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Jリーグシーズン移行を考える2023 反対派ポジション

ACLシーズン移行を皮切りに、一気に加速したJリーグシーズン移行の動き。

 

優れたビジネスマンであり、Jリーグを大きく前進させた前村井チェアマン時代に、あらゆる要素をなで斬りに一蹴され、今後この議論は凍結とするという結論となってから僅か数年。

 

潜伏していたシーズン移行派はチュールを見た猫、勅使を得た幕末藩士の如く、血気盛んにイェイイェイと、推進派の旗頭に野々村現チェアマンを盛り立て、一気呵成に行こうぜウェイ、移行ぜウェイ、と突き進んでいる現在。

 

雪国論争に終始してしまう現状もあり、的確な反論が無いと感じており、後世に『このような論点を持つ人もいた』と残しておく為、記事を作成する事にします。

 

 

お前どっち派?

 

先ず、私個人としてはシーズンがいつ始まろうが、どちらでも良い訳です。

 

そもそも元からして完全な海外サッカーファンであり、つまりサッカーは大体8月下旬頃に始まる物であったので、特に違和感はありません。

 

ましてや、試合をやる日程(試合日)は殆ど変わらないとなると、雪国以外の多くのファンは、30年慣れ親しんだパターンが崩れる事を嫌うファン以外だと、実のところはどっちでも良い派が多いのかもしれません。

 

ただ、一方で、議論というのはフェアにやるべきだとも思いますし、Jリーグを楽しむ上で、更には応援するクラブが発展する上で、稚拙に物事を進めた結果、大失敗でしたとなるのはたまったものではありません。

 

この点、雪国論争だけに終始している(=雪国クラブ及びファンだけが明確に反対している)状況が、シーズン移行はJリーグを発展する上で直ちに行うべきなのか、という議論を正しくしている様には感じません。

 

この為、スタンスとしてディベート的に、反対派というポジションを取ったうえで、問題点を指摘してみたいと思います。

 

 

Jクラブの考える次の10年

 

シーズン移行は多大なコスト、負担を強いる大改革です。

 

一般社会的に、これだけの変更を行う際には当然として、そのメリットを提示しなければ誰も耳を貸さないし、相手にされません。シーズン移行は起業ではなく改革、変革です。

 

この点、これまでJリーグ及び、野々村チェアマンから、具体的なメリット、つまりビジネス的な数字を提示された事があるでしょうか。

 

 

例えば、前任の村井さんは2014年にチェアマンに就任すると、ピークアウトし震災後に一段下がった状態だった年間入場者数を2019年には過去最高の1100万人まで押し上げ、更には放映権の売却先をスカパーからDAZNに変えたこともあり、退任までの8年でJリーグの収益を2倍に押し上げる事に成功しました。

 

president.jp

 

シーズン移行ほどの大改革を行う上で、入場者数は増えるのか、売り上げは増えるのか、野々村チェアマンから具体的な目標が聞こえてきません。

 

増やしたい、増やしていかなきゃいけない、それは皆が思っているとして、シーズン移行という大改革を実行する事で、ビジネス的にどの様なメリットがあるのか、彼はリーダーとして具体的な目標値にコミットメントする必要があります。

 

 

一方で、Jリーグ公式チャンネルでは以下の様な動画がアップロードされました。

 

引用元 

https://www.youtube.com/watch?v=E5hFED5zPYk

 

要約

Jリーグ発展プラン、目論見

・アジアで勝つ、Jクラブの選手が代表にもっと呼ばれる

・海外からの収益 ACL勝てば18億・クラブW杯を目指す、移籍金増加

・J1に分配を集約させ1部リーグを強化するプレミア化

 

今回は果たしてこの目論見を達成する事は、シーズン移行と合致するのだろうか、という観点で各テーマに反論していきたいと思います。

 

 

動画の記事バージョン

シーズン移行の検討:Jリーグ.jp

 

 

Jリーグはインテンシティが低い?

 

先ほどの動画内で以下の表が提示されてしました。

 

分かりやすく言えば、走行に関するデータ、Jリーグvs欧州5リーグ平均です。

 

かなりスタイルが異なる5リーグをまとめて平均するのはどうかと思いますが、

プレミアリーグだけだと、あまり好みの数字にはならなかったのかもしれません。

 

 

まぁ、Jリーグは夏は流石に落ちるよねというのが改めて再確認できる程度の物です。

 

またデータ対象として、60分以上出場してる選手が対象なので、真夏期は益々効果的に数字が下がることが期待できます。

 

 

 

 

続いて、ハイインテンシティとは時速20㎞以上で走った距離だそうです。

 

 

 

先ず、終盤に向けて疲れて劣化していく欧州と比べ、むしろテンションがドンドン上がってくるJリーグは見世物として果たして悪いと言い切れるんですかね?

