なんかすごいぞサウジアラビア
横浜F・マリノスが再びあの景色を目指す前に、様相はすっかりと変わっている事を思い出したい。
引用元
https://www.f-marinos.com/acle2024_25/
フットボールの本場として長年スターを独り占めしていた欧州にマネーゲームを仕掛け、次々とタレントの強奪を始めた唯一無二の存在が現れる。
ビジョン2030と銘打たれた国家の威信がかかる大改革プロジェクト真っただ中にあって、成功の象徴となるショートケーキの苺、ほぼ決定と言われる2034年ワールドカップの開催を狙うアラビア半島の巨人サウジアラビア。
スポーツウォッシングという批判もどこ吹く風と、約束の時へ向けてフットボールへの投資は勢いが加速する一方だ。
その恩恵を受けて、24シーズンから優勝賞金が17億円に大幅アップするACLエリートに出場するチームの戦力は充実どころの話じゃない。
そもそも増えたという賞金もサウジ勢からすれば”しけた”金額であり、もう既に全勝で優勝しても元は取れないが、名誉以外はどうでもいいんだろう。そんなサウジアラビアの出場チームを所属する外国籍選手を中心にまとめてみた。
※移籍金はメディア等に掲載された推測の物
前年1位 王者アル・ヒラル
所属外国籍選手 9人
ネイマールがいるチームというと分かりやすいかもしれない。
昨季は10月に大怪我をしてしまったので殆ど出ていない。
ちなみに年棒は239億円(当時レート)と言われており、23シーズンのJリーグチーム人件費(選手年棒だけではない)ベースだと彼一人で1位の神戸から、9位の広島まで大体賄える事になる。
復帰時期は全治10か月と言われており、2025年になってからだろう。決勝トーナメントの開催時期となる2025年4月には一応間に合う見込みだ。
他にもJリーグファンにも説明不要な有名どころとしてはマン・シティやバルセロナでプレーした攻撃的サイドバックのカンセロが新シーズンから加入している。
それ以外に昨年優勝した既存戦力として、前線にはプレミアリーグのフルハムで活躍(24試合14ゴール)したミトロビッチを23年に5260万ユーロ(85億円)で獲得、昨季はサウジリーグで28試合28得点とハーランド級にブレイクした。おめでとう。
プレミアリーグで対空戦勝率が48%だった選手がサウジにきたら64%になった。
他にも日本代表の鎌田が来る前に躍進していたラツィオで活躍していたミリンコヴィッチ(伊セリエA36試合9G8A)も同じく23シーズンに4000万ユーロ(約65億円)で獲得。サウジリーグでは30試合11G10AとMFの中ではトップクラスに活躍している。
他にもバルセロナに4000万ユーロで買われた時は他の前線が凄すぎて(メッシ、スアレスほか)出場機会が得られなかったが、ロシアのゼニトで大活躍し(27試合23G7A)6000万ユーロ(約97億円)で獲得したマルコムなどがいる。左利きの右ウイングのブラジル人、マリノスのヤン・マテウスよりもシュートが得意なタイプで昨季は31試合15G6Aをしている。
他にもプレミアリーグのウルバーハンプトンで守備的MF等を務め中心的選手だったルベン・ネェベス(プレミア35試合デュエル勝率53% 参考:遠藤航44%)を5500万ユーロ(89億円)で獲得するなど、移籍金だけでJリーグは下まで全部買える位、昨年の時点でお金を使っているのが分かる。
ちなみにこれはまだ”移籍金”で年棒は別。リーグ1位も納得だ。
この点、新獲得のカンセロは移籍金が僅か40億円、年棒は25億円(23年札幌の総人件費より8億円多い)と、アル・ヒラルの中では非常にリーズナブルな選手と言える。
2位 逆襲に燃えるアル・ナスル
所属外国籍選手 10人…と思ったら、つい先日に11人になった
シルバーコレクター、リーグは2位、ACL西地区決勝ではアルアインにハメられ惜敗。
王者クリスティアーノ・ロナウドは怒りに震えて終えたシーズンだったに違いない。
ちなみにCR7、年棒は300億円、ネイマールよりも更に5クラブくらいJ1チームを賄える、流石ナンバー1。
有名どころではマン・シティに居たDFラポルテ、元リヴァプールのアタッカー、サディオ・マネなどが所属している。
他にもタリスカことアンデルソン・ソウザ(昨季17試合16G4A)の前線、中盤はポルトガル代表のオタビア(29試合10G5A)と、クロアチア代表でW杯準優勝メンバーでもあるインテルから獲得したブロゾビッチ(昨季30試合4G8A)がバランスを取る。
