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横浜F・マリノス 失敗のシーズン

シーズン開幕から注目を集めた2018年のマリノス

 

今までにない黒星先行、連続で大量失点を喫するなど、不安が先行する場面もあったが、10月を迎える頃には、傾いていた天秤を水平まで戻すことに成功していた。

 

しかし、迎えた運命のハイシーズン。

 

ルヴァンカップ勝戦を象徴的ゲームとして、勝ちたいゲームでことごとく敗れ、シーズン終了まで、わずかに1勝しか出来なかった。

 

結果、謝罪から始まったポステコグルー監督のシーズン終了挨拶が象徴するように、トリコロールは失敗の印象、その1色に染まり、冬を迎える事になった。

 

 

さて、事を論じるに辺り、前提は重要であり、今季はモンバエルツの3期と異なり、前述の通り監督も認める様に、失敗のシーズンと捉えるべきだろう。

 

では、その原因は何処にあったのだろうか。

 

 

 

スカッドの編成

 

 

既に責任者は席を追われた。

 

最後までベストを尽くすという点において、彼のプロフェッショナルな姿勢、そして何より、これまでのクオリティに文句は付けようがない。

 

だが、シーズンを迎えた段階における編成ミスがもたらした混乱は、それらを帳消しにしかねない大きな失敗となり、今季の成績に、失敗に終わったシーズンに、大きく関与しているのは間違いがない。

 

特に、デゲネク離脱以降にロングカウンターへの対応で問題が発生し連続の大量失点、更には中沢が限界を迎えた事もあり、センターバックをシーズン中に総入れ替えした事例は編成の失敗を象徴する事例だろう。

 

もちろん、その入れ替える手際は選手のセレクト、スピードを含めて見事だったが、この結果として、マルティノスを補う存在として期待した筈のブマルが、外人登録枠の関係でまともに戦力として計算できない状態になるなど、チームとしての総合的な戦力に影響もあった。

 

更にサイドバックの編成に関しては、『金井が予想外に取られた』としても最早、不思議のレベルに達していた。

 

まぁこれに関しては別途、ウイングとの相性問題も含めて後述したい。

 

 

 

ラディカル(急進的)な挑戦

 

 

何事も下ごしらえは重要だ、ポジティブな意味で捉えないのであれば、性急な挑戦とも言える。

 

開幕戦でビックリするほど寄せていった、我々がモデルとするマンチェスター・シティは1日にして成らず。

 

そもそも彼らは、マンチーニという、その後に母国のビッグクラブはおろか、ガラタサライからしか声が掛からなかった監督で、プレミアリーグを制覇する戦力を保有していた。

 

現在も中心を務める、アグエロ、シルバ、はこの時からいる選手である。

 

更に、そこからマドリードで年間勝ち点98稼いだのに、バルセロナが99だったからクビになった南米の名将ペジェグリーニの時代を経由している。

 

この時代に、今の中心選手、フェルナンジーニョオタメンディスターリング、デルフ、そしてデブライネを補強。

 

ここから更に、上記の戦力を維持しつつ、サネ、ギュンドアンストーンズを獲得してグアルディオラが監督をやったけど、やっとこさで3位だったのがシーズン1年目であった。

 

 

勝つ為に何を選ぶか、どんな手法が正しいか、そこに正解は無い、何を信じるかだ。

 

だが、クライフが考案したドリームチームのフレームを活かすには戦力が圧倒的に足りない、ある意味で、戦力的なバジェット(予算)において、他チームを圧倒できないチームが、このフレームを採用したら何処までやれるのか、という実験になってしまった。

 

この点で、この手法を選ぶ、信じるなら、先ずモンバエルツJリーグを制覇する戦力、というベースの整備が最低条件だったのでは、と考える。

 

ところが何が起きたのかと言えば、前年と比較すると、マルティノスの席を補充出来ず、更に前述の様にセンターバックスカッドは崩壊、この戦力の状況ではポステコグルー監督にも言い分があるだろう。

 

何も楽天ショップで高い買い物をしろという訳ではない、シティは必要としない、Jリーグでならトップレベルの数値を残せる選手でいい。

 

今後は、兎にも角にも、賢い買い物で、十分な戦力を整える事が最重要なテーマになるだろう。

 

 

では、チームには、どんな補充、補強が必要なんだろうか。

 

 

 

足りない一駒

 

シーズンをトータルで見れば、マリノスが残した攻撃の数値は悪くないどころか、殆どがリーグ1位か、2位に収まる。

 

ボール保持時間を意味する支配率においては、2016年の浦和を大きく上回る、恐らくJリーグチーム初のシーズン平均59%台を記録した。

 

だが、当時の浦和レッズがシュート数でリーグ1位を記録したのとは異なり、シュート数は4位、チャンス構築率は7位と、攻撃の非効率さがデータからも浮き彫りになった。

 

Jリーグラボにおける指数で、確かに敵陣ポゼッションは大幅に向上したが、自陣ポゼッションまで大幅に向上しており、結局、2つの比率で見れば昨年と同様に、自陣でボールを持ってる時間が遥かに長い、ボール保持だった。

 

これはマンチェスターシティが苦戦する傾向、例えばリバプール戦、例えばリヨン戦、と同じボール保持比率である。

 

 

そして、攻撃が非効率化してしまった一因として、マリノスでは、左ウイングにボールが入った時、又はサイドに流れた天野がDFラインからボールを引き出した時に、モデルであるシティと比べると攻撃の駒が常に一つ足りない点が目についた。

 

