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今さらながらイングランド代表のEURO2024を振り返る

あれから3か月以上が経とうとしているのだが、何故か、そう突然何故か。

 

それは思わずガラ空きのゴールにシュートを打てないほど急に、2016年から代表監督を務めたサウスゲート監督最後の大会、イングランド代表の戦ったEURO2024を振り返りたくなった。

 

いやー、忘れてたわー。絶対に話そうと思ってたのに何故か忘れてたわー。

 

簡単にではあるが、大体どんな感じだったのかまとめてみたい。

 

 

 

 

 

EURO2024 ク〇大会!?

 

とにかく優勝したスペイン以外は全体的に評判が悪いのがEURO2024だ。

 

大会システムの改革によりジョージアやトルコなど持たざる者の躍進、ビエルサの様に戦うマンツーマンを見せたスイス、そしてレッドブル革命により最も攻撃的なチームであったオーストリアなど光る部分、見所はあったが、結果を最優先した強豪国が極めて保守的に戦い、往時のイタリア・セリエAを彷彿とする眠気を誘う試合が連発した。

 

 

思えば、スペインの初戦となったクロアチア戦を見て、この様な記事を書いた。

 

speir-s.hatenablog.jp

スペインはこの初戦こそ快勝したが、優勝までは厳しいのではないだろうか。

 

(;'∀')

 

弁明をさせて頂くと、クロアチアの中盤が凄すぎただけで、この後、スペイン相手にここまで保持とハイプレスの戦いを挑むチームは1つもなく、今大会最も面白いゲームが、この試合だった。

 

クロアチアは0-3で敗北しグループリーグでも敗退していく結果になったが、スペイン相手に積み上げた決定機は3、ゴール期待値はスペインを上回る2.38、最もスペインに脅威を与えたチームであるのは間違いがない。

 

 

話を戻すと、大会全体のトレンドは完全にミドルブロックとそれよりも後ろであり、そもそも比較的ハイプレスを仕掛けていたスペインにしてもGKまでラッシュをかけるようなハイプレスはゴールキックからのビルドに対する時くらいで、ミドルブロックの入り口で制限をかけてから、バックパスなどを契機に奪取を仕掛けるような「運動量でどうにかしよう」ではなく、プレーする位置により、何を目指して守備をするのか、目的の決定に基づく、振る舞い、タイミング、全体の意思統一の整備こそが重要だった。

 

 

そしてEURO2024は前回大会よりもゴール数は25(142→117)もマイナスになり、中でも、特に保守的でつまらないチームの象徴的存在がイングランドとフランスであった。

 

まぁ準優勝とベスト4なので、結果は出したのだけど。

 

この点、代表戦と言う舞台において、面白くしろは観る側の要求であって、やってる側からすると「結果以外にプレーする意味とかあるんですか」という考えは分からないでもない。

 

 

 

イングランド準優勝のプロセス

 

市場価値という金額だけなら圧倒的なスター軍団を擁しながらも、ボールを何となく持つけど効果的な攻撃は見られない、他人事とは思えない大苦戦の連続。

 

特に追い詰められたのは94分まで負けていたスロバキア戦。

 

追い詰められたら手段なんて選べない、外道的ロングスローからのベリンガムがオーバーヘッドキックを叩き込む起死回生の一撃。63%とボールを持たされるも120分間でビッグチャンスは2回。

 

 

これではイカンと森保に学んだか、次はスイス対策か3バックで挑んだスイス戦だったが、もっと悲惨な内容で、試合内容は互角以下、PKまでもつれた120分間の戦いで積み上げたゴール期待値は僅か0.65。PKを全員が決める正確な技術は120分の間に発揮する機会が無かったのが伺える。

 

一方、光る所が見えたのが準決勝のオランダ戦。

 

なぜか3バックを継続した事で、442のオランダに対して自然と、敵2トップをGKと3枚で4対2、中央で2シャドー+ボランチが敵の2枚に4対2、2つの中央数的優位、今や懐かしいvsミシャ式あるある442殺し現象が発生。

