たのも、たまたま優れた中澤のようなセンターバックがいるからという偶然性の物ではなく、我々のアイデンティティは堅守なんだ、というペトロビッチや風間、両氏に負けない位の強い意志が介在してこそだと考える。

 

それが形として伺えるのが、徹底したリスクの管理であり、前から敵ボールを取りに行く、攻撃を制限する、ゴール前を固めよう迄じゃなく、最終的にシュートを打たれる場合までを想定したリスク管理というものが、モンバエルツリスク管理に対する強い意志を感じる部分である。

 

 

それは敵の攻撃に対してどう守るか、という段階において、ボクシングに置き換えて考えると、そもそも攻撃をさせない、届かない位置にいる、出を止める、任意の場所に打たせる(避ける)、受け流す、などが有るが、

 

マリノスは、それらが上手く行かずに被弾するとしても、いや被弾する事も最初から想定して、ガードの上から打たせダメージを最小にする、という準備ができていると言える。

 

これをどの様に実現しているかというと、4人のDFが我慢強くブロックを維持、シュート、またはラストパスの局面まで4枚のDFが距離感を維持している姿(=盾を構えて受ける)に垣間見える。

 

例えば、日本代表には食らったら終わり的な意味で、この辺の意識が薄いように見える。

 

以上を踏まえてセレッソ戦の失点シーンをもう一度、考えてみると、盾が崩壊しているのが解る。

 

 

 

何が起きていたのか

 

 

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遠藤は1対1で危険性を感じなかったし、スピードもある選手でフォローの必要性は無いと思ったが、松原がジワジワと近寄ったのは非常に嫌な感じがした。

 

その結果、まぁ、昨日のマリノスの前線ではなし得ない程、レベルが高いパスからシュートのクオリティではあるが、極めて痛烈な同点弾を食らってしまうことになる。

 

 

この同点弾は、2点目につながる。

 

正直、前線はカウンターの局面においてミスだらけのボロボロで、もうマリノスは1-0で終わらせるしか無いという状態だったのはスタンドの皆が感じてたし、それは中澤も痛切に感じていたがゆえに、彼のメンタルに悪く影響したと思う。

 

 

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中澤が、引いた柿谷についていった事で大穴が空いたとして、扇原がカバーするのかと言えばそうでもなく、誰が埋めるんだというのが解決しなかった。

 

中町も見てしまってる状態で、これを中澤が悪いとは言えないが、良くない形になってしまう周囲の状況も想定して冷静に我慢をして、最終局面で大ダメージを受けない状態を維持するのが正解だった。

 

 

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更に、杉本がファーに流れて代わりに右にいた水沼が中に入った事で、下平は杉本を見るけど、栗原はついていけないし、扇原は見えてないし、マルティノスは人数足りてるやろ、と構えるし、という結局、周りにマリノスの選手はいるんだけど完全にフリーになった。

 

盾に開いた大穴と、それを狙う完全フリーの選手、そこへ素晴らしいアイデアとそれを実現する完璧なテクニックでラストパスが出たのではどうしようもない、シュートもノーミスだ。

 

 

 

ロングカウンターが出来ない

 

 

25分くらいまで、練習でやってきました、というセレッソを空転させる術が尽く上手く行って、2点目も狙えるのではないか、という状態だった。

 

もちろん早い時間の先制点という事で、引きすぎてしまったという反省の弁にあるような態勢になってしまったのはあるかもしれない。

 

だが、その状態になったとして、それはそれで上手く利用してきたのが昨秋以降のマリノスであるし、その環境下で大ブレイクしたのが斉藤学でもあった。

 

 

ところが、昨日の前線は、スピードやドリブルどうこうではなく、ロングカウンターが十分できる局面でミスを多発してしまい、アタッキングエリアにも入れずに攻撃が終わる、つまり相手ボールにしてしまうパターンを連発してしまった。

 

 

セレッソの攻撃が左に偏っていたが故に、ターンやドリブル、デュエルにおいて良さを見せるバブンスキーが起点になる回数が極端に少なく、カウンターの局面でアタッキングエリアまでは入るという最低限の攻撃機会すら作れないのは、

 

クオリティを持ったアタッカーを揃えるセレッソ相手に、攻撃を受け続ける事を意味し、確率論として、ミスはどうしても発生してしまうものでもあり、失点は時間の問題であったと言える。

 

 

 

モンバエルツに何か出来ただろうか

 

 