駒組みが終わって、いざ攻撃に取り掛かると、いつも銀があるべき場所にない、そんな状態。

 

 

我々のモデルのエース、アグエロのボールタッチ位置のヒートマップ図が以下になる。

 

ユナイテッド戦

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リヨン戦

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ニューキャッスル

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(who scored.comより)

 

 

アグエロは左サイドに流れがちで、特に、サイドバックセンターバックの間、DFラインの前にあるハーフスペースでのボールタッチが、ゲームにおけるホットゾーン(最多)になる事が多い。

 

シルバも、ここを利用しており、アグエロとシルバが縦の関係にあると言える。

 

 

例えば、先日のセレッソ戦のゴールで、仲川がボール受けた位置など

 

www.youtube.com

 

この点、今マリノスが欲しがってるとされるフォワードが、左ウイング、トップ下の適性もある選手、というのは合点がいく部分がある。

 

ファーストトップがこのスペース(空間)を利用することで、攻撃は駒不足が解消され、大幅に改善すると思われる。

 

この点、攻撃の構築、又はその補助に関心が薄かったウーゴではマッチしなかったとも言える。

 

 

 

サイドバックと山中

 

 

なぜユンにあれほどこだわったのか。

 

そもそも、山中は走力やクロスを武器にするタイプの選手であり、インサイドハーフの適正がある選手を起用する、偽サイドバックに適した選手とは言えない。

 

それは、アメフトならクォーターバック、バスケならポイントガード、頂点でボールを持つ、攻撃を開始する役割、同時にターンオーバー(攻撃権の喪失)を起こしてはいけない責任、何よりゴールに近づいたのだから、タッチダウン(マークを外した味方に)パスを通せる能力が問われる。

 

この点、山中は頂点のポジションでは危なっかしいプレーが目立った。

 

 

恐らく、当初は、走力や突破を武器にしない、内側方向が好きなユンがDFラインの前にあるハーフスペースに、そして開けた大外を山中、頂点のポジションに扇原、という流動的な構造を構想していたのではないだろうか。

 

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実際に、ユンが出た時だけは(それほど多くないが)、山中がタッチライン際をオーバーラップするシーンを目にする事が多かった筈だ。

 

面白いのは、シティでも、今季はメンディが怪我をするまではサネを使わずに、メンディがオーバーラップする展開が多数見られた。

 

 

今季はユンのフィットや怪我、ブマルの枠、色々問題が起きて選択肢がほぼ無いに等しい状態であったが、来シーズンは山中に頂点を位置取らせない、タッチラインを主戦場とする構造が望ましいのではないか。

 

また、一方で、今季の4得点は全て、右サイドからのサイドチェンジ、及び、その展開からきたボールを蹴り込んだミドルシュートであり、ボールと逆サイドの時はサイドはウイングに任せ、カウンターに備えて内側で備える、だけで、得点力という特徴がスポイルされる事はないだろう。

 

 

 

オプション(選択肢)

 

 

逆に、山中が使えない時の選択には大きな疑問が残った。

 

サイドバックが本職の選手(下平)を差し置いてイッペイを使った事ではなく、ウイングが走力を武器にする遠藤なのだから、組み合わせとして、頂点の位置が得意な、クォーターバックの資質がある選手を配置する、絶好の機会だったと言える。

 

例えばシティを例にすると、サネというスピードを武器にするワイドレシーバー(ボールの受けて)と、ジンチェンコというクォーターバック(配給係)、という組み合わせは相性が良い。

 

 

走力タイプ メンディのボールタッチ分布(ニューキャッスル戦)

 

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サネを出すとプレーエリアが被るのは一目瞭然、ウイングの選手をインサイド型にする必要がある。

 

 

頂点タイプ ジンチェンコのボールタッチ分布(ボーンマス戦)

 

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タッチラインを主戦場とするサネと住み分けが完璧。

 

 

山中が居るのであれば、前述したように、ウイングには山中の特徴が活かせる選手、そして居ない状態で円滑な左サイド攻撃を行うのであれば、左サイドバックは現状のマリノスで唯一、その資質を持つ選手、扇原が望ましいだろう。

 

 

これらの選択肢を想定すると、山中の出場時には多才な仲川を左にするウイングの左右配置転換、そして不在時には喜田に期待しつつも、アンカーのポジションで補充が必要になるかもしれない。

 

 

 

おまけ 与太話(遠藤)

 

 

恐らく今、Jリーグで1,2に(スプリントが)速い選手。

 

 

今季、サプライズを与えた大津と、喜田の違いは、気持ちだけではなくスプリント力という物理的な物も大きいと思われる。

 

それは時速31km以上、速度という質が喜田には無く、大津にはある。

 

この点で、時速34km以上を記録する質、スプリント数でもトップレベルな遠藤も、大津の様にインサイドでチャレンジさせても面白いのではないか、と妄想している。

 

ハイ(敵陣)プレス、被カウンターの局面でインテンシティ(強度)が足りないチームを助けるのではないだろうか。

 

 

更に先を見据え、オリンピック、日本代表をテーマに話をすると、堂安、南野、そして中島も2大会くらい行けそう、だとすると、特別な攻撃的センスが問われるポジションより、それとは別方向の稀有な才能をインサイドで活かした方が、カンテの様なオンリーワンの選手になれそうである。

 

ウーゴ・ヴィエイラの評価

本来であればシーズンの終了を待つべき記事ではあるが、選手と代理人が待てなかったようなので、4試合を残す現時点で書くことにした。

 

 

www.goal.com

 

 

契約更新の流れを推測する

 

