日本にとっては特別な意味を持つ3月11日、横浜F・マリノスはホームで上海ポートを大差で下し、24-25シーズンACLEファイナルステージに駒を進めた。
昨季に東チャンピオンとして挑んだACLファイナルでの惨敗から再挑戦となるアジアの頂点へつながる道。新方式に変わった今大会では4月25日以降に、サウジアラビアでの集中開催となり、勝ち上がりに成功すれば準々決勝、準決勝、決勝の3連戦が待ち受けている。
昨年からの変化として、現時点での不安要素としては日程と、桁が違う強敵が挙げられる。
ファイナルステージは4月25日、又は26日に初戦を迎える事になるが、Jリーグの開催が4月20日となっており、準備時間はほぼ無いに等しい。
この時期、日本の気候は最高気温が20度前後だが、サウジアラビアは昨年の気温を参考にすると、この時点で最高気温が35度前後になる場合もあると思われる。
試合開催が行われる夜間でも28~31度となる見通しで、今までの過密日程なアウェーとは物が違う、大きな環境変化に突然放り込まれる事になる。
昨日にACL2を敗退した広島も気温が10度以上異なる29度の世界に放り込まれてしまい、前半で体力を使い切ったような状態になっていた。
今さらだが、野々村チェアマンが本当にJリーグのチームがACLEを勝つべきだ、勝たなければならないと考えているのであれば、4月20日のゲームは延期するべきだ。
医学的見地から考えても、順応期間、準備の時間が足りないのではないか。
シーズン移行を力説する際はあれほど夏にプレーするのは危険だ、と言ってたじゃないか。
シーズン移行を決断した事に比べたら、実に簡単な決断だ。
日程の空きが無いという言い訳は通用しない。
唐突な20チーム制を導入していなければ、容易に出来たリーグとして当然やるべき支援だろう。
そして次の要素は今までとは比較にならない強敵が待ち受けている事だ。
この点はACLE開幕前にまとめた記事を参考にして貰いたい。
新移籍、実際にこの戦力は機能しているのか、等は機会があれば直前に書くかもしれない。
サウジアラビアは国家プロジェクトを抱えており、フットボールも4クラブには国からの支援金が潤沢に投じられている。
既に優勝賞金の10倍以上を投じている。元なんか絶対に取れない。
金を惜しまない、これが彼らが見せる本気なのだ。
マリノスにも本気を見たい
あの惨敗から学ぶべき教訓は何だろうか。
賢者は歴史に学び、愚者は体験に学ぶとして、愚者でも体験からは学びを得る事が出来るはずだ。
戦力編成を怠っていたのではないか?
何となくの現状維持。
そこにベストを目指そうという気概があったのか。
例えば、明らかにカウンターへの脆さを露呈していたキューエルのチームに、早期にピンチを回収可能なフィジカルに優れたボランチ、スペースをカバー出来る速いCB、前に出るのが得意なGKが居たらどうだっただろう。
得点がそうであるように、守備も組織だけの問題ではなく、個で解決可能な部分があるし、昨季の戦力編成は解決しようとしただろうか。
どういう戦いをする事になるのかという想定、その戦い方に適した準備を突き詰めるような戦力編成がされなければ、絶望的な彼我の戦力差を埋める事は出来ない。
野々村チェアマンが社長を務めていた札幌は無冠、無タイトルのチームだった。
予算が違うと言っても、マリノスとの人件費差はたったの10億円ちょっとしかない。
一方で、サウジ勢とマリノスの人件費差は彼らが使う契約解除金だけで少なくとも100億円は異なる。
仕方ないを言い訳にしていて勝てる相手じゃない。
8+1+1 代わりが居ない3ポジション
マリノスがサウジアラビアで戦う相手、頂点を目指す上で絶対に倒すべき相手はサウジアラビアの3チームとなる。
思い出して欲しいのは、2023年にマン・シティが日本にきてマリノスと対戦した試合だ。彼らはシーズン前で世界各地を旅する過密日程。一方でマリノスはシーズン中。
