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23年横浜F・マリノスシーズン批評 攻撃・守備・マスカット

今期は観ている側として、残した結果よりも、かなり苦戦した印象を持つ方が多いのではないだろうか。

 

数字の解釈、注目するポイント、なぜそうなったのかという個人的感想を盛り込み、連覇を目指しながらシーズン2位で終えた23シーズン明治安田生命J1リーグにおける横浜F・マリノスの戦いをデータ面から批評する記事です。

 

何をやっていたかよりも、結果として何が起きたのかを中心に見ています。

また、あくまでリーグ戦のみとなり、カップ戦は含まない物となります。

 

データ参照元 football-lab.jp,sofascore

 

 

<23シーズン 勝敗得失点及び前期比較>

 

23シーズン 34試合

勝ち点 64 19勝7分8敗 63得点 40失点 得失点+23

 

22シーズン 34試合

勝ち点 68 20勝8分6敗 70得点 35失点 得失点+35

 

 

勝ち点、勝敗、得失点を見ると、得失点が12も減った割には勝ち負けへの影響が余りでなかったと言える。

 

例えば1勝1分だったものが2敗になるというのは、得失点ベースで考えれると1勝1分は(+2)程度であり、2敗は(-3)程度であり、その差額は-5程度に収まる。昨季に比べて-12ともなれば本来はもっと勝ち点が減っていても不思議ではない。

 

 

23-22シーズン比較 左23 ー 右22

 

2点差以上勝利 10-15

 複数得点試合 19-23

 無得点試合 5-4

 

クリーンシート 9-13

 2失点以上試合 11-11 → 敗戦数 7-4

 

勝ち点への影響が薄かった部分として昨季は2点差以上の大差勝ちが5試合も多かった事が伺える。

 

一方で、2失点以上した試合は同数ながら、今期は7敗だが、昨季は4敗と殴り勝つ試合が減っているというか、今期は全8敗中7敗を占めるように複数失点したら殴り負けるという傾向が見える。立田のレッドカードが無ければもう一つ増えていた。

 

 

<攻撃>

 

inhttps://x.com/prompt_fmarinos/status/1726889106255622144?s

引用元URL https://x.com/prompt_fmarinos/status/1726889106255622144

 

数字は 23シーズン ー 22シーズン

 

1試合平均シュート数 13.9 - 15.9

ゴール期待値(ExG)1.449 - 1.849

 

 

少し余談だが、シュート数が減れば期待値も減りますよ、逆もまたしかりと、現状のサッカー界ではゴール期待値というデータが全く正しく使われていない気がする。

 

かつてマリノスシティグループと契約した時に、当時社長の嘉悦氏が選手を評価するデータについて一部を垣間見た後に、凄すぎて扱う人の能力が問われるという発言を行った事があった。

 

現状、ゴール期待値って、ただ足し算して結果的にシュート数と大して変わらない物を出してどうすんねんと疑問に感じないのだろうか。

 

例えばシュートの評価として、0.2以上をチャンス、0.3以上をビッグチャンスと定義し、0.2以上がX回、0.3以上がY回ありました、そういう見方、使い方をするのがゴール期待値の正しい使い方の1つでは?と疑問を呈する。

 

特にPKの数値を足すとか無駄であるし、PKがあった事を記載しないと数字を壊すのでは?

 

監督談話で「ウチのチームの方がチャンスは作った」というのがよくあるけれど、ほんとかな?とすぐわかるようになる。

 

 

閑話休題

 

今期のマリノスには大きな構造の変化があったのは説明不要だろう。走行距離に関する物ではスプリント数を意図的に抑制していたのは明らかであるし、ダブルアンカーとも呼ぶべきビルドアップ時におけるボランチの中央固定とサイドバックの行動制限、ウイングの中央裏抜けなど。

 

果たしてそれらは結果としてどれだけ有効だったのだろうか。

 

 

変化を試みた自陣ビルドの有効性は…失敗に終わった?

 

引き出しの1つ、対戦相手を見た上で用いるオプションとしてなら理解できるのだが、傾倒、全フリで行った変更。

 

自陣で敵を引き付けて、後方スペースを利用し一気に敵ゴールに迫る。

それが目的であったとするのであれば、失敗に終わったと評価せざるを得ない。

 

自陣ポゼッションからのゴール率、シュート率は共にリーグ9位、22シーズンがゴール率1位、シュート率2位だったのとすると、そのクオリティは大幅にダウンしている。

 

ロングボール使用率、空中戦使用率は共に昨シーズン同様に低いままで、敵を自陣に引き付けても蹴らずにコンビネーションでの打開に拘ったのが、所属選手の能力とのマッチングエラー、そして守備の進化を上回れなかったと言える。

 

また22シーズンの同パターンにおける得点者を見ると、仲川、ロペス、水沼、小池龍、西村となっており、更にドリブル使用率も高い事から、左で発生するエウベルの個人打開から右サイドで仕留める形がハマっていたと思われる。

 

これは想像だが、今期はビルドアップの出口としてエウベルに良い状態でボールが入らない状況が増えたのではないだろうか。いかに唯一無二の仕事ができるウイングだとしても限界があった。

 

また攻撃の指標として、攻撃時に良い位置に前進出来たのか、という点でも明らかな低下が見られる。

 

 23シーズン-22シーズン

 30mライン進入回数   42.4  - 51.2 
 ペナルティエリア進入回数  13.1  - 16.4

 

 

一方で、それにしては得点数が7しか減ってないのは何故か、というと、Sofascoreにおける今期の1試合平均ビッグチャンス(決定機)数は2.6、昨季の2.8から微減にとどまっている。

 

それは後述する得点、アシスト、ラストパスの依存度を見ても分かるように、今期のマリノス個に依存した局所的クオリティを押し付けるフットボールであり、敵にとってそれは無慈悲なまでに有効だったという事だろう。

 

また昨季に続いて、ボール保持率が高かったトップ3試合は全敗している。

 

もっとも昨季は3試合で62本シュートを放った、いわゆる”決まらない試合”だったが、今期は3試合で33本と、明確に抑え込まれて負けている。

 

 

副作用? カウンター機会の激減

 

更にフットボールラボの指標において激減している数値がショートS、ロングLのカウンター指数だ。

 

今季の数値はS43、L41と、ポステコグルーはおろかモンバエルツ以降でも特に低く、そらスプリント数は伸びないな、と納得の数字である。

 

ショートカウンターDAZN中継を見ている方であれば、そもそも敵陣で全然ボールが取れないから”ショート”のカウンターをやりようがない、数字が激減するのは分かる。

 

一方で低い位置で守る時間が増えたにも関わらずロングカウンターも激減しているのは意図的に行っていないのか、保持&つなぐ意識が強く反映しすぎたのか、どちらなのかは分からない。

 

それがなんにせよ、昨季はリーグでゴール率2位、シュート率4位の強力な武器だったものがスポイルされてしまったのは間違いない。

 

カウンター指数が激減して自陣ポゼッション指数が上がり、被シュート数が爆増する一連の流れはモンバエルツ最終年の2017年と非常に類似している。今の3トップならモンバエルツも3位までに入れたかもしれない。

 

 

得点から見える構造の変化

 

引用元URL https://x.com/prompt_fmarinos/status/1722087797442396598

 

 

今季得点者は上位3人に集中し、ロペス、エウベル、ヤンで37ゴールを計測した。

その依存度は58.73%に達し、昨シーズンの45.71%より得点者が限定された。

 

チーム内得点数4位以下の数字が顕著で、3得点の宮市、植中と出場時間が少なかった選手が並ぶ。22シーズンは4位がエウベルで8得点、5位が仲川で7得点だった。

 

今季、誰が出てもマリノスは過去の言葉だったと言える。

 

 

またラストパスも両ウイングに集中し、攻撃は彼ら2人ありきだった。

 

ラストパス数 比較

 23 エウベル 58 ヤン 57 水沼29 ロペス24 永戸19

 22 水沼54 永戸40 マルコス34 エウベル33 西村28

 

当然アシスト数も2人に集約した。

 

アシスト数 比較

 23 エウベル、ヤン 11 水沼7 ロペス4 エドゥアルド3

 22 水沼7 仲川6 エウベル5 永戸4 ロペス4

 

マリノスサイドバックは高い位置でプレーする機会が一定数あるが、今期の松原と永戸のアシスト数は各1しかない。

 

なぜか?

 

 

ロペスのエース化

 

34試合34先発、出場時間の2855分は最多出場を記録している。

 

ゴール期待値16.799に対して23得点、シュート成功率24.7%は歴代のファーストトップと比較してもそん色はない。

 

一方で、明確なゴールパターンと苦手パターンが存在していた。

 

www.youtube.com

 

代名詞はWGのカットイン、または斜め後方から蹴られるアーリークロスからのヘディングシュート。

 

他にはスルーパスを受けてドリブルシュート、そしてウイングがドリブル突破を含むラインブレイクした後の折り返しクロス。

 

彼のゴールはほぼこの3パターンであり、PKを除くと例外は開幕浦和戦で永戸のクロスを西村が折り返したシーンと、34節エウベルのスルーパスを受けた山根のクロスの2つになる。

 

問題はマリノスで頻繁にみられる敵陣サイドでパス交換し、タッチライン際又はハーフスペースに走りこんだ選手から蹴られる、横からのクロスで得点は1つもない

 

シーズンも終盤になると、試合を見ていてついつい思ってしまうのは「無駄じゃねその攻撃、中にいるのはロペスだよ」と。

 

秋の神戸戦では30mライン侵入が神戸の35回に対して、マリノスは54回も記録したが、エリア内侵入では神戸の13回に対して12回にとどまり、ゴール期待値はシュート15本で0.709、ビッグチャンスは0回と、敵陣ゴール前で完全にスタックしたのが敗因であり、必然の敗北と言える。

 

ロペスをエースに固定したが、それならば上手くいかない試合ほど、強みを活かすような徹底する意思統一がチームにあったのかと問われると疑問を感じるし、ロペスが苦手なことを代わりにやる選手、補完性、シナジーを探すべきだった。

 

 

総じてみると、セカンドトップの迷走も含めて、前シーズンまでのベースを大きく変化させようとした結果、多くの箇所で上手くいかず、それはつまり上手くいかない中でも活躍できる=激流を泳げる魚しか生存できない環境であり、結果として個人依存度の高い、時には理不尽に、強い時は強いチームとなってしまった部分もあった。