 

アポエルへの移籍という話題が出た、夏からの経緯を見ていると、選手側はより高い報酬、良い条件を模索しており、その時点で、マリノス側が提示している、翌年以降、次の契約が満足する物ではなかったのだろう。

 

この点で、その後もマリノス側とは交渉を行っただろうが、妥協点を見いだせず、結論が出た結果が、彼の来年予想と思われる。

 

より良い条件が来ることを期待してフリーになるという選択であるし、既により良い条件が代理人には届いている可能性も少なくない。

 

 

ではクラブからしてみると、何故、契約更新を諦めたのだろうか。

 

そこには評価の乖離、というものが存在し、維持するには高額になりすぎた、つまり、選手の考える価値と、チームの評価が乖離し、コストパフォーマンスから諦めた、と言える。

 

2年連続でチーム最多得点を記録したことで、契約更新には、以前よりも高いサラリー(給料)が必要になる。

 

その上がり幅に対して、双方の小さくはない差が存在したと思われる。

 

勿論、この手の話は最後の局面まで予断を許さないものであり、外的な要因も影響し、最終的にどちらかが歩み寄る事で、一気に真逆の結果へと突き進む場合が珍しくない。

 

 

 

一方で、次にマリノスが歩み寄れなかった、妥協できなかった、ウーゴを評価しきれなかった理由を推測したい。

 

 

また、その前に、今回、フリーで出ていくとしても、前年のエース流出騒動とは事情が異なる点にも言及しておきたい。

 

マリノスにとって今期、つまり契約中に売る、という判断を夏の時点でするのは、保有戦力の観点から不可能であったし、

 

次に、売る為に一旦、契約を延長するという判断は、本場なら珍しくないが、何よりカイケという全く売れそうにない大きな不良債権を既に抱えている現状では、そのリスクに踏み切る事は難しいだろう。

 

奴は来季もまだ居るんだ。

 

 

 

理想との比較

 

さて、マリノスで2シーズン目を過ごす、得点する為にプレーをしているようなポルトガルのストライカーについて、皆さんも何となくは特徴を把握しているだろう。

 

ここで再確認の為に、理想の選手、トップレベルの数値(データ)と比べる事で、評価(ゴール)を得る要素に対して、物足りなさを感じる部分を抽出した。

 

 

< vs アグエロ >

 

シティグループのフラッグシップモデルに君臨するプレミア最高峰のエースストライカ

 

マリノスとシティにはボール保持時間を意味する支配率ではなく、本当の意味でゲームの主導権を握る部分で大きな差が存在する。

 

この為、当然、理想の選手には、良い機会が多く訪れやすい、という外部環境があるのは分かった上で比較する。

 

 

① ゴールを決めるまでに必要な出場時間

 

ウーゴ 143分

アグエロ 94分

 

 

② 出場時間90分換算(1試合)辺りの枠内シュート数

 

ウーゴ 約2本

アグエロ 約3本

 

 

③ アシスト数・ビッグチャンス演出(味方が失敗したアシスト未遂)・パス成功率

 

ウーゴ  アシスト 3  クリエイト 1   パス成功率 71%

アグエロ アシスト 6  クリエイト 10  パス成功率 82%

 

 

④ 枠内シュート数に対するビッグチャンスのシュートミス発生率

 

ウーゴ 21.428%

アグエロ 17.333%

 

 

⑤ ドリブル成功率 と デュエル勝率

 

ウーゴ 46% 33%

アグエロ 67% 46%

 

 

 

値段が50倍以上する選手は凄い。

 

ただ、リーグの競技レベル自体も大きく異なる。

 

 

皆さんが何となく認識している、

 

『 あの決定機を決めていればなぁ、もっと周りを活かして欲しい、ドリブルでのロストが多い、アピールプレーじゃなくてデュエルで競り勝って欲しい 』

 

という部分は、理想と比較すると、データ上でも物足りていない事が分かった。

 

理想の選手は、遥かに高いレベルの中で、遥かに高い数値を記録している。

 

 

 

 

Jリーグ内での比較 小林悠

 

次に、Jリーグにおいてマリノスと同じくボール保持時間が多いチームのエースストライカー達はどの様な数値なのだろうか。

 

 

先ず、全くスタイルが異なるタイプと言えるのが川崎の小林悠

 

1試合平均の走行距離は10.37kmで、9km以下のウーゴとは1km以上の差がある。

 

 

この点において、マリノスのスタイルにとって、ウーゴが良いのか、小林が良いのか、という議論はあり得ると考える。

 

何故なら、今期、スタメンを争う伊藤翔はご存知の通り、どちらかと言えば小林に近いタイプの選手で、1試合の走行距離が10kmを越えることは珍しくない。

 

 

マリノスに必要なタイプは必ずしも ゴール(得点) に特化した選手では無いのでは?