 

が、有利な前半に自陣ロストから失点してしまい同点には追いついたが、後半になると穴は塞がれ耐える展開に。

 

神の啓示か、終盤に唯一の好采配と言われた前線2枚代えが炸裂、ロングボール蹴ったらあれよとつながり、交代で入ったワトキンズが意表を突いた振り向き様の一撃という、偶発的なバーティカルな早い攻撃がたまたま刺さって勝ち上がった。

 

www.soccer-king.jp

 

 

そしてファイナル。

 

保持が苦手だけどカウンターに徹すればタレント軍団が輝くのではと期待された決勝のスペイン戦だったが、同点となる一撃は見舞ったが、準決勝でフランスを処理して自信を深めたスペインに完全に処理されて2-1の完敗。

 

ゴール期待値は0.53-1.93、決定機は2-5、勝機なんてなかった、ぐうの音も出ないスタッツだ。

 

 

論理的=平凡 工夫無き構成

 

結果だけが求められる戦いで準優勝したのだから、十分と言えるのかもしれない。

極めて合理的に戦力を運用し、ベーシックに戦えば結果はついてくると言う判断。

 

その結果としてケインを固定してフォーデンとベリンガムを併用したのがイングランドだったのだが、ラインブレイクランを仕掛ける選手が乏しく、縦への早さ&速さを全く失ってしまっていた。

 

各人が足元に貰ってから、さぁどうにかしようとプレーを始める、そんな風景が目立った。

 

先ほど述べた様に、ミドルブロック以降の本場欧州な洗練された最先端な守備に、最も相性が悪い攻撃なのは今期のマリノスを見ていた皆さんには説明不要ではないだろうか。

 

 

一方、代名詞はティキタカで知られるスペインではあるが、この大会ではラインブレイクの名手ニコと、タッチラインに張り付きドリブル突破を仕掛けるヤマルを配置し、ウイングの火力をベースとするスペインとは思えない縦=バーティカルを用意した創意工夫が見受けられた。

 

勿論、保持局面ではバロンドーラーのロドリがいるし、その相棒としてファビアン・ルイスは完ぺきだった。

 

 

せめてイングランドでは幅を取れる選手、グリーリッシュをメンバーに入れておくべきだったのかもしれない。ただ、同じく右利きの左ウイングであるゴードンが全く使われなかったのを見ると、そもそも幅を取るという概念が無かったのかもしれない。

 

4231だとウイングがいない、3421だとウイングバックがいない、兎に角、裏と外が人材不足。大会随一のタレント軍団なのに。

 

 

ケインとワトキンズ、サカとパーマー、フォーデンとベリンガム、ゴードンとグリーリッシュ、もっと誰が何処で何をして欲しいのか、明確な役割に基づく競争があるべきだったのか。

 

結果だけが必要な大会で堅実に勝ち上がる事を考えた場合に、それ以外な要素、例えばセットプレーの攻守なども無視できる要素ではなく、そもそもゴールを生み出す構造まで手が回っていないというのが感想か。

 

 

7試合で8ゴール6失点、無得点1、クリーンシート2。

平均ボール保持は54.7%、90分勝利は2勝。

 

 

オールオアナッシング

 

平凡だろうが退屈だろうが、結果を出せば全て称賛される世界で賭けに負けた結果、サウスゲート監督の評価はとても低い事になっている。

 

タレント軍団で、その能力を発揮できず、つまらなく戦い、敗れ去った監督。

 

 

ただ、これらはあくまでも代表という、準備の時間も少ない集団で極めて短期のコンペティションを戦うフォーマットにおける結果であり、時に結果のみを追求する合理的な判断も評価されるべきであり、必ずしも全てを網羅しているとは限らない。

 

結果は出した、EUROでは2大会連続で準優勝だ。

 

 

特にこれと対照的なコンペティションとしてプロフットボールリーグでは、いかにゴール数を稼ぎ、勝利を積み上げていくのかが求められる。

 

そのフィールドでは、全てに手を回す、準備の時間も十分にある。