 

 

 

<守備>

引用元URL https://x.com/prompt_fmarinos/status/1708836228249145663

 

 

個人能力でどうにかなった攻撃よりもさらに厳しい結果だったのが守備の項目だった。

 

23シーズン - 22シーズン

1試合平均
 被シュート 15.3 - 11.8
 被ExG 1.516 - 1.134

 

軒並み数値は悪化しており、特に被ゴール期待値は衝撃の1.516。まぁ被シュート数がリーグ16位なのだから当然ではあるが。

 

被ゴール期待値が1.2より多いチームはマリノス以外、全てボトムハーフのクラブであり、またハイプレス試行数が多い&ラインが高すぎるチームは多い傾向にある。

 

 

・ トレンドとの衝突と前線選手の守備

 

今期のJ1リーグではGKを含む保持&ロングボール使用での回避が流行した。

 

その中でも広島は被ゴール期待値で0.735と非常に優れた数値を記録。

 

これはハイボールに強いCBが裏を取られない”ほどほど”なライン設定を行い、ハイプレスも常時ラッシュするのではなく、マンマークでフリーを消して出した先を潰す、更にロングボールを活用して自陣ではプレーしないリスク回避を徹底した結果、最もトレンドにマッチしたと言える。

 


一方でマリノスの守備は多くの時間で上手くいかないシーンが多発しており、簡単に説明すると以下の構造になる。

 

先ずハイプレスには明らかな欠陥があり、1列目からして前にしか追わない2トップが、敵にGKを活用されるとCBへのパスコースばかりを意識して左右に開きっぱなしになり、ボランチがカバー出来ていないのに中央をガラ空きにしてしまう。

 

人数が足らなくなる状況なのにGKまでラッシュをかけて簡単に+1を後方に作られてしまう時も少なくない。

 

そしてボランチが前に出れば、今度は中央で何の制限もかかってないGKからロングボールを蹴りこまれる。すると今度はマリノスは1列目とボランチ1人は引き出されているし、ウイングも返ってこない。

 

特にサイドにロングボールを蹴られると、敵はサイドバックがロングボールに呼応して上がってくるので2対3を作られ、セカンドも回収されやすく、拾われたら数的不利でゴール前まで下がるしかない。

 

そして、前の4人は当分帰ってこないので6人で敵がシュートかクロスを蹴るまで守り切るしかなく、収支のバランスとしてマリノスの強みを簡単に回避した上で有利な状況で攻撃を継続できる。

 

更には保持意識が強くカウンターがとても少ない為、敵はそのままハイプレスにいく事でプレー位置は必然的にマリノス陣内が増加する。ボールを取れればまたクロスかシュートまでいける。マリノスの被シュート数が増えるのは必然の結果。

 

 

更には困ったことにミドルゾーンでも守れないシーンが目立った。ハイプレス状況じゃないのに前に意識が向いている前4人はバックパスを混ぜれば簡単に外せてしまう。柏や神戸の強度と比較するとかなり差がある。


9月には札幌、鳥栖戦で徹底的にハイプレスの穴を突かれ、続く鹿島戦ではGKへのラッシュを諦めミドルゾーンで構えたが、開始僅か1分50秒、エウベルが自陣で簡単に穴をあけてサイドバックのクロスから垣田にフリーでヘッドされる被決定機。


今季マスカットの振る舞いは問題は明らかなのに見えないふりをしているように感じた。

 

 

・ 失点は5しか増えていないぞ

 

にも拘らず失点は昨季の35から僅かに5増えた40に過ぎない。

 

なぜか?

 

マリノスが作った1試合辺りのビッグチャンス数が約2.6だった訳だが、では対戦したチームがマリノスに対して作り上げたビッグチャンス数はいくつだったのか。

 

Sofascoreによると23シーズン通算で敵チームが作り出した総ビッグチャンス数は78を記録しており、つまり1試合平均で約2,294。

 

仮にビッグチャンス数と得点数に関連性があるとするのであれば、マリノスは1試合平均2.6で63得点しているのだから、同じ基準で敵のビッグチャンス数が2.294だと…

 

55失点に該当する

 

 

おいおい、待てよ!マリノスの攻撃陣基準はおかしくないかと思った人もいるだろう。

ところがどっこいビッグチャンスと得点数に関連があるとすれば、人を選ばないのである。

 

例えば攻撃陣が乏しいと一部報道で話題の浦和レッズ

 

1試合平均のビッグチャンス数は約1.7回、つまりシーズン累計で約58回。

そして浦和の今季ゴール数は42得点で比率は 約72.41%

 

マリノスは2.6×34試合=88.4回 63得点 約71%

 

ちなみに最終戦で4得点してくれた京都は73.52%、ビッグチャンスさえ増えれば決める力あり!なるほど4失点!

 

今期の失点が40失点に収まったのは一森が人知を超えた神だったか、対戦相手がよほどヘボかったかのどちらかであり、ちなみに55失点はリーグ最小失点だった浦和の2倍以上となる。

 

また、フットボールラボにおける「守備の際にどれだけ相手を前進させなかったか、相手を自陣ゴールに近づけなかったか」という指標、KAGIにおいてポステコグルー就任以降最低の数値を記録しており、2018年の47.3を下回り、46.1となっている。

 

ちなみに2018年は年間で56失点している。

 

1試合辺りの被シュート数は今季よりも2本少ない13.2本だ。

敵がまともだったのかよほどツイてなかったのか。

 

結論として守備は上位を争う水準に遠く及んでいなかった、と言える。

 

また、余談だが改めて優秀選手賞、更にはベストイレブンの選出方法は甚だ疑問を感じる。

今季のJ1リーグで遥かにピンチを迎え、それを凌いでいたのは一森であり、監督、選手によるあいまいな印象で決めるべきではない。

 

 

<マスカット>

引用元URL https://x.com/prompt_fmarinos/status/1734925415192662412

 

 

22シーズンはプレータイムマネジメントという5人交代制の時代における1つの回答を見せる手腕を発揮しリーグを制覇した。

 

しかし、ゆえに、彼が率いるチームは属人性が低い状態を維持しなければならなかったのではないだろうか。

 

攻撃の項目で記載したように、今期のマリノスは”3人”に依存度が高く、その内誰かが欠けると急速にパワーダウンしてしまう、属人性の塊のようなチームだったのではないだろうか。

 

それはつまりマスカットが昨季みせた手腕と最も相性が悪い、彼の特徴と相反する状態であり、戦力編成だった。

 

 

またマスカット自身も対応力の無さを露呈した。

 

途中就任した21シーズンは戦力の把握、整備に時間を要し、シーズン後半の重要なところで、選手の交代によって明らかにチームが失速する場面が何度もあった。

 

プレータイムマネジメントを重視するあまり、交代によって起きる効果、選手の組み合わせに無頓着な所がある。22シーズンは戦術的な優位性が維持された上で、充実した戦力というバックボーンがあり顕在化しなかった。

 

 

水沼の起用

 

そして今季、この煽りを最も受けたのが水沼だろう。

 

昨シーズンは正にチームの中心として活躍を見せたが、それは全てエウベルとの組み合わせ、エウベル居てこその水沼だったのをマスカットはどれだけ理解していたのだろうか。

 

5月3日の鳥栖戦でヤンが右ウイングでポジションを掴むと、水沼はエウベルと交代で試合に入る事が多くなった。

 

水沼は今季リーグ戦で7アシストしているが、5アシストは先発でエウベルと同時起用されていた4月までに記録しており、残りの2つも16節のFC東京戦、17節の柏戦と相手にレッドカードが出てからの物だった。

 

以降、エウベルと交代がメインになる6月からシーズン最後まで水沼がリーグで記録したゴール、アシストは1つもない。使われる環境が変わるのだから、右ウイングの交代枠にはエウベルの助けがなくても活躍できる選手を模索するべきだった。

 

 

植中の起用

 

セカンドトップは何が正解か誰にも分からない中で、唯一可能性を見せたのが福岡戦で先発に起用された植中だった。

 

元から西村よりもデュエルに強く、試合でも自陣ビルド時にパスレシーブからのドリブルで得点を演出、下がるロペスとの連携でラインブレイクし自身もゴールを決めるなど、文句の出ない出来だった。

 

特に驚いたのが、今期悩みの種だった左サイド問題に一定の解決を示した事だった。今季はエウベルの守備意識がルーズで、左サイドでは数的不利で守らないといけない状況が多く発生していた。

 

ところが植中にはエウベルの穴を補填しようという明確な意思があり、1週後にルヴァンカップで浦和を破壊する福岡の主武器である右サイド攻撃を封じる事に成功。

 

この試合は23シーズンでセカンドトップが唯一機能的に輝いた試合だったと言っても過言ではなく、その答えが攻守に渡って周囲とリンクできる選手、と分かった

 

…筈じゃないのかマスカット?

 

その後の冷遇は理解に苦しむ所で、常にロペスの保険である6人目としてベンチに座り続けた…。

 

 

残念だけど終わりだよ サイクルの終焉

 

今期は多数のケガ人が出る不幸なシーズンでもあり、口には出さなかったが選手の入れ替えにも大いに不満があっただろう。監督の立場から言い訳にできる要素は沢山ある。

 

一方で、シーズンを通して守備の問題を解決できず、更には2度の新潟戦は象徴的だが、ルヴァンカップ準決勝の浦和戦でも、試合中に相手の変化に対応するという事が全く出来ないのがよく分かった。

 

対応力がある監督を相手にすると後半完全な劣勢に陥る事が何度も発生した。

 

更に、プレータイム管理による手腕を発揮するには確立された優れた戦術的ベースと、妥協なき2チーム分の戦力が必要であり、微修正で対応する選択肢もあったが、サイクルが終焉を迎えるのも納得の結果と言える。

 

上海のチームと5億円で契約、更には自ら鹿島や浦和に売り込みをかけていたという報道もあった。

 

思い出の話ではなくビジネスの話をするのであれば、ピッチ上での出来事を冷静に見て、より高い報酬を求められても、残念ながらそこまでの高額を払う必要があるとは思えない。

 

俺たちのセビージャでELを何度も制し、現在プレミアリーグを席巻するウナイ・エメリの半額が欲しい?