 

もしかしたら小林タイプの選手が欲しいのか。

 

 

この点、シティでみると、いわゆるアグエロかジェズスか、という異なる2タイプのファーストトップを持ち、相手によって選択する、という戦略が垣間見える。

 

つまり、伊藤がいるのであれば、この第2の選択肢として必要なタイプはこれ以上は要らない為、このピッチで広く関与していくスタイル、という部分で評価を下げているのでは無いと思われる。

 

 

 

Jリーグのモンスター ジョー

 

マリノスと同じくボール保持時間が多く、ウーゴと同じくゴール以外での関与が少ないプレースタイルの選手として名古屋のジョーがいる。

 

名古屋が別のチームになった8月以降のデータとなるが、1試合平均の走行距離は8.555kmと、ウーゴより若干少ないくらいだ。

 

だが、正にJリーグレベルではモンスターと言える、圧倒的な数値を持っている。

 

 

※ 以下は名古屋が全く勝ててなかった前半戦も含めたシーズントータルのデータ

 

① シュート成功率

 

ウーゴ 18.4%

ジョー 23.5%

 

 

② 枠内シュート数に対するビッグチャンスのシュートミス発生率

 

ジョー 14.24%

アグエロ 17.333%

ウーゴ 21.428%

 

 

③ アシスト数・ビッグチャンス演出(味方が失敗したアシスト未遂)・パス成功率

 

ジョー  アシスト 4  クリエイト 5  パス成功率 76%

ウーゴ  アシスト 3  クリエイト 1  パス成功率 71%

 

 

④ ドリブル成功率 と デュエル勝率

 

ジョー 62%(ドリブル頻度がウーゴの半分) 50%

ウーゴ 46% 33%

 

 

⑤ 周囲との連携 1試合平均のパス本数

 

ウーゴ 6本

アグエロ 21本

ジョー 23本

 

 

 

ウーゴはJリーグでトップ10に入る選手だとして、その水準で満足なのか、という理想の追求は常に議論として存在する。

 

 

例えば、ルヴァンカップ勝戦、前半は見事にハメこまれたとして、勿論それは改善したい部分であるが、

 

後半は、前半の湘南130回に対して、230回もアタッキングエリアに侵入して、15本もシュートを打って、枠内に6本飛ばして 0ゴールだった訳です。

 

公式スタッツに修正あり→ (16本シュートを打ち、枠内に10本飛ばして)

 

湘南は前半だけ、でしたけど、9本のシュートを4本枠内に飛ばし、1得点。

 

この様に、ゴール前のクオリティで負ける事が、イコール、ゲームの負けに直結するのがマリノスの特徴といえる。

 

 

リーグトップ10レベルの選手に満足できず、高い評価をしない事で失うとして、同じ予算では、もっといい選手が来る保証は無い。

 

一方で、ウーゴには出せないけれど、ウーゴ以上と評価、期待する選手には、より良い条件を提示することが可能なはずだ。

 

この部分でクラブが、ウーゴではない可能性を求めてチャレンジをするのだとしたら、それなりの予算を投じるべきだろう。

 

 

マリノスがファーストトップを入れ替える条件(が期待できる選手)

 

・ 1試合の走行距離は9km以下でも良い。

・ シュート成功率20%以上

・ 決定機のミスは20%以下

・ パスが選択肢にある (クリエイトを含めたアシストが一定以上は期待できる事)

・ 出来ればドリブル成功率、デュエル勝率も高い方が良い

・ 身長や最高速、スプリント数は特に必要ない

 

 

 

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マリノスが低迷する原因は守備なのか?

27試合を終えて、勝ち点32の暫定12位(勝ち点31の名古屋が1試合未消化)

 

残り7試合の段階で、自動降格圏である17位との勝ち点差は2と、これがDAZNマネーによる戦力の均衡化なのか、ワールドカップイヤーの過密日程の影響なのかはシーズンが終わって改めて分析を待ちたいところではあるが、大混戦の下半分に”在籍”している以上は、低迷している、という評価で問題がないだろう。

 

 

では、なぜ低迷してしまっているのか、というエクスキューズに対して、個々のプレー単位から戦術、ひいてはチームとして『理想のサッカー』の定義(もっとも勝率を上げる手法において何を選び信じるか)まで、様々な要素がある。

 

今回は、もっとも分かりやすく、データから、今、なぜ、マリノスが低迷しているのか、を提示したい。

 

 

記事内のデータはJリーグラボの物です(

http://www.football-lab.jp/

 

 

 

マリノス低迷の原因は本当に守備なのか

 

 

失点数46、一時期はリーグ最多失点、今は名古屋に次ぐワースト、やり玉にあげるには分かりやすい指標である。

 

一方で、この数字は、4点以上が動いた、いくつかの『バカ試合』によって、本来の実力、性能が見えづらくなっている部分があると思われる。

 

 

そこで、4点以上が動いた3つの試合を除外したデータが以下になる。

 

24試合 33失点 1試合平均 1.375

除外試合 3試合 計13失点

 

 

1試合平均の1.375を34試合に換算した場合は、つまりシーズンで46.75失点となる。

 

これはJリーグでみた場合、流石にトップ5は厳しいが、特に8位~10位前後で珍しくない数字と言える。

 

 

また参考までに、2017年と2016年を記載すると、

 

2017年は除外試合1、33試合32失点、1試合平均0.969

2016年は除外試合0なので、そのままシーズンデータ、34試合38失点、1試合平均1.120

 

となる。

 

確かに、守備のクオリティとして、直近2年の水準、トップ5レベルから滑り落ちているのは明白だが、それと引き換えに得るものがあった筈だ。

 

そう、マリノスにはリーグナンバー1の攻撃力がある、それでトレードオフになっている筈じゃないのか?