DFラインはカタールW杯にブラジル代表として招集されたテレス、伊藤純也の元同僚コナンなどが脇を固める。
1位アル・ヒラルに比べるとロナウド一人に突っ込み過ぎた印象が若干否めない。
注目株はブラジルリーグ観測でみつけた逸材のウェズレイ19歳。
一言で言えば、右効きの左ウイングとして”ちゃんと”育てられたジュニオール・サントス。プレーが結構似ている。見た目以上に大きく感じさせる肉体、停止状態から瞬時に置き去りにする加速、深い切り返しから放たれる強烈なショット。
19歳ながら今年に入ってブラジル1部でブレイクし過ぎたので日本に来る未来は無くなり、2260万ユーロ(約36億円)でお買い上げされた。
試合に出れば出るだけ伸びてくる年齢なので、半年もすると一番の脅威となるかもしれない。
※記事を書いた直後に一人増えました
🇧🇷 19歳がサウジアラビアへ 🇸🇦
— GOAL Japan (@GoalJP_Official) 2024年9月3日
昨夏チェルシー加入の #アンジェロ・ガブリエル、#アル・ナスル へ完全移籍。
5年契約を締結し、移籍金は2300万ユーロ(約37億4000万円)と伝えられる。
チェルシーにとって今夏26人目の退団に。https://t.co/2hMfbDQ1jG
ラストピースを獲得 3位 アル・アハリ
所属外国籍選手 10人
とんでもないラストピースがピタリとハマった。
ブレントフォードで前々年に大ブレイクしたFW、イヴァン・トニーの獲得が決まった。
22-23シーズンプレミアリーグで33試合20ゴール、シュート成功率は21%
4アシスト12ビッグチャンスクリエイト(味方決めてくれ…)
英国の高機動アームストロング砲がアジアに上陸
直接フリーキックもねじ込む右足のキックは振り抜けば城塞を打ち破る一撃が放たれる正に決定打。GKをよく見て決めるPKも得意技の一つ。勿論左足も使える。
昨年は自チームの勝敗まで賭博をしていた事が発覚して8か月の出場停止を受け、成績は振るわなかったが、既にユーロ2024も出場しておりブランクも解消だ。
最も、他のメンバーは1位、2位と比べるとそこまででもなく、元リヴァプールなフィルミーノ(Free)、バルセロナでは振るわなかったがACミランでは中心的だったMFケシエ(1250万ユーロ)、ラ・リーガで久保より活躍した程度な、まだ22歳なのにセルタからサウジに来たガブリ・ベイガ(4000万ユーロ)など。GKには元チェルシーのメンディ(1850万ユーロ)もいる。()は当時の移籍金
何か感覚がおかしくなってるかもしれないが、1位、2位を見た後だと少し物足りない戦力だ。差し出がましいようだが、もっと補強が必要ではないだろうか。
勿論、右サイドには元マン・シティの魔法使いリヤド・マフレズ(3000万ユーロ)が変わらないクオリティを振り続けており油断が出来る相手ではない。(昨季32試合11G13A)
特にビッグチャンスクリエイトは22にも達しており、中央に強力なストライカーが居れば…と魔法の無駄打ち状態だった。
中央に居れば…
などなど、24-25シーズンに出場するサウジアラビア3チームは以上となる。
ちなみに国家的支援(公的投資基金)がある4クラブの中でアル・イテハドは5位だった。ベンゼマさん…
ほかマテウスが移籍したアル・タアーウンは大健闘も4位、惜しい。
取らぬ狸の何とかだが、決勝トーナメントは2025年4月中旬以降に8チームでセントラル方式、東西ごちゃまぜで開催予定となっている。
3回連続アル・〇〇のチームと戦う可能性もある訳だが、もしも一回戦がUAEのアル・アインなら組み合わせとしてラッキーと言えるかもしれない。
また、ワールドカップアジア最終予選でこれから日本と対決するサウジアラビア代表の面々は殆どサウジリーグでプレーしているが、外国籍選手が多いチームだと”サブ”準レギュラーになっている事が珍しくない。
遅々として進まないJリーグ
散々聞いた話としてJリーグは夏開幕にシーズン移行を決めた。
その説明の中で、最も大きな理由はACLとシーズンを合わせる事だった筈だ。
リーグの具体的な目標として明確にACLエリートを勝つ事と言っている。
だがサウジアラビアリーグを見ると、ベンチの人数は9人いた。
Jリーグは5人交代制が導入されて数年経つのに未だに7人のままだ。
シーズン移行と同じく、ACLエリートと同じ環境にするべきでは?