流石にそれはちょっと高望みでは…

 

 

最後に

 

さてデータとして何が起きたのかだけをベースに振り返っても、9000文字に迫る内容となってしまった。

 

23シーズンを振り返ると1つは広島という正解が示された中で、来期に向けてマリノスとして何を選択していくのか。

 

そして継続を選ぶにしても、今季は未整備さが目立つ結果になった準備段階での選択肢の用意と、試合中の対応力、この明確な課題を解決可能な監督を含むコーチ陣を探し出せるのか。

 

新たな構想に進むとなれば戦力の再編成も考えると、2か月という時間がとても短く感じるオフシーズンになりそうだ。

 

さて、現状で来期のスカッドは監督すら定まっていないので自由研究の様な内容になるが、次回は皆大好きな話題、24戦力編成について予定している。

マリノス選手個人スタッツ・データ批評2023シーズン32節終了時点 ボランチ&3番手ウイング編

今回は前回に引き続き、明治安田生命J1リーグ2023シーズン32節終了時点におけるマリノス所属選手の個人スタッツ・データを批評する。

 

マリノス選手個人スタッツ批評2023シーズン32節終了時点 ウイング&セカンドトップ編 - 横浜F・マリノス ファン

 

対象の選手はリーグ戦で一定以上の出場時間があるボランチ、そして3番手ウイングとなる。

 

 

確認された良くない点は良くないとはっきり書いているので、そういう話は見たくないと言う方は見ない方がいい。

 

データ参照元フットボールラボ、Jリーグ公式サイト、海外のデータサイトsofascore

 

 

 

ゴール前の質があれば…だけでは務まらないポジション、より攻守に渡り満遍なくタスクが求められるボランチ

 

項目が多いが故に、得手不得手を盛り込んだスタイル、更にはコンプリートする選手、様々なタイプの選手がいるポジションであり、大きく分けて攻撃面、守備面、そして活動量という3つのテーマで考えた。

 

 

総合力ナンバーワン 中心選手

 

マリノスの心臓部に君臨したと言えるのが渡辺皓太だろう。

 

 

引用元 https://x.com/prompt_fmarinos/status/1701883559483699296

 

 

32試合出場、31先発、ロペスに次ぐ2608分の出場時間

ゴール期待値1.390 2ゴール シュート成功率9%

 

出場時間こそが価値のバロメーターとするのであれば、マスカットにとってロペスと同等に考える”エースの一人”であったと言える。

 

またボールへの関与が伺える数字で高い量と質を記録

 

1試合平均

ボールタッチ 63.4回

パス成功率 92% 自陣95%-敵陣89%

 ロングボール 1.3回(62%)

 チップパス 1.4回(59%)

 クロス 0.1回(40%)

 

キーパス0.5回

ドリブル成功 0.4回(64%)

ポゼッションロスト 6.8回

 

アシストが無いのは今後の課題だが、キーパス0.5はボランチ陣最多を記録している。

 

インターセプト 1.0回

タックル成功 1.3回

ボール奪い返し 5.4回

 

奪い返し(ボールリカバリド)もボランチ陣最多の5.4回

 

彼が見せる高い切り替えの意識と、小柄ながら鋭い出足は守備の要所であり、見せ場となっており、スタンドを沸かせるプレーがスタッツにも反映していると言える。

 

デュエル勝率では50%を若干割り込み苦戦傾向が見えるが、思ったより対空デュエルは悪くない。

 

1試合平均 デュエル勝利数(勝率)

総合 2.8(49%) 対空0.3(47%)

 

FC東京戦で90分に決めたミドルシュートは圧巻の一撃だった。

 

 

 

安定感の2番手

 

喜田 拓也

28試合出場 23先発 2021分出場

 

 

引用元 https://x.com/prompt_fmarinos/status/1712434762236014830

 

 

今期は久しぶりにゴールを記録したが、シュート成功率は6%、もう一点くらい決めてもらいたい所。G大阪戦の振り向き様放ったポスト直撃が決まっていれば…

 

 

強みが見えるのはやはり守備面と活動量。

 

デュエル勝利数が渡辺よりも1試合平均で+0.8 総合3.6回(勝率54%)

一方、対空が0.2回(勝率29%)と小柄である事の苦しさも見える。

 

ボール奪い返しでも役割の差があるのかもしれないが、4.2と渡辺よりも低く、インターセプト0.8回、タックル成功1.4回はほぼ同数と言えるが、守備力こそ期待されている立場としては物足りない。

 

 

攻撃面を見ると渡辺よりも全体的に若干低く

 

パス成功率 89% 自陣91%-敵陣87%

 

また、ロングボール 0.6回 チップパス 0.3回 と”飛ばすパス”を選択しない=出来ない能力が伺える。

 

パスディフェンスを強いてくる相手には次の選択が読みやすいと言え、せっかくオープンになった後に見せる自信のなさそうなプレーも数値として表れていると言える。

 

ポゼッションロストもボランチ陣では最多の8となっており、敵にとって狙い目となっていた可能性もある。

 

キーパスも0.1とボランチ陣の中では最も低く、見事なダイレクトパスを見せた時も1度はあったがラスト30mでは輝かない結果となった。

 

キーパス

渡辺 0.5

喜田 0.1

山根 0.3

ジョエル 0.4

 

 

今期のスタイルに合致した可能性をみせた2人

 

山根、そして既にチームを去ったがジョエルについても触れていきたい。

 

ビルドアップの形式を大きく変えた今季、風間スタイル的に、という意味でボランチにはより高いスキルが求められたと言える。その中で世代別代表で中心を担う2人はボールを失わない強みを発揮した。

 

ポゼッション(ボール)ロスト

渡辺 6.8

喜田 8.0

山根 4.8 excellent‼

ジョエル 5.0

 

 

更に山根はジョエルの移籍、DFラインの緊急事態によって秋以降出場時間を大幅に増やしている。

 

序盤はチーム事情からリーグではサイドバックで運用されることが多かったが、特に鳥栖戦以降は5試合連続スタメンと中央のポジションを掴んだ。

 

19試合出場 9先発 962分出場

 先発9の内 RSB4試合 CH5試合

 

引用元 https://x.com/prompt_fmarinos/status/1712117830345490665

 

 

総合的に見てみると3番手という評価が現時点では妥当と言えるが、彼のパラメーターは攻守、活動量ともにコンプリートされた方向性であり、来期は1番手になっても驚きはない。

 

既に攻撃面では高い才能を見せており、今後は質の向上、更には全体的な活動量、特に切り替えやボール奪い返しの点で渡辺から学ぶ事は大きいだろう。

 

ボールリカバリ

 渡辺 5.4

 喜田 4.2

 山根 2.3

 

パス成功率は89%だが自陣では94%に対し、敵陣で83%と一撃で打ち抜くパスを試みるチャレンジをする姿勢が反映していると言える。

 

プレー機会では4番手となっているのが夏に移籍したジョエルだ。

 

中々安定した出場時間を得られないでいたが、鳥栖3-1、京都4-1、湘南4-1の先発3試合で見せたパフォーマンスは今季ボランチ陣でベストと言える内容であり、また最も少ない623分出場で2ゴールを記録している。シュート成功率は18%

 

2-2の名古屋戦でも良いプレーをしており、更には今季ベストと言えるのが0-1の川崎戦であった。58分での交代はマスカットの失策と考えている。

 

問題があるとすると活動量の点であり、ボランチ陣で唯一1試合平均のデュエル勝利数が2に達しておらず、またボールタッチ数も40に届いていない。もちろん短い時間の途中出場が多い選手は機会がこないまま試合が終わるという要素はある。

 

 

だが、移籍先のベルギーでも機械採点的な評価は低く、中身として1試合中のボールタッチ数、デュエル勝利数やタックル数はマリノス時代よりも更に低下しており、U22の中では別格かもしれないが、CHとしてキャリアを進める上で、彼の改善点はこの辺にあるのかもしれない。

 

 

 

Jリーグの最高峰

 

ここで、目線を変えてJ1リーグ最高の選手を紹介したい

 

サガン鳥栖 河原 創

 

32試合 32先発 全試合フル出場

1ゴール 3アシスト ビッグチャンスクリエイト6

 

1試合平均

ボールタッチ 76.6回 (マリノス最多は渡辺 63.4回)

パス成功率 85% 自陣91%-敵陣74%

 ロングボール成功数 2.1回

 チップパス成功数 2.6回

 クロス成功数 0.8回(23%) 参考 水沼 0.6(24%)

キーパス 1.1回

ドリブル成功 0.5回(71%)

ボールロスト 13.6

 

深く差し込むパスを打ち込む分、全体的なパス成功率は下がっており、アシスト数やビッグチャンスクリエイトはセットプレーを蹴る分の補正はある。ボールロストが多いのは失っていい場所で、チャレンジを繰り返す結果と言える。

 

クロス成功は上位のアタッカークラスであり、機を見て見せる効果的なドリブルは成功率70%オーバー、更にロングボール、チップパスと豊富な選択肢を持つ最高クラスのクォーターバック性能を誇る。

 

 

そして活動量、ディフェンス面でも高い数値を記録

 

デュエル勝利数 3.0回(勝率49%)

インターセプト 1.7回 (渡辺 1.0回)

タックル 1.6回 (喜田 1.4回)

ボールリカバリド(奪い返し) 6.5回 (渡辺5.4)

 

sofascoreはJ1リーグ公式と計測方法が異なるがJ1公式でも以下になっている

 

1試合平均プレー数

 河原 70.1 渡辺 60.1

タックル成功数

 河原 1.9 渡辺 1.5

インターセプト

 河原 0.3 渡辺 0.1

 

この数値のベースとなっているのが1試合平均の走行距離が12㎞を越えるのは当たり前、時に13㎞オーバーも記録する圧倒的活動量。

 

90分×全試合に渡る貢献が伺える数値であり、今季、鳥栖は勝ち点こそ既に残留を決めているが、非常に苦しいゲームが多く、河原を獲得できていなかったら一体どうなっていただろうか。

 

 

J1ナンバーワンの狩れるボランチ

 

アルビレックス新潟 高 宇洋

 

29試合出場 26先発 2375分出場 1ゴール

 

外国籍選手の獲得に失敗し、中心選手が引き抜かれていく中でも安定した戦いぶりを見せた新潟の中で異質の強さを見せたのが高だった。

 