 

トレードオフ 何かを得るために何かを失った的な意図

 

 

 

バカ試合を除外した本当の攻撃力

 

 

攻撃でも同じ様に、4点以上が動いたゲームを除外し、本当の実力を抽出した。

 

除外試合 3試合 計17得点

 

24試合 28得点 1試合平均 1.166

 

 

あれ・・・すくな・・・

 

 

同様の計測方法で2017年と2016年のデータは以下

 

2017年は除外試合0、34試合45得点、1試合平均1.323

2016年は除外試合2、32試合44得点、1試合平均1.375

 

エースが1点しか取れてない前年より1試合平均0.2近く低いなんて…

 

 

肝心の攻撃がこれでは、全くトレードオフになっていない。

 

 

 

 

攻撃系の数値は大幅改善しとる

 

 

2017年→2018年(1試合平均)

 

枠内シュート数 4.2 → 4.7

シュート数 12.2 → 14.4

クロス数 14.6 → 21.5

コーナーキック数 4.5 → 6.5

アタッキングエリア侵入数 35.5 → 52.4 ※敵陣ゴールまで30m以内

ペナルティエリア侵入数 11.4 → 17.2

 

 

現状、シュート数だけリーグ4位と5位、あとの数値はリーグ1位か2位。

 

 

で、ゴール数がなんでこうなるんや… 前年はエースが1点しか取らなかったのに

 

1試合平均1.323 → 1試合平均 1.166

 

 

 

 

マリノス低迷の原因は守備ではなくゴール前のクオリティ

 

 

モンバエルツのゾーンディフェンスは割り切っていた。

 

これまで何度も言っているように、彼のチームは被決定機数、被シュート数はリーグ最低レベルの物で、敵に攻撃される時間が長く、回数も多い、そんな状態だった。

 

だが、クロスを蹴り込まれてもセンターバックが跳ね返せばいい、最後の瞬間に、ペナルティエリアのスペースを4枚のDFが埋める状態、シュートが決まり難い状態を、形になってれば確率論で失点は減る。

 

攻撃回数が得点回数に直結しない、サッカーという競技に対する皮肉のようなスタンスであり、真実をうまく利用した、合理的な姿勢がそこにあった。

 

 

一方、ポステコグルー監督、彼はクライフ教団の宣教師、それとは別に信じるものがある。

 

提示した様に、マリノスはリーグの水準で考えれば十分な攻撃回数を出せている。

こんなにも短期間で変貌させる事が出来るとは思っていなかった。

 

一方で、それは現時点でも、思ったよりチームが完成してる、監督のやりたいことが出来てしまっているのに結果がついてこない状態、とも言える。

 

 

勿論、攻撃回数という指標自体も、肝心のシュート数がリーグ1位になっていないように、まだまだ向上の余地はある。

 

そして、一撃で終わってしまうタッチダウンパスの被弾と、センターバックを外した逆サイドのサイドバックを狙うクロス、という定番パターンの失点も、修正する必要があるだろう。

 

 

だが、何よりも低迷の原因は、データから攻撃回数の得点転換率、ゴール前のクオリティにあるのは明白で、後は、駒の質を上げる、より転換率が高い選手に変えるしか、答えは無いように思う。

 

その手法として、もちろん成長を待つという選択肢もある。

その象徴たる翔さんはウイングが適正という評を改めなければならない。

 

 

第2のショーを待つのか、7番、そして左ウイングの11番、ゴール前のクオリティ向上が急務のチームで生き残れるか。

 

 

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チームは進歩していないのか リーグ最多失点と問題点

名実ともに現在のJリーグにおけるトップ3と、3連戦となる日程の妙もあり、1試合未消化ながら、20節終了時点でリーグ最多失点となってしまった。

 

この理由について、試合ごとのディティールに注力し、小難しい解説図を展開する方法は戦術クラスタに任せるとして、より文脈と、分かりやすい数字、データで語りたい。

 

特に、数年間マリノスを見続けていることをベースにした、文脈を重視する思考は、戦術的に一試合を切り取る見方では出せない部分かと思うし、チームの進歩を考える上で重要と考える。

 

 

 

2017年から見る予兆

 

 

ポステコグルー監督のやり方になったから、失点が多い、これは正解であって、正解じゃないと考える。

 

 

先ず、当ブログでも、これまで繰り返し触れている様に、攻撃の志向が、その割合がロング&ショートのカウンターからボール保持に傾倒していったのは、今年ではなく2017年からである。

 

この点、昨年は、プレス回避、ビルドアップなどの自陣ポゼッションによるボール保持がまるで上手く行かず、そもそもボールを持ちたくても持てすらしなかった、という見解も従来より主張してきた通りである。

 

その結果、今年は大きな発展があるし、その発展を生み出しているのが新監督のアイデアなのは間違いがなく、やりたい事がやれている、という点でチームは進歩していると考える。

 

 

その一方で、冒頭でも触れたように、現在の所、リーグ最多失点となってしまい、マリノスを何らかの形で応援する多くの人にとって、進歩を感じない結果となってしまっている。

 

だが、こうなることは2017年の時点で予兆となるゲームがあった。

 

 

 

2017年9月23日 甲府

 

マリノスにとって、ACL出場を逃すことになった手痛い敗戦は3つ有ると考えている。

 

その内の1つにして、最大の要因となったのが、3-2で敗れた、このゲームであり、2018年の現状を予言するゲームと言える。

 

 

早い秋の訪れと共に、後半戦を迎えたJリーグ、残留争いで後がなくなっていた甲府は、前線の強力2トップ頼みのロングカウンターに腹をくくっていた

 

よって、ゲームを通じたデータとして、彼らのパス本数と成功率は266本、69.5%、ボール支配率は35%と、一切ボールを保持せずに、持ったら裏(スペース)、縦、と徹底していた。

 

その結果、マリノスは、ボール支配率64.9%と、2017シーズン最高のボール支配率を記録、殆どの時間をハーフライン付近より上、甲府陣内で過ごす事となった。

 

 

