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Jリーグにおける特別指定選手制度の崩壊と考えうる対応策・ポストユース問題

今、有望な若手の値段はどんどんと高騰しているのがサッカーの世界。

 

例えば、これまでバロンドーラーを多数輩出してきたブラジルでは10代の選手が1部でちょろっと成績を残すと大変な事になる。

 

ヴィニシウス48億円、ロドリゴ50億円、エンドリッキに至っては130億円(数字は報じられた当時の為替レート)

 

 

その生き馬の目を抜く世界の歯牙が日本にも伸び始めて数年、遂に起こるべくして起きたのがマリノスが卒業後の2027年に入団内定を出し、入団までの期間、大学サッカー部の活動が空いている時は借りられる契約(特別指定選手制度の利用)を行っていた塩貝健人がオランダのクラブNECに”横取り”をされる事態となった。

 

引用元 https://x.com/prompt_fmarinos/status/1779070119995646092

 

 

www.soccer-king.jp

 

Jクラブは出場給すら払う必要が無いアマチュア選手に対して何の拘束力もなく、例え選手側にスポーツ推薦、特待生の様な縛りがあろうと、大学の学費なんて4年で数百万円の世界、数億円の違約金が飛び交う若手市場では手数料以下の”契約解除金”で済むだろう。

 

つまり、三笘や富安、遠藤の活躍により、労働ビザの緩和もあり英国2部でもブームとして盛り上がりを見せる格安な日本人の青田買いに対して、何の制約もないどころか、特指のタグを付けてわざわざ見つけやすくしてくれる上に、プロカテゴリーでお試し確認して貰った上に、タダ同然で取れる素晴らしい制度が発見されたと言える。

 

試合で使えば使うほど、引き抜きを受けるリスクが高まるという制度の趣旨と全く嚙み合わない状態になってしまった。Jクラブの理想的なムーブは出来るだけ早く内定を出し確保を行い、練習には呼ぶが、試合では一切使わないブラック企業ムーブだ。

 

勿論、買う方も才能を買いに来ているので、今後、実際に引き抜きを受けるのは上澄みの一部だろうが、これにて特指制度はJクラブのメリットが潰え、事実上の崩壊と言える。世代別代表に呼ばれるような選手は特にリスクが高いだろう。

 

 

 

選手売却見本市のオープン

 

さて話は若干逸れるが、J1リーグは非常に選手が探しやすいリーグなのはご存じだろうか。

 

ブライトンが有名だが、統計を用いて必要な能力を持った選手を探す、野球で革命を起こしたマネーボールの手法は近年サッカー界でも有効と確認され、加速している。

 

この点、Jリーグは整備された環境できっちり開催され、必要な統計データもしっかりと計測されている。選手の値段は観客も少なく、未整備なリーグで行われている辺境地域なのに。

 

 

トップスピード1位は売れた…次の格安選手は誰だ!?

 

【公式】2024シーズンのトップスピード:J1リーグの個人スタッツ:Jリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp)

 

 

これらデータ計測、統計的手法で見れば、特に、走力関連においてJリーグプレミアリーグの中位以下と比較しても遜色がない事が分かるし、試合開催時の気温を鑑みれば極めてインテンシティの高いリーグなのは間違いが無い。

 

その中で残される各種数字の価値をどう受け取るか。

 

未だにJリーグを下げる発言をしている人達もいるが、こういったファクト、エビデンスに触れている”彼ら”が、この2024年の夏にどういった行動をとったのかを見れば、真実は明らかである。

 

 

 

ポストユース失敗の歴史

 

今や日本はポスト岸田(岸田の次の意)の話題で連日ニュースを賑わせているが、正にJリーグのポストユース(U-18世代の次)は「もう進次郎でいいんじゃない」と思わせる人材育成失敗の歴史だ。

 

かつてはサテライトリーグ、選抜U-23チーム&セカンドチームの下位カテゴリー参入、直近ではエリートリーグ(2023年以降未開催)と、高卒の入団初年度から数年の出番が得られない若手選手の出場機会に対して問題意識をもって取り組んだが継続的な仕組みを生み出せずに終わってきたと言える。