1試合平均のボールタッチ数は河原とほぼ同じ76回

 

パス成功率 87% 自陣 90-敵陣 85%

 ロングボール 1.8

 チップパス 1.4

 

またアシストは記録していないがキーパスは0.6 マリノス最多は渡辺 0.5

 

ほかドリブル成功数(成功率)が0.7(57%)と下手したらその辺の攻撃的選手よりも高く、ボールを運べる選手と言える。

 

しかし何といっても強みが見えるのは守備面だろう。

 

1試合平均のデュエル勝利数 4.7 勝率 55%

インターセプト数 1.9

タックル数 2.1

ボールリカバリド 6.0

 

 

別データのJ1リーグ公式によるとタックル成功率は77.9%

(参考 渡辺63.5% 喜田53.3% 福岡の井手口58.5% 名古屋の稲垣 68.9%)

 

成功率は神戸の山口が81.1%(1.2)を記録しているが、回数は高(2.6)が圧倒しており、インターセプト数1位で待ち受け方の山口、ボールハンターの高が、守備力の2強と言える。

 

この夏、ジョエルの移籍に伴った対応は行わず、山根、更に榊原の成長を待ったマリノスであったが、国内で上位互換は可能であり、更に言えば今回紹介した2人は他の上位チームにとっても格好のターゲットと言え、若い世代が直ぐに出ていきたがる昨今の風潮を考えると山根の動向次第ではマリノスも注視する必要があるのかもしれない。

 

 

 

3番手ウイング

 

井上健

13試合 2先発 366分出場 1アシスト

 

3節広島戦で先発に起用されるなど、シーズン前半では1番手の可能性があったかもしれないが右サイドがヤンと水沼、左サイドがエウベルのサブは復帰の宮市となるとカップ戦が主戦場となっていった。

 

左サイドで2番手を争った宮市と比較すると、決定機となるようなシーンが少ない印象があるのではないだろうか。それはデータでも表れている。

 

 

宮市 482分 2ゴール ビッグチャンスミス 5(もっと決めて…

井上 366分 0ゴール ビッグチャンスミス 0

 

 

全体的なパス成功率は宮市よりも高いが、クロス成功率は低いなど、ゴール前のクオリティが求められるポジションとして物足りなさが見受けられる。

 

パス成功率 80%  宮市 72%

クロス成功率 16% 宮市 27%

 

シュートに接続したキーパスは0.6と同じであるが、役割は2番手、つまり交代要員でもあり、よりFW的に自らがゴール前に入っていく宮市の方が好まれたという部分があるかもしれない。

 

前回、リフレシュ効果としてみた場合に宮市のデュエル勝率は55%に達し、強度の補強とカウンター機会に絡むという点で任務を果たしているとしたが、井上はその両方で宮市よりも低い。

 

 

またウイングとしてみた場合に、限られた時間とはいえ1試合辺りのドリブル成功数0.1、成功率17% と正直上手くない方の部類であり、自分がシュートを打つ側に回るのも含めて、もっと走力を活かすスタイルを見出す必要があるのではないだろうか。

 

参考までに、3試合先発したACLにおいても1試合平均のドリブル成功数0.3 成功率25%と残念な数値だった。

 

マリノスのアタッカーである以上、ゴール前のクオリティが求められているのに対して、ドリブル、クロス、シュート、現状では強みが見いだせない以上、左右の3番手であったのは妥当と言える。

 

 

帰還はあるのか?

 

最近は帰ってこない傾向があるアカデミー育ちのレンタル選手達。

中でも最も動向が気になるのはJ1新潟でプレーする松田詠太郎だろう。

 

20試合 8先発 830分出場 1アシスト

 

昨シーズンはJ2優勝チームで1982分出場し、飛躍が期待された今季であったが、それほど潤沢ではない戦力の中、なぜか彼のポジションだけは熾烈な競争が生まれ大きく出場時間を減らした。

 

4年目のJ1で昨季位の出場時間ともなれば、先輩の左ウイングと同じ成長曲線を描いていたが惜しまれる。終盤戦に向けて先発出場が増えていたがマリノス戦には出れない。

 

裏抜け、ドリブル、クロス、10月の鳥栖戦、直近のFC東京戦、ボールが入ればよい仕事をしていた。

 

パス成功率 81%

クロス成功数 0.4(23%)

キーパス 1.1 Good‼

ドリブル成功 1.0(65%) Good‼  参考 22シーズンエウベル 1.2(60%)

デュエル勝率 51%

 

目に見える問題として、1試合平均のタックル数が0.2と太田や三戸と比べても極端に少ない

マリノスのウイングの中では特に少ない水沼が0.3なので、それよりも少ない

 

エウベルやヤンが0.9、0.8であり、宮市でも0.5、井上は元WBらしく0.8と高め。

 

ドリブルはJ1の中でも上位に入るクオリティを見せており、攻撃面は全体的に高い水準に迫っている一方で、取り組むべき問題は明らかと言える。

 

 

以上、今回はボランチと3番手ウイングについて、データ面から評価してみた。

 

エウベルとヤンは正にJ1リーグのトップと言える選手であるが、ボランチに関してはより上位の選手が見つかったので、そちらも参考までに紹介した。

 

 

マリノス選手個人スタッツ批評2023シーズン32節終了時点 ウイング&セカンドトップ編

今回は明治安田生命J1リーグ2023シーズン32節終了時点におけるマリノス所属選手の個人スタッツを批評する。

 

(34節修正版 補足として34節終了を追記しました)

(2戦は新潟&京都戦なので 全体的に悪くなっています)

(補足追記部分は [] で追加 )

 

全員ではなくリーグ戦におけるウイングとセカンドトップの出場時間が一定数以上ある選手を対象としている。

 

また、確認された良くない点は良くないとはっきり書いているので、そういう話は見たくないと言う方は見ない方がいい。

 

データ元はフットボールラボ、Jリーグ公式サイト、海外のデータサイトsofascore

 

 

もはや神の領域へ(サカつく的に)

 

今のJ1リーグで最も過小評価されている選手はエウベルだろう。

 

引用元 https://x.com/prompt_fmarinos/status/1712123804481364282

 

 

31試合出場 30先発 2269分 9G11A

[33試合出場 32先発 2397分 9G11A]

 

対策の対策、裏の表に向かったマリノスはシーズン序盤戦から今季Jリーグのトレンドにぶち当たり大苦戦するゲームが多く、正に不思議の勝ちを重ねる中で個の能力を炸裂させたのが不動の左ウイングだった。

 

従来、エウベルはスタイルとして成功率重視なのか、二酸化炭素排出量に気を遣っているのかは不明だが、ドリブル成功率はとても高いが1試合辺りの成功数は少ないタイプだった。

 

しかし、今期はせざるを得ないシーンが増えた事もあるのか、それによって隠されたシークレットギアが目覚めた。

 

1試合当たりのドリブル成功数と(成功率)は正に神の領域に達した

 

23シーズン 2.3 (68%)途中  [2.2(66%)]

22シーズン 1.2 (60%)

21シーズン 1.3 (58%)

 

参考J1リーグ

 

三笘 21シーズン 2.5 (51%)

マテウスカストロ 2.2(54%)ベスト
ルーカス 1.9(50%)
マテウス・サヴィオ 1.8(48%)

 

 

ちなみにこの数値はお手軽にモンスターを発見しやすい単純なのに信頼性の高い数値で、今期からマンチェスターシティに移籍し、プレミアリーグでも無双状態のドクはフランスリーグの時点でバケモノの様な数値を記録している。

 

ジェレミー・ドク

 22/23シーズン リーグ1 3.3 (66%)

 23/24シーズン プレミアリーグ 3.4 (63%)

 

フランス時代とプレミア移籍しても殆ど変わんねぇ!

三笘を見ても分かるように、このデータ=ドリブルは万国共通で効く武器なのだ

 

 

話をエウベルのスタッツに戻すと、昨シーズンは大幅に向上したシュート成功率だったが、今期はゴールの喜びに目覚めたのか難易度の高いシュートが増えた結果、シュート成功率は昨シーズンよりも若干のダウン。

 

17% → 14.5% 9ゴール

 

もっとも、ゴール数に対する決定機逸は 9-5 なので決めるべき所は決めている。

 

[9ゴール-8ビッグチャンスミス シュート成功率13.2%]

[最後の2節でビッグチャンスミスが3増えてしまった、2桁得点は可能だった]

 

 

初年度21シーズンはシュート73本5Gの成功率6.8%、決定機逸は13(5-13)だったのだから、日本に来てから最も伸びた部分である。

 

 

また、アシスト数及び、ビッグチャンスクリエイトも大幅に増加

 

23シーズン途中 11 アシスト  12 ビッグチャンスクリエイト[→13]

22シーズンフル 5 アシスト  8 ビッグチャンスクリエイト

 

味方がシュートを打ったパス キーパスも1試合平均で1.7と昨シーズンの1.1から更に増えている。

[→ 1.8]

 

出場時間が現時点で+500分なので加算系の数値が増えるのが当然だが、この様に1試合当たりの効率も向上しているのが分かる。

 

今期のMVPは大迫で仕方ないという空気感がある様に感じるが、三笘薫が簡単に現れない様に、それ以上とも言える、これだけのウイングを再びJリーグで見れる機会があるのかどうかを考えるべきだろう。

 

 

冴えわたる左足はゴールメーカー

 

左のエウベルが飛車とするなら、正に角と呼べるのがヤンだった。

 

引用元 https://x.com/prompt_fmarinos/status/1722087797442396598

 

 

30試合出場 19先発 1637分

[32試合出場 21先発 1788分 6G11A]

 

エウベルと異なり、カットイン後からのアングルを好む右ウイングは自身のゴール数こそ 6ゴール ビッグチャンスミス5 成功率 約12% と向上の余地を残すが、チャンスメイクの領域では”左の先輩”に並ぶ数値を残した。

[6ゴール ビッグチャンスミス6 10.5%]

 

アシスト 11 ビッグチャンスクリエイト11 キーパス1.8

[ビッグチャンスクリエイトのみ増加 14]

 

出場時間がエウベルより600分も少ない事を考えると、より高効率なのはヤンであり、正にゴールメーカー”生産者”と呼ぶに相応しい。1試合平均のクロス成功数と成功率でもエウベルを上回る。