また外国籍選手も8人出ていたが、今後ACLも彼らがしたい様になって行くのは明らかなので、Jリーグはこのまま座して死ぬのを待つだけだろうか。
更に2023年の数字を見ると、例えば札幌とマリノスの人件費は13億円しか差がないが、アル・ヒラルやアル・ナスルとの差は一体幾らになるだろう。
ネイマールを除外しても外国籍選手の獲得費用、移籍金だけでマリノスが10チーム賄える。
年棒とネイマール分を足せば20チームのマリノスが完成しそうだ。
('ω')ピコーン‼(マリノスだけでリーグ戦が出来る!)
例えばプレミアリーグではシティと下位チーム、ラリーガではレアルマドリードやバルセロナとその他、ドイツではバイエルンとそれ以外でかなりの戦力差が生じているし、欧州では実際のタイトルも金銭的優位性を持つチームが寡占状態だが、アジアではどうなるだろうか。
野々村チェアマンはACLエリートを勝てというが、改めて調べてみると彼が社長を務めていた時代に札幌ではJリーグのタイトルを何も取れなかったようだが、アジアではその時以上…どころではない差がある事を伝えておきたい。
どうやって勝てる算段でしょう?
最も有効な手段として神に祈るというのが推測されます。
シュートが決まってほしいとか、外れてほしいとか祈るのではなく、サウジのチームが途中で潰しあうのを祈りましょう。
それ以外にも、2024年、野々村チェアマンの一声でJ1に20チーム制を導入した事により、23-24ACLに出場したマリノスはリーグ戦の水曜ゲームが劇的増加した事により、1試合平均観客動員は-4500人、開催試合数×客単価3000円計算で考えると2億円近い損失が発生している。
ACLでトントンでは意味が無い。仮に欧州でチャンピオンズリーグが優勝以外に価値が無かったとしたら、各クラブはそんな経営的に不安定なコンペティションに注力するだろうか?(実際だと昨年はグループリーグ出場・6戦全敗でも26億円獲得)
リーグを統括する立場として、リーグ戦を当たり前の様に水曜に開催する事の異常さを反省するべきでは?
それでフットボール文化は促進されるのだろうか。
また順位賞金が出るから要らないでしょうと、何となく従来あった9000万円程度のACL支援金の打ち切りも同時に行っている事を忘れないでおきたい。
そして週末も残念な出来事が起きた。
台風の影響でFC東京の移動がとん挫し、試合に間に合うのか、会場にたどり着けるのか話題になっていたが、例えFC東京側の判断に失敗と言える部分があったにせよ、気象の専門家ですら予測が困難であった災害時であり、
何よりも2日間碌に練習を出来ない選手達が、勝ち点はく奪のペナルティを避ける為に、移動だけに追われて何とか試合会場にたどり着くという事態の何処にフットボールファーストを表題に掲げる精神があるのか?
とにかく言っている事と、現実にやっている事が全く矛盾している様をこんなに見せられては疑念しか浮かばない。
今となってはシーズン移行をするという議論において、お題目であったその全てが欺瞞であり、とにかく目的はシーズン移行であって、何が何でもシーズン移行をする為に都合が良い嘘八百だったのであり、そんな議論は、検討は、虚無であったのではないかと指摘したい。