彼が能動的にゲームを動かせない、という評は私の印象とは異なる。

 

最初からそういうプランを用意していない、というのが正しく、逃げ切りの局面ではセンターバックを投入しての5バックというプランは用意されている。

 

つまり、ゲームの情勢を読めない訳でも、意気地がないから動けない訳でもなく、ゲーム中にベーシックを大きく崩す様な転換を好まない、というのが正しい評ではないだろうか。

 

それは先程のリスク管理という意味で、安定を何よりも重視している姿勢が現れていると言える。

 

 

それに雨が強くなって以降、急に精度を落とし始めたビルドアップを改善するというのは難題であるし、昨日のゲームで何かを出来たとすれば、

 

後半の開始からロングカウンターの成功だけを見据えてマルティノスバブンスキーの2TOP(天野がサイドに落ちて4-4-1-1)化という、駒の性能だけを考えた盤上でしか成立しない配置転換ではないかと思うが、ここまでを読んで、リードが有る状況でモンバエルツが準備もしていない博打をする事は無いのが理解できるだろう。

 

 

一方で、マルティノスすら居ないのが確定した2試合がマリノスには残っている。

 

勝ち点60へ向けて、何が何でも勝ちたい2ゲームでは同じくビルドアップが上手く行かない状況も想定される。

 

敵の攻撃は盾で受け止める事を再確認するとして、必然的に浮上するエース級の両翼無しでロングカウンターの再設計という大問題は、天皇杯とは別に、モンバエルツ最後の大仕事であり、チームの再浮上を何度も行ってきた彼の手腕に期待したい。

 

 

横浜F・マリノスで敗北を知った日 (リライト 2013)

新潟のFW鈴木武蔵が放ったシュートがキーパーの榎本を破り、ボールがネットに収まった時、スタジアムは完全に冷え切った。

その光景を、見ていて少し惜しく思ってしまった。


これが最終節ならマリノスにとって凄い歴史になっただろう。



Jリーグ2013シーズン総評


2013年のJリーグは勝てば優勝という横浜Fマリノスが連敗し、広島が逆転で昨年に続き、史上4チーム目の連覇を達成し、幕を閉じた。

昨シーズン降格したG大阪に続き、一時期は黄金時代を築き上げた磐田が降格するなど、浦和、鹿島、名古屋と言った近年の上位陣にサイクルの終了や、変革の苦しみが見えた。


一方、川崎や新潟、C大阪など、監督によりチームの方向性が確かになったチームからは大久保、川又、柿谷と言ったエースストライカーの出現も重なり、チーム共々、躍進を遂げた。


また近年、残留番長の称号を誇り、あそこより下に言ったら降格と言われた大宮が、前半戦Jリーグ無敗記録を更新する快進撃を見せ、首位に躍り出たときは他全チームが得体の知れない降格の恐怖に襲われた。

だが結局、大宮は後半戦、17戦1勝に終り、いつも通りギリギリ残留のライン収まり、残留番長の異名を守った。




横浜Fマリノスの2013


リーグ戦2位、ナビスコ杯ベスト4、天皇杯優勝。

ACL出場権(リーグ3位)獲得を目標にしていたチーム、総じて見れば成績的にほぼ完璧なシーズンと言っても過言では無い。


特に素晴らしかったのは攻撃時に攻撃から守備への切り替えの早さ、つまり失ったボールを相手の陣内で高い位置からすかさずに奪い返しに行く、勇敢な姿勢を貫いた事だと思う。



攻撃サッカーの信奉者、ルイス・ファンハールアヤックス黄金時代に言った言葉

「私の理想は90分間を相手のコートで過ごす事だ。」


もちろんこれは到底無理な理想ではあるが、昨今のトップレベルにおけるトレンドとして、FCバルセロナのパス回しを真似るのではなく、ボールを失った後の早さを取り入れる風潮がある。

そこをよりハードにフィジカル的に洗練させたのがバイエルンであり、昨シーズンはリーグ制覇だけでなく、バルセロナを倒し欧州王者にも輝いている。



現行のトレンドに乗っているだけでなく、チームとして機能・実行出来ていたのが、リーグMVPに輝いた中村俊輔のプレー以上に、とても見ていて痛快だった。

サッカーはあくまでもチームスポーツであり、チームとしての連動が見せる機能美に優る、名プレーは無いと考える。




マリノスに生じた綻びと限界の露出


9月以降、マリノスのゴールシーンは凄かった。

どのゴールも毎週、今週のベストゴールにノミネートされ、更には実際に月間ベストゴールも次々と誕生した。


ただそれは、とんでもない個人技が炸裂した時しか、得点が決まらなくなっていたのと同義だった。

イージーゴールが無かった。


これが何故かと考えると、首位になってからは勝たないと順位を守れない中で、慎重なゲーム運びが増え、成功率が低い速攻の数が減ったと言う節もあるがハッキリとしない。

 

