2025年5月、刷新を目指したチーム作りは大失敗に終わり、1試合平均の獲得勝ち点が0.5を切る水準に達してしまいそうな横浜F・マリノス。
何となく昔っぽい方向に戻せば何とかなるでしょうと用意されたプランBはチームに戦い方のブレをもたらし、むしろクーデターの引き金になっただけとなった。
監督の選考からしても間違っていたがコーチ陣の編成も悪かったと言える。
そんな中で颯爽と、Jリーグ経験者である監督をベースに救済プランを考えてみたが、よくよく考えてみると果たして本気と言えるほどの内容だろうか。
やはり…
衝撃を与えるフットボールを目指すべきでは?
その為にはもっと抜本的に、高いレベルを知り、十分すぎる経験に溢れた、直近で良いチームを作り上げたコーチ陣に入れ替える様な、日本のクラブでは手に入らない人材を活かしたシティグループらしい改革が必要ではないか。
人は追い込まれたら視野狭窄になる。
先が見えなくなるのだ。
ツトムよ導いてくれ!
そしてフットボールの神に召されるのだ!
人類の革新まではいかなくていいが、マリノスの革新くらいは成し遂げた上で、久里浜の風を海なし県に持ち帰って貰いたい。
新監督を選ぶ
何度も言うが成績を理由にした監督解任であればヘッドコーチの昇格は反対だ。
チームには標準的な競争力すらなく、監督を変えないと解決はしないと考える。
その結果として、何も改善しないまま残り時間を、余命を失っていく様な日々を過ごしているのが横浜F・マリノス。
遂に遠野は言ってしまった!
「何もかもが中途半端」
気持ちは分かるがアカン…のだが、早急に、クラブとして戦い方を定めなければいけないのは明らか。
ここで、言われるわけですよ。
〇〇の様なサッカーをしたらいい
そりゃ出来たらいい。
で、それを誰がどうやって出来るようにするんだろう?
そこで重要なのはポートフォリオ(参考資料としての創作物)
マリノスが直近で軽視を続けた要素である。
どんなチームを作ったのか、そのチームはどういう試合をしているのか。
90分のフルマッチを観ないといけないし、見るのを怠るなら、見ても理解できないなら、プロフットボールクラブの要職は務まらない。
そして今、時にポジショナルに、時に相手を見て戦える監督が今フリーになった。
UEFAの外国籍免除的なアレでスペイン国籍も持つアルゼンチン人の49歳。
昔の欧州サッカーシーンを知っている人ならば思い出す名前。
2000年代、リケルメとその仲間達によって人口10万人に満たない街にありながら欧州で大暴れした”イエローサブマリン”ビジャレアルのメンバー。
※ホームのサッカー専用スタジアム(2万5千人収容)は人口の半分を収容できると言われている。
そこで選手時代はビクトルムニョース、南米の知将として知られるマニュエル・ペジェグリーニといった名監督と仕事をしてきた。
引退後は監督としてキャリアを築き、49歳にして通算379試合を指揮。
直近ではサウジアラビアのアル・タワーウン、マテウスカストロが一時在籍していたクラブを指揮するも2月に解任。1試合平均勝ち点は1.55あったが昨季の4位よりは良くないと言う所でクビ、中東は厳しさがある。
ボカジュニアーズで75試合、UAEのクラブでは2位、カタール、エジプトのクラブを経てUAE代表監督等を歴任。直近を指揮したクラブでの平均獲得勝ち点は高い。
アル・タワーウン 1.55
ピラミッズFC(エジプト) 1.78
アル・ワスル(UAE) 1.78
直近の分かりやすい戦果としては2024年10月24日にリーグ戦のアウェーでアル・ナスルを1-0で撃破している。
試合にはロナウド、ブロゾビッチもシマカンもラポルテも出ている。
何ならまだタリスカが移籍する前でこっちの方が強いかもしれない。
彼はアウェーでアル・ナスルに勝てるチームを作れる。
今のマリノスにこれ以上の説明が必要だろうか。
監督の戦い方
基本は343、だがJリーグでも流行の3421としないところが一つのポイント。
ゆえにマリノスの現資産を流用しやすい。
ボールは相手次第で強く保持する時もあれば、50%くらいに収まる事もあり、平均では54%くらい。サウジアラビアリーグの強敵、アル・ヒラルが相手だと532にする事もある。
何と言っても特徴的なのがシャドーは置かず、ウイングとウイングバックを同時起用しており、左右別構造ながら高い流動性を持って、サイド攻撃、ピッチを広く使う対角線パス、裏ポンなどを織り交ぜた攻撃を見せる。
兎に角、ピッチを広く使い、選手が走る事で敵を引き連れ、次に使うスペースを作っていく攻撃をする。
・保持攻撃