 

谷はダメで、山が正しいとする具体的根拠を読み取れませんでした。

 

もちろん、暑さで下がりすぎる部分の問題はありますが、シーズン序盤はいいとしてシーズン終盤は疲れ+暑さで悲惨な事にならないですか?

 

 

5,6月は上がる筈なのに、劇的に下がるというグラフを出してるのはJリーグです

更に終盤で疲れがのってくる、欧州のレベルが高い選手も下がるデータ

 

ヘロヘロの優勝争いは盛り上がりますか

 

 

次に、こちらの表が一番面白いので見てください。

正にプレス開始やカウンターなど、ゲームを盛り上げる選手の加速が行われた回数です。

 

 

グラフじゃなくて、数値を見てください。

 

 

Jリーグ選手加速しすぎじゃね?

 

欧州5大リーグはシーズン中の最高値ですら65.4回なのに比べると、Jリーグはシーズン開幕時期に72.2回を記録。

 

みんなダッシュしまくりJリーグ。欧州と比べて一人平均で10回違うという事はチームで100回は違うという事。マリノスも苦しむプレス強度、欧州とはレベルが違う()

 

夏のゲームは参考外として、マリノスは昨秋ローマと戦いましたが同年の広島戦と比べるとかなり楽な相手に感じましたね。

 

 

さて、そもそもとして、ずっと前からですがJリーグは開幕時にコンディション上げすぎ問題があると考えています。よくある傾向として守備強度をウリにしたチームが最初の二か月勝負で上位に入るも、以後疲れて落ちるとなるのも当然の結果です。

 

真面目過ぎる傾向というかキャンプで開幕からダッシュで行くぞ!という雰囲気。

 

勿論、夏の暑さはあるとして、新シーズンの新チームという概念が欧州ほどシーズンオフにチームが”解体”せずに、これまでは比較的メンバーが変わらなかったJリーグならではの現象もあると考えます。

 

そして繰り返しになりますが、終盤の重要ゲームでコンディションが上がってくる現状は果たしてエンターテイメントとして悪いのでしょうか?

 

 

 

Jリーグは何もしてない夏対策

 

そもそも結局、夏→夏制度

 

この暑さでは無理だ、と今年の異常気象を錦の御旗に振りかざす傾向が見受けられますが、試合日がほぼ変わらないのであれば、暑さ対策には殆ど寄与しない事が容易に想像できます。

 

それシーズン移行の推しにするには弱くないですか?

 

また本来するべき肝心な議論を行っていない様に感じます。

それは21時キックオフです。

 

例えば8月の都内で13時に33.8度を記録した真夏日、時間による気温は以下になります。

 

17時 31.1度

18時 29.8度

19時 28.8度

21時 27.5度

 

この傾向は全日でほぼ変わらず、21時はJ1リーグのキックオフ時間で多くなる18時に比べて約2度以上、19時でも1度以上気温が下がります。

 

もちろん施設の使用許可や、交通機関を含めた周辺との調整など問題はあると思いますが、恒久的な対応策として無視できない明確な効果がファクトとして期待できます。

 

このような取り組みを模索している、という話を一切聞いた事がありません。

Jリーグは本当に、真剣に夏対策を考えているのでしょうか。

 

シーズン移行の弾に使いたいだけなのでは?と疑問が生じます。

 

 

中央競馬では、競馬法などもありサッカーよりも遥かに条件は難しいにも拘らず、

来年から本来開催していた11時から3時を休止して、夕方薄暮開催を実施します。

 

www.chunichi.co.jp

JRAの担当者は「(さまざまな)リスクは想定しながらも、何より暑熱対策としてこのプランを進めたいと考えてます。近隣住人の方々を筆頭に関係者の理解を得ていきたい」と話した。 

 

 

 

ブラジルとシーズンがずれてJリーグはレベルダウンする

 

欧州とシーズンを同じにする事で…主力が途中で抜けない、獲得もしやすくなる。

 

これはそもそも今のサッカーシーンでは実のところ移籍金が発生するケースは多くなく、契約満了でのフリー移籍の方が大半になっている、という話がベースにあるかと思います。