確実なのは、速攻が減っただけでなく、更に研究された点も含め、以下のような型にはまったゲームが多くなった。

 

1,ボールを持つ時間が長い攻撃が増えた(=戦略として持たされる)

2,ビルドアップ能力の低さを狙われる

3,サイドに逃げる事でしか前に進めない

4,結果、ワントップ以外は皆ペナ角に集まって攻撃を開始するが、中は圧倒的数的不利でクロスを送っても意味がない

 

5,その内カウンターを食らう(新潟戦、川崎戦)



この点、今シーズン16点を取った、マルキーニョスは確かに不調ではあったが、誰がFWを勤めていても厳しかったかもしれない。

ただ、千葉から獲得した藤田、レンタル移籍から復帰した端戸、どちらも監督からの信頼が低かったのは間違いがない。

実際、リーグ戦では一度たりとも、マルキーニョスの代わりに使われた事は無い。

メンバーの固定化は抜群の安定感をもたらしたが、歯車が欠けると打開策が無く、特に肝心な時に使えない選手、使わない様な信頼度が低い選手を、何故、シーズン後半まで置いておいたのか疑問でしかない。

それは結局の所、フロントが動かない、動けない部分も含めて、総じてチーム力が無かったと言う事なんだと思う。




入場62,632人、Jリーグ最高記録更新


11月30日Jリーグ第33節横浜-新潟戦、62,632人という観客数はJリーグ史上最高記録を更新した。


過去6万人規模のゲームを日産スタジアムで観戦した事が何度かあったが、思い起こせば全てがJリーグのゲームではない、W杯やクラブ杯のような全席指定席のゲームだった。

いつもの東口に向かうと、入り口を案内され、一旦南口迄行って折り返し、また東口に戻ってくる列に並ぶ事となった。


ただ、これを大変とも何とも思わなかった。
体験を楽しむってこういう事、日常じゃない物だからこそ価値があるんだ。


例えば、立地が最高の日産スタジアムでも駅からスタジアムまでの道を歩くと10分近くかかる。
行きも帰りも、酷いゲームの後も、この道を歩く時間がとても大切だ。

サッカーの試合を楽しむのはスタジアムだけでなく、スタジアムへと続く道から始まってる。

また一つ、「あの時は~」と語られる歴史が、チームに増えた事を嬉しく思う。




敗北を知る


最終節川崎戦、新潟戦同様に、マリノスは0-0の均衡の中で、勝たなければ行けない苦しさに耐えられなかった。

人目もはばからず号泣する選手達を見るのは辛かったが、正直な話、心の底からは、その絶望の縁まではどこか同調(シンクロ)できず、この結果に一定の満足みたいなものを感じてしまっていた。

 

『これはこれで悪くないぞ』と

 


そんな感覚は、何が何でも優勝を決めると意気込んだにも拘らず敗北した、新潟戦でも同様に感じた違和感だった。

マリノスを自分のチームと想い、ワンプレーに一喜一憂して1年を過ごしたが、私は、まだどこか他人事だったのだろうか。


いや、違う、そうじゃない。


また、Jリーグ最高入場者記録を塗り替え、敗北した新潟戦が最終戦だったら良かったのにと思っているが、別に苦しみを喜ぶ、ドMな訳でもない。


終わってみて思うのは、勿論優勝を願っていたが、結果として頂点の喜びも、屈辱の敗北も、明と暗、極と端、ピンとキリではあるが、どちらも味わった事が無い体験だったから、私としては、どちらでも良かったのではないだろうか。

これも1つの体験と、サッカーチームに寄り添った中で味わえる体験として、すんなりと受け入れることが出来てしまった。

かつてもっと劇的に優勝した歴史があるのだから、どうせならもっと劇的な悲劇でも良かった、と思ってしまうのは流石にイカれてるかもしれないが。



20年経った今でも語られるドーハの悲劇の様な、激痛と共に刻まれる敗北の歴史は、これまでのマリノスには無かった。

いつか、必要だったと思う日であり、この歴史を体験している事を自慢として語る日が来るんだと思う。

 

