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ケヴィン・マスカットの手腕 横浜F・マリノスに見る戦力マネジメント

22シーズン、欺瞞に満ちた冬ワールドカップ開催による11月上旬に完全終了を目指す日程の圧縮、セントラル開催のACL出場が重なったマリノスは”最も過酷な開幕連戦”を消化した上で、リーグ前半戦1位、ACLグループリーグ首位通過を達成した。

 

ACL組が味わった開幕からの連戦はマリノスでも近年に無いほど主力選手に怪我人が続出し、他を見れば昨季2敗の川崎は既に4敗し、躍進が期待された浦和はドロー沼にハマり、昨季3位の神戸は早々にチームが瓦解するなど、体験したクラブにしか分からない過酷な物だったと言える。

 

その中でACL不出場組を抑えての前半戦リーグ1位は沢山の消化不良な想いを残す悔しいゲームがあったにせよ、マリノスというクラブの競争力の高さを示す重要なマイルストーンになったと言える。

 

 

「我々には2チーム分の戦力がある」

 

そんなセリフを言っても実際にはミナミーノの様に、明確なカップ戦要員がいるだけじゃないか、みたいな事も多い訳だが、過酷な環境だからこそ光る、前任者とは異なるマスカットの手腕とは。

 

 

 

特定選手依存度

 

個人に依存しない、誰が出てもやれる、理想の言葉。

でも本心というのは何を言うかではなく、何をやったかに現れる。

 

J1リーグの前半戦上位5クラブ(横浜FM、鹿島、川崎F、柏、広島)において、プレータイムを実際にどの様に所属選手でシェアしていたのか調べた。

 

 

17試合×90分= 1530分

 

この内70%にあたる1071分以上出場していた選手は各クラブ何人いるのか。

※GKは除外

※準 950~1070分出場選手

 

5位 広島 6人 準 4人 

4位 柏 7人 準 2人

3位 川崎F 6人 準 0人

2位 鹿島 7人 準 1人

 

1位 マリノス 2人 準 0人

 

マリノスがいかに理想を体現する選手のプレータイム分散を行っているのか伺い知れる。

 

 

依存度を深堀

 

また最多出場選手という点でみると、チーム内1位は岩田なのだが1218分と、80%に到達しておらず、他チームの外せない選手に比較した場合、依存度の低さが伺える。

 

 

例えば鹿島は安西が1525分、樋口1423分、常本1390分、上田1374分と90%オーバー選手が4人もいて(※17節を欠場した鈴木優磨1359分)、直近の失速も納得の数値。

 

川崎Fも山根1530分、谷口1430分と代表ゲームを抱える2人の負担は秋以降も下がりそうになく、橘田1318分と昨年デビューのルーキーが最早欠かせない存在なのが分かる。

 

柏もDFライン3人とマテウスヴィオが1400分(大南1399分)、広島は荒木&佐々木が1440分、快速ウインガーの藤井も1399分と90%オーバーの選手を抱える。

 

 

この点、マリノス岩田以外に1000分以上出場した選手は小池龍一人のみで、900分以上で見ても、喜田919分、永戸904分の2人しかおらず、なんと800分以上で見ても松原、Aロペスの2人と、プレータイムを抱える戦力でフルに分散しているのが伺える。

 

勿論、その中にはマルコス562分、エウベル693分の様に、本来はもっと使いたかった攻撃の中心となる選手が含まれる等、例え軽症であっても、負傷をした選手が戻ってくる時間がないという連戦の過酷さが伺える。

 

700分台には西村、仲川、水沼、ジョエル、角田、エドゥアルド、600分台にはレオ、渡辺、畠中と他チームであれば出場時間90%もあり得る、依存されてもおかしくない実力を持つ選手が並ぶ。

 

現在のマリノスで唯一、依存度が高い、居ないとチームとして大変な事を覚悟しなければならない選手は高丘くらいとプレータイムから言える。

 

 

 

ケビン・マスカットの手腕

 

2021年、ポステコグルーから彼に変わって、チームに何がもたらされるのか、ということを多くの人が気にしていたテーマではないだろうか。

 

ポステコグルーはクラブにピッチ上で優位性をもたらしたが、2019年と現在においてマリノスを取り巻く環境は激変している。

 

複数タイトルを目指すべきチームである自覚し、サッカーというスポーツの転換(90分5人交代制)に対する適応、立ちはだかる混乱を含んだ過密日程、マスカットの取り組むべき課題はポステコグルーよりも難解だ。

 

2019年、ポステコグルーがリーグを制した時、仲川、マルコス、喜田、畠中、チアゴは90%水準の依存度(シーズン2700分)であった。

 

 

ここまでのリーグ戦において、2022マリノスの特徴はアタッキングフットボール…ではなく、それはブレずに、更に一歩先に進み、全てを勝ち取る事を目指した、誰が出てもチームとしてやりたい事をやれるという、理想の戦力運営と言える。

 

 

夏以降の日程を見据えて

 

今季の『日程くん』はシックスセンスを失ったのかもしれない。

 

何しろマリノスはこれから8月7日までに、現在上位にいる柏、広島、鹿島、川崎Fとの今季2度目の対戦を終える。

 

J2でもここから数週で首位新潟が2週目の首位攻防戦を終えるなど、終盤の神がかった展開は無さそうである。(フラグ)

 

マリノスにとってリーグだけを見れば、ACLが終わる夏以降に過密さは存在せず、むしろここまで分散してきたプレータイムを1試合に集結させるような収穫の秋を迎えるのだが、ルヴァン、そして天皇杯も見据えるなら話が変わる。

 

 

レオ、ロペス、更に西村と十分に見えるが、全部欲しいなら、8月はルヴァン→リーグの4連戦から、ACLは中2日の3連戦であるし、9月も天皇杯とルヴァンが残っていれば7日から25日で6試合消化の連戦となる。

 

 

また今季はマルコスが怪我がちで、吉尾では代役の目処が立たない中、西村はむしろセカンドトップを主戦場としており、

 

これだけプレータイム分散をする中、カップ戦ですら出番がないのでは3番手のファーストトップは居ないも同然であり、ここにマスカットが信頼してプレータイムを与えられる選手を揃える必要性があるかもしれない。

 

信頼はプレータイムに現れる。

 

 

 

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