結果は3-5、マスカットの元でミドルゾーンの整備が進まない442ブロックはノンフィルターで簡単にチャンスを量産された。サウジアラビアが集めているのはそういうクオリティを持った選手達であり、今度はバリバリにシーズン中だ。
その水準を知るスティーブ・ホランドが守備を再建しているのは心強いとして、強度を保証する上で外せない選手がある程度、監督の中でも固まってきているのが分かる。
後方ではパクとキニョーネスが不動なのは間違いが無く、中盤より前でジャン、植中、そして負傷で出番が遅れた遠野も主軸化されていくだろう。
ロペスを含んだ442を形成する上で許容できるのは右サイドのヤン1人まで、8人の戦士が必要だという事だ。
この点、前線をリフレシュする為に監督は遠野とエウベル、植中と天野を入れる交代を好むが、他選手の疲弊もあり、強度を補強出来ている様には見えない。
特に圧倒的なボール奪取力を誇るジャンが居なくなると途端に脆さが露呈し始める。
442における前の42はある程度のところ見えてきたが、同時にそれを維持する、代替する戦力の不足も露呈し始めたと言える。
天野は遠野の所に使えるかもしれないが…植中と同じ機能性はない。
ロペスを活かす補完性のある攻守に貢献可能なカバーエリアの広いセカンドトップが必要だ。
エウベル、井上、松田のウイング陣はヤンとの選択には出来るが、遠野との選択にならない。ヤンを含んだWG勢を同時2枚起用をするなら3MFなど、他でバランスを取る必要が出てくる。
とはいってもジャンに並び立つ、又は補填出来る強いMFが居ない。
戦力不足は明らかだ!
ここでマリノスの本気が見たい。
本気でサウジ勢をぶっ倒して
アジアの頂点を
17億円を取りに行くんだ
と感じたい。(準優勝でも600万ドル=9億円のリターン)
Jリーグのウインドーは実質あと一週間開いている。
他チームで戦力外!? 確かな実力を持つベンチに座る選手
Jリーグが開幕して、もう5試合が経過した。
おやおや、どうしたんですか。なんで出ていないんですか?
SNSは大丈夫ですか。
と気になる案件も見つかる様になってくる。
① 植中を代替可能な2トップ候補
・高橋 潤哉 山形 28歳 178㎝/78㎏
24シーズン J2 35試合17先発 1791分 11ゴール4A(成功率18%
今期これまで 4試合先発なし プレータイム76分
J3からJ2にステップアップし、昨季ブレイクしかけたFWが出場時間を失っている。
J2の魔王こと、不動のディサロが君臨する今期、2番手以下が続くだろう。
ポストプレーが可能な強いボディ、決定機を沈める得点力を持ったFWはスティーブのチームでマッチしそうだ。
・田川 亨介 鹿島 26歳 181㎝/70㎏
21年 30試合17先発1401分 5G(成功率13.2%)
その後にポルトガル、スコットランドでは結果を出せずに昨年に鹿島に移籍。
24年 3試合途中出場のみ 89分
25年 2試合途中出場のみ 34分
レオ、鈴木優磨がいる2トップに彼が入り込む余地はない。
鳥栖仕込みの守備、遠野の位置も可能な走力もあり、
左足を燻ぶらせるのは勿体ない。
② 遠野を代替可能なサイドハーフ
裏を取る速さ、攻守に躍動する高い走力、確かな足元の技術、ゴール前でのクオリティ。
青木 亮太 札幌 29歳 174㎝/72㎏
昨季、戦力が激減した札幌の中でWBも担当するなど、思わぬ走力もある事が確認できたヴェルディ産の安心株。
24年J1リーグ 30試合 26先発 2279分 6G2A
降格により移籍かと思われたが残留。
ところが、軽傷の影響もあったが、練習に復帰しているにも拘らず全敗でJ2最下位に迷走するチームで2試合連続のベンチ外。岩政の構想外か!?
彼がJ2ですら必要とされていない姿は見たくない。
③ ジャンと並び立つ強いMF
どうしたんだデュエル王!?