 

勿論、これらを”経由”した選手が後に成功している例もあり、一概に失敗とは言えないが、現状で継続できずに全て終わっているのだから、Jリーグとしてポストユースに答えを出せたのか?という問いに対しては失敗と評せる。

 

 

課題はJリーグの中で持続可能な整備されたコンペティションを生み出し、21歳以下の選手に適した緊張感の伴う、適したレベルの出場機会を与える事。

 

これについてU-21リーグをやる方向で議論を進めているようだが、なぜ過去に失敗をしてきたのかも考えるべきだろう。

 

 

 

実質のセカンドチームは持続不可能では?

 

過去、Jリーグが行ってきた全ての試みにおける共通点として基本的にプロ選手で構成した、プロチームだった事が挙げられる。つまり実質のセカンドチームになる。

 

先ず思うのが選手の気持ち、メンタルである。

 

これ、ものすげぇー2軍感出ません?

 

それでも頑張るという奴もいるだろうが、腐る奴もかなり出ると推測できる。

こうなると試合にかける意気込み、テンションに差がある状態が生まれる。

 

整備されたコンペティションを用意する事により、選手に高いモチベーションで戦う事で適したレベル、緊張感のある出場機会を生み出したいという目的に反する試合がまた繰り返さるのではないか。

 

 

次にビジネス的に、売り上げの算段ついとるんか?

 

全員がプロ契約の選手ならU-21だろうがそれはプロチームである。収益性を問うのは当然なのだが、そこまで考えて進めている話だろうか。

 

安易に観客を入れると言うが、警備や会場の費用に対して利益は上がるのか?

 

興行をする以上、経営的には利益を出すべき開催になるが、選手の出場給も含めて毎試合赤字を積み上げていくだけにならないか。

 

過去の失敗例で最も欠けていた観点はビジネスなのか投資なのか、曖昧なスタートではないか。このままでは儲けると言う部分に対する見通しが杜撰で甘いまま、ぬるっと始めたWEリーグみたいにならないか。

 

実質のプロチームを持続可能な状態にするにはビジネスモデルも同時に考えないと不可能であろう。

 

 

大学生向けのU-21でいいのでは?

 

儲けない

 

Jリーグ各クラブにはユースの設置が義務付けられている訳だが、これらは投資であり、更に、そこからトップ昇格出来なかった選手達は本当に大学でプレーしたいのだろうか。

 

ユースと同じ様にU-21を義務付けて、ユースと同じ様にJクラブによるU-21の大会があるのが彼らにとって理想なのではないか。

 

Jクラブにとってもユース同様の育成機関としてアマチュアチーム運営となれば、それは収益が問われるプロクラブ経営ではなく、あくまで将来投資になる。経営的に説明不可能な赤字垂れ流しではなく、説明可能な支出になる。

 

下位カテゴリーは厳しい所もあるだろうから、J1ライセンスの必須条項にする所から始めるのが良いだろう。

 

 

大学サッカーというマチュアチームによるポストユース育成が成功しているのだから、それを取り入れる方が成功確率が高いのでは?

 

またメリットとしてユースと同じ扱いになるので、いちいち先方の許可、日程調整も不要であり、現状の特指制度よりもトップに呼ばれて使われる回数も遥かに増える事が推測される。

 

勿論、入団時には「移籍にはクラブの承認を必要とする」という契約を交わすのは当然。解除金の設定?そんなものは必要ないし、慈善事業ではないので嫌な選手は大学へどうぞ。

 

まぁ金銭的なメリットの提供は出来ますけど…

 

 

 

実質のD契約

 

JリーグABC契約問題は撤廃の方向らしいが、今はあるので便宜上D契約と呼ぶが、大学生を対象にするチームなので、世代別招集歴がある事などを条件に返済不要奨学金契約を提示するなど、有望選手にはメリットを提供する施策も必要になるだろう。

 

