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21年マリノス開幕雑観 川崎戦

明治安田生命J1リーグ開幕!

 

今年は金Jオープニングマッチに選ばれ、川崎と対戦を迎えたマリノスの雑観をツイートするには長くなったのではてな記事にまとめた。

 

今年は3バックと前触れもあったが、システムは関係ない、やる事は同じ、と言う監督。

 

練習を見た人間の解釈が足りなかったのか、守備時における最終ラインの並びは4枚、変化としてボール保持時に若干、両サイドバックのタスクが異なり、ティーラトンだけが中央まで進出する微調整程度の物と感ずる。

 

敵陣プレスでは、これまでの「敵なんか関係ねぇ!オレ達は行くんだ!」という能動的な、時間を奪う為の破壊的なアタックは見られず、

 

GKとCBにはボールを持たせ、天野がシミッチ番としてアンカー潰し定番を行いつつ、そこから出るボールに対してファーストプレスを始める、受動的な、選択肢を減らしていく安定性が高いやり方に。

 

その安定的守備の練度として、極めた川崎と、去年の秋から取り組んでいますのマリノスでは差があったとしても、よりゲームにおける優劣を決めたのが、パスアタック(パスで前進して行こうとするプレー)におけるエラーによって起きる、自陣ロストの数なのは観ている誰もが感じた事だろう。

 

何故こうなったのかと言えば、被決定機の発生を連発した畠中はあまりにも酷かったが、選手のクオリティに求めるのは簡単として、更に選手の適正と流動性の欠如が考えられる。

 

2018から2019年前半にかけて、頑なに2-3と言う形で最終ラインからのビルドアップ部隊を構成していたポステコグルー監督(以下ポステコさん)

 

まだJリーグに敵陣プレスを仕掛けるチームが少ない中で、それでも特攻してくる相手にはボコボコにされていた中、2CBに2ボランチのボックス陣形をベースに、プラス両サイドバックと言う構成を見出し、

 

2-2のボックスを維持、また松原だけが最終ラインに残ったり、ボランチが1列降りたりして3枚になる、など、高い流動性を生み出す事で対抗策とした。

 

だが今回の実験では、タスクを明確に割り振った結果、硬直が起き、選択肢を奪っていくプレス合戦において、マリノスはパスをすればする程に悪い状況になるという切なさで、敵陣への前進率(自陣からのパスアタック成功率)で惨敗となった。

 

攻撃回数があれだけ一方的になってしまえば、2-0というスコアはGKを褒めるべき結果だろう。

 

更に選手の適正として、扇原やティーラトンは狭さなんて関係ない、いやそもそも狭くないよね、と言う選手ではなく、流動性の中で運動量が活かし、そしてオープンになれば前進パスが出せる選手で、

 

「俺は正拳突きしか撃てないが、見えないほど速く、当たった物全てを砕く威力があれば、それでも問題は無い」

 

とでも言うべき、剛の者的論理を実現するには、マリノスにはリソースが、マネーが足りな過ぎる。

 

また、リスクを掛けて、苦労をして、ボールを前進させオープンな選手を作っても、低い可能性にベットできる、マルコスの様な勝負師なクォーターバックが居なければ、エラーによって起きるマイナスのみが目立つ結果になった。

 

ボールを守りファウルで逃げるのが上手い天野がアンカー、遠くを狙える扇原が、セカンドトップに入りボールを引き出し、前線で第二攻撃地点となった方が、あそこまでの劣勢にはならなかったかもしれない。

 

そんな訳で苦闘の45分であったが、4年目になれば「またやっとるな、ポステコさん」である。常に可能性を模索していく彼のラボでは成功と引き換えに積み上がった失敗作が、そろそろ山の様になってきた。「見たくないゲーム」と言うが、こちらは最早、見慣れた光景ですらある。

 

 

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可能性の模索を実践で行う手法でチームを仕上げていくのはいいとして、選手のみならず我々も辛い45分、場合によれば90分を過ごしてきた訳だが、

 

『でも、これまでの経験上、無理じゃないですかね。』みたいな、

 

あれ、もしかして、前のアレを失敗とは認識していなかったのか、解釈の相違を感じる事も珍しく無い。昨年の名古屋戦とか、どうでしたっけ?

 

一方で、これがレオの合流が遅れているからかなのかは分からないが、前田がマリノスに加入して以降では最も真価を感じさせるプレーを見せた。

 

「やっと彼がウイングではないと、我々の思いは通じた…トラストミー!」

 

その効果は絶大で、45分で記録したスプリント数26にとどまらない。

 

 

画像

 

 

サイドの上下に費やされていたそれは、ピッチ中央がスタートとなる事で、まさに縦横無尽。

ロングボールでの裏抜け、失った瞬間のファーストプレス、更には被カウンターにおけるプレスバックとして、そのベクトルはあらゆる局面で全方向に向けられた、太陽拳ならぬ八極拳

※八極、全方向へのエネルギー=爆発 を意味する

 

更に、これにより前半は存在しているのか確認不能だった、オナイウが敵DFラインから浮いた、セカンドトップ的な立ち位置に入る事が増えて復活。

 

彼の持つ武器の中ではドリブルシュートよりも遥かに優秀な、トラップとショートパス、そしてリバウンダーとしてセカンドボールの争奪における成功数が光った。

 

DAZNデータでは前半12-4と明らかな劣勢だったシュート数は、後半6-7と大幅に改善。

 

明らかな失敗ゲームは、この後に控える、マルコスとエウベル、そしてレオの合流と、更には樺山のブレイクというオマケまでついて、何とか今シーズンに期待を持たせる光を見せつつ終わる事が出来た。

 

前田はゲームを変えるデトネイター(起爆装置)としてセンターに置く、オナイウはセカンドトップとして振る舞わせてクロスからのゴールを期待したい、スペースを打ち抜けない天野は第二次攻撃地点よりビルドアップ部隊に組み込んだ方がボールを守れる、扇原のアンカーはいい加減諦めて…

 

役割や構造変化よりも、先ずは個性を活かす適正な選手起用の方が、今いる戦力で成果が出るのではないだろうか。

 

就任以来、成長がキーワードのポステコさんだか、外からだと妙に感じるこだわりで選手が疲弊している様に見えるタスク割り振り、運用の改善に成長を期待したい。