去年の試合ダイジェスト

 

www.youtube.com

 

失点シーン、今年、よく見る光景じゃないですか。

 

 

ロングカウンター能力が高い(選手を配してる)チームに対する相性の悪さは、2017年から変わってないと私は思う。

 

この点について、ポステコグルー監督になったから弱体化したのではない、ということ。

 

ただ、監督であるならば、弱点があまり露呈しないような(意図的にボールを保持しない)やり方を選択する事も可能ではある。

 

これが正解であって、正解じゃない理由。

 

 

怪我の功名ではないが、モンバエルツの時は、やりたくても出来なかったから弱点が露呈しなかった、だけであって、いざ、出来たら出来たで、今年と同じ問題が発露していたと言える。

 

この点、やりたい事が出来るようになって、次の問題を認識出来るようになった、という点で、チームは進歩していると考える。

 

 

 

 

去年の0-3と今年の0-2

 

 

川崎には昨秋に続いて、今年も二週目は完敗となった。

 

ただし、その中身は大きく異なる。

 

 

2017年、一周目は2-0で快勝したのに、二週目は0-3で完敗した理由を認識している人はいるだろうか。

 

マリノスが変わりつつあった、更にそれが川崎に対して最悪の相性だった、単純に述べると、こうなる。

 

 

 

① 2-0で快勝した一周目

 

ボール保持率 39.6%

パス本数 378本

シュート数 13本(枠内5)

 

 

② 0-3で完敗した二週目

 

ボール保持率 48.3%

パス本数 500本

シュート数 7本(枠内1)

 

 

一週目は、ボールを持たない事で、2017川崎における最大の武器であったショートカウンターを全く被弾せずに快勝、一方、二週目ではボールを持つ意志があったものの、プレス回避、ビルドアップのボール保持、自陣ポゼッションすら上手くいかないで、更にショートカウンターで次々ハメられた。

 

 

嫌な記憶がいっぱい詰まった映像ですね

 

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失点シーンは全て、ショートカウンターを被弾した物。

 

 

 

それに対して、今年の二週目は、今季最悪のスタッツを記録したように、

 

 

by DAZN

 

 

ボールを持てず、延々と自陣内でポゼッションされ、撤退していた守備を崩された失点。

 

 

では、これも、ポステコグルー監督に変わって守れなくなった、のだろうか。

 

 

 

 

2017年11月18日 C大阪

 

 

ゲームスタッツ

 

ボール支配率 45.5%

パス数 453本 (成功率78.4%)

シュート数 7 (枠内1)

 

 

2018年第20節川崎戦スタッツ(上記画像から抽出)

 

ボール支配率 46%

パス本数 436本 (成功率79%)

シュート本数 5 (枠内1)

 

 

延々と自陣内でセレッソにボールを保持されて、ゴール前に撤退した守備が、彼らの巧みなパスワークで崩され2失点した事で、勝敗が決定的になったゲーム。

 

セレッソのボールキープが延々と続いた結果、アクチュアルプレータイム(実際に90分の内プレーが行われていた時間)は、Jリーグ平均の55分を大きく超える、62分になっている。

 

 

 

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サイドバックが釣り出されたスペース、中の選手が釣り出されていったスペース、ラストパスはどちらも見事として、今回の川崎戦と同じ様な失点シーン。

 

柿谷や清武、中村憲剛や家長、延々と攻撃を継続できたら、そのうちに穴が空いて、クオリティを持った選手に仕事をされるのは2017年と変わりません。

 

 

よってこれも、ポステコグルー監督に変わったから守れなくなった、のではないと言える。

 

 

一方で、ポステコグルー監督になったのに、ボールすら持てないという、2017年を彷彿とするゲームをしてしまった事は、

 

ロングカウンターにやられるという、次の課題で上手くいかないことよりも後退であり、大きな問題と言えます。

 

 

 

気になる2018年データ ハイライン

 

今年のマリノスはハイラインか

 

YES、2位以下をぶっちぎる驚異のハイラインである。

 

 

今年のマリノスはハイプレスか

 

YESであり、NO、効果的だが、意図が異なり、更に限定的である。

 

 

 

ハイラインについて議論の余地はないが、ハイプレスについては多々ある。

 

先ず、マリノスのハイプレス(ここでは敵陣でのボール奪取を図った行為)についてリーグ1位の成功率を誇っているが、指数(偏差値)では44と、中より下、といった数値である。

 

この指数は純粋な試行回数ではなく、ハイプレスが可能な敵攻撃に対する実行率をベースにしており、出来るのにしなかったら数値は低くなる。

 

リーグ1位のFC東京は68を記録しており、いわゆる最後の15分まで緩むことがない。

 

 

一方でマリノスは、15分刻みの発生率において、後半開始直後が激減し、偏差値を大きく押し下げている。

 

0-15  15-30  30-45 45-60  60-75 75-90(分)

39.2%  41.7%  42.3%  29.8%  42.0%  39.5%

 

 

更に言うと、C大阪や浦和の様に、意図的に低いチームもあるのだけど、開始15分が30%台に落ち込むチームもマリノスくらいである。

 

 

また、川崎が昨年に引き続いて、ハイプレス成功からの攻撃で高いシュート率(敵陣でボールを奪ってシュートまで行った)を維持しているのに対して、マリノスはとても低く、

 

計測方法として、敵陣内で始まったカウンターを防いだ様なケースも含まれ、奪った地点よりも前方に敵選手が多く残っている状況が推測できる。

 

 

 

ハイプレス成功率1位 マリノス 47.7%

ハイプレス成功率2位 川崎 47.3%

 