 

またドリブルに関する数値は既に昨シーズンまでのエウベルを越える域に達しており、個でチームを支える必要があった今季の中で光ったのが伺える。

 

1試合平均ドリブル成功数 1.4  (成功率 67%)  [1.5(68%)]

 

左利きのドリブルスペシャリストというと、海外に移籍した元札幌の金子が今季途中まで特筆した数値を記録しているが、それでも成功率は若干ヤンの方が高い。

 

金子 23シーズン 2.1  (63%)

 

今季序盤は明らかに不慣れな左サイドで使われる時間も多く、そもそも負傷などの影響でプレータイムが2000分に達しない事もあり、まだまだ向上の余地を残しており、特にマリノスでコンスタントに出場する事でシュート成功率が上がっていく現象が発生するのを期待したい。

 

 

2番手のウイング

 

引き続きゴール前のクオリティは見せた水沼と、リフレシュ効果に留まった宮市が2番手ウイングと言える。

 

水沼 31試合 9先発 922分 1G 7A[33試合9先発 951分 1G7A]

宮市 16試合 4先発 482分 3G 0A[18試合4先発 511分 3G]

 

この点、宮市は少ない出場時間ながら今季チーム4番目タイのスコアラーでありシュート成功率も約20%に達するのだが、3ゴールに対する決定機逸は5であり、収支としてはマイナスと言える。ヤンのゴール数に迫れたかもしれない。

 

(ちなみに海外データサイトだと2ゴールと判定され、シュート成功率は13%)

 

また、ドリブルの数値は成功数0.4(50%)だが、残り時間が少ない中で試合に出ると、機会が回ってこないまま試合が終わるという事情もあるので悪いとまでは言えない。

 
強みとして、デュエル勝率は55%とエウベルに準ずる物があり、特にハーフライン以降の守備時に機能性としてルーズな前任者よりも働いてくれる点も含めると、
 
得ている決定機の回数からも、試合後半のリフレシュ役として与えられた任務は果たしていると言える。
 
あとは決めてくれ。
 
 

一方で水沼は敵ゴール前ではクオリティ光るプレーがあったのは間違いがないが、そもそも今期はマリノス自体、

 

シーズン1試合当たりシュート数、ゴール期待値、更に関連数値が大幅に低下している様に、敵のゴール前以外の局面が増えた結果、今までよりも苦しさの見える部分が目立ってしまった。

 


更に確認された事実として、今期は前半戦しかエウベルと同時に出れず、その間は先発8試合で5アシストを記録していたが、

 

エウベルと同時出場の機会が無くなると、対戦相手に退場者が出た6月のFC東京戦、柏戦を最後にゴールもアシストも記録していない。

 

 

データ的には西村同様に、22シーズンの定番となっていたエウベルのミドルゾーン打開から始まる右側フィニッシュという構造の中でこそ輝いた選手と言える。

 
 
参考 今季マリノスの1試合平均数
 
シュート数・ゴール期待値
 
 22シーズン 16.3本 1.849
 23シーズン 13.9本 1.445

 

 

30mライン侵入回数

 

 22シーズン 51.2 リーグ1位

 23シーズン 42.1 リーグ4位

 

 

ペナルティエリア侵入回数

 

 22シーズン 16.4 リーグ1位

 23シーズン 13.0 リーグ4位

 

 

チームの戦況、攻撃の展開変化を受けて、恩恵を得る回数が減ったのは間違いなく、同時に恩恵無しでは活躍するのが難しいタイプと言える。

 

 

水沼 23シーズン

 

ドリブル1試合平均 成功数(成功率) 0.3 (44%)
デュエル1試合平均 勝利数(勝率) 1.1 (39%)  参考 ヤン 3.4(50%)
 
 
個が問われ、ボール争奪機会も増えるゲーム展開で苦しさを感じる数値となっている。
 
 
また敵陣での起点としても重要な役割があるが、起点力としても物足りなさが見える。
オープンになりにくい状態が影響しているのかもしれない。
 
 
1試合平均タッチ数
 
 エウベル 46.0
 ヤン 36.1
 水沼 22.7
 
 
1試合平均敵陣パス成功数
 
 エウベル 16.2
 ヤン 14.4
 水沼 9.4
 
また意外だがクロスの成功率が特別に高いタイプではなく、機会が多いので、アシストも多い選手だった。
 
今期は先に述べたゴール前機会の減少か、もしくはクロスを蹴る機会を自力で生み出す必要があるのか、成功率は変わらないのにクロス成功数が激減している。
 
 
1試合平均クロス成功数(成功率)
 
 22シーズン 1.4(24%)
 23シーズン 0.6(24%)
 
 
参考 同じ構造で右サイドを主戦場とするヤンとの比較
 
1試合平均クロス成功数(成功率)
 ヤン 0.8(31%)excellent‼
 
 
左のエウベルは元から少ないタイプだったが、むしろ今季は若干増えた
 
 22シーズン 0.4(23%)
 23シーズン 0.5(24%)
 
 

ほか、それほど守備貢献が高い様に見えないエウベルやヤンが1試合平均で 0.9、0.8とタックル数を計測しているのと比べ、

 

水沼の平均タックル数は0.3であり、途中出場が多いと若干ブレる事を考慮しても(宮市は0.5)、ボールホルダーにアタック出来ていないのではないだろうか。

 

この点、リフレシュ効果を狙った途中交代としては機能していないのではないか。

 

 

Jリーグは純粋なデータの比較から見て、世界でもトップクラスに走力を要求されるリーグであり、今後はクオリティを活かす為にウイングというポジション以外での運用も考慮した方がいいかもしれない。

 

 

大問題のセカンドトップ

 

今期変更の犠牲者なのか、それとも…判断をしかねるが、良くないのは事実として言わなければならない。

 

西村 30試合 22先発 1807分 3G 3A

 

今季はセカンドトップの役割が何を求めているのか、並列でロペスと同じ事をやれというのか、それは無理じゃないか、そんな序盤の迷走から迷宮に陥った結果、人間の感情を排する機械採点において今季のリーグ戦全出場選手で大学生の吉田を除外すると、最も低いのが西村である。

 

実際の数値も1試合平均のキーパスは昨シーズンの半分に下落、1.2→0.6

そして22シーズンは1試合平均0.2(成功率24%)あったクロス成功数は0になった

 

1800分前線でプレーして0というのは中々見ない数字である。

 

この点、ファーストトップの比較において大迫が0.2(20%)に対して、マリノスのロペスも西村と同様に0なので、仮にマリノスセカンドトップはロペスと並列的であり、つまりロペスと同タスクなのだから0でも問題ない、というのなら分かる。

 

所が夏に加入したナム テヒを見ると、そんな事はないのか、人によって変わるのか謎である。

 

ナム テヒ  7試合 先発3 285分

1試合平均クロス成功数(成功率) 0.9 (33%)

 

ナムさん、ヤンより高い!! 0.8 (31%)

 

ナムテヒのドリブル、パス、クロスは統計的に宮市、水沼、井上を完全に凌駕する別段のクオリティがあり、元から起用されていた左ウイングも検討されるべきポジションである。

 

 

またマルコスJrを祖とする中継機能を求められているのであれば、ナムテヒが圧倒する

※成功数は全て1試合平均数

 

パス成功数(成功率) 14.5 (79%) - 19.0 (88%)

 敵陣における同上  10.1 (77%) - 14.4 (80%)

 

ロングボール 0.3 (50%) ー 0.6 (67%)

チップパス  0.3 (47%) ー 0.6 (57%) いわゆる浮き球

キーパス 0.6 - 0.9

 

今期の試合内容において、西村はそもそもシュートシーンに絡めておらず、そして決定機逸こそゴール数より少ない2だが、得点力重視にしても11.1%のシュート成功率では収支が合わない。30%に達し7得点は欲しい所である。

 

シュート数 ゴール 成功率

 22シーズン 1747分 59本 10ゴール 16.9%

 23シーズン 1807分 27本 3ゴール 11.1%

 

 

現時点でセカンドトップのタスクにマッチしていないのは明らかだ。

 

そもそも、22シーズンはマルコスと西村で合計62本のラストパスを記録していたが、23シーズンでは上位5人以内にセカンドトップでプレーした選手は入っていない。

 

今期の上位3人は全てウイングであり、昨季の実質チーム最多だったセカンドトップはシュートに至る流れにすら殆ど関与出来ていないのが明白になった。

 

最前線でプレーしながら、ラストパス数、そしてチャンスビルディングポイント(シュート機会への貢献値)の両方で、サイドバックよりも低いのが確認できる。

 

果たして、リーグ屈指のウイングが両翼にいるチームにとって、セカンドトップは必要なのかという観点が必要なのではないだろうか。

 

 

競争は必要だ

 

さて一方で、福岡戦はセカンドトップに入り、今期の正解を見せた選手が植中と言える。

 

この数日後には”浦和を食った”難敵に圧勝したのには理由がある筈だ。

 

引用元 https://x.com/prompt_fmarinos/status/1718163291615445421

 

 

負傷の影響もあったが リーグ戦は 9試合出場 2試合先発 302分 3G

 

ルヴァン得点王に輝いた様に、リーグ戦でもシュート成功率は20%に達しており、19歳の時点においてJ2長崎で10G シュート成功率27.8%を記録した才能が特筆するべきものである事を証明した。

 

途中から入るのでスペースがある状況が多いという見方もあるだろうが、1得点に要した時間は西村が600分であるのに対し、植中は105分である。

 

ただ、宮市同様に決定機逸が5あるので、イージーショットを沈めて、あと2得点していればシュート成功率が30%に達していた。

 

 

また西村が苦手とするデュエルの局面においても優位性を見せている。

※1試合平均デュエル勝率 植中ー西村の比較

 

総合 45% ー 37%
 対地 43% ― 36%
 対空 50% ― 39%
 
一応、出場時間(母数)が少ない事によるブレ、残り少ない時間から入るので疲れた敵と戦うので有利という部分はあるのかもしれない。

 

 

だが中継能力を見ても、パス成功率&敵陣パス成功率、キーパス数で西村を上回っており、直近のC大阪戦では最後までベンチに座らせたマスカットだが、平等な競争を行うべきではないのだろうか。


勿論、チーム戦力の運用として、植中をファーストトップの2番手として置いておきたかったというのはあるかもしれない。

 

だが、ロペスが絶対的なエースの今季において、それは使われない事が多い保険枠となる試合が多く、より優れた結果を示した選手がピッチに立つ時間を増やすべきとするのであれば、6人目は西村か杉本でも良いのではないかと感じる。

 

 

以上、今回はウイングとセカンドトップについて、データ面から評価をしてみた。

 

他にボランチや3番手のウイングも考えていたが、長くなりすぎるので書かなかった。

また別記事で書くかもしれない。

 

Jリーグシーズン移行を考える2023 反対派ポジション

ACLシーズン移行を皮切りに、一気に加速したJリーグシーズン移行の動き。

 

優れたビジネスマンであり、Jリーグを大きく前進させた前村井チェアマン時代に、あらゆる要素をなで斬りに一蹴され、今後この議論は凍結とするという結論となってから僅か数年。

 

潜伏していたシーズン移行派はチュールを見た猫、勅使を得た幕末藩士の如く、血気盛んにイェイイェイと、推進派の旗頭に野々村現チェアマンを盛り立て、一気呵成に行こうぜウェイ、移行ぜウェイ、と突き進んでいる現在。

 

雪国論争に終始してしまう現状もあり、的確な反論が無いと感じており、後世に『このような論点を持つ人もいた』と残しておく為、記事を作成する事にします。

 

 

お前どっち派?