何となく裁量で、君は奨学金、君は無し、とやると保護者の皆さんと揉めそうなので分かりやすい指標、世代別代表や大会MVP、大会優秀選手賞、得点王などが良いと推測される。基準はデジタルがいい。

 

 

勿論「移籍にはクラブの承認を必要とする」という条項は必須、青天井。

この部分で暗黙の了解、一定のカルテルは必要だ。

 

プロ契約をして結果を残し、更新する時に交渉をするべき。

という姿勢を全クラブがJリーグの利益という総合的な利益の為に持つべきだ。

 

日本はかつて金の一大産地であったが、全て安く、海外に流出してしまった。

同じ様にサッカーでも資源の枯渇は近いのだから。

 

 

60万人の塩貝君と37万人の塩貝君

 

塩貝君は2005年生まれ、今年19歳。

彼の世代は子供が約60万人生まれた世代となる。

 

しかし19年後、次の塩貝君は約37万人しか子供が生まれなかった世代の19歳。

3分の1以上も人が消える世代となる。

 

果たしてサッカーは競技人口をどれだけ維持出来ているだろうか。

いや、そもそも高校、大学を始めとした”学校”はどれだけ存続出来ているのか。

 

 

これに対して大学生を対象にしたU-21はJリーグの裁量次第で画期的な対策を打てる。

 

日本語学校に通っている生徒も大学生と同じとみなす(U-21参加可能)」

「U-21に1年半以上所属していた選手はJリーグで外国籍としない(雇用拡大)」

 

 

さぁ世界に飛び立てJクラブスカウト達!

 

「日本で日本語を学びながらサッカー選手を目指さないか?」

「生活にかかる費用は一切心配が要らない」

Jリーグへの契約もチャンスが広がるぞ」

 

「君の夢を叶えるには東京(千葉)にくるしかない」

 

まるで人買いの所業…東京と騙して連れてくるなんてひどい。

 

世界でも有数の1500万シティトーキョーを夢見た彼の眼に飛び込んできたのは木更津の畑に囲まれたポツンと設置されたプレハブ小屋だった…。

 

夏は南房にて平砂浦海岸で地獄の走り込み合宿が待っている。(通称犬の穴)

 

 

この施策には一定の反発があるのは理解するが、安い労働力から搾取する事で最大利益を求める企業の振る舞いとは異なると言っておきたい。

 

それらは最大利益の為に投資やコストカットを犠牲にせず、本来は人材育成やテクノロジーの発展で課題解決を図るべきテーマであるが、サッカーはテクノロジーの介入が一切許されない世界であり、努力しても到達不可能な残酷なまでに才能が物を言う、人がフィジカルにやる事に意味がある競技である。

 

Jリーグはグローバル感覚が問われるマーケット、そこにどう接続していくのか。

ボケっとしている間に2周遅れ状態だ。

 

さて、今のチェアマンとリーグが検討しているU-21に、果たしてどれだけのビジョンがあるのだろうか。

 

 

 

野々村チェアマン。

 

サッカー協会からお達しを受けたシーズン移行は極めて迅速に、やっきになって行ったが、それに伴った過密日程はむしろ加速させ、サウジの本気で競技水準が上がっていくACLには外国籍問題すら手を付ける気配すらなく、

 

フットボールファースト、ピッチレベルの水準向上を謳いながらベンチ入り人数は未だに据え置きのまま。5人交代制度になって一体何年が過ぎたのか?

 

イングランドはベンチ入り人数が9人だから若手のフィル・フォーデンをベンチ入りさせ、余裕のあるゲームで少しづつ出場機会を与える事が出来た。せっかく5人交代制度になっているのに若手の出場機会を奪う判断をしているのは一体誰だろうか。

 

降雪の処理は多分行けるで見切り発車をするが、外国籍人数変更やベンチ人数は遅々として進まない。北海道で学んだのは雪かきだけかい?

 

そろそろ、年間売り上げが40億円以下の札幌で社長しかしたことが無いキャリアから、大企業で出世した皆さんが社長をされるJクラブに、プロ経営をしろとのたまう手腕を見せてもらいたいところだ。