プロ野球のモット良いプレーオフ制度

スポナビブログが潰れる事もあり、引っ越した記念も含めて、例外中の例外として、今話題の野球の記事も書きます。

 

筆者は小学生時代は大洋ホエールズ友の会に参加して、日夜、自転車で横浜スタジアムへと通っていた野球小僧でしたが、今は全く観てないのでそれほど詳しくないです。

 

(中畑さんが監督をやっていた頃の、年間まとめDVDは大変楽しく観ていました。マリノスベイスターズに学ぶ事は本当に多い。)

 

『ダグアウトの向こう』Blu-ray BOX

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ただ、年間を通して行ったリーグの結果をチャラにしてしまうようなプレーオフ制度というものは、サッカーでも最近まで採用されていたこともあって、関心がある話題でした。

 

 

 

プレーオフ制度には賛成だ

 

私の考えとして、現状の制度には否定的です。

 

ですが、一方で、世間の関心を集め、ビジネス的に重要かつ、それがひいては競技の普及に貢献するような、華試合としてのプレーオフ制度の開催は、むしろ積極的にチャレンジするべきだと思います。

 

この点、Jリーグは一定の成功を収めていたプレーオフを、ただ消滅させてしまったのは残念というか、勿体無いといえます。

 

※ 今後J1昇格プレーオフにJ1下位チームを参加させて、そちらを発展させる意図はある模様。

 

ですが、1年をかけてチームの総力を問うリーグ戦の結果を台無しにしてしまうような制度は、そこに、あまりにも納得感が存在しないのではないでしょうか。

 

 

おい野球 磯野しようぜ (もっと儲けようぜ)

 

今回、14.5ゲーム差もの大差を逆転したことで、見直しの声も、特に広島方面からでているのは理解します。

 

ですが、開始時点では、自身が下位になった場合に恩恵を受ける可能性もあった訳で、ルールは誰に対しても平等という点で、今年の結果は今年で仕方がないと思います。

 

一方で、私は、もっと納得感が高いプレーオフ制度があるのではないか、と考えています。

 

現状の制度よりも、もっと全球団が参加できて、つまりビジネスとしても最大化する制度です。

 

 

 

セパ全面戦争式プレーオフ制度 最弱決定戦

 

もともと、日本シリーズは各リーグの1位が存在していて、ではどっちが強いのか、日本一のプロチームはどっちなのか、という興味を売りにしていた大会です。

 

それを拡大するにあたり、2位と3位を巻き込むという判断をした結果、リーグの順位逆転、下克上が起きまくる、という結果になり、特にリーグを圧勝した1位チームに納得感がない制度になっています。

 

ここで私からの提案は、セパの1位同士が戦う日本シリーズは復活した方がいい。

 

同時に、6位同士も戦って、日本ドベ球団決定戦もやればいいんでは?と考えます。

 

更に、別に、交流戦の発展として、2位同士、3位同士、4位同士、5位同士も、それぞれ戦うのはどうでしょうか。

 

 

つまり、12球団の順位決定戦です。

 

 

何がいいって、12球団みんなが踊れるプレーオフ、単純な規模が今の2倍になります。

 

日程としては注目度が高いドベ決定戦が単独で始まり、2~5位の順位決定戦は各地で同時消化、トリを飾るのが日本シリーズ、という日程でいかがでしょうか。

 

 

傍から見ていて、野球もっと儲かるし、Jリーグよりも遥かに納得感ある制度作れるのに勿体無いなぁ、と感じたので書きました。

 

 

ドベ決定戦のチームに送りたい本

 

洞察力――弱者が強者に勝つ70の極意

洞察力――弱者が強者に勝つ70の極意

 

 

横浜・F・マリノス マルティノス先生から学ぼう

マルティノスがパスを出さない?