 

先ず、私個人としてはシーズンがいつ始まろうが、どちらでも良い訳です。

 

そもそも元からして完全な海外サッカーファンであり、つまりサッカーは大体8月下旬頃に始まる物であったので、特に違和感はありません。

 

ましてや、試合をやる日程(試合日)は殆ど変わらないとなると、雪国以外の多くのファンは、30年慣れ親しんだパターンが崩れる事を嫌うファン以外だと、実のところはどっちでも良い派が多いのかもしれません。

 

ただ、一方で、議論というのはフェアにやるべきだとも思いますし、Jリーグを楽しむ上で、更には応援するクラブが発展する上で、稚拙に物事を進めた結果、大失敗でしたとなるのはたまったものではありません。

 

この点、雪国論争だけに終始している(=雪国クラブ及びファンだけが明確に反対している)状況が、シーズン移行はJリーグを発展する上で直ちに行うべきなのか、という議論を正しくしている様には感じません。

 

この為、スタンスとしてディベート的に、反対派というポジションを取ったうえで、問題点を指摘してみたいと思います。

 

 

Jクラブの考える次の10年

 

シーズン移行は多大なコスト、負担を強いる大改革です。

 

一般社会的に、これだけの変更を行う際には当然として、そのメリットを提示しなければ誰も耳を貸さないし、相手にされません。シーズン移行は起業ではなく改革、変革です。

 

この点、これまでJリーグ及び、野々村チェアマンから、具体的なメリット、つまりビジネス的な数字を提示された事があるでしょうか。

 

 

例えば、前任の村井さんは2014年にチェアマンに就任すると、ピークアウトし震災後に一段下がった状態だった年間入場者数を2019年には過去最高の1100万人まで押し上げ、更には放映権の売却先をスカパーからDAZNに変えたこともあり、退任までの8年でJリーグの収益を2倍に押し上げる事に成功しました。

 

president.jp

 

シーズン移行ほどの大改革を行う上で、入場者数は増えるのか、売り上げは増えるのか、野々村チェアマンから具体的な目標が聞こえてきません。

 

増やしたい、増やしていかなきゃいけない、それは皆が思っているとして、シーズン移行という大改革を実行する事で、ビジネス的にどの様なメリットがあるのか、彼はリーダーとして具体的な目標値にコミットメントする必要があります。

 

 

一方で、Jリーグ公式チャンネルでは以下の様な動画がアップロードされました。

 

引用元 

https://www.youtube.com/watch?v=E5hFED5zPYk

 

要約

Jリーグ発展プラン、目論見

・アジアで勝つ、Jクラブの選手が代表にもっと呼ばれる

・海外からの収益 ACL勝てば18億・クラブW杯を目指す、移籍金増加

・J1に分配を集約させ1部リーグを強化するプレミア化

 

今回は果たしてこの目論見を達成する事は、シーズン移行と合致するのだろうか、という観点で各テーマに反論していきたいと思います。

 

 

動画の記事バージョン

シーズン移行の検討:Jリーグ.jp

 

 

Jリーグはインテンシティが低い?

 

先ほどの動画内で以下の表が提示されてしました。

 

分かりやすく言えば、走行に関するデータ、Jリーグvs欧州5リーグ平均です。

 

かなりスタイルが異なる5リーグをまとめて平均するのはどうかと思いますが、

プレミアリーグだけだと、あまり好みの数字にはならなかったのかもしれません。

 

 

まぁ、Jリーグは夏は流石に落ちるよねというのが改めて再確認できる程度の物です。

 

またデータ対象として、60分以上出場してる選手が対象なので、真夏期は益々効果的に数字が下がることが期待できます。

 

 

 

 

続いて、ハイインテンシティとは時速20㎞以上で走った距離だそうです。

 

 

 

先ず、終盤に向けて疲れて劣化していく欧州と比べ、むしろテンションがドンドン上がってくるJリーグは見世物として果たして悪いと言い切れるんですかね?

 

谷はダメで、山が正しいとする具体的根拠を読み取れませんでした。

 

もちろん、暑さで下がりすぎる部分の問題はありますが、シーズン序盤はいいとしてシーズン終盤は疲れ+暑さで悲惨な事にならないですか?

 

 

5,6月は上がる筈なのに、劇的に下がるというグラフを出してるのはJリーグです

更に終盤で疲れがのってくる、欧州のレベルが高い選手も下がるデータ

 

ヘロヘロの優勝争いは盛り上がりますか

 

 

次に、こちらの表が一番面白いので見てください。

正にプレス開始やカウンターなど、ゲームを盛り上げる選手の加速が行われた回数です。

 

 

グラフじゃなくて、数値を見てください。

 

 

Jリーグ選手加速しすぎじゃね?

 

欧州5大リーグはシーズン中の最高値ですら65.4回なのに比べると、Jリーグはシーズン開幕時期に72.2回を記録。

 

みんなダッシュしまくりJリーグ。欧州と比べて一人平均で10回違うという事はチームで100回は違うという事。マリノスも苦しむプレス強度、欧州とはレベルが違う()

 

夏のゲームは参考外として、マリノスは昨秋ローマと戦いましたが同年の広島戦と比べるとかなり楽な相手に感じましたね。

 

 

さて、そもそもとして、ずっと前からですがJリーグは開幕時にコンディション上げすぎ問題があると考えています。よくある傾向として守備強度をウリにしたチームが最初の二か月勝負で上位に入るも、以後疲れて落ちるとなるのも当然の結果です。

 

真面目過ぎる傾向というかキャンプで開幕からダッシュで行くぞ!という雰囲気。

 

勿論、夏の暑さはあるとして、新シーズンの新チームという概念が欧州ほどシーズンオフにチームが”解体”せずに、これまでは比較的メンバーが変わらなかったJリーグならではの現象もあると考えます。

 

そして繰り返しになりますが、終盤の重要ゲームでコンディションが上がってくる現状は果たしてエンターテイメントとして悪いのでしょうか?

 

 

 

Jリーグは何もしてない夏対策

 

そもそも結局、夏→夏制度

 

この暑さでは無理だ、と今年の異常気象を錦の御旗に振りかざす傾向が見受けられますが、試合日がほぼ変わらないのであれば、暑さ対策には殆ど寄与しない事が容易に想像できます。

 

それシーズン移行の推しにするには弱くないですか?

 

また本来するべき肝心な議論を行っていない様に感じます。

それは21時キックオフです。

 

例えば8月の都内で13時に33.8度を記録した真夏日、時間による気温は以下になります。

 

17時 31.1度

18時 29.8度

19時 28.8度

21時 27.5度

 

この傾向は全日でほぼ変わらず、21時はJ1リーグのキックオフ時間で多くなる18時に比べて約2度以上、19時でも1度以上気温が下がります。

 

もちろん施設の使用許可や、交通機関を含めた周辺との調整など問題はあると思いますが、恒久的な対応策として無視できない明確な効果がファクトとして期待できます。

 

このような取り組みを模索している、という話を一切聞いた事がありません。

Jリーグは本当に、真剣に夏対策を考えているのでしょうか。

 

シーズン移行の弾に使いたいだけなのでは?と疑問が生じます。

 

 

中央競馬では、競馬法などもありサッカーよりも遥かに条件は難しいにも拘らず、

来年から本来開催していた11時から3時を休止して、夕方薄暮開催を実施します。

 

www.chunichi.co.jp

JRAの担当者は「(さまざまな)リスクは想定しながらも、何より暑熱対策としてこのプランを進めたいと考えてます。近隣住人の方々を筆頭に関係者の理解を得ていきたい」と話した。 

 

 

 

ブラジルとシーズンがずれてJリーグはレベルダウンする

 

欧州とシーズンを同じにする事で…主力が途中で抜けない、獲得もしやすくなる。

 

これはそもそも今のサッカーシーンでは実のところ移籍金が発生するケースは多くなく、契約満了でのフリー移籍の方が大半になっている、という話がベースにあるかと思います。

 

その結果、シーズンが重なる事で欧州からもJリーグにフリー移籍しやすいという事です。

 

ただ、今の事情を考えると年齢プレミアの消えた欧州の選手をフリーで獲得できるけど、年齢的にプレミアが残っている若い選手もシーズン終了後に0円で出ていく事が容易に想像できます。

 

 

そして更に、一番の問題はブラジルとシーズンがずれる事ではないでしょうか。

 

マリノスで活躍していたマルコスジュニオールや、リーグトップクラスのエウベルは正に契約切れのタイミングを狙い、フリーで獲得した選手と言われています。

 

所が日本だけシーズンがずれる事で、今後はJリーグにとって優れた外国籍選手の最大供給元であったブラジルからはシーズン中に引っこ抜くしかなくなります。

 

とどめはJリーグで活躍し、契約が満了する選手をサウジアラビアや欧州転売ヤー年棒つり上げ合戦で取り合いする必要も出てきます。今ならシーズン中だからこそ、多少は契約解除金が発生しますが、この場合は0円でエースを失います。