元監督との再会、それは彼にとってマイナスのようだ…
知念 慶 30歳 177㎝/73kg
24年 33試合33先発 2882分 3G3A
鹿島への移籍でFWから解放され、ポポスタイルと共に手に入れたデュエル王の称号。
しかし、今期は川崎時代に前目のポジションで便利に使っていた鬼木監督と再会。
樋口を中心に、その相方として柴崎を選ぶのはスタイルを考えると必然の結果か。
サイドハーフとして起用している小池龍太もいずれは中央に回ってきそう。
となると、昨季にブレイクしたデュエル王の出番は激減か!?
先発した開幕戦で負けると、以降は連勝を続ける好調なチームでずっとベンチに座る。
何しろ、柴崎を休ませた3月1日のFC東京戦では、昨年までベンチ生活の船橋を知念よりも選んで先発にするのだから、既に鬼木の序列は明確だ。
25年 4試合1先発 3途中出場 154分
後はマリノスが本気を見せるだけだ。
本気ってなんだろうね
マリノスが欲しいとして、実現可能性はどうだろうか。
プレミアリーグでバリバリ活躍中の選手を札束で殴って奪い取る相手に勝たなきゃいけない。それを見ても国内リーグで燻ぶってる戦力を獲得するのが無理って言えるだろうか。
かつてシティにいたマフレズ、ラポルテ、カンセロ、そしてスティーブと共にユーロを戦ったイングランド代表イヴァン・トニー、彼らは今、サウジアラビアにいる。
昭和の時代、定期的に放送されていた国民的ドラマにおいて、菅原文太が演じた結果、どうみても堅気には見えなくなったオッサンが問いかけた。
「誠意ってなんだろうね」
アジアの頂点を取るにはサウジアラビア勢を倒す必要がある。
中山社長、西野SD
本気ってなんだろうね
奴らは国家の威信をかけている。
ACLEはそのマイルストーンだ。
だからこそ、彼らはヨーロッパすら抵抗できないマネーを投じている。
それを見て我々は疑う事なく感じる。
こいつら本気(マジ)だ…と。
そのサウジアラビア勢を見た時に、強大すぎる敵に、それでもマリノスはピッチ上に立つ選手の気持ちだけでなく、クラブ全体として、口先だけでなく彼らに本気で勝とうと考えているのだと感じたい。
森保は遥かに劣る評価額のチームを率いて、ワールドカップでドイツとスペインに勝った。
スティーブ・ホランドも、ユーロ2024で圧倒的なスター軍団であるイングランドが、スロバキアやスイスに負けそうになるのを体験した筈だ。
ジャイアントキリング、資本で全てが決まらないフットボールには夢があるとして、全てに共通するのは少しの幸運と、幸運に期待しない守備強度の徹底、妥協しない戦力編成だ。
何故波乱が起きやすいのか。カップ戦に連続性は必要としないからだ。つまりこれまでの実績という過去よりも、その瞬間の戦闘力をどれだけ高められるかで決まる。
24年、あの悔しさは何で味わったのか?
その反省は活かされているのか。
どんな戦場が待ち受けているのか。
そこで戦う為の戦力編成をクラブとしてギリギリまでやり切ったと言えるのか。
リターンとなる優勝賞金は17億円、過去のJリーグクラブが体験した事が無い高みへの挑戦だ。
闘志=投資は十分か?
本気とは言葉で言うのは簡単だが、我々が本気と感じる事が出来るアクションを見たい。
余談だが、競馬でも中東の競馬と言えば長らくドバイだったが、あんな小国に負けてられるかと思っているかどうかは知らないが、ドバイワールドカップよりも高い1着賞金、15億円を設定したサウジカップを開催するなどサウジアラビアも近年急速に力を入れている。
今年は日本の馬が勝利しており、その高額賞金をGETしてきたのが町田FC社長でもある藤田晋オーナー。
フォーエバーヤング号にたどり着くまでに買った馬の合計額は30億円をゆうに超える。
さすが勝負師、町田の選手補強を見ても分かるが、本気になった時は見る者にもそれを感じさせる豪胆さだ。