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横浜F・マリノス J1残留の確定を受けて

2025年11月9日、横浜F・マリノスはアウェイで行われた京都サンガ戦を3-0で快勝した事により、降格圏該当チームとの勝ち点差を残り2試合で8ptとし、来期の26特別大会並びにシーズン移行による26-27シーズンのJ1リーグ残留を確定させた。

 

今期は開幕から低迷し、度重なる監督交代、過去最低の順位と勝ち点推移、何よりもピッチ上で希望のかけらも感じない酷い試合を繰り返したマリノスにとって、達成感よりも安堵に包まれる瞬間であった。

 

1982年に日本サッカーリーグで1部に昇格して以降は、一度もトップカテゴリーから降格した事が無いというプロ化移行に台頭してきた新興チームである鹿島よりも長い歴史と伝統を背負う重圧。そのチームに関わる多くの人々の気持ちを代弁する様に、キャプテンとして批判の矢面に立つ事も少なくなかった喜田が終了の笛と共に涙を流す所を見せた。

 

今期はスタジアム外での問題行動や試合後の説教フェス開催など、お世辞にも行動の全てを褒められるものではないにせよ、京都戦後のインタビューでパク・イルギュが語ったように、ギリギリの所で踏みとどまり12番目の選手であり続ける事が出来たサポーターも同じ想いだろう。

 

良い時は絶賛されていたが降格が決定した新潟では信頼関係が完全に断絶される様な光景を見る事になったし、マリノス戦の後半以降、応援のボイコットを続ける浦和などが象徴的だが、その様な行動を繰り返し続けてもチームが強くなる事はない。度々、特殊な行動を起こす彼らが応援するチームはJリーグでも有数の資金力があるはずだが、もう9シーズンに渡って1度も3位以内になっていない。

 

ピッチ上で良い成績を残す強いチームであって欲しいのであれば、何が正解なのか、12番目の選手であり続ける意味を再認識するシーズンになったと言える。今季耐えたというストーリーは新たな歴史と伝統になっていくに違いない。

 

 

さて、昨季の西野SD就任から書き始めた1つのサイクルがこの記事で終わると言える。今年は色々な事があり過ぎたおかげで、過去最高の34本記事を書いてきた。1つのサイクルの終わりであって、別に最終回という訳でもないが、未来を展望する内容で締めくくりたい。

 

 

 

中山社長が3回目の失敗を繰り返さない為に

 

J1残留を成し遂げたがマリノスには不穏な空気が漂っている。いきなり一行目からお前は何を言っているのだと思うかもしれないが、こちらも中山社長のおかげで危険察知能力は研ぎ澄まされている。

 

この人達、まーた漠然とボール保持重視のスタイルを始めそう。

 

この実に危険でしかない、目隠しをしたまま地雷原でブレイクダンスを始めそうと同意の予感が外れる事を祈るのみだ。

 

中山社長が何故、何度も失敗を繰り返すのか。それは自己分析、自己理解の無さと、それによるプロセスの分断に他ならない。その結果、不確かで曖昧な要件定義のまま、何となくチーム作りの時間が過ぎていく。そして出来上がるのが「そんなん要望してなかったんだけど?」という成果物だ。

 

いい加減、同じ失敗を繰り返すのはやめて貰いたい。それはプロセスと自己分析による理解から始まる来期チーム作りをして貰いたいとイコールだ。今季の新体制発表会で西野SDは「ガラガラポンではない」と言ったが、始まってみればどこが?であり、それは「フィロソフィーが異なる」と解任したキューエルでも同じ事だった。

 

気分は継続したつもりだったけど、結果として全く継続性が見られなかったのは全て自己分析による理解が出来ていないからと指摘したい。

 

 

 

2025年のマリノスとは

 

ターニングポイントは9月の川崎戦。

そこまでの話はもういい。

 

徹底非保持、リーグでは非保持側と言える横浜FCや名古屋に対しても保持率で下回り、清水戦に至っては30%台の保持率で3-1の快勝。町田、神戸戦は1分1敗と結果がついてこなかったが、22試合で3勝だったチームが5試合で3勝する成果を出した。

 

今期はこれで行くのだなと誰もが思った筈が、ルヴァンカップでの柏戦で突如保持スタイルでぶつかり合う地上戦を選ぶと、その勢いのまま川崎と対戦。その結果、後方の選手が迷った挙句に無駄に横パスを繰り返す光景が頻発し、象徴的なシーンとして角田が自陣へのパスミスから被カウンターで失点、更にはCKのクリアボールを回収した後の喜田が致命的なミスを起こし鈴木冬一が退場するなど、0-3で惨敗を喫した。鈴木が退場した時点でマリノスのボール保持率は60%に達していた。