 

話を統合すると、若い有望株はフリーで次々と旅立ち、ブラジル人も取るのが難しくなる、果たしてJリーグのレベルは本当に上がるのでしょうか。

 

移籍金で儲けるというテーマにする上で、ABC契約問題や、外国籍枠開放を置き去りに、セットにしないで議論を進めるのは無理があるのではないでしょうか。

 

 

 

移籍金で儲けるなら

 

将来は~ではなく、あくまで今日から10年で利益だけを追求して考えます。

 

Jクラブが移籍金で儲ける構造に対して個人的な見解を述べると、先ず外国籍枠の完全開放を行い、ブラジル2部以下のブラジル人選手を発掘しやすくし、Jリーグで活躍させるのが一番儲かると思います。

 

この際、3部でもいいです。戦術的に確立されたクラブを増えてきたので、磨けばたまにはピカっと光るはずです。

 

世界の移籍マーケットを視野に入れれば、同じ年齢で、同じ位の活躍をしてもブラジル人という世界的ブランドなら2倍以上の値段が付くのが現状だと思います。夢も希望もない儲かる儲からないだけの話です。

 

ただ、日本人選手にJリーグスルーで出来るだけ早く海外という姿勢が見えつつあるのだから、Jリーグとして、益々少子化が加速する事も考えると、誰を育てれば一番儲かるのか、という視点は必要じゃないかと思います。

 

 

今日からの10年を考えた時に、シーズン移行をするだけで、日本人選手が高額で売れるというのは夢物語ではないでしょうか。三笘や富安、久保は活躍をしていますが、それでJリーグに目が向いてるとは思えません。

 

先にも述べましたが同時にABC契約問題も手を付けないのであれば、益々若いタレントのフリー移籍が増えるだけだと思いますし、数々のバロンドーラー(世界最高選手)を生み出してきた”王国”とは純然たるブランドの差があるのを直視するべきです。

 

Jリーグから買った選手が信頼できる、欧州スカウトにとってJリーグはチェックしなきゃいけないリーグになるのが優先事項であって、それが日本人である必要はないと思います。

 

 

さいごに

 

以上、Jリーグ公式Youtubeを見たうえで、反論を作ってきました。

 

少なくとも表に出ている情報ではディティールに対する議論が甘すぎる、急いては事を仕損じるように感じます。

 

 

例えばACLはシーズンを跨ぐので難しいと何やら結論が出ていますが、数回やってみてフィードバックを得るべきではないでしょうか。それ想像ですよね?

 

同じく想像で考えると、近年のJクラブにとってグループリーグはクジ運もあるが、それほど難しくなくシーズン終盤戦でも大きな問題は起きない。

 

そして翌年トーナメントをする東アジア勢は同じシーズンなので平等であり、最後に戦うシーズン終盤の疲れた西アジア勢より、シーズン開幕後のトップコンディションなJリーグの方が有利かもしれない。一例ですが、そういう視点もあるべきだと思います。

 

シーズン後にグループリーグを勝ち上がったらACLボーナスを支払うという制度を用意すれば、Jクラブの本気度も高まるでしょう。

 

 

とにかく雪国問題だけを議論しているのは歪であり、それだけが話されてしまう結果、他の要素がおざなりになってしまうのは良くありません。

 

この記事がJリーグに関わる皆さんがシーズン移行について考える、何かの足しになれば幸いです。

 

マリノスが変えたJ1リーグ・英プレミアリーグを圧倒する走行力

かつてオシムは言った、日本人らしいサッカーをするべきだ、と。

 

その成果が反映されたのか、2022カタールワールドカップにおいて、W杯優勝国であり、大会優勝候補でもあった2つの強国に勝利したのは記憶に新しい。

 

なぜ日本は勝てたのか、その理由は2019年マリノスの優勝以降に、環境の激変が起きているJ1リーグに見出す事ができるかもしれない。

 

 

ht

 

s://twitter.com/prompt_fmarinos/status/1649772404854652928?s=2引用元

https://twitter.com/prompt_fmarinos/status/1649772404854652928?s=20

https://twitter.com/prompt_fmarinos/status/1649772404854652928

 

 

 

世界基準ってどんなもんよ?

 

そもそも、世界最高峰のリーグにおいて、総走行距離ってどんなもんなんだろうか?

この点が気になり英プレミアリーグのデータを調べてみた。

 

が、昔は公式サイトにあった筈なのに、今は総走行距離の項目がマッチデータにも見当たらない。※どこか見れるところがあれば教えてもらいたい。

 

この為、メディアの記事をベースに話をする。

 

19-20シーズンの総走行距離データ

 

1位はブライトン 4280.7km 1試合平均は(112.65km)

同年2強のシティ 4173.4km(109.82km)、リヴァプール4150.1km(109.21km)

 

大体、シーズン平均だと109kmがベースの数字になる感じではないか。

 

 

総スプリント リヴァプール 3980回 (104.73回)

 

スプリントのトップスピード ランキング

1位 アダマ・トラオレ 37.78km/h
2位 アーロン・ワン・ビッサカ 37.60km/h
3位 メイソン・グリーンウッド 37.60km/h

 

 

トップスピードを見ると、流石バケモノだなと思いますが、昨今のJリーグファンならアレ?っと思うはず。

 

総走行距離、少なくね?

 

 

※GKを含まないのか等を思いましたが、そのような特殊基準はどこにも書かれて無く、またプレミアリーグにはGKのエリア外クリアの様な、GKの走行距離も関わるスタッツがあることから、全員の物として考える。

 

引用元 

https://www.soccer-king.jp/news/world/eng/20200729/1101975.html

 

 

 

J1リーグと英プレミアリーグを比較する

 

今回、シーズンが始まった直後である2023年の現時点と、丁度よい比較データとして、下記の物があった。

 

21-22シーズン 開幕7試合のデータ

https://theanalyst.com/eu/2021/10/season-snapshot-storylines-from-the-premier-league-so-far/

 

 

このシーズン、走りでリーグを圧倒していたのがリーズ。

 

数字を抽出すると、総走行距離 764kmは2位以下と誤差ですが、スプリント数1210回は2位サウサンプトン997回を大きく引き離す。1試合平均にすると172.85回となる。

 

 

先ず、J1リーグとの比較における総評として、総走行距離は全体的に少なく、スプリント数もリーズが異常なだけで、2位以下はJ1リーグと差が殆どない。

 

 

また、若干スプリント数について補足をすると、Jリーグが以前の基準、時速24kmで計測していた時代だと、173という数字はマリノスの平均以下でしたが、23シーズンから適用された新基準時速25km以上だと、なかなか出ない数値になると思われる。

 

マリノスだと、今の所、横浜FC戦の173回、1試合のみ。

 

更に、基準変化の影響を探ると、昨季34試合中、28試合で173回以上、更にその内200回以上が19回という数字を残したサガン鳥栖でしたが、今季は8試合で最高165回に留まっているのをみると、時速1kmの差はかなり大きいかもしれない。

 

 

マリノスの2023シーズン 7試合時点の走行データは以下になる。

 

総走行距離 847.25km 1試合平均 121.03km

ワースト 札幌戦 110.94km

 

ちなみに77分で退場者が出た広島戦もリーズの平均を10km以上、上回る124.36kmを計測している。

 

リーズ

総走行距離 764km 1試合平均109.14km

 

 

 

J1リーグも2019年まではプレミア基準だった

 

マリノスが優勝した2019年、何が起きていたのか。

以前に、走りに関するデータをまとめた記事を作成した。

 

 

speir-s.hatenablog.jp

 

 

2019シーズン、マリノス以外の上位陣のデータは以下になる。

 

<2019シーズン 2位~4位の1試合平均の総走行距離>

 

2位 FC東京 109.869km

3位 鹿島 109.877km

4位 川崎 105.685km

 

19-20シーズン ブライトン 112.65km

21-22シーズン7試合平均 リーズ 109.14km

 

 

そうなんです、2019シーズンの時点では大して変わらなかった。

 

これに対して2019シーズンのマリノスは 116.647kmと差を付けた。

ピッチに対するカバレッジパワー(造語)が、選手0.8人分の差がつくと言うこと。

 

更にマリノスは、このシーズン、ボール保持率が61.4%を記録しており、よくある守備の為に走るだけでなく、守備の時間が一番短いリーグで圧倒的にボールを保持するチームだった。

 

 

走れば勝てるという物ではない、という説があると思う。

事実、この2019シーズンもとにかく走るしかないと走った松本山雅が降格した。

 

ところが、対面の敵に走り勝つ効果は上位陣4チームでも以下のように確認された。

 

 

明確に走り勝った試合  22試合 17勝 5分

僅かに走り勝った試合  20試合 16勝 2分 2敗

 

僅かに走り負けた試合 27試合 10勝 8分 9敗

明確に走り負けた試合 27試合 11勝 14分 7敗

 

※明確 3km以上 僅か 3km未満1km以上

 

マリノスは僅か~以上の試合、17試合で14勝3分であった。

 

走らないを標榜していた川崎ですが、総走行距離が低くても、相手を走らせない事で、結果として走り勝つ必要があり、走り負けると勝率、勝ち点率が明らかに落ちていた。

 

この結果を受けて、20シーズンはコロナ禍によって異常な、計測の意味を持たないシーズンとなったが、J1リーグは大きな変化が起きた。

 

 

 

走り革命の寵児サガン鳥栖と+1人の衝撃

 

先程、触れましたがマリノスについで現れ、革命の先端に立ったのは鳥栖であった。

 

なぜあれだけ選手が入れ替わっても降格せずに戦えているのか。

 

それは走る事を優位性にするべくチームの構造に組み入れ、そして走るという常に発揮されやすい安定した能力をベースにした選手を揃える事に成功したからかもしれない。

 

走ったから勝てるとは限らないのですが、なぜ走るのか、走る事によって生じる優位性、これがチームとして定義されているのであれば、全ての試合で安定して発揮されやすい効果となり、パッシブスキルと言える。

 

22シーズン鳥栖

 

鳥栖は基準が他とはことなります、データの上と、下に顕著な効果が現れる。

 

走り負けた~3km以上走り勝てなかった試合 11試合 1勝5敗5分

 

敵チームに対して8km以上走り勝った試合 6試合 5勝1分

 

 

リーズどころじゃない、フットボールにおける走り革命のチーム、それが鳥栖

 