成功率は、その一連の攻撃で敵がシュートを打てなかった率なので、必ずしも良い状態でボールを奪った事を意味しない。

 

 

誰が奪ったのか、は含まれておらず、マリノスでよく見るように、ハーフライン付近で、ディフェンスラインの選手がカット、またはスルーパスを飯倉がクリアなど、敵FWにパスが通らない様なシーンも成功に含まれる。

 

 

敵陣でボールを奪い、一定時間以内にシュートまでに達した率を表すショートカウンターシュート率で、明確な差が見える。

 

川崎 23.6%

マリノス 14.3%

 

川崎がシュートの為のハイプレスだとすると、マリノスはボールロストの補填としてのハイプレス(敵陣内でボール奪取を仕掛ける行為)と言える。

 

 

 

 

2018年の気になるデータ コンパクトネス

 

 

また、コンパクトネス、敵にプレスが開始する前の段階でどれだけ守備組織がコンパクトなのか、という指数においてもリーグ最下位の38となっている。

 

下から二番目の鹿島でも44とその差は大きい。

 

特に、縦幅は31.2mと、湘南や長崎に比べると4m以上広く、守備組織の内側にスペースがある状態。

 

事情として、ラインが突出して高いので、後ろの危険を潰す為、ボールホルダーを早めに抑えたい結果というのはあるかもしれない。

 

ただ、川崎や広島の様に、多少の圧力を物ともしない相手であれば、逆手に取ってスペースを使われる状況と言える。

 

 

ディシプリンが守られないのか、それとも無いのかは不明。

 

プレス開始位置のルール、前が深くまで追いかけすぎている、ファーストラインを2m後退させる、などの修正及び徹底が必要ではないだろうか。

 

 

 

 

2018年の気になるデータ フィジカルコンタクト

 

 

これは余り触れたくなかったのだ、選手叩きにつながりやすい。

 

 

そして最後に、ロングカウンターを受けやすく、中にも裏にもスペースもある、となると、個々の選手が激しくボールに対して行こうぜ!という対処方法が思いつくが、

 

フィジカルコンタクト(タックルや空中戦、ブロック、ファウル数の偏差値)においても、マリノスは31と、学校のテストであれば赤点レベルの偏差値になっている。

 

 

もちろん、マリノスはボール保持時間が突出して多いので、イコール、守備時間も少なく、フィジカルコンタクトは伸びにくい数値かもしれないのだが、それにしても少なすぎる。

 

 

ボール支配率2位 56% の神戸の場合、フィジカルコンタクトは 58 

 

ボール支配率1位 60.2% のマリノスで 31

 

 

2016年が41、2017年が35、そして今年は31、皆さんが感じている守備劣化は、フィジカルコンタクトを避けているというデータと、関連性があるのかもしれない。

 

 

 

 

雑談

 

新監督はとても紳士的で素晴らしいのだけど、これはモンバエルツもそうだったけど。

 

その結果、チェルシーが、どんどんとヴェンゲルのアーセナル化、していくような感覚がある。ファンには申し訳ないが、特に晩年の3年位はやらかしと大敗のお笑いチーム感がハタで見てるとあった。

 

モウリーニョくらい『ぬるいプレーしてると3年間スタンドに座るぞ』くらいの激しさがあってもいいかもしれない。

 

 

データ by フットボールラボ 

http://www.football-lab.jp/

 

幸運に恵まれた惜敗 ワールドカップ2018ロシア 決勝トーナメント一回戦 日本対ベルギー

ロシアで開催されている2018年ワールドカップで、史上初のベスト8へ、2010年大会以来、8年ぶりの挑戦となったベルギー戦。

 

極めて分かりやすい、表層的かつ、より勝敗に直結する重要指標のみを見た時に、このゲームは完全な負け試合であり、90分+4分まで2-2というスコアだったのは幸運に支えられていたと言える。

 

 

 

シュート数からゲームを総評する

 

サッカーはより多く得点をする事を目的とした競技である事から、試合後のゲームスタッツにおいて、世界のどこへ行っても、一番上に表示される最重要指標がシュート数になる。

 

そして、このゲームを通じて記録されているシュート数は、ベルギーの24本 に対して、日本は11本。

 

また、シュートの内訳として、枠を捉えた、得点の可能性のあるものであったか、を重視した枠内シュート数においても、ベルギーは8本、日本は4本となっている。

 

 

また、総シュート数に対する、枠内シュートの比率という観点で見た場合に、

 

ベルギーは24分の8で 33.33%

日本は11分の4で 36.36%

 

 

印象としては、敵のエースであるルカクが何度も決定的なシュートミスをして、枠を外していた様に感じたが、それはデータでも確認され、最終局面で、可能性をゼロにしてしまうミスを多くしていたのは、ベルギーである。

 

 

また、これらの傾向は2-2のドローに終わったグループリーグのセネガル戦も同様で、セネガルのシュート数14本に対して、日本は7本、枠内シュート数も、セネガル7に対して、日本は3であった。

 

 

サッカーの試合を総評する際に、どちらが優勢であったのか、という認識は極めて重要なスタートラインであり、それはあやふやな印象論でなく、明確な事実をベースとされるべきで、サッカーという競技の本質を考えれば、シュート数がそれに相応しいと私は考える。

 

 

この点で、セネガル戦は倍の得点機会を相手が持つ、かなりの劣勢なゲームであり、相手のミスと、日本がロナウドなどのスーパースターを越える様な、特筆するべき決定力でドローになった試合であり、

 