 

ここをきっかけにマリノスは徹底非保持に切り替わる。

 

以降の7試合でボール保持率は30%台が5試合、47.9%と最もボール保持率が高かったG大阪戦は1-3と惨敗している。

 

0もしくは100というのは選手の意識が統一しやすく、例えば”程よく”とか”適度に”というのはそれが30なのか、70なのか、45かもしれないと曖昧さが漂う。0を選んだ事による迷いの無さ、その単純さが劣勢になる局面を1つ減らす事が出来たと言える。

 

他に強みとして谷村と植中による、時に‐2の状態も消化する数的劣勢での中央制限の守備。2人は常に一杯一杯という意味で大変だが、その分、他の9人には余裕が生じる。現状はパスが出される先の数的優位を優先した守備と言える。

 

また切り替えの意識も高まっており、広島戦、京都戦ではスペースアタック直後のハイプレス機会でボールを奪い、ショートカウンターで完結してゴールを奪っている。縦への早い攻撃に対して後方も連動して押し上げる、スペースアタックが同時に陣地回復の意味を持っていることがチームに浸透していると言える。

 

スペースアタックからの連続性としてのハイプレス、ショートカウンターという、一旦前に生じたエネルギーを敵ゴールまで完結させる慣性アタック。

 

そして勝ち点を上振れさせるボーナスとしてはクルークスによるセットプレーのキックがあり、交代要員として天野も機能している。

 

 

課題としては前進方法がロングボール一辺倒というよりも、蹴った後に優位性が作れなかった柏戦であり、先制されたらどうにもならなかった柏戦である。

 

柏戦マリノスのゴール期待値は0.631で、非保持に振り切った7試合中最低、2番目に悪かった福岡戦などの1.2前後の半分しかなかった。

 

柏が今季ハイボール攻勢でやられた試合は水たまりでパスが殺される土砂降りの中で町田にロングスロー連打でやられた試合(0-3)くらいしか思い当たらない。柏よりも屈強なCBがいるチームはあるがマリノスはロジカルに封じ込められる事を示されてしまった。

 

余談だが、私としては論理的に勝利を重ねている柏こそが25チャンピオンに相応しいチームであると考えている。既に一仕事終えた感があるマリノスではあるが、最終節の鹿島戦はシーズンダブルを目指し決勝戦の様に戦って欲しい。

 

 

 

課題と向き合わない姿勢

 

24年新体制発表会でクラブが表示した、一見それっぽいけどよくよく考えると謎ボードである。

 

 

そもそも当てはめられているワードに疑問もあるが、キューエルの所にキューエルの画像があるのは大喜利感が漂う。いや、今期はキューエルで何をするのか、目標ワードを書いてくれよ。

 

現状チームが出来ていない事を出来るようになれば強くなるという視点が欠けているのが実に良く分かる画像であるし、今期は漠然と失点数削減を目標としたが、そこに何故マリノスの失点数が激増したのかという理解は皆無だった。

 

だからキスノーボが実権を握った4月の川崎戦から毎試合複数失点を重ねてアル・ナスルに惨敗を喫すると今期は一体何を目指したのかと、シーズンが始まったばかりで意味不明になったのも当然の結果だった。そりゃ選手は失望して空中分解もする。

 

 

直近の課題はロングボールを蹴った後に優位性が生み出せない場合に手詰まりになる敵陣でのプレーと、敵がサイドに人数をかけて外→外攻撃を仕掛けた場合にサンドバックになる時間帯があり、根性で耐えるしかなくなる事だろう。

 

ふわっとした感性で自分達がボールを持ちたいので持ちます、という要素が入り込む余地はないように見えるがどうだろうか。

 

それはまたしてもプロセスを、課題を顧みないという失敗を繰り返してきたガラガラポンではないのだろうか。

 

 

 

課題の解決としての保持

 

課題を解決する為という明確な目的があってのボール保持には賛成だ。ただしこれは現状の0か100というチームの強さにヒビを入れる可能性がある。

 

その分かりやすい解決手段として森保監督率いる日本代表の時間攻撃がある。これは監督がカードとして選手交代と同時に、それを合図としてチームの戦い方を大きく転換するやり方で、前回のワールドカップではドイツ、スペインを翻弄し、今年は遂に日本代表にとって念願と言えるブラジルをAマッチで食う事に成功した。