 

そんな声を加入以来、聞く事が絶えないマルティノスだけど、彼の方が正しい判断をしているという視点が必要ではないだろうか。

 

 

マルティノスの行動様式

 

フローチャートでロボットの思考回路を組み立てるみたいなゲームをやった事があると分かりやすい説明です。

 

状況① ファーストタッチでゴール方向に向けるパスを受ける、尚且つ、数的に同数で対峙(つまり1対1)。

 

1,先ずドリブルを仕掛ける。

 

 1-1 成功

   → 次の段階として、更に自身が決定的な仕事を担うアクションを継続する

 

 1-2,失敗 時間を使ったが相手を剥がす事が出来ない

   → 周囲との連携、及び利用、再起動

 

 1-3,大失敗及びその可能性 ボールロストのリスクが発生、又はその可能性が高い数的不利に陥る

  → パスで逃げる、サイドラインに逃げる

 

【要点】1か2ではなく、あくまで先ず1択、その結果により分岐する。

 

 

状況② 相手を背負った状態でパスを受ける

 

2-1,ボールキープ、サポートを待つ

2-2,持とうとしないで次の展開に動き直す

 

【要点】こちらは2択、攻撃の速度が加速している段階なら2,遅い段階なら1が多い。

 

これを踏まえて見ていると、実に、彼は自分のルールに忠実に動けているのか解ります。

 

ブレがない。

 

 

状況①

 

 

 

http

s://twitter.com/Speir_s/status/91437015329

状況②

 

 

 

 

マルティノスの判断

 

ではその選択肢の結果として、上手く行かないことが多いのですが、果たしてそれはマルティノスの責任なのか。

 

天野、山中の判断と、マルティノスの判断、について、ボールをロストしない事や、クロスを上げる事ではなく、目的であるゴールの確率を高めるのはどちらなのかを再確認する必要があると考えます。

 

 

ガンバ戦であった象徴的なシーン

 

 

 

これはマルティノスが右にいても、度々、起きてしまう、結果として、マルティノスがチャンスを潰してしまった様に見えるシーンです。

 

ですが、マルティノスの行動様式を理解し、その意図を汲み取る事で、ゴールが少なすぎる現状を大きく打開するだけでなく、天野や山中は、プレーヤーとして飛躍する事にもつながります。

 

 

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マルティノスを皆がフォローしすぎて、失敗した図。

 

チームとして、もっと良い条件でドリブルでの打開(1対1)をさせる為にはどうすれば良かったのか。

 

 

 

私が思う この局面で天野が優先するタスク

 

 

前回の記事でも書きましたが、セカンドトップとして最優先するのはゴール前のスペースで、サイド補助ではないのですが、このカウンターが決まるかどうかの局面でも、ゴール(得点)の可能性を上げる為の判断にミスがあったと思います。

 

 

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彼が近寄らないことで、同時にセンターバックを引き剥がし、マルティノスにスペースをもたらす事にもつながります。

 

フォローしないことがフォローになるという理解であり、やはり、役割の優先度として、チャンスメイクよりもゴールなんだ、と考える必要がありそうです。

 

 

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エリア内が数的同数の所へ、発射されるマルちゃんミサイルの図。

どうです、ワクワク感ありませんか。

 

  

山中の動くタイミング

 

この局面において、これは右の松原も良くありましたが、絶対にマルティノスからはパスが出ないタイミングで、オーバーラップしてしまっています。

 

 

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再度、失敗の図を見て考えますと、逆に、マルティノスがサイドラインに勝負できるスペースを奪ってしまいました。

 

これにより、カットインの1択しかなくなったドリブラーを止めるのは難しくない、と相手の守備を助けてる事になっています。

 

 

ここで、山中がどう動くのかは、マルティノス次第となる理解が必要です。

 

 

例えば、マルちゃんがカットインを選択したら…

 

 

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サイドバックを吊り出して、開いてるスペースへオーバーラップ

 

 

逆に、縦を狙ったら…

 

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ダメだった場合にアーリークロスをダイレクトで蹴れる位置

 

 

そして時には大失敗に備えてのリスク管理

 

 

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アカン…カウンター食らう

 

 

彼らは全員プロ、つまりは専門家であり、例え年齢が若かろうが、私のような趣味の素人が偉そうにダメ出しをする事は、本来、おこがましい行為です。

 

ですが、上手く行かないのは、個人の問題ではなく、あくまでチームであり、マルティノスが悪目立ちしてしまう部分はあるかもしれないですが、あまりにもファンやサポの間でもマルティノスに対する理解が進まない事もあり、書きました。

 

 

彼がサイドアタックの国、オランダで育ち、育成年代別代表も経験し、プロとしても150試合近いキャリアを持つ、正にサイドアタックの専門家である点を強調したいです。

 

 

マルティノスが正しいんじゃないか、という視点は、プロとしてのキャリアを積み上げ始めたばかりの天野や山中がマルティノスに合わせる事で、最適解や、定石を身に着ける事で、プレーヤーとして大きく成長するチャンスであると考えています。