右WGは正にヤンでアル・ナスル戦では名古屋のマテウス・カストロが担当、左は遠野、エウベル、宮市、スペイン代表のニコ&ヤマルに近い非対称タスク。
左WGが中に行くと言っても半端に行くのではなく、2トップになるくらい行く。
今のエウベルの様に、陣形の後ろでボールを持っている事は無い。
当然、逆サイドから開いて受ける敵バックラインを広げる通常のWGタスクもこなし、縦に裏に走って受ける、ダイアゴナルランをしてトップの横に走り、WBにスペースを作るのが含まれる。
前向きのランが重要なのでエウベルより遠野の方が適してるかもしれない。
この為、左WBはウイングになれるドリブルで仕掛ける選手、加藤蓮や鈴木、宮市の様な選手。
宮市は左でWGとWBの両ポジションで交代要員になれるのでパートタイム運用が良いと思う。
右WBはCBとWGとの関係でポジショナルに立ち位置を調整可能な選手、松原かウォルシュ。少し小池龍太を失ったダメージがツライ。
右CBは持ち出し能力、そして中央裏や対角線のロングパスなどを蹴れる能力が求められる。デン、ウォルシュ、松原、諏訪間。
キャラクターで考えればCB松原、WB小池龍、WGヤンだったが仕方ない。
CBウォルシュ、WB松原、WGヤンがファーストチョイスか。
右が保持の中心になるのは今のマリノスと同じだが、逆サイドにWG、WBと2人いるのでサイドへの圧縮は敵のリスクが高くなる。
散々マリノスが苦しめられた対角線ロングパスをビルドの設計として持つ事になる。
今のマリノス
逆サイドのウイングは孤立

当時のアル・タワーウンにはピッチを広く使うという設計があった
多分マリノスが対戦をしたらレイソル戦よりボコボコにされたと思う。

中央CBはビルド能力よりも対人、裏へのカバーに優れた選手で復帰すればキニョーネス。しばらくはカバー能力からデンがいいだろう。
左CBは前に速い選手が揃っているので後方支援。
前に推進力がある結果、敵陣でオープンになる機会もあるので、アーリークロスを蹴る能力も重要になり、永戸や渡邊泰基が推定される。
これもエドゥアルドが良かった
第2ボランチと言えるポジションは山根、ジャン、天野、渡辺皓太、喜田。
ファーストトップはピッチを広くする為に裏取り走りが重要、90分で9㎞も走れないCFでは務まらない。ポストや対空力は必要ない。
植中と競争相手が必要。
アンカーは現状だと山根になる。
代わりとなる選手が居ないが、相手次第ではジャンでも山村でもいい。
・守備
ハイプレス局面では強気な姿勢で人を捕まえる守備をしていく。
形は相手次第だが、マンツーマン指向だ。

ミドルゾーンでは541、523というよりも4141的に2ライン目が意図的に高い。
ここでも人を捕まえる。

ACL2だと、ボール保持が圧倒的になってしまいロストからカウンターでやられるシーンもあったりした。
戦力編成
どうしてもアンカーと右ウイングが足りない。
中盤2枚の理想構成は山根とアンカーだ。
後述する理由で天野を中盤で使いにくい。
1試合中に90回ボールタッチをして、面倒なタスクを請け負ってCBに前方向のプレーを促し、ピッチに広くボールを配分するルートを作れる選手が居ない。
例えば、渡邊やデンが新潟からマリノスにきたら、ビルドの局面で良いプレーが出来ないのは面倒なタスクを請け負って縦パスを蹴る状況を作ってくれるアンカーがいないからだ。
自己分析からかけ離れた戦力編成、島村という大魚を取り逃がしたダメージが効いてくる段階になったという事だ。
降格した鳥栖から冬に移籍した中原輝も2番手としては最適だったが、今期は昇格して好調な清水で主力の一角として活躍している。浦和でダブついていた前田直樹は広島でもう10試合出ている。
めぼしい案件は既に売り切れだ。
キックの質、ビルドでのプレス耐性を考慮して天野を使うしかないだろう。
逆足ウイングに半端な選手は使えない、キックの質がスペシャルじゃないと使う意味が無い。
フィールドプレーヤースカッド

前回記事で上げた補強リストは比較的流用できる。
国内から本気で残留する覚悟を見せた補強をするならアンカーに秋山
奇跡を起こす、走力を伴うエネルギーに満ちたファーストトップを探す必要もある。
前田とオナイウ、レオとロペス、競争こそが活力になる。
こうしてみると獲得人数は抑えられるのが分かる。
3バックでありながら流行りの2シャドーではない、マリノスの保有資産を最大活用出来る監督だ。
左利きの右ウイングはヤンが怪我をしない事を祈るしかない。
慌てずに7月20日に開く第2ウインドーで探す手もある。
アルアバレーナと共に目指す再起
見据える先は西
中東のスペシャリスト
サウジ勢の倒し方を知っている監督である。