 

これをマリノスに置き換えるとするのであれば、現状はゼロ保持をベースとして試合に入り、それが試合状況として思わしくない場合のオプションとして、ビルドアップ部隊を入れ替える事で試合中に保持攻撃に切り替える事が想定できる。

 

また、曖昧な保持の導入ではなく、あくまでもロングボールの代替手段である事を明確にしなければならない。つまり保持をするゾーンを明確に定め、有効でない縦パス攻撃を有効な縦パス攻撃に変更する意識統一が求められる。

 

GKによる+1、ディープゾーンで、瞬間的な+2を利用して前進し、一旦前進を始めたらそのままゴールにチームとして向かう、シチュエーションを限定する必要があるだろう。

 

この際に、マリノスはボール保持の基本と言えるGKの+1を使う事、常に+2を作ろうとする敵を揺さぶる動きと意味がチームとして全く理解、浸透しておらず、恐らく本体は別にいると思われる城福監督のヴェルディと比べると雲泥の差である。その後の遅攻はどうかと思うが、ディープゾーンの保持に関しては見事。

 

ゼロ保持攻撃が行き詰った時のオプションとして、例えば喜田を山根、谷村と植中をデイビッドと遠野に交代、これをキーとして、敵をプレスで自陣に引き込み外してからスペースアタック、マスカットがやりかけで放り投げた仕事を再度挑戦する意味も理由もあるだろう。

 

後半15分頃など、相手が疲れてきたり、戦術理解の浅い交代選手に変わっていたり、突然の保持攻撃が刺さるタイミングを狙いたい。

 

 

 

試合中に523(541)

 

結果としては大勝になった広島戦や京都戦ではあるが、スコア上の劣勢になった相手が、谷村と植中しかいないのに面倒という中央を避けて外に比重をかけてきた場合に、危険なシーンを作られるという時間があった。

 

全員で下がって対応する事で根性で耐えた事で、その後に決定的な得点が生まれゲームをモノにする事が出来たのだが、幸運に助けられている部分があるのは間違いない。

 

ファーストラインの枚数を増やしての外切り、同時に撤退して541でのサイド封鎖など守り方の構造を変える対応が試合中に出来ると、論理的にもう少し安定して守れるのではないだろうか。

 

現状、最大火力と言えるクルークスがサイド守備に奔走して疲弊するだけの時間になってしまうのも問題に見える。彼の加入前に危惧された肝心のキックを蹴る機会が殆ど無い状態になってしまう。この点は天野で代替できるから疲弊してもOKという判断なのかもしれない。

 

そもそも‐2も受け入れる中央制限が植中と谷村のコンビ前提である様に思えるし、今後にマリノスと対戦するチームは当然、マリノスの守り方を研究してくるだろう。競争が激しいJリーグにおいて、今は上手く行ってる事だけやって行けばOKと言うのは危険である。

 

523又は451での守り方などチームとしてオプションを持つ必要があるだろう。先ほどの森保式時間攻撃という意味では、選手交代によるマンツーラッシュプレスというカードも必要になるかもしれない。

 

 

兎にも角にも、来期に向けて重要な事はトップチーム(現場)をフットボールクラブ(フロント)が正しく理解できているのか。

 

そしてそれを成すのはクラブ内のフットボール的教養にほかならず、マリノスは長年に渡ってそれを失った結果、誤った理解による的外れなアプローチを繰り返し、Jリーグを代表する強者では無くなっているのではないだろうか。

 

残念ながら西野SDもこの点においては期待外れであったし、とはいえ彼が抜けた、失敗を繰り返している中山社長ほかスタッフで、それが実現可能なのだろうか。

 

このチームをもっと強くするにはどうしたらよいか。

 

どうやってそれを考えるのか。今、マリノスに必要なのは統括本部とは異なる、統計に基づいてチームを正しく分析、評価し、正しい助言が出来るアカデミックな部門だと考える。

 

まぁ外注でもいいけど、シティグループは世界的な、特に人をベースとするネットワークが素晴らしいかもしれないが、CFGJも実質存在していない様な状態で、Jリーグの勝ち方の様な深さを持っているだろうか。

 

監督の解任で去ってしまう様なアナリストの枠を超えた、フットボールの最前線を研究し、最新の知見を常に現場にフィードバックする様な、自動車会社で言えば開発部門であり、長期的な投資先をクラブ内に用意するべきではないだろうか。