川崎戦では谷口が退場したので計測外と言えるが、敵に退場者なしで10km以上走り勝った試合が2試合ある。どちらもFC東京戦。

 

FC東京戦 11.61km 11.17km を記録している。

 

特に2試合目は6月下旬に気温27.6度(日中気温31.5度)を記録しており、その中で普段通り120kmオーバーした鳥栖に東京の選手はまるでついていけず、5-0の圧勝となった。

 

走行距離10kmとは選手が一人いるかいないかの差。

 

世の中で戦術を語る人々は全く鳥栖の総走行距離に注目をしていないようだが、退場者が出ていないのに1人少ない状況に陥る魔法の戦術として、記録されるべき事例だと思う。

 

 

ちなみに今年もFC東京戦では、終盤に交代枠が無いのに一人プレー続行不能な選手が出たにも関わらず、9.87kmの走り勝ちを記録しており、1-0で勝利をした。

 

途中出場の選手が脚を痛めてなければ…3試合連続で+10kmの金字塔まで届いただろう。

 

 

そしてマリノスも22シーズン、+10kmゲームが1度あった。

もちろん、対戦相手に退場者はいない。

 

2022年10月29日の浦和戦で、+10.41kmを記録し、4-1で圧勝している。

 

また、FC東京には+7.09km、昨季の天敵と呼べるほど苦戦させられた広島に唯一、3-0で快勝したゲームでは+6.13kmを記録。

 

他にも、1-2の川崎戦、+4.21km 4-2の川崎戦では+5.61km。

 

3-3だった浦和戦は+4.83km、大惨敗の広島戦では-1.02kmと同じ対戦相手に対して、走り勝った結果が残るゲームの方が、良い結果になっている。

 

もちろん、走りたくても走れない、あくまでも相対的な競技なので、頑張ってないから走ってないという事はない。走り勝ったゲームをロールモデルにどうすれば再現できるのか、を考える必要がある。

 

 

また、11人いるのに衝撃の1人足りないレベルまで達しているFC東京、浦和ですが、両チームの監督はアルベル、リカルド・ロドリゲス(対戦時)、Jリーグでスペイン人監督が苦戦する理由の1つが垣間見えたかもしれない。

 

例えばゾーンディフェンスを重視し、追いかけず、結果として走り負けても良い、という影響が出ているのか。だとしても許容限界があるのかもしれない。

 

シティとの対戦時はマリノスはかなり未完成でしたが、昨年ローマとの対戦で見せたように、どんな強豪であれ、初見であれば圧倒する事も出来るかもしれない。

 

カタールで森保のチームがやったように。

 

 

 

マリノスと川崎を止めろ J1リーグ革命

 

時は進み2023シーズン。

 

マリノス以外の上位陣(8節終了データ)4チーム、7試合消化時点での走行データを抽出した。

 

プレミアリーグ21-22のリーズと同じ程度で109km前後だったJ1リーグ上位陣の動向はどの様に変化したのか。

 

<2019シーズン 総走行距離1試合平均>

2位 FC東京 109.869km

3位 鹿島 109.877km

4位 川崎 105.685km

 

 

<2023シーズン7試合終了時点データ 総走行距離合計・1試合平均>

 

1位 神戸 811.76km 115.96km
2位 名古屋 830.05km 118.57km
3位 広島 803.51km 114.78km
4位 浦和 814.31km 116.33km

 

参考

プレミアリーグ19-20シーズンで1位だったブライトン 112.65km

 

 

マリノスの優勝、そして鳥栖の革命、ポゼッション重視チームのタイトル寡占…

 

その結果、J1リーグは英プレミアリーグを凌駕する総走行距離型に変化を起こしているのかもしれない。

※ただJ1リーグは真夏期があるので絶対に今より下がる、まだ分からない。

 

 

走りによって生まれるピッチのカバー率、カバレッジパワー(造語)の向上、それが最も力を発揮するのは、マリノスのような強い意志でボールを保持し続けるチームに対する守備であり、カウンターにおける攻防の両局面となる。

 

「走るだけでは勝てない」

 

だが、それが最適化された結果、12人目、もう1人の選手にまで達したらどうなるだろう。それに対抗するには自分達も走り、走り負けても0.5人程度までに抑える必要があるかもしれない。

 

そして更にボールを保持し、選手は常に動き続け、流動的にポジショナルな戦いを仕掛けてくるチームに、守るだけはなく、勝つために対抗するには?

 

 

なぜ、ヨーロッパから来た外国人選手がJリーグを速いと言うのか。

 

web.gekisaka.jp

「どれだけ走ってもまるで疲れることを知らない。非常に発達したフィジカルを誇り、ハードワークと規律正しさが目立ちます。もちろん、私もハードワークと規律を怠ることはありませんが、Jリーグは強いフィジカルが求められると身をもって知りました」

 

 

かつて散発的に走るチームというのが現れたが、環境を変えるまでには至らなかった。

 

ところが2019年以降、走行距離を武器するチームが躍進し、走行距離を武器にはしないが相対的に凌駕されないウィークポイントにならない準備が必要になり、更にはタイトルを寡占するチームに対抗手段として走行距離が求められる事もあり、2019年以降のJ1リーグはよりフィジカルなリーグに変わり始めているのではないだろうか。

 

 

 

 

走り勝ち型と走り負け型 広島は走れない

 

1つ大きな勘違いとして、あくまでも相対的な競技であり、重要なのは敵に走り勝ったか、そして走り勝つ事がチームのパフォーマンスに影響を与える構造なのか、である。

 

例えば走り負けても良い構造のチームでは、走行距離が伸びるのは自分達が走りたいからではなく、結果として敵に増やされてしまうが、それは問題ないという場合もある。

 

更にはそういったチームが一定数居るとして、環境として走り勝つ事を構造として求めてるチームが増えたので、リーグ平均の総走行距離が増えるという効果にもつながる。

 

 

この中で上位陣(8節終了時点)を見ると、走り勝ち型と、走り負け問題なし型が分かれる。

 

1位 神戸 8試合中6試合で+1km以上走り勝ち

2位 名古屋 8試合中6試合で+1km以上走り勝ち

 

3位 広島 8試合中6試合で-1km以上走り負け

4位 浦和 8試合中4試合で-1km以上走り負け

 

 

特にイメージと異なるのが広島だろう。

22シーズンも-1km~+1kmの微差が6試合、10試合以上で-1km、9試合で-3kmを記録している。

 

つまり彼らはあくまでも、とにかく自陣ではプレーしない事を目指した、位置のフットボールであり、走るサッカーのイメージとは程遠いハイプレス特化型チームと言える。

 

とはいえ、昨シーズンでは退場者が居ないにもかかわらず、-8.64km差がついたG大阪に0-2で敗戦、-6.13kmの差がついたマリノス戦では0-3で敗戦しており、限度はありそう。

 

また22シーズン、沢山走らされた試合(総走行距離113km以上)では13試合 3勝3敗7分 とまるで降格圏の成績になっている。

 

ちなみにこの3勝は全て対戦相手に+1km以上走り勝っており、沢山走らされると走り勝てない、という関連性があるかもしれない。

 

C大阪戦3-0 +3.66km 磐田戦3-0 1.71km マリノス戦2-0 +1.09km

 

 

 

 

マリノス2023モデルは

 

現状マリノスは優秀な競技力を維持する為のスキームが機能し踏みとどまっているが、リーグを牽引してきた上位陣に、選手の引き抜きを含めたサイクルの終焉を感じさせる2023シーズン、この新たな環境下でアタッキングフットボールをどの様に進化させるのか。

 

シーズン序盤は全選手の戦力化作業を急ぐマスカットが、後半に向けて目指すデザインは、新たな優位性をどこに見出すのか。

 

 

1つ発見したデータとして、昨シーズンを2019シーズンと比較すると1つ改善点が見える。

 

2019シーズン +1km未満もしくは走り負けた試合が17試合あり、その内2試合は最下位降格の松本山雅なので除外するとしても、通算成績は以下になる。

 

 

2019 15試合 6勝8敗1分 勝ち点率 19/45  42.22 %

 

 

そして22シーズンは以下になる。(清水、磐田戦は走り勝っているのでない)

 

2022 14試合 7勝4敗4分 勝ち点率 25/42  59.52%

 

 

圧倒的な走り勝ちはマリノスのサッカーが出来ている1つのバロメーターであり、理想としては圧倒的に走り勝つ様な数字が残る事になるゲーム展開であるが、

 

それが対戦相手との関係で出来ない時に、それでも勝ち点を取れる様に、改善を目指しているのかもしれない。

 

もしかしたら圧倒的な走り勝ちが好調のバロメーターとはならない、別のモデルを目指している可能性もある。

 

この点はもう少しシーズンが進み、データが揃わないと結論が出ない。

 

 

 

 

Twitterではマリノス中心にツイートをしています。

 

リーグ戦の試合後などには、スペース機能を使って音声コンテンツ・試合後雑談を開催中。

 

twitter.com

 

 

さて余談ですが、Jリーグのレベルは~という意見を目にする事があるが、今風にいうのであれば、それってアナタの感想ですよね?という話。

 

両軍総走行距離120kmオーバーの激しい運動量、150回を優に越えるスプリント数、J1リーグで展開されるフットボールは間違いなく世界有数に、英プレミアリーグをも凌駕する、フィジカルな激しいフットボールであるのは計測されるデータからも明らかである。

 

いつまでも昔のイメージで語っていると時代錯誤と言える。

 

もちろん、よりダイナミックに進化する上で課題は最高速度とパススピード、の二点が上げられる。これらは瞬間的な力であり、筋肉の質や量に関わるので簡単には解決しないかもしれない。

 

 

しかし、思えば2018年ロシアワールドカップの時点で、総走行距離、スプリント数、最高速度と、ピッチ上で最高数値を記録したのは原口や長友といった日本人だった。

 

相手がセネガルであろうと、ベルギーであろうと。

 

走力と、走力によって優位性を生み出す構造、これこそが日本人らしいサッカーではないか、と分かったかもしれないカタール2022であったが…

 

またポゼッションとかいい出した上に、それを名波に任せるのは不安しかない。

別に勝敗において結果が出ない事はあるかもしれないが、彼が監督をしたチームがそんなプレーをしていたんでしょうか。