 

その結果、シーズンが重なる事で欧州からもJリーグにフリー移籍しやすいという事です。

 

ただ、今の事情を考えると年齢プレミアの消えた欧州の選手をフリーで獲得できるけど、年齢的にプレミアが残っている若い選手もシーズン終了後に0円で出ていく事が容易に想像できます。

 

 

そして更に、一番の問題はブラジルとシーズンがずれる事ではないでしょうか。

 

マリノスで活躍していたマルコスジュニオールや、リーグトップクラスのエウベルは正に契約切れのタイミングを狙い、フリーで獲得した選手と言われています。

 

所が日本だけシーズンがずれる事で、今後はJリーグにとって優れた外国籍選手の最大供給元であったブラジルからはシーズン中に引っこ抜くしかなくなります。

 

とどめはJリーグで活躍し、契約が満了する選手をサウジアラビアや欧州転売ヤー年棒つり上げ合戦で取り合いする必要も出てきます。今ならシーズン中だからこそ、多少は契約解除金が発生しますが、この場合は0円でエースを失います。

 

話を統合すると、若い有望株はフリーで次々と旅立ち、ブラジル人も取るのが難しくなる、果たしてJリーグのレベルは本当に上がるのでしょうか。

 

移籍金で儲けるというテーマにする上で、ABC契約問題や、外国籍枠開放を置き去りに、セットにしないで議論を進めるのは無理があるのではないでしょうか。

 

 

 

移籍金で儲けるなら

 

将来は~ではなく、あくまで今日から10年で利益だけを追求して考えます。

 

Jクラブが移籍金で儲ける構造に対して個人的な見解を述べると、先ず外国籍枠の完全開放を行い、ブラジル2部以下のブラジル人選手を発掘しやすくし、Jリーグで活躍させるのが一番儲かると思います。

 

この際、3部でもいいです。戦術的に確立されたクラブを増えてきたので、磨けばたまにはピカっと光るはずです。

 

世界の移籍マーケットを視野に入れれば、同じ年齢で、同じ位の活躍をしてもブラジル人という世界的ブランドなら2倍以上の値段が付くのが現状だと思います。夢も希望もない儲かる儲からないだけの話です。

 

ただ、日本人選手にJリーグスルーで出来るだけ早く海外という姿勢が見えつつあるのだから、Jリーグとして、益々少子化が加速する事も考えると、誰を育てれば一番儲かるのか、という視点は必要じゃないかと思います。

 

 

今日からの10年を考えた時に、シーズン移行をするだけで、日本人選手が高額で売れるというのは夢物語ではないでしょうか。三笘や富安、久保は活躍をしていますが、それでJリーグに目が向いてるとは思えません。

 

先にも述べましたが同時にABC契約問題も手を付けないのであれば、益々若いタレントのフリー移籍が増えるだけだと思いますし、数々のバロンドーラー(世界最高選手)を生み出してきた”王国”とは純然たるブランドの差があるのを直視するべきです。

 

Jリーグから買った選手が信頼できる、欧州スカウトにとってJリーグはチェックしなきゃいけないリーグになるのが優先事項であって、それが日本人である必要はないと思います。

 

 

さいごに

 

以上、Jリーグ公式Youtubeを見たうえで、反論を作ってきました。

 

少なくとも表に出ている情報ではディティールに対する議論が甘すぎる、急いては事を仕損じるように感じます。

 

 

例えばACLはシーズンを跨ぐので難しいと何やら結論が出ていますが、数回やってみてフィードバックを得るべきではないでしょうか。それ想像ですよね?

 

同じく想像で考えると、近年のJクラブにとってグループリーグはクジ運もあるが、それほど難しくなくシーズン終盤戦でも大きな問題は起きない。

 

そして翌年トーナメントをする東アジア勢は同じシーズンなので平等であり、最後に戦うシーズン終盤の疲れた西アジア勢より、シーズン開幕後のトップコンディションなJリーグの方が有利かもしれない。一例ですが、そういう視点もあるべきだと思います。

 

シーズン後にグループリーグを勝ち上がったらACLボーナスを支払うという制度を用意すれば、Jクラブの本気度も高まるでしょう。

 

 

とにかく雪国問題だけを議論しているのは歪であり、それだけが話されてしまう結果、他の要素がおざなりになってしまうのは良くありません。

 

この記事がJリーグに関わる皆さんがシーズン移行について考える、何かの足しになれば幸いです。