ベルギー戦は相手が多数のミスをしたにも関わらず、日本の倍、得点機会を得ている事から、セネガル戦以上に厳しい、極めて劣勢なゲームと言え、90分+4分まで同スコアであったのは幸運に恵まれた結果であった、と、この最重要指標をベースにこの試合を評する。

 

 

 

攻撃機

 

また、シュート数よりは勝敗に対して関連性が下がる攻撃の指標においても日本はかなりの劣勢であった。

 

選手のアタッキングゾーン侵入回数※、恐らくFIFAのデータでもいわゆる敵陣におけるゴールまでの30m以内を意味するものだと思われるが、ベルギーが55回を記録した一方、日本は24回と、半分以下のデータが残っている。

※ゾーン内のボールタッチ数ではない可能性

 

これは、ゴール前までは行くのだけど、そこから崩せていないのではなく、そもそも敵陣ゴールに迫った回数が少ない事を意味し、敗因として、最後のタレント力がどうこうではない、という裏付け程度にはなるだろう。

 

シュートの項目でも触れたが、むしろ日本は敵陣ゴール前でタレント力が発揮された結果、特筆すべきシュート決定率となり、劣勢の中でも何とかスコアの均衡を保ったのが、今回のワールドカップを戦ったチームの真実の姿であると言える。

 

 

また、ボール保持からの攻撃を意図した両チームの対戦において、ボールをより持ったのはベルギーであった。

 

 ベルギー56% - 44%日本

 

 

次の観点として、ボールの保持率はゲームの優劣を決める物ではない、という認識が昨今のトレンドではあるが、一方で、両者における ボール保持時間の有効性 を見た場合に、以下と考える。

 

 

サッカーにおいて、アクチュアルプレータイム(実際の競技時間)は60分以下、とされている事から、これに60をかける事で、ボール保持時間を推定ではあるが算出できる。

 

ベルギー 33.6分

日本 26.4分

 

 

このボール保持の時間に対して、1分をシュート何本に転換する事が出来たのか、ボール保持時間を有効に攻撃へ活用できたのかを見ても、ベルギーが圧倒的に有効な攻撃を行っていたことが伺える。

 

ベルギー 0.7142本/分

日本 0.4166本/分

 

 

※ この勝手に考えたポゼッションエクスチェンジ(ボール保持率攻撃転換量)という概念は、例えばボール保持率で65%対35%、スコアが1-0、又は0-2、みたいなゲームが有ったとして、どちらが優勢であったのかを推し量るのに効果的だと考える。

 

 

例えば支配率が上記の状態で、シュート数が15本 対 5本でスコアが0-1の場合、圧倒的にボールを保持して負けたチームがハメられた、無駄なボール保持だった、という批評になりがちだが、

 

ボール保持時間の有効性は、0.3846 対 0.2380 であり、効果的な攻撃をしていたのは支配率65%を取ったチームである、と言える。

 

つまり問題は、相手に対して効果的な攻撃が出来ていなかった事ではなく、ゴール前のクオリティにあった事がわかり、正しい敗因の認識にも役立つのではないかと考える。

 

 

 

 

基準点

 

今後、この大会結果については、様々な分析や対策が語られると思われる。

 

 

特にゲーム直後は、よりディティールが、それは最後のコーナーキックをどうするべきであった、とか、山口の対応であるとか、交代選手や配置転換、スターティングメンバー、あのゲームをどうにか出来たのではないか、というミクロな(小さな)視点。

 

更には、スタートの11人しか用意できなかった、チームとしてのポリバレント(多様性)が皆無な事につながったスクランブル体勢ならではの準備不足といった戦略的な物。

 

最終的には育成や環境、文化と言った日本サッカー全体に対する、マクロ(広大)な物まで広がっていくと推測はできる。

 

 

ただ、それらのスタートラインとして、選手個々は、特に体力測定的な要素における各種個人データで優れた数値を記録したように、奮闘を見せた事を評価しつつも、

 

今大会はグループリーグ初戦のコロンビア戦が象徴的な事例だが、多分な幸運に恵まれた、スタッツでは全試合惨敗でもおかしくなかった、かなり劣勢の試合ばかりしか無かった事。

 

議論のゴールとして目指すのは、あくまでも優勢なゲームによる必然的勝利、確率論に基づいた論理的な勝利である事を、ここに確認したい。

 

 

また、日本代表というのは、未だサッカーが脆弱な地位にある日本という国※において、注目と関心を集める為の普及、広報活動プロジェクトであり、今後に少子化が進むのは退っ引きならない未来の中、その成否は、人材と地方の2点からJリーグにも極めて影響する。

 

それを主導するサッカー協会において、内部の政治問題が影響し、準備不足があったのは明白であり、前述したように、この天啓とも言える幸運にあぐらをかかず、先ず語るべきは、何を置いても勝つこと、ただそれだけに注力するプロジェクトチームを作る為の猛省を要望する。

 

 

※ そもそも賭博が厳しく制限されている日本では、これだけの人口と経済規模があるのにプロ野球くらいしか成立させられていなかった様に、プロスポーツが成り立ちにくい環境と言え、その中で見れば先人の貢献もあり、他競技よりもサッカーは断然、健闘していると言える。

 

一方、私案だが、昨今のネット化で、公営競技が軒並み過去最高益を記録している、このギャンブル大国において、女子サッカー公営競技化することは出来ないものかと、W杯で優勝するレベルでも恵まれていない様に見える現状を、年収数千万円級がゴロゴロしてる競艇女子選手